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社会に自分にいいことを

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

社会の役に立ちたいという人は多いと思う。そのときには大きく二つの方法が考えられる。一つはどこかで得た利益を投入するやり方。そしてもう一つは、仕事において利益を生みながら社会の役に立つということ。

もし後者のような関わり方をしたいなら、ビーグッドカフェはとてもよい場所だと思います。

今回は、NPO法人ビーグッドカフェでプロジェクト企画運営・環境イベント制作として働く人を募集します。

東京・三軒茶屋にある事務所で、代表のシキタさんに話をうかがう。「よく怖そうって言われるんだよね(笑)。」と話す通りの印象を受けたけれど、実際に話してみると柔らかいひとでした。

「ビーグッドカフェは、これまで、そして今も色々なプロジェクトに取り組んでいます。2005年には愛知万博で畑を耕し、作った野菜をレストランで提供し、さらに生ゴミをミミズコンポストでたい肥にして戻す。本当の食育・循環を伝えました。小田原では高齢化により耕作放棄され、荒れていたみかん農園の再生活動“オレンジプロジェクト”を行っています。」

「また最近では越谷レイクタウンに環境コンサルとして関わり、廃棄される素材でアート作品をつくったり、飲食店から出た天ぷら油を回収してリサイクルするシステムを提案したり。すべてに共通しているのは社会と自分にとっていいことをしたいという思いなんです。」

そもそもどうしてビーグッドカフェがはじまったのだろう。

「1998年の秋、獅子座流星群が騒がれたときに、色々なクリエイターたちと一緒に山に行って、星を見ながら話をしたんです。『競争社会から、分け合う社会にシフトできないか』『環境について若い人たちと考える場をつくりたいね』。そうして生まれたのがビーグッドカフェです。」

はじめに原宿にカフェをつくった。そして翌年99年の1月からは毎月、戦争、有機野菜、貧困といったテーマでゲストを呼び、話し合う場を続け、2007年までに約100回を開催した。

肩書きや属性を越えて、同じ思いを持った人がつどい話し合う。今でこそ、そうした場は日常的になりつつあるけれど、90年代には全くと言っていいほど存在しなかったそうだ。

それまで環境について考える場と言えば、市民会館を会場に、高齢の人が真面目な議論を交わすものだったなかで、ビーグッドカフェは原宿のカフェに、DJ、VJを呼んで若い人たちで考えていくスタイルを開拓していった。

活動に関わるメンバーからワールドシフトやグリーンズといったさまざまな活動が生まれてきたという。

枠にとらわれない発想のもとには、シキタさんのバックグラウンドが関係しているようだ。

「ずっと社会に役立つことをしたいと思っていたんです。でも、まずは自分に力や経験がないと何も変わっていかないと思って。それでまずは就職の道を選んだんです。」

大学を出て就職したのは総合商社の丸紅。輸出入の経験を重ねた。その後、テキスタイルの輸入・ファッションショーの企画を経て、海外のインディーズレーベルを日本に紹介したり、日本のクラブカルチャーを盛り上げてきたという。

「そして、一度区切りをつけて世の中にいいことをしたいと勢いづいたのが1998年でした。」

シキタさんは今、日本の社会の変化を実感しているという。

「立ち上げ当初は『社会にいいことをして飯が食えるわけがないじゃないか』とよく言われてたんですよ。C.W.ニコルさんと一緒に盛り上げてきたアースディ東京もそう。2001年にはじまった当初は、“環境”と言っても反応するのはごく一部の人。ここ数年は“エコ”が普通のことになってきて。東日本大震災以降はさらに、ソーシャルという考え方がより一般的になったように感じます。」

これから一緒に働く人に伝えたいことを聞いてみた。

「ソーシャルに活動していく団体でやれることって、いくらでもあるんですよ。人がやってきた範囲で仕事するんじゃなくて、我々だからできることは本当にいっぱいあると思います。チャレンジングにやろうとすれば、楽しいことも、みんなにありがとうって言っていただけるような仕事もいっぱいある。そういうことを一緒にやりたいです。」

それから、とシキタさんは僕にこんな質問を投げかけた。

「あなたはいくつですか?結婚はされてます?」

僕は28歳で独身です。

「あなたが私たちと一緒に仕事をして、ご結婚して子どもを2人持ったとしたら。あなたがいいパパであれば、できれば子どもたちにちゃんと教育をつけてやりたいと思うでしょう。でもそうするには、とってもお金がかかるんですよ。だから私たちは、人にありがとうって言われつつ、きちんとお金も儲けられる団体にしていきたいですね。お金を心配して、あきらめてほしくないんですよ。」

「2、3年は社会貢献のために勤めて、その後は結婚を考えて辞めてしまうというすれ違いが過去にありました。それではせっかくの出会いがもったいない。社会にも、あなたにも幸せになってほしい。そのためにはきちんと稼がないとダメだよ、って私は本音でちゃんと言いますよ。」

