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春夏秋冬の仕事

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山には鮮やかな四季があり、人々はそこで、四季折々の仕事をしている。農業、林業、観光などが、自然と結びつきながら存在している。

そういう働き方をしていきたい人に、ぜひ知ってほしい仕事があります。

kata1 東京から関越道を通れば車で2時間弱の場所、群馬県利根郡の片品村に、「かたしな高原」という広大な敷地があります。

冬は関東唯一のスキーヤー専用のスキー場として、夏は体験農園やフィッシングなどのアクティビティを楽しめる宿泊施設として、山の遊びを楽しむ機会を提供しています。

ここで、年間を通して自然と触れ合う体験を企画し、訪れるお客さんに提供していくスタッフを募集したいと思います。

とくに求めているのは、調理スタッフと情報システムに強い方。だけど、小さいからこそ役割の垣根なく、自分たちでなんでもやっていく会社です。

突然地方で暮らすのはハードルが高いかもしれないけれど、まずは都市近郊のこういう場所からはじめて、だんだん生活のバランスをとっていくという方法もありかもしれません。

katashina30体験農園での収穫の様子
上野駅から新幹線で1時間20分ほどで上毛高原駅に到着する。

改札口で迎えてくれたのは、大都開発株式会社の澤さん。ここから澤さんの運転で、かたしな高原のある片品村へと向かう。

大都開発株式会社は、かたしな高原の運営を担っている会社。ふつう、スキー場規模の大きな施設は大手企業を母体に持つ会社や、国営・村営で管理することが多いそうだ。大都開発株式会社のように社員11人の小さな会社が管理しているのは、とても珍しいこと。

「役場に申請したり親会社にお伺いを立てたりする必要がないので、これがいいと思ったらすぐに動けるのは、この会社のいいところだと思います。小さな組織だから、自分たちでなんでもやるんですよ。僕も、役割としては総務統括なのですが、プランづくりや広報から料理の盛り込みまで、なんでもやっています。」

SONY DSC かたしな高原は、澤さんのお爺さんが今から46年前にはじめたスキー場だそう。

そんな環境で育った澤さんは、学生時代から観光に興味を持ち、カナダに留学し観光学を勉強した。その後は星野リゾートに勤め、去年からここで働きはじめた。

澤さんは、話していてとても爽やかな印象があるのだけれど、留学時代には肩ほどまで髪が長く、バックパッカーとして色々なところへ旅をした。山に登り日本人観光客向けにネイチャーガイドをしていたこともあった。

クライミングやカヌー、スキーやスノーボードなど、アウトドアの遊びが大好きだそうだ。

katashina31ゲレンデ中腹にある宿泊施設チャイルドロッヂ
「今、かたしな高原の売り上げ比は、ウィンターシーズンが10だとすると、グリーンシーズンが1なんです。だけど、山の魅力ってスキー以外にも沢山あると思うんです。もっと、夏の山の楽しみ方も発掘していきたいと思っています。」

今までは冬場のスキー場のみの営業だったけれど、2年前から敷地内のロッヂを活かして、宿泊をメインとした夏の営業をはじめた。

去年はじめたのは、体験農園。

「スキー場のスタッフって農家出身の方が多いので、本格的な農園をつくることができるんですよ。にんじん、大根、とうもろこしにスイートトマトなど、今年の夏には18種類の野菜がとれるようになりました。ご家族連れ、幼稚園や学校の団体など、沢山のお客さんに楽しんでいただけました。」

katashina32朝採りしたサニーレタス
今年は新たに、フィッシング教室をはじめた。

実は、片品村は「フライフィッシング」という毛針を用いた釣りの聖地。それにちなんで、プロの協力のもと、自分で毛針をつくって魚を釣りBBQで食べる、という体験プランができあがった。

釣り堀は、敷地内にスタッフみんなで穴を掘るところからはじめた手づくり。近くの清流から水を引き、魚を放流した。

農園もフィッシングも、本格的なものだからつくるのは大変だった。だけど、そのおかげで、沢山の子どもたちの笑顔を見ることができた。それは、澤さんたちの自信につながったそうだ。

katashina33自分で作った毛針で釣ったニジマス
「首都圏のお客さんたちは、自分でとったものを自分で食べる、という体験を欲しているんだな、と感じました。そういう声に応えられるような魅力を、一緒に考えてくれるような人が来てくれたら嬉しいですね。」

話しているうちに、山の緑がどんどん濃く鮮やかになってきた。

この辺りは尾瀬谷エリアと呼ばれていて、街道をゆるやかにのぼってゆくと尾瀬へと続いている。また、隣は紅葉の名所として知られる日光市だから、ドライブに訪れる人々ともよくすれ違う。

まもなくして、かたしな高原に到着した。ゲートをくぐると、広大な敷地が広がっている。

kata2かたしな高原のベースから見上げた景色
実は、わたしは幼い頃、かたしな高原に何度かスキーをしにきたことがあった。

けれど、やっぱり冬と今ではずいぶん雰囲気が違う。一面真っ白だったところが、こんなにも色とりどりだとは知らなかった。

スキー場の目の前にオフィスがあり、スタッフたちはそこで仕事をしている。

澤さんに、スキー場の支配人の正孝(まさたか)さんを紹介していただいた。

SONY DSC 正孝さんは、かたしな高原のふもとの酒屋さんの息子として生まれた。小学校のときからスキーの選手として活躍し、大学卒業後はプロのスキー選手になった。

