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スタジアムを埋めるには

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

最大収容人数20,000人の「岐阜メモリアルセンター長良川競技場」。

ここをホームにするのが、サッカーJ2リーグのFC岐阜です。

消滅の危機を経験した時期を経て、今年大きく生まれ変わりつつあります。

運営団体である株式会社岐阜フットボールクラブの代表取締役社長に、J1、J2最年少35歳の恩田さんが就任。

目指すのは、地域に根ざした100年続く企業です。

1 「フットボールクラブを“経営”する仕事です。県民を巻き込んでファンを増やし、岐阜を元気にしていく存在を目指しています。」

第2創業期にあたる株式会社岐阜フットボールクラブでは、将来の経営陣を担うような方を募集します。

サッカーへの興味関心は問いません。

Uターンして岐阜に関わりたい方はもちろんのこと、人に喜んでもらう仕事がしたい方も歓迎です。

まずはFC岐阜を知ってください。

名古屋から電車で約20分の岐阜駅。さらに車で10分ほど走ると、悠然と流れる長良川が見えてきます。

2 その川沿いに、FC岐阜はあります。

2014年4月に代表へと就任した岐阜出身の恩田聖敬(さとし)さんが、FC岐阜の現状を話してくれました。

「存続の危機にあったんです。下位低迷が続き、下部リーグへ降格の可能性もありました。また経営面では、債務超過に加え、2期連続の赤字。昨年は地元企業の支援や、岐阜県出身の上場企業経営者からの寄付を受け、クラブライセンス剥奪につながる3期連続の赤字を辛うじて回避しました。」

3 そう話す恩田さんの語調は暗くない。むしろ今後への期待感が滲んで見えます。

今年度はチームも一新。

監督にラモス瑠偉氏、そして元日本代表の川口能活選手と三都主アレサンドロ選手が加入。スターの加入によりチームの知名度は高まりつつある。

1993年に発足したJリーグは、現在J1、J2リーグ合わせて40チーム。そのうち黒字経営を出来ているチームは決して多くない。

けれど、きちんと経営を行うことで、フットボールクラブ運営は事業として成り立つという。

「FC岐阜の価値は、岐阜県の方に喜んでもらい、地域のシンボルとして県民とともに長く歩むこと。県民のみなさまに認められることが、黒字という結果につながるはずです。」
収益の2本柱となるのは、ホームゲームのチケット販売とスポンサーからの支援。

そこで、平均入場者数の増加に取り組んでいます。

「スタジアムの魅力はサッカーに限りません。一つのアミューズメント空間ととらえました。2週間に一度行われるホームゲームの際に、様々な地域連動イベントを企画しています。」

4. 9月の熊本戦では、熊本県の物産展を同時開催。また「熊本にちなんで、クマが会場にいたら面白いんじゃないか」。そんな思いつきをもとに、県内のクマ牧場からコグマを招待。大盛況となった。

また女性の集客に力を入れたいという思いから、10月には、女性スタッフが動き、化粧品ブランド協賛のもと、サンプル配布やメイクの相談会を実施。合わせて、岐阜県出身の有名パティシエによるオリジナルスイーツも販売。

その他にもジャズ&ビアガーデン、地元大学の学園祭などを実施している。
「スタジアムへ足を運ぶきっかけは色々あっていい。結果としてサッカーを見ていただき、楽しんで帰ってもらう。そうして、FC岐阜のファンになってもらえたらと思います。」

すでに取組みの効果は実績として表れています。

「平均入場者数が昨年比で1.7倍になっています。増加率はJリーグ1位です。昨年が4,500人。今年が8,000人。今後は10,000人を目指しています。」

イベントは、スタッフ一同でつくりあげていくという。

ホームゲームに向けて、スタッフ一同で“ブレスト会議”を実施。企画提案から、実現に向けた協賛企業への営業、法規の確認。そして集客につながる広報までを自分たちで進めていきます。

5 ここで、営業部長の金子さんが今年6月に行った「15,000人集客プロジェクト」を紹介してくださった。

6月14日のジュビロ磐田戦。

FC岐阜の川口能活キャプテンの古巣。W杯開幕直前、土曜日のナイトゲーム。外的条件が整った中で、15,000人来場を目標としてマスメディアに宣言した。

「過去の最高動員レコードは11,719人。120%の力を出して届くかどうか、という目標でした。」

「TV、新聞、WEBといったメディアでの“空中戦”。そして自分たちの足を使った“地上戦”。思いつく限りの広報をしていきました。ポスティングはもちろんのこと。ラモス監督や選手に協力を仰ぎチラシ配り。代表の恩田も自転車で市内を駆け回りました。」

そして当日。

電光掲示板に表示された来場者数は、15,138人。会場内にどよめきが起きた。

6. 「県民に思いが届いたんです。そのときの“刺さった”感覚はたまらなかったです。」

そう話す金子さんは、現役の岐阜市役所職員。FC岐阜の厳しい状況に一役買いたいと、今年から志願出向。

自身も広報活動に励んだ。5月に行われたぎふ清流ハーフマラソンでは、FC岐阜のユニフォームと旗つきのキャップでPRしつつ完走。

「結構注目を浴びました(笑)。いままでの自分からは考えられなかったんですが、不思議と恥ずかしさは感じませんでした。まちなかでのチラシ配りも同じです。自ずと声も出ていました。」