マーケットをつくるところから取り組んできたシキタさんに学ぶことは本当に多いと思う。

その一方で、これからのビーグッドカフェは自分が築いていくんだ、という気持ちもとても大切にしてほしいと思う。

社会の役に立ちつつ、自分の生活をきちんとすること。ビーグッドカフェでは両立を大事にしているけれど、それは誰かがすでに用意した席につくものではなくて。日々の仕事を通して、一人一人が築いていけるものだろう。

ビーグッドカフェで働くほかの人たちにも話を聞いてみる。2007年入社の女性の坂本さん、そしてコンサル会社での環境CSR提案担当を経て、昨年8月に転職した加藤さん。

「一口にCSRといってもさまざまな形があると思います。ビーグッドカフェの特徴は、“つなぐ”という点です。クライアントからただ言われた通りにやるのではなくて、こちらから提案を行っていきます。大学の研究職、企業、マスコミをはじめとするメディア媒体… 色々なネットワークをつないでいくんですね。その幅広さは財産になっていると思うんです。」

「全体の流れを通して担当していくので、イベントの参加者さんと直接ふれあうのも自分たちです。企画書、予算書の作成から運営スタッフの募集、イベント後のケアまで。やることが色々あって、大変ではあるんですけど、最後に人と人が実際につながる場面に出会うとよかったなと思います。」

言ってみれば、一つ一つのプロジェクトがオーダーメイドのようなもの。前例のない要望に対して、自分で提案を生み出していくことが求められる。

どんな人と仕事がしたいだろう?

「環境イベントや教育、CSR提案の経験があることが望ましいです。そうした引き出しがあれば、自分からの提案も行いやすいと思うんですね。一方、同じような場で働いてきた人はそういないとも感じていて。そのときに大事なのは、色々な知識を自分から吸収しようとすること。そして、色々な人やものを柔軟につなげていくことです。」

クライアントから相談を受けたとき、必ずしも自分のなかに答えがなくても、「あの人に聞いてみよう」「あそこに行けば何かヒントがあるかもしれない」そうした機転をきかせることで対応できる場合もあるだろう。

そのことを坂本さんは「知り方を知っていることも大事だと思います。」そう話してくれた。

「入り口は色々あると思うんです。実際に今いるスタッフを見てもそう。イベントの制作会社で働いていて、環境にも興味関心があるからと飛び込んできた人もいます。今までの経験を活かしながら、働いています。もともと建築の仕事をしていたスタッフの話も聞いてみてください。」

そういって現れたのが鶴淵(つるぶち)さん。大学では環境建築を専攻。前職では、アパレルブランドの店舗設計・施工を行っていた。

「東日本大震災の直後に、シキタがC.W.ニコルさんとUSTREAMで緊急会見をやっていたんですよ。その対応がどのメディアよりも早かったんですね。あの時は国からの会見や対策に日本中が期待していたと思うんですが、なかなか動きが遅かった。そのときに、フットワーク軽く社会に発信していけるビーグッドカフェのような組織が求められていると思ったんです。」

今はどんな仕事をしているのだろう。

「子ども向けの環境教育として、食育や気持ちのいい住まいをテーマにしたプロジェクトやイベントをメインにやっています。」

たとえば、と話してくれたのが三井不動産レジデンシャル主催の小学生向け環境教育プログラム“&EARTH教室「すまいのECOチャレンジ」”だ。
「僕らはクライアントに対して、コミュニティづくりが、地域の付加価値を高めていくこと、そして次世代への環境教育が大切という提案を行いました。そういったテーマをもとに子ども向けの環境教室を企画運営しています。」

「子どもたちは最初、コミュニティという言葉を知らないんですね。その意味を伝えることからはじまります。『友達がたくさんいると嬉しいよね』『みんな仲良しだとなんか楽しいね』。そういう当たり前のことを、当たり前に教えていく人の存在が今必要だと思うんです。」

イベント企画運営の経験はなかったけれど、入社してからどんどん吸収していったという鶴淵さん。その根っこには何があるんだろう。

「僕は『新しいこと』『楽しいこと』のアイディアを色々考えるのが好きなんです。それから、人に喜んでもらう、みんなと楽しい時間を共有するコミュニケーションが楽しいんですよ。」

けれど、単純に子ども好きだけでは不十分。イベントをきちんと成功させるためには勉強も欠かさないという。

「今の小学生がどんなことを学んでいるかを、僕らが勉強するんです。そうすることで、『1年生には、食べることの大切さをどういう風に伝えたらいいかな』『太陽光発電は何年生に教えたらわかってくれるだろう』と考えられるようになるんです。」

最後に、鶴淵さんはこんな話をしてくれた。

「ビーグッドカフェではすべてを自分でやることが求められます。1から、ではなくて0から10までですね。そのことに対して、一人で色々しないといけないと思う人と、何でもやっていいんだと思う人がいるでしょう。僕の場合は任せてもらえたおかげで、自分の知らなかった世界が見えたり、『自分ってこういうこともできたんだ』という気づきがあります。仕事を通して成長が実感できて、人の喜びにも出会うことができる。一緒にこれからのビーグッドカフェをつくっていけたらと思います。」(2013/4/17 はじめup)