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“気づき”を支える

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人から相談を受けるとき、ついつい先回りして「なにかいいアドバイスはできないか」と考えてしまうときがある。

ほんとうは、相手の話にじっくりと耳を傾ける姿勢が大事だと思う。

答えはその人のなかにあって、ていねいに聞くことで自ずと気づくことができるものだから。

そうした姿勢でクライアントに関わっているのが、大阪・本町に居をかまえる株式会社クリップオン・リレーションズ。

株式会社クリップオン・リレーションズは経営コンサルティングと教育研修、診断事業をおこなっている会社です。

2009年からは一般社団法人子ども・青少年育成支援協会を設立し、発達障害や不登校児童の学習支援事業「あすはな先生」を行っています。

今回は2つの事業において、代表・上木さんをサポートしていく人を募集します。

相手の話にじっくりと耳を傾けようとする関わり方には、上木さんがもともと臨床心理士を目指していた背景が影響していました。

臨床心理士は、いわゆる“心の病”をはじめ、心に何かしらの問題を抱えた人を支える専門家。

一般的にはカウンセラーと呼ばれることも多く、話を聞くプロと言える。

実は僕も、臨床心理士を目指している時期がありました。そのこともあり、興味深く上木さんの話を聞きました。

「私は臨床心理士になるつもりで専門特化した大学に通っていました。大学3年のときに就職を調べると、スクールカウンセラー、病院職員など選択肢が少なかったんですよ。収入の面で考えても将来が厳しそうに思えました。自分自身であまり臨床心理士に向いていないんじゃないかと思っていたところもあり、以来、仕事について色々と考えるようになります。」

同級生の多くが、本気で人の役に立ちたいと思っていて、その想いを形にする方法として臨床心理士になるために大学院に行く。けれど臨床心理士になっても活躍できそうな枠は限られていた。

「想いを持って実行している人が社会で活躍できる枠が限られているなんて、本人にとっても、社会にとってももったいなさすぎる!じゃあ自分でそんな想いを持った彼らが活躍できる場をつくって、活躍できる枠を拡げよう。そう思ったんです。そのためには起業するしか方法がない、というのがそのときの私の結論でした。」

上木さんが選んだのはコンサルタントの道。将来の起業に向けて、会社経営のノウハウを身につけようと考えたからだ。

業務の仕組み化について学んだ後、ベンチャー企業に転職をする。管理部で責任者として働き、経営の流れを一通り身につける。

クリップオン・リレーションズとして独立したのは28歳のときだった。

「最初はまったく仕事がない。事業計画もビジネスモデルもなく、会社をつくってオフィスをつくって、イスに座ってから考えたんです。さぁ何しよっ、て。諸々事情があってそうなったのですが、今考えたらぞっとしますね、というかアホですね(笑)」

「でも不思議と確信はあったんです。外資系コンサルなどが用いている考え方やフレームは臨床心理学などの心理学と密接に結びついていて、欧米なんかではビジネスで活用されている。日本のベンチャーや中小企業でも臨床心理系の考え方やフレームはかなり有益なツールになるなと。ご縁に恵まれたことが大きいですが、動いていくなかで手応えは確かにありました。」

事業は次第に拡がりを見せ、現在では教育研修や診断事業にも取り組む。

その中心となるのがコンサルティング事業。

「主なクライアントはベンチャー中小企業です。コンサルと聞くと、成功している事例や経験を基にアドバイスをしてくれる、そんなイメージが強いかもしれません。でも私たちには、“引き出す”とか“整理する”という言葉の方がしっくりくるかな。経営者の話をじっくり聞いていくんです。」

「経営者のみなさんほんとうに優秀で、かつ勉強もされている。会社は今どんな状態で、何をするべきなのか。ただ見えづらくなっているだけです。私たちが聞くことで、経営者は自ら気づくことができるんですよ。そのプロセスはまさにカウンセリングそのものなんです。臨床心理士がビジネスを理解したら活躍できる。そう思っています。」

実は最初からその人のなかに答えはあるんだな。

創業の理念に立ち戻り、現在の会社の姿をよく見てみる。現状を解きほぐしていくことで、会社の課題に気づく。そうして経営者は自分を取り戻し、再び歩き出すことができるという。

日々の生活に置き換えてみると、アドバイスをもらうよりも、ただ悩みを人に聞いてもらうことで自己解決した経験は誰しもあるかもしれない。

中小やベンチャーをはじめ、創業者の存在が大きい組織では、“聞く” コンサルティングは、今後より求められていくように思う。

もう一つの事業「あすはな先生」についても聞いてみる。

発達障害や不登校・引きこもり。そうした子どもたちを対象とする学習塾、家庭教師を行っている。

立上げのきっかけは、クライアントのコンサルティングにあった。障害者の就労支援に直面した上木さんは、より早期からの支援が必要だと感じたという。

この日は、梅田から電車で20分ほどの西宮北口教室を訪ねた。

話を聞かせてもらったのは、コーディネーターの小泉さん。

心理学を専攻する学生時代にあすはな先生の存在を知り、家庭教師のアルバイトをはじめた。そして昨年の教室開校に伴い就職。現在はコーディネーターを中心に講師や管理部門の仕事もこなしている。