7. それ以降、訪問先での反応が変わったという。

「スポンサーの方も、県民の方も、どこに行っても試合結果の話をいただくようになりました。そうそう、最近はお叱りを受けることが増えたんです(笑)。あるゲームでは中盤まで2—0で押していたのに、最後に逆転負けしたんです。『あの負け方はないぞ』と。言葉の裏には期待が感じられるんですね。」

営業として企業をまわり、協賛やスポンサードをいただくこともある。

応援する思いは人それぞれ。

FC岐阜の広告価値を認める方。企業CSRをしたい方。応援することを誇りに思う方。スタジアムから生まれる“何か”に期待する方。活動に共感する方。

話をうかがう中で感じたのは、協賛もファンづくりの一貫であること。

まずはFC岐阜に関心を持ってもらうこと。その上で、相手が求めるものを読みとり、アプローチしていくのが営業の仕事。

スタジアムには、もう一つ大切な役割があります。

「実は岐阜県内には、人や企業、名産品… 知られざる宝がたくさんあります。そうしたものに光を当てて、つなげていく場になれると思っています。」

8. 地元の農業高校を招いて、生徒が育てた野菜を販売したこともある。地元アパレルメーカーとコラボタオルを作り、来場者1万人にプレゼントしたことも。

地域の活動は、意外に見えにくいもの。地元の企業や高校生が頑張る姿は、地域にとっても励みになります。

営業部長の金子さんが企画・運営にも携わるように、FC岐阜のスタッフたちは、幅広く営業と運営を担います。

続けて、運営の責任者である的地さんにも話をうかがいます。

9 的地さんは、京都、スペイン、岐阜と各地を歩いてきた方。

スポーツチームの海外遠征をサポートする会社の代表でもある。

「2週間に1度、10,000人近いお客さまを迎えるお祭りがあると思っています。僕らは、お客さまに喜んでもらうために、120%の力で準備を進めていくんですね。」

これから働く人についても、サッカーファンでない方がよいという。先入観がない分、常識にとらわれない発想をしてほしい。

いまはFC岐阜のあらたな走り出しの時期。

「ほどほどで終わることなく、とことんまでやりたい人が自分を活かせると思います。」

毎回120%の力でお客さんを迎えるからこそ、苦しみもあるという。

企画を進めながら「もっとこうしたほうがいいんじゃないか」と思えば、休日も会社に来て、企画を練り直すこともある。

ホームゲームも自ら手づくりで進めていくという。

「夏の岐阜はほんとうに暑いんですよ。そのなかで、67歳になる会長も一緒に、スタッフ総出で人工芝の運び出し、横断幕やノボリの設置まで進めていきます。」

その翌日には、自らスタジアムの入り口に立ち、お客さんを笑顔で出迎える。

「筋肉痛で、寝不足のまま迎えたこともあります。それでも、入場を待つお客さんたちの期待に胸膨らませた顔。そしてゲーム後の『ありがとう』という声。喜ぶ姿を見ることで頑張れます。」

10. ここで再び恩田さん。働く上で、もう一つ大切にしてほしいことがある。

「ビジネスパーソンであってほしいんです。マナーや基礎的なスキルはもちろんのこと、やりたいことを実現していくにはお金も必要になります。難しいからとあきらめるのではなく、どうすれば実現していけるのか。数字をつくることのできる方がいいですね。できれば私の右腕として仕事を任せていきたいです。」

恩田さんは、大学院で宇宙工学を学んだのちにアミューズメント業界へ就職。

年商200億円のアミューズメント施設運営会社で、ゲームセンターの店員にはじまり、常務取締役まで務めた。

現場から経営の中枢までを経験してこられた方だ。

「現在FC岐阜の昨年の年商は5.5億円です。売上だけを比べると、前職よりも遥かに小さいです。けれど、広く世の中をターゲットにした200億円と、地域の人たちと関係を積み重ねていく5.5億円。その意味合いは大きく違います。」

「いまは大変さや難しさも感じつつ、こんなに面白い仕事はないと思っています。胸を張って誇れる仕事ですよ。スタッフ個人の存在も大きいです。個人事業主のような感覚で、どんどん組織からはみ出すぐらいでちょうどよいと思います。」

今後は、地域活動の広報にも力を入れていきたい。

2013年度は延べで362回。Jクラブの中でも随一の回数を誇る。

幼稚園や小学校でのサッカー教室、農山村を訪問して、高齢者との体操教室、ゴミ拾い、車椅子サッカーチームとの交流…

そうした地道な活動が、スポンサーや後援会に結びついてきた面もあるようです。

11. けれど地域における活動は、まだまだ県内でも知られていません。

「ゲームに限ることなく、いつもどこかで県民と関わり合い、健康や笑顔を届けているFC岐阜。そう言ってもらえる存在を目指しています。」

今後はメディアの方にも協力をいただき、その姿を伝えていきたい。

「FC岐阜は100年後も続いていきます。岐阜という地域で、無限大の未来をぜひ一緒につくりましょう。」

(2014/10/23 大越はじめ)