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本土最南端×観光

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本土最南端。

これだけでも強く印象に残る町を駆けめぐりながら、地域おこし協力隊として観光をおこす人を募集します。

D7A_6020 山や海などの豊かな自然環境の中で遊ぶことが好きな人や、この単語にワクワクしてしまった人は、ぜひ最後まで読んでみてください。

地域おこし協力隊とは、過疎化の進む地域に、地域外から人を受け入れ、その土地の人やものと関わりながら仕事をつくり、将来的に定住をはかる総務省の取り組みのこと。

今回は、本土最南端にある、鹿児島県・南大隅町を訪ねました。

鹿児島空港でレンタカーを借りて、南大隅町のある大隅半島、『大いなる隅っこ』へ向けて海岸線沿いをゆるやかに南下していく。

窓をあけると、力強く自生している植物が顔をのぞかせ、視線の先には波の穏やかな海が広がる。風の匂いからは、南国の香りがした。

心持ちか、前を走る車のスピードもゆっくりしているように感じる。

車を走らせること2時間と少し、南大隅町役場にたどり着いた。

取材に伺う前に聞いていたのは、これから町をあげて観光に取り組み、新たに観光協会を立ち上げるということ。

そのために、自分たちでは気づくことのできない、町の魅力を再定義し、それを取り入れながら、観光協会の礎を一緒に築いていく人を探したいとのことだった。

さっそく役場の2階の会議室でお話を伺うことに。

お話を伺ったのは、南大隅町役場の石畑さんと、役場内に事務局を置く、南大隅町ツーリズム推進協議会の堀之内さん。

机の上には南大隅町を紹介する、たくさんの観光用パンフレット。

D7A_3277 南大隅町にはどんなものがあるのだろう。

「この町の一番の魅力は、圧倒的な景観や手つかずの大自然だと思います。たとえば、本土最南端にある国立公園には、希少な原生林があり、その先にある佐多岬からは、種子島、屋久島などを望める大パノラマが広がっています。また、役場から15分ほど車を走らせると、エメラルドグリーンの水面が美しい雄川(おがわ)の滝などがあります。」

ほかにも、ウミガメの産卵地にもなっている大浜海岸や、地元の商工会青年部のみなさんの発案により30年前からはじまった、世界中から参加者を集めるドラゴンボート祭りなど。自然や、人々の文化が色濃く残っている。

dragonboat ざっとあげただけでも、すでに観光資源はたくさんあるように思う。

どうして、いま“観光”なのだろう。

「実は、佐多岬の先端では、民間が観光事業を営んでいたのですが、2年ほど前に撤退したため、そこを国と町で管理することになったんです。以前は入場料をとっていたのですが、それ以降は入園が無料になりました。」

そのタイミングから、新聞、テレビ、雑誌など、メディアへの露出も増えていく。そして佐多岬を訪れる観光客が増えてきた。

「佐多岬のほかにも、昨年は雄川の滝がCMでつかわれたことで脚光を浴び、お客さまがぐっと増えました。ですが、地元のお店の方々は商売っ気がないもんですから、飲み物の一本でも持っていけば売れるのに、そういうことができていなかった。それはお客さまにとっても不便なので、需要と供給をうまくつないで、町の活性化につなげていきたいんです。」

ogawanotaki いままで、何度も観光協会を立ち上げる話は出てきたそうだが、佐多岬の再整備がきっかけとなり、いよいよ具体的に観光協会の立ち上がりが決まった。

観光に力を入れようとすると、お客さんを呼ぶためになにか建てたりするところも多いように感じるけれど、南大隅町の観光はどういうところに軸を置いて進めるのでしょうか。

「ある程度、車椅子の方でも困らない程度には、環境整備をしていきたいと思っています。ですが、派手な建物やコンクリートの建物を建てるような整備は考えておりません。」

D7A_6054 「それよりも、豊かな自然をどうやって守りながらお客さまに楽しんでもらうか。たとえば、佐多岬周辺のエリアは昆虫採集などが禁止されている、特別保護区に指定されていたり、大浜にはウミガメが上がってくる浜があります。そういう部分を守りながら、豊かな自然を体感してもらえるように。そこに重点を置いて、観光に力を入れていこうと思っています。」

観光協会はどんなことをやっていくのでしょうか。

民泊の受け入れやなどの観光事業をおこなっている、南大隅町ツーリズム推進協議会の堀之内さんがこう話してくれました。

「旅行者の方に満足いただけるように、エリアの整備を進めたり、地元のお土産や特産品の販売の仕組みを考えたりと、やることはたくさんあります。町全体が観光に向かって同じ意識をもてるように、意識を揃えていく役目をになっていきます。」

D7A_5998 その中で、地域おこし協力隊に求められることは、どんなことなのでしょうか。

「具体的に観光を整備していくというより、まずはこの町のいいところを掘り出していって欲しいんです。僕らは見慣れているけど、これはすごいよとか、ダイビングや、シーカヤックとか、南大隅の自然の中でこんな体験ができますよっていうことを、外からの視点で掘り起こしていってほしいんです。そして、その視点を地元の人に伝えてほしいですね。」

