求人 NEW

ツクルバ・セブン

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

2年前から「場をつくること」をテーマに活動してきた、空間プロデュースの会社。それがツクルバ。新しいプロジェクトをどんどん仕掛ける彼らが、会社設立後、初の求人を行います。空間プロデューサーの精鋭1名を募集です!

01 仕事百貨の読者なら知る人も多いツクルバ。先月オープンした「EDITORY 神保町」も彼らのプロデュースだ。

僕が共同創業者の中村真広さんと村上浩輝さんに初めて会ったのは、ツクルバの創業前。とある雑誌で「コワーキングスペース」の特集を組んだときのことだった。取材時にたまたま利用者として同席していたのがふたりだ。

05 リーマンショックのあおりで、入社7カ月で不動産会社を退職することになった彼ら。自己紹介で差し出された名刺には、すでにいまの会社ロゴが印刷されていた。

「場を新たにつくりたいから『ツクルバ』です。単純ですけどね」と笑っていた中村さん。ストレートでいい名前だな、とそのとき思った。

その後、クラウド・ファンディングを活用して、渋谷に「co-ba(コーバ)」というコワーキングスペースをオープンさせたのをネットニュースで知る。

翌年には、会員同士で本棚や場を共有する「co-ba library」も上のフロアに立ち上げた。いま話を聞いている、まさにこの場所だ。
02 ツクルバは、co-baを拠点にして、新しい人とつながっていった。その後、不動産開発のほかにも数々のプロジェクトへと進出していく。中村さんに自社の仕事について解説してもらった。

「企画と設計と運営。その場所が生まれて、育っていくまで関わっていくのがツクルバの仕事です。プロジェクトを仕込むのはデベロッパー、設計するのは設計会社、運営するのは運営会社、という役割がありますが、バトンを渡していく中で『情熱』のようなものがこぼれていってしまう。そこに1つの軸を通すというのが、僕らのやりたいことです。」

再会したツクルバは、メンバーが6人に成長していた。26歳から28歳のチーム、いずれも個人的なつながりから、ツクルバに加わったそうだ。

役割分担は、村上さんがCEO(最高経営責任者)として会社のビジネス面を見るほか、企画とデザイン担当、建築設計担当、不動産担当、co-ba運営担当の4人がいる。そして、プロジェクトそれぞれに軸を通す役割の中村さんは、CCO(チーフ・クリエイティブ・オフィサー)の肩書きだ。

求めている人材は、中村さんに近い役割ができる即戦力。常時10件以上のプロジェクトが回っているツクルバで、企画・設計・運営を総合的に見られる「プロデューサー気質」を持った「マネージャー的な人物」が、もう一人必要なのだという。

友人や知人のつながりで社員を採って来たのに、あえて一般に人材を募集するのは、なぜだろう。

「これまでは、想いに共感した身の回りの人を巻き込んでいくフェーズでしたが、次は変化球がほしい。もう一段階ギアを上げて加速するため、やっぱり『別の遺伝子』が必要だなと思って。」

03 そんな節目を迎えたんですね。ここで村上さんから補足が入った。

「正社員登用を前提に迎えたいですね。案件はたくさんいただくので、ツクルバのマインドさえ共有していれば担当者が決まって、すぐプロジェクトが立ち上がる会社ですよ。」

04 忙しく現場を飛び回る彼らだが、毎週月曜の夜には定例ミーティングを欠かさないという。村上さんは、どんな応募者をイメージされてますか?

「あくまで想像ですが、リノベーションのプランをつくる大きな会社に在籍しながらも、小さなツクルバに可能性を感じてくれる同世代か、少し上の年代の人かな。あとは、不動産のデベロッパーで土地取得からマンションの企画まで担当しているけれど、なんとなく物足りなさを感じる人とか。」

求人条件を見ると、おそらく手取りの給料はかなり下がってしまう。再び、中村さん。

「経験者で30代であれば、結婚していたり、子どももいるかもしれない。でも、現状に満足していなくて冒険したい人を歓迎します。僕らより年上でもまったく構いません。」

それでも、ツクルバに来るメリットってありますか?

「たとえばco-baでは何もないところから物件を仕込んで、企画を立ち上げ、内装や設計も自分が口出ししながらつくって、プロモーションはこうやっていこうという具合にできました。大きなところにいると、その全部を一人ではできないですよね。」

05 大きなプロジェクトで、たとえば1000人のうちの1人になるか。もしくは規模は小さいし、社会へのインパクトも弱いかもしれないけれども、すべてを身近なところで感じながら仕事を進めていくか。

もし後者がいいなら、ツクルバは合っているかもしれない。

「お客さんとの接点が本当に近いので、その場を誰がどう使ってるかという顔が見えやすいです。自分が手塩に込めて、完全に思い描いたものをつくり上げる充実感が得られます。」

