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ブラックスワンをつかまえる

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

社会をよりよくするために、専門的な知見が求められることがあります。

情報通信技術、高齢化、マーケティング、女性の社会進出…

先端分野における課題研究に取り組むのは、GLOCOM(国際大学グローバル・コミュニケーション・センター)。

独立・中立の立場から、研究者の持つ専門性を実社会につなげていく研究所です。

1 ここで、マーケティング・企画の経験を活かして、あたらしい事業を生み出していく仲間を募集します。

東京・六本木。

森美術館の角を曲がったビルにGLOCOM(グローコム)はあります。

はじめに、これまでの歩みをうかがいます。

所長の庄野さんは、富士ゼロックス株式会社を経て2012年に就任しました。

2 1982年、財界や官公庁支援のもと、日本初の大学院大学である国際大学が誕生しました。

国際的に活躍する人材を育成するため、公用語は英語。国際関係学と国際経済学を軸に、プログラムを展開してきました。

そして1991年にGLOCOMが誕生します。

「組織上は国際大学の付属研究所に位置しますが、資本上の関係はありません。限りなく自由・中立の立場にあります。社会の先端的課題に研究の力を活かすことで、社会をよりよくしていく。既存の大学の研究機関とも、民間のシンクタンクとも異なるあたらしい研究の形を目指しました。」

当時は、日本にインターネットが導入された頃。

ICT(情報通信技術)分野の研究が、その後の日本社会を形づくると位置づけて、研究に望んだ。

「そこでGLOCOMは、co-create(共創)のプラットフォームとなりました。自由な発想のもと、産官学民が対話を重ねました。そこから、未来志向のアイデアが生まれ、社会に還元されていったんです。」

8 著作権、オープンデータ、ビッグデータの分野では第一人者となる研究も生まれた。国に対する政策提言も行っている。

たとえば、庄司研究員が手がけるオープンデータ。

自治体の情報開示が住民生活を変えると注目を浴びている。

「気象データや地域づくりなど。自治体には様々なデータがあります。けれど活用方法がわからない。そこで庄司は、自治体に向けて、海外の先行事例を紹介していきます。そうして、情報開示の可能性を示したんです。」

「GLOCOMの研究は一見生活と関係がないようで、実はつながっているんですよ。」

現在GLOCOMに関わる研究員は135人。

中心となるのは、15名ほどの専任・併任研究員。また、研究のプラットフォームとして、国私立大学の教授や研究員を中心とした120人が在籍する。

現在の研究領域は、ICTに限らない。

「社会の先端的な課題が研究領域です。高齢化社会、企業における中国戦略、女性の社会進出… 新領域にも取り組みつつあります。」

3 2007年からは、あらたな事業展開を見せている。

「立上げ以来、財界からの支援が研究の資金源でした。企業の経営環境が変わる中、自主財源を生み出す必要が出てきたんですね。そこではじめたのが、受託研究と共同研究です。」

現在のメインは受託研究だという。

受託研究とは、個別の企業が抱える課題を研究してコンサルフィーをいただいたり、官公庁の入札案件を手がけるもの。

GLOCOMに所属する研究員やこれまでのネットワークが基盤となっている。

「GLOCOMの研究をより社会に活かしていきたい。今後は共同研究にも力を入れていきたいんです。」

共同研究は、オープンリサーチとも呼ばれるもの。

4 GLOCOMが自らテーマを設定して企画を立てる。そして、賛同する企業を募り、会費をもとに研究を行っていくというもの。

けれど、研究所として発足したGLOCOM。

先端分野の研究を行うプラットフォームはあっても、実社会の課題とのマッチング、さらには企業に提案してお客さんをつくることには不慣れだ。

そこで今回の求人に至る。

募集するのは、3つの職種。

まず、プロジェクトを企画から立ち上げていく人。

「プロジェクト立案にはじまり、企業に営業を行い、収益へとつなげていける人を探しています。」

そして、マーケティング経験のある方。

クライアントはすでに数百社いるという。そのデータベースを作成して、お客さんにコンタクトをとるためのマーケティングプランを練ってほしい。

「ただし、小さい組織なので企画とマーケティングの領域は重なります。加えて、自らお客さんへの営業も行ってもらいます。」

また、2つの職種をバックフィスから支える人も募集する。

一緒に働くのは、どんな人がよいのでしょう。

「ソーシャルバリューや社会変革に関心がある。いま世の中で求められているものを考えることが好き。色々な人と議論しながら、あたらしいものをつくっていきたい。研究を実社会の課題につなげて、世の中をよくしていきたい。そんな思いのある人がいいですね。」

経験についてはどうでしょう。

「社会人経験は必要です。ベースとして、企業で企画やマーケティングの仕事に就いているとなお望ましいですね。」

現時点で、研究分野に関する知識は問わないとのこと。働きはじめてから、どんな研究員がいるのかを知ってほしい。

5 働く上では、自主性を大切にしてほしいという。

「仕事の自由度は高いと思います。だからこそ色んな課題にも直面するでしょう。勉強や情報収集をいとわないでほしい。プロアクティブに仕事をしてほしいです。」

「長い目で見たときには、ゼロベースの事業提案もしてほしいです。そこで、あらたに客員研究員を招き入れることもあるでしょう。社会の役に立てること、GLOCOMとしての事業性、そして自分のやりたいこと。三つが重なっていくと一番いいですね。」

