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現場に寄り添う

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

データにもとづき、すでにある手法を用いて机上で進めていく仕事もあれば、目の前の人に寄り添うことから新たに生まれてくる仕事もある。

後者には前例がないから、自ら地道に試行錯誤を繰り返すことも多い。

だからこそ一つの仕事を経て、自分のなかに確かな蓄積が生まれてくる。そして次の仕事に有機的にいきてくる。

現場サポートで働くみなさんの話を聞いて、そう思いました。

今回は建設現場をITの力で支える、株式会社現場サポートで働く人を募集します。

会社の進む方向をみんなで考え、製品の企画から、実際に市場に普及していくところまでを手がける “現場マーケター”という仕事です。

7月はじめ、雲間を抜けて鹿児島空港に到着した。バスで市内に向かうにつれて晴れ間がさしてきた。

1 陸の玄関口である鹿児島中央駅から3分ほど歩くと、現場サポートの事務所が見えてきた。

事務所に入り、代表の福留さんと挨拶をする。

「会社のよいことも大変なことも知った上で働いてほしいんです。」

そう話をはじめた福留さんの第一印象は、正直でまっすぐな人といったもの。

2 鹿児島出身の福留さんは、かつて大手企業に勤めていた。当時手がけていたのは、建設現場において写真を整理するシステムの営業だった。

「工事現場では進捗にあわせて記録として写真を残していくんです。特に公共事業ではその量も、数千枚から数万枚と、膨大です。そこで、私たちのシステムを用いることで格段に仕事の効率が上がるんです。」

けれど2005年のある日、会社で事業撤退の方針が決まる。その決定に疑問を感じた福留さんは退職を決意。10日後には株式会社現場サポートを起業した。

「そのシステムがないと、建設現場は仕事にならないんですよ。言ってみれば、事務職でwordがなくなるようなものですね。会社の都合で、お客さまを裏切るわけにはいかない。その思いからの独立でした。」

創業時に大切にしたことの一つに、現場主義がある。

「目の前のお客さまが困っていることにITの分野で応えたい。そのことが仕事になってきたんです。」

ここで、企画グループ長の吉田さんに話を聞いてみる。

吉田さんは、大手通信会社でシステムエンジニア・企画営業として働いたのち、現場サポートで働いて3年目となる。

3 吉田さんは、主力商品の一つである建設現場向けのクラウドサービス「現場クラウドforサイボウズOffice」を例に、会社の特徴を話してくれた。

「実は、この製品は最後発・最高値・最小(一番小さい会社)という3つの悪条件からはじまったんです。現在では、九州で70%のシェアを持つまでになりました。全国でも幅広いお客さまに使われているんですよ。」

そこに至るまでにどんな苦労があったのだろう?

「お客さまに丁寧に関わっただけなんです。現場を訪ねて、ソフトの使い方を一から伝えていきました。お客さまは最初、疑心暗鬼なんですね。そこに寄り添っていくと、『なるほど』と腑に落ちるときが来るんです。そうして使い続けていくと『これいいね』と言ってもらえる。アフターサービスも同じ姿勢で取り組んでいきますよ。」

「現場には比較的高齢で、パソコンにうとい技術者の方もいます。そうすると、うちの製品ではなく、パソコン自体についての質問を受けることもあるんです。ときには、メーカーのサポートセンターを調べて、連絡先を教えるようなこともありましたよ。」

4 どうしてそこまで丁寧に関わるのだろう?

普通であれば、「それはうちの仕事ではありません。」と答えてもおかしくはないと思います。

「そうですよね。僕らも奉仕しているわけではないんです。ただ、『ここから先は私たちの仕事ではありません』と切ってしまうと、お客さまの業務も止まってしまうわけで。最終的にはお客さまがやりたいことをできるようになるまでが、現場サポートの仕事だと思うんです。」

現在、会社は第2創業期にあるという。

これまでは仕事の効率改善に取り組んできた。今後は、より広く現場をサポートしていきたいと考えている。

そこでキーワードとなるのがC&M(コミュニケーション&マネジメント)だ。

造語なんです、と福留さんはこんな話をしてくれた。

「建設の仕事ってどんな印象がありますか?たとえば、公共事業に関して言えばすぐに“ムダ”という言葉が浮かんできたり。マイナスのイメージが強いように私は感じます。それから、まちなかで道路や水道工事をしている人たちは、『ご迷惑をおかけします』が口グセで、どこか肩身の狭い感じがします。」

「でも、ほんとうは、私たちがまちを住みよくするために、暑い日も寒い日も仕事をしてくれています。現場と地域の間にコミュニケーションが足りないのでは?と思うんです。」

5 自然災害が発生したときにすみやかに復旧するのも建設会社の方たち。言われてみれば、日本のインフラを支えるとても大事な仕事だけれど、うまく伝わっていないように思う。