いいところを掘り出していく。

すでに観光の本が一冊できるくらい、観光スポットはあると思うのだけれど。

「“自然”という面からみると観光スポットは多くあるのですが、自然があっても、ガイドする人がいないので、魅力を伝えきれていなかったり、歴史的な神社仏閣や、ダイビングなどの体験型の観光も、まだまだ埋もれているものがあります。」

D7A_6035 南大隅町を訪れる人は、自転車でくる人もいるそうだが、基本的には車で訪れる人が多い。町内に点として広がっている観光スポットを、効率よく周れるように、周辺の観光スポットを掘り起こして、線としてつなぎあげる作業も進めてほしいとのこと。

まずは、地域をまわり、自分の目で驚いたり、歴史を調べたりしながら南大隅町の魅力を発掘し、それを地元の人に伝えていく。そして観光につなげるために、周辺を整えたり、地域の人と観光協会で調整をしていく。

「やることはたくさんあります。けれど、そのやることすべてに関わるというよりは、たとえばマリンスポーツが大好き!自然観察が好き!というように、自分の得意な分野があれば、そこに特化してその分野と観光を掛け合わせながら進めてもらいたいなと思っています。」

南大隅町の資源と、自分の得意分野を活かしながら、観光をつくる。

観光協会もいままでなかったところ。「利害関係もなく自由にやれる、これからなんです」と堀之内さん・石畑さんともに、穏やかな口調で話してくれました。

実際に、今年の4月から、この町で地域おこし協力隊として活動している関根さんにも話をうかがいました。

この地で地域おこし協力隊として働きはじめたきっかけはなんだったのですか?

「大学で観光学部に在籍していて、観光で地域を活性するような仕事に関わりたいと思っていたことがきっかけです。観光にたずさわれるなら、地域に特にこだわりはありませんでした。全国色々な募集をみながら探していたところ、この南大隅町に巡り合いました。」

D7A_5995 日本国内はほとんど旅行したことがあるという関根さん。南大隅町はそれまで訪れたことはあったのですか?

「初めて来たのが面接のときでした。それまで、南大隅町に来たことはなかったし、大隅半島について考えたこともまったくなかったです。けど、頭の中にイメージがないところで働くほうが、いろいろ経験できるんじゃないかな、という思いがありました。」

地域おこし協力隊として、どんな活動をしているのですか。

「一つの活動としてやっていることは、観光という視点から、多くの人に情報発信をしたり、この町にいて、ここから情報を伝えるだけでは限界があるので、鹿児島市内で、南大隅町をPRするイベントに参加してきました。」

関根隊員活動状況(観光PR)② 外に向けての情報発信はもちろんだけれど、南大隅を訪れた人に向けて、観光用マップをつくったりもしているそうだ。

地域おこし協力隊の活動を通し、これから観光協会の立ち上げも進む中で、この町の観光について、なにか思うことがあれば教えてほしいです。

「町の人たちの観光に対しての意識が、まだ足りていないのかなと思います。せっかくこんなに魅力的な資源がたくさんあって、人が集まってくるチャンスなのに、それに対して“うちの町にはなにもない”と思っている人が多いんです。 “こんなに魅力的だ”ということをわかってもらうことが、協力隊としてのまず一つ目の役割なのかな。」

以前は、埼玉で暮らしていたという関根さん。ここでの生活の印象をこう話してくれました。

「車がないと生活できない場所、という印象を受けました。それと、この辺りの人は細かいところは気にしない。皆さんおおらかですね。」

おおらか。わたしもその印象は受けたのだけど、それを象徴するような言葉があるそうだ。

「『てげてげ』ってわかりますか?ほどほどに、まぁそのくらいでいいよっていうような意味の言葉で、ここの人たちは、よくその言葉をつかいますね。仕事のとき以外の時間のペースは、東京よりずいぶんゆっくりしています。」

地域おこし協力隊として、これからどんなことをしていきたいですか?

「たくさんの人に南大隅にきてほしいですね。鹿児島市内の人でも南大隅町にきたことがないという人もたくさんいます。そのために、失敗を恐れずにいろんなことに挑戦して、なにをするにあたっても、積極的に動いてみようと思っています。」

D7A_6044 どんな人と一緒に活動していきたいですか?

「積極的に動けるような、活動的な人ですね。あとは、少しくらいさばさばしているほうが、この町にはあうと思います。」

地域おこし協力隊は、役場内にデスクを構えることになる。役場の石畑さんにも、どんな人に来てほしいか聞いてみる。

「アウトドアが好きな人がいいですね。マリンスポーツをやっているような方。それと、若い男性の視点は関根くんが持っているので、彼とは違う視点を持っている人が来てくれたら、より面白くなるなと思っています。」

まずは地域おこし協力隊として一緒に活動していく。ゆくゆくは、観光協会のスタッフになってほしいそうだ。

「新しくできる組織なので、この町なりの観光協会をつくっていきたいと思っています。なので、観光協会にいたという方よりも、真っ白な方のほうがいいです。観光が好きで元気にこの町を楽しめる人が来てくれたら嬉しいですね。」

D7A_6033 あるがままの自然を守りながら、この町を楽しめる観光をおこしていく。

訪れた人がまた来たいと思える仕組みをここでつくり出してみませんか?

(2014/09/26 吉尾萌実)