空間づくりだけではない、場をつくる仕事。たとえば「調布まちみらい会議」の企画・運営を担うのもツクルバだ。

06 ふたりに、ツクルバに「向いてない人」を聞いてみた。

中村さん「自分を主語にして話せない人。」

村上さん「そう、受け身な人ですね。」

中村さん「マーケットがこうだからこれやりましょうというよりも、自分自身が最初のユーザーになる勢いで『僕はこれがあったら、絶対に使うんですよ。だから僕はこういう場所がつくりたい!』と当事者性を持つのが一番重要。それがないとプロデューサーとして人を巻き込む力が弱いので、これはマスト。」

村上さん「ベンチャーなので何でも自分でやらなきゃいけないから、それが面倒な人はダメです。大手の不動産の設計部門にいたら設計だけをやっていればいいでしょうけど、ここではちゃんとお金のことも分かってないといけないし、役所に書類を出したりもしないといけない。」

中村さん「それがデメリットじゃないと感じられる人がいいのかな。『自分が全部やってない感』を嫌だと感じる人には向いています。」

ここでco-baの運営をしている國保まなみさんも加わってもらいました。通称、たもっちゃん。ちょうど取材した日の翌日が、入社1年目だそう。

07 今回の募集は、中村さんの役割に近いと思いますが、そばで見ていてどんな仕事でしょう。

「大変ではあるかもしれないけど、全然大変そうじゃなくて、楽しそう。1つのことからいろんなことが広がっていくイメージがあるんですよ。」

どんな人と働きたいですか?

「私は、大枠で物事を描くのが得意じゃないから、逆にこんなことやりたいっていうのをいっぱい持ってる人かな。もっとこうしたら面白くなるんじゃないかとか、常にそういった視点を持ってる人がいいですね。ツクルバのみんなは自由に『こんな場所をつくりたい』ということを、それぞれに形にしています。」

國保さんの話を聞いて、中村さんが話してくれた。

「多分、うちのキャラって相当バラバラだと思うんですよ。設計事務所だったら大体みんな建築出身だから、極端に言ってしまうと白シャツに黒いジャケットで、カメラとか持って黒ぶちメガネみたいな。なんとなく『あぁだよね』っていう統一された感じがありますけど。」

あ、所員が全員、師匠のコピーみたいな……。

「(笑)。でも、ツクルバでは職種がみんな違うので、バックグラウンドがそれぞれ違う人が集まっています。それ自体がカラーです。」

08 僕は彼らに会うのが好きだ。余裕シャクシャクといった雰囲気の中に、ときおりサッと焦りにも似た真剣な表情がのぞく。それは、追い詰められている顔とはまったく違う、勝負しつづけるチャレンジャーの顔だと思う。

入社後、長期で会社に関わる人を今回は募集していますよね。創業者のふたりにとって、ツクルバの夢やゴールって?

中村さん「第2のソニーになりたい!」

おおっ。ソニーは家電製品を発明して、それを大量生産したわけですが、ツクルバは「場」を発明して、それをたくさんつくるんだと?

中村さん「まさにそう。ソニーと同じようにマーケティングにも則って、ちゃんと世間に浸透していく状態にしたいです。」

村上さん「僕らは起業するとき、家族経営のように良質なものをゆっくり丹念にやっていくのか、どんどん成長していくべきか、考えました。結論は後者。人を巻き込んでやるからには、歴史に名を残すぐらいのことをやりたいよね、と。そのスケール感に『いいじゃん!』と言ってくれる人がいいですね。ソニーやアップルには発明家をサポートする部隊がいて、彼らがノビノビ活躍できる環境を用意しているそうです。結果、莫大な利益を産み出していますよね。そうした発明に対する行為そのものが、社会貢献にもなっている。僕らも、そういうことをビジネスでやりたいです。」

「あと、これはできたら載せたいんですけど……」

中村さんが取り出したのは、1枚の図だった。

「企画、設計、運営という一連の流れで、僕らが大事にしていることを描きました。」

09 「企画とは、ちゃんと『コンテクスト(文脈)』を捉えて、大きな『パーパス(目的)』を掲げることだと思うんですね。その後の設計(デザイン)では、オープンエンドにしておくのが大事。わざと半分くらいしか仕上げないで、みんなが参入できる余地を残しておきたいと思っているんです。実際の運営段階でつくり出したいのが、この『グッドノイズ』と『ソーシャルキャピタル(社会関係資本)』。どうです、伝わりますか?」

コンテクスト、パーパス、オープンエンド、グッドノイズ、ソーシャルキャピタル。第2のソニーをつくる、5つのキーワードだ。

「良いノイズというのは、予定調和じゃない情報。コワーキングスペースでオープンに話されている会話は、みんな聞けちゃう状態になっていますよね。それがきっかけで、誰かの思考がひらめくかもしれない。あとは、社会における『場所と人』とか『人と人』の関係にちょっと変化をつけるために、僕らの仕事を通じてソーシャルキャピタルを産み出したいです。」

もう、入社試験は始まっています。この図にピンと来た人が、きっと「7人目の仲間」です!(2013/7/8 神吉弘邦 up)