「私たちも、現場の人たちと関わるなかで気づいたんですよ。建設業界が広報に不慣れな面もあると思います。よいことが伝わっていない現状は残念、というか、くやしいなというか。」

話を聞いて自分の生活を振り返ると、家や会社の近くで道路工事や水道工事を見ては「静かにしてほしいな」とか「早く終わらないかな」と思うことが多かった。

ほんの一言、僕が『ありがとうございます。』と声をかけるだけで、お互いの関係は変わったのかもしれないな。地域の人は感謝が持て、現場の人は仕事に張り合いが生まれると思う。

6 福留さんはさらに一歩進めてこう話してくれた。

「日本の技術者の方って、世界的に見ても技術水準がほんとうに高いんですよ。けれど、これまでの話もあり、仕事に対する誇りが持ちにくくもあるんです。」

「もっと誇りを持って仕事をしてほしい。そのために自分たちにサポートができないだろうか?そう思っているんです。」

7 現場と地域の間だけではなく、一つの会社のなかに断絶が見られることも少なくない。

「現場と本社の間に心理的な壁があるんです。『本社の人は現場をわかっていない』『現場は本社の話を聞いてくれない』という声をよく耳にします。コミュニケーションに難があると、経営面でもよい結果を生まないんですよ。そこで考えているのが、コミュニケーションの促進とマネジメント強化におけるサポートです。」

C&Mとは、断絶している現場と地域、現場と本社。つまりは人と人をつなげようという考え方なんだな。そこには様々な可能性があると思う。
8 いまはC&Mという方向性に基づき、具体的にどういった事業展開をしていくか検討しているところ。

社内で話し合いを行い、新規製品のアイデアを出すこともあれば、増えつつある「一緒に事業をしませんか」という提携案件を検討し、C&Mの要素を盛り込むことも考えられる。
ときには、システムに留まらず、お客さまにコンサルタントとして関わることも出てくるという。

今回は、そうしたことに一緒に取り組んでいく人を募集している。

現場マーケターの仕事は、製品企画にはじまり開発、そして製品のプロモーションまでを手がけていく。

実は、現場マーケターという名前は取材のなかで生まれてきた言葉。はじめは経営企画という職種を考えていた。

「経営企画と聞くと、データをもとに机上で考えるイメージがあるかもしれません。私たちは現場と接することで、見えてくるものを大事にしていきたいんです。」

実際に製品は、お付き合いしているお客さまの「こういうものがあると助かるな」という一言からはじまることが少なくない。

次に、現場では共通した課題を抱えることが多いので、製品の普及を進めていく。

9 「お客さまとのやりとりのなかで売り方のヒントが見えることも多いです。そこから営業をしていく対象層や、プロモーション・テストマーケティングの方法が見えてくることもあります。」

どうして現場から、それほどたくさんのことが見えてくるのでしょう。

「私たちも完全に言語化できているわけではないんですが、次のことが見えてきました。私も吉田も以前は大きい組織にいて、データに基づいた綿密な事業計画が求められました。それも大事ですし、多種多様な人のいる大きなマーケットを狙うには向いていると思います。理路整然ともしていますよね。」

「ただ私たちのように、関わりたい相手が明確であれば、まずは目の前の人に深く関わることから仕事は広がっていくんです。一人のお客さまから見えた課題は、建設現場が抱える共通の課題であることが少なくありません。」

ここでオフィスを回り、企画開発担当の川畑さんと、今年の4月に新卒で入社した林元さんの2人に話を聞かせてもらう。

林元さんは、製品導入後のお客さまへのサポートが主な業務だ。

10 実は一度、別の会社に内定が決まった後に、現場サポートと出会い入社を決めたという。

「社会に出る上で『自立したい』という思いがあって。就職活動をやり直したんです。福留さんと話して、アツくて面白いな、と思ったんです(笑)。代表との距離も近く、色々な経験ができそうということもありました。」

「自立と言っても起業しよう!とか、具体的な行動が見えているわけではないんです。ただ、このまま何もせずにずっと悶々と過ごしていくよりは、どんどんいろんなことを吸収していきたい。そう思いました。」

一方の川畑さんが転職したキッカケは、チャレンジできそうというものだった。

「はじめは企画を製品というカタチにする、開発の仕事がしたかったんです。次第に関心が企画や営業にも広がって。福留さんに直談判して、現在ではより上流の企画から携わるようになりました。」

11 「出る杭は引き抜かれる会社だと思います。若手でも興味があれば、株主総会や経営会議に関わることができます。自然と経営に意識が向くようになりますよね。」

取材後のやりとりにおいても「暑い日が続きますが、体調を崩さないでくださいね。」という心づかいがとても印象的でした。

社内外を問わず、関わる人を大事にする会社だと思います。そうそう、社員研修にも力を入れているようです。

目の前の人の役に立つことからはじまる仕事が、現場サポートにはあります。(2013/8/1 大越はじめup)