発達障害、不登校。どんな子どもたちだろうと思っていたら、小泉さんはこう話してくれた。

「よく笑うし、元気もいいですよ。ついつい、“○○な子たち”ってひとくくりにしたくなると思うんですけど、話したがりの子もいればあまり主張しない子もいる。みんなそれぞれ、色んな子たちですね。共通していることといえば、通常の学習方法ではなかなか学習方法が身につきにくいんですね。」

どういったことを心がけて関わるのでしょう。

「あらためて聞かれるとなんだろう(笑)。大雑把に関わらないことでしょうか。」

大雑把に関わらない?

「宿題を忘れた子どもがいるとしますよね。そのときに叱るのではなくて、なぜできなかったのか、どうしたらいいかを一緒に考えていきます。『どのページをやったらいいかわからなかったの』と真面目に言われることもあります。その子は見通しを立てることが苦手で。一人一人の顔を見て、関わることが大切だと思います。」

発達障害という言葉を聞いて、僕は少し特別にとらえていたな。それって、子ども全般に言えることだ。

もしかすると、頭ごなしに叱ることは大人の横着なのかもしれない。 大変ではあるけれど、一人一人と向き合うことがこの仕事の本質なのだと感じる。

印象的だったのは「子どもはよく大人を見ているんです」という小泉さんの言葉。

ていねいに関わる。ごまかさない。あすはな先生はそうした場所なのだと思う。

小泉さんの主な仕事である、コーディネーターの役割も聞いてみる。

「コーディネーターは親と子どもを、そして家庭と家庭教師をつなげていきます。子どもが抱えていること、困っていることを親御さんへ伝えたり、逆に親御さんから話を聞いたりするんです。」

勉強を教えるだけでなく、より深くその家庭に関わるようなイメージでしょうか。

「そうですね。あすはな先生の根本には、子どもの支援をしたいという思いがあります。なので足りないことは補っていきたいです。学習もその一つなんですね。」

人との関わり方を学ぶ場として、現在は「ソーシャルスペース」をもうけるようになった。ここではゲームやワークを通して人との関わりの面白さ、難しさを感じてもらいながら、上手く自分を表現できるように様々な体験をしていく。

あすはな先生は立ち上がって今年で4年。今はどこに向かっているのだろう。

「臨床家、専門家で現場のことを真剣に考えているスタッフばかりですが、組織として考えると足りない部分が色々あると思います。まさにこれから組織になろうとしているところなんですね。私たちと一緒につくっていってくれる人に出会えたらと思います。」

コンサルティングと学習支援。2つの事業が今後成長していくなかで、バックオフィスとして全体を支える人が必要だと、上木さんは感じている。

再び上木さんに話をうかがう。

「任せていきたい仕事の幅は広いです。一緒に働く人の経験、やっていきたいことと相談して、仕事内容を考えていけたらと思います。バックオフィスの経験はあるに越したことはないですが、社労士、税理士、弁護士など外部に色々なブレーンがいるので未経験でも学んでいくことはできると思います。」

「興味があれば、デザインの仕事もあります。外部のデザイナーさんや会社と連携して。あるいは経験興味次第で、自分でつくってもらっても。」

クライアントさんと話すなかで、魅力を発信するためのHPがない。あるいは、HPはあっても採用ページがない。また、会社が拡大していくなかで企業理念を共有できる媒体がほしい。そういった声が度々聞こえてくる。
今後はデザインのニーズも増えていきそうだ。

上木さんは、これまでの活動において、大切にしてきたことを話してくれた。

「大きな問題を問うのではなく、目の前の人に何ができるかを考え、取り組んできた7年間なんですね。日々の活動が結果的に大きなことを動かしていくと思います。」

これから入社する人も、まずは一緒に働くスタッフに何ができるかを考えていくのだと思う。

自分の支えによって、スタッフもいい仕事ができる。そしてクライアントさんがより発展したり、親御さんやお子さんが笑ったり。

そうした反応を、スタッフ全員で共有していける環境があると思う。

「クリップオン・リレーションズとあすはな先生を区切るというよりは、全体で一つの組織としてスタッフが関わっていますね。」

臨床心理士の活躍の場をつくりたい。上木さんが20歳で持った思いは、15年を経て形になりつつあります。

僕は、卒業後の姿が描けなかったこともあり、臨床心理士の道をあきらめました。

同じ壁にぶつかって、自分で未来の場をつくることを決めた上木さん。
その話を、尊敬の気持ちも持ちつつ聞いていました。

コンサルティングと子どもの支援。

共通するのは目の前の経営者に、家族の隣に寄り添い、一緒に歩いていく姿勢でした。

その関わり方に共感をしたなら、まずは連絡をとってみてほしいです。

地道だけれど、人の見える仕事があると思います。(2013/6/4 はじめup)