引退後にこの会社に入り、今年で18年目になる。名字は入澤だけれど、スタッフには下の名前で呼ばれることが多いそうだ。

「僕がなんでスキー選手になれたかっていったら、かたしな高原があったからなんですよ。小さい頃、ここで楽しみながらトレーニングできたから、全国大会で入賞するところまでいけたんです。」

かたしな高原への思い入れは、人一倍。お客さんにも働く人たちにも、「またここへ来たいね」と言ってもらえるような環境づくりをしていきたいと思っている。

SONY DSC村の習わしであるどんどん焼きの風景
「スキー場ってよく音楽が流れていると思うのですが、うちは流していないんです。それは、自分のシューッシューッと滑る音を感じてほしいから。それから、鳥のさえずりや、子どもたちの声が聞こえるような場所であってほしいからです。ファミリーにとって良くないことは削ぎ落し、良いことは伸ばしていこう、ということで、かたしな高原は、だんだんと今のような形になっていきました。」

正孝さんは、話していてとても柔らかい感じがする。人柄もだけれど、新しいことにもまずは興味を持って、良いところは取り入れていくような姿勢が感じられる。

「受け入れることを面倒くさがるようなことは、うちの会社はないですね。だから、自然のなかで生活するのを楽しめて、そういう環境で自分の力を生かしたい人にはチャンスがあると思いますよ。」

katashina35ゲレンデには多くの家族連れがやってくる
長年、かたしな高原で過ごしてきた正孝さんは、今日は晴天だとか吹雪くとか、天気のことはだいたい雲の動きなどで分かるそうだ。自然のことや仕事のことなど、色々親身になって教えてくれると思います。

他にも、入ったときに頼りにできそうな先輩スタッフを紹介してもらいました。

高塚さんは、もともと群馬の渋川の出身で、東京のスキーブランドに勤めたのち、かたしな高原へやってきた入社9年目のスタッフ。

SONY DSC 冬は主にスキースクールの校長を務め、4歳から12歳までの子どもたちや大学生の団体などに対してスキーのレッスンをしている。

冬以外には、どんな仕事をしているんですか?

「冬が終わると、春は、夏の営業に向けた準備期間になります。スポーツクラブや幼稚園、学校などを回って営業したり打ち合わせをしたり。そして、夏になると宿泊のサービスがはじまります。体験農園、フィッシング、カレーづくり、草木染めなど、色々なアクティビティの企画や運営をします。そして秋になると、今度は冬に向けての準備がはじまります。」

季節によって仕事内容ががらりと変わる。そして、求められる状況に応じて役割も変わってくる。

katashina36夏の営業に向けての準備
「そんなに社員も多くないので、お互いコミュニケーションをとりあって助け合っています。僕も、最初はスキー以外のことは何も分からなかったので、教えてもらうことが多かったです。そのなかで、今まで自分になかった新しい経験を得ることができました。」

たとえば、夏には冬のスクールのときとは違う子どもたちの表情が見れたり、宿泊業の受付をしてみることで他のスタッフの苦労が分かったり。

「スキーしか知らなかった頃よりも、相手の気持ちに立って仕事ができるようになってきました。それから、やっぱりここに素晴らしい土地があるので、それをどう無駄にせず使っていくのか考えるのは楽しいです。今は人数が足りないからできませんが、冬以外のシーズンにももっとできることがあるんじゃないかって、社内で話しているところです。」

kata3 かたしな高原にやって来るお客さんは、家族連れだったり子どもの団体が多いと思う。

やっぱり、子どもが好きな人のほうが向いているんでしょうか?

「子どもと接したことない人がレッスンに出ると、意外と平気だったりします。ある程度距離をとって接してあげた方が安心する子もいるんです。子どもに関わる仕事をした上で苦手だと思うならば向いていないと思うけれど、苦手と言えるほどの場面にまだ遭遇していないんじゃないかな、という人は、やってみないと分からないと思います。」

katashina37スキースクールのレッスン風景
スキーは、できなくても大丈夫ですか?

「大丈夫です。できないけどできるようになりたい人は、目の前にスキー場があるのでいつでも練習できます。スクールだったら、補助の先生からはじめてスキルアップすることもできますよ。」

質問していくうちに、だんだんと不安が解消されてきた。だけど、まだまだイメージできないのが、ここで暮らすということ。

高塚さんに、日々の生活について聞いてみた。

「一番変わったのは、趣味に時間が使えるようになったことですね。東京でサラリーマンをしていたときは、22時に帰ってあとは寝るだけという感じでした。今は、朝8時に出勤して17時に仕事が終わるので、あとは自由な時間です。」

高塚さん個人の話でいうと、自炊が増えて料理が趣味になったり、もともと本好きだったのが週に1、2冊本を読めるようになったりという変化があったそうだ。ゴルフや釣りなど、アウトドアの遊びも出かけやすい。空を見上げると、たくさん星が出ているのも嬉しい。

katashina38スキー場内で行われた花火大会
もちろん、都会の暮らしが恋しくなることもある。だけど、東京がそんなに遠くないということが、スタッフたちのいいバランスになっているそうだ。

営業で首都圏へ行く機会も多いため、都会と大自然を往復できるのは、この仕事ならではの魅力だと思う。

まずは3ヶ月お試しで働いてみるのもありだそうです。季節に移ろいゆく自然のなかに、広大な土地とまだ活用しきれていない資源が沢山あります。飛び込んでみることで、役割が見つかっていくかもしれません。

(2014/6/20 up 笠原ナナコ)