ここからは、スタッフの方に話をうかがっていきます。

入社する人の先輩にあたる小島さん。柔らかい雰囲気を持った方だ。

6 研究プロジェクトのマネジメントを担当しています。

共同研究へとシフトしつつあるGLOCOMの現状をこう話す。

「事業のコンセプトは色々出てきます。けれど事業化にあたり、立ち止まることが多いです。どうにか世に出したいけれど、プログラムに落とし込めない。そのモヤモヤをブレイクスルーしたいんです。」

ここで“Wing”(Women&Innovation Networkingの略称)というプロジェクトについて聞かせていただく。

「はじまりは、GLOCOMがグーグル株式会社と共同で立ち上げた“Innovation Nippon”というプロジェクトでした。その活動の中で『女性が21世紀のイノベーションをリードする』というテーマでシンポジウムを開くことになったんです。」
コンセプトをうかがう。

「21世紀に入り、経済成長の形は変わりつつあります。従来の“男女平等”ではなく、女性の参加がより豊かな社会を築き、経済成長にもつながるというものです。」

7 シンポジウムを終えた今年3月。GLOCOM内でこんな声が聞こえてきた。

「一度のシンポジウムで終わらせるのはもったいない。Wingを全国的なムーブメントにできないだろうか。」

プロジェクトチームを発足。話し合いを進めるものの、計画は壁にぶつかっているという。

同じ課題を抱えたテーマは、他にもある。

共同研究の目玉として注目されるのは、GLOCOMアカデミー。

企業の幹部候補生を対象とした事業だ。

そこでテーマとして挙げられているのは“レジリエンス”。

耳慣れない言葉だけれど、どんな意味を持つのでしょう。

「元に戻るという意味です。逆境に置かれたとき、折れずに復活していく力なんです。」

日本でレジリエンスが注目されるようになった契機は、東日本大震災。

過去の自然災害の教訓を活かした堤防も、津波を防ぎきることはできなかった。

そこでハード面だけでなく、ソフト面における取組みの重要性が認識されるようになった。

「予想しないことが起きたときに、どう対応したらよいのか。企業が生き残るために、レジリエンス力が求められると思います。」

レジリエンス力を身につけるためには、過去のケーススタディに留まらないワークが必要だという。

「予想できなかったけれど、ものすごく大きな影響を及ぼす現象を“ブラックスワン現象”といいます。東日本大震災、リーマンショック、鳥インフルエンザ、9.11… 過去のケースに学び、未来に起きるブラックスワン現象に対応する力を養っておく。それが、GLOCOMアカデミーです。」

プログラムへ落とし込むには、様々な準備が必要となる。

レジリエンスが身につくプログラムとはどういうものか。プログラムの形も座学に限らず、体を動かすアクティビティになるのかもしれない。ファシリテーターにはどんな人が適しているのか。

プログラムを固めると営業を行い、参加企業を募っていく。

そして、対話のプラットフォームをつくる。

「参加する人たちに充実感があり、アカデミーで話すと、どんどんあたらしいアイデアがうまれてくる。そんなプラットフォームをつくりたいんです。」

これから一緒に働く人について、小島さんはまず「面白そう」と思ってほしいそうだ。

その上で、どうすればプログラムとして世に出していけるのか。情熱を燃やしてくれる人がよいという。

また、あらたな事業のタネは、すでに研究員の方が持っているのかもしれない。

話を聞かせてもらったのは、バックオフィスを担当する福田さん。

9 人材採用のコンサルティングを行う企業で働いた後に、出産。子どもが小学生になった昨年から、GLOCOMで働きはじめた。

まずは研究員の方と話すことからはじまるという。

「研究員の方は、ほんとうに色々な研究を行っています。そして、自分の専門分野には自信も誇りも持っているもの。興味を持ってそこにどんどん突っ込んでいけるとよいのではないでしょうか。はじめは初歩的なことからでいいんです。」

10 「一方で、研究を社会の課題と結びつけて世に広めていく。『こういうの考えたら面白いんじゃない?』『こんな伝え方もできるんじゃないですか?』。見せ方や切り口を変えるだけで、あたらしい事業につながるように思うんです。」

研究員の方の多くは、民間企業で働いた経験のない方がほとんど。

最初は勝手の違いを感じることもあるかもしれない。

「求める以上に研究を深掘りしたり、時間に対する意識が異なっていたり。あたらしく来ていただく方は、プロジェクト全体の舵取りを担う役割でもあります。」

最後に、福田さんはGLOCOMをより多くの人に知ってほしいという。

「GLOCOMの研究は、日ごろの生活ともつながっています。もっと知ってもらうことで、もっと社会に役立てる存在になっていけたら。企画、マーケティング、バックオフィス。いろんな形でGLOCOMを支えてもらえたら、一緒に働く仲間として嬉しいです。」

(2014/9/17 大越はじめ)