※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。
アポロ計画という会社のホームページを見たときに感じたのは、「いったい何の会社だろう?」というものだった。「デザイン会社」と名乗っているけど、カバンの商品開発から、広告・プロモーションまで事業領域は幅広い。そして今回募集するのは、「リノベエステイト」という名前でおこなっているリノベーション事業の設計・施工管理スタッフです。
福岡という街で、あらゆることに興味をもって縦横無尽に働く会社です。でもそのスタンスが、リノベーションという仕事には最高に合うんだと思います。
福岡空港から電車で15分。博多や中州、天神を過ぎると、大濠公園駅はもうすぐ。南側には公園が広がり、天神もすぐ近くだし、住むにも働くにも人気の場所。
地下鉄を降りて3分ほど歩くと、アポロ計画の事務所ビルが見えてくる。
1棟まるごと所有しているそうで、ビル全体がリノベーションされているようだ。1階には卓球場があり、屋上には緑があって、BBQしたり花火を見ることも。
2階にいくと、アポロ計画の代表である松山さんが迎えてくれた。松山さんとはじめてお会いしたのは北九州で行われたリノベーションスクールだった。懇親会でお話することになり、いろいろなことに興味のある方なんだな、と感じた。
松山さんは大学では建築を学んでいたそうだ。ただ、普通に入学して卒業したわけではなく、1浪して、1年休学してワーキングホリデーに行き、卒業してからも研究生として1年過ごした。まだ景気もよかったそうで、就職はどこでもできる時代だった。
「普通に就職することがあんまりかっこいいと思えなかった。どうやって仕事をとるのか、どうやってお金を稼ぐのか、すべて学べる会社に入ったんです。」
その会社を独立してからは、求められればどんな仕事も引き受けた。たとえばクラブやカフェなどでポストカードを配布する仕組みをつくったり、ラジオ番組と連動させたり。
そんな中でリノベーションの仕事をはじめるきっかけとなったのが、松山さんが「引っ越し魔」だったこと。
「1年以上、同じところに住むことがまずなくて。給料とかボーナスはほとんど敷金に消えていったんです。でもいろいろなところに住むことが、ぼくの中でレジャーだったんですね。」
クズ物件を見つけてはカスタマイズして住む。そんなことを繰り返していた。
「30過ぎて、いい歳になったときに、『そろそろ買うか』って思ったんです。それで古い物件を買って自分でリノベーションしたら、思いのほか素晴らしかった。賃貸だとできることも限られるけど、所有していたら壁をとることもできる。当時はまだリノベーションの事例も少なかったから、自分なりに模索しましたけどね。」
「それで素晴らしいから、事業にしようと。2004年、リノベエステイトっていうブランドを立ち上げたんです。」
商売になると思いましたか?
「絶対になると思いましたね。ぼくと同じ思いをもっている人が、少なくとも福岡にも何人かいるだろうと思って。新築を買うよりもコストパフォーマンスがすごいよかったしね。でも当時は新築と比較することはなくて、『高いリフォームだね〜』って思われることのほうが多かったですけど。」
「でも10年経って、どんどんよくなっていきました。住宅ローンがつくようになったし、リノベーション住宅推進協議会ができて全国に仲間ができた。ぼくらの会社もはじめは設計事務所としての働き方が強かったけど、今は不動産業も建設業もはじめたので、3本の矢がそろったんですね。トータルにサービスできるようになったんです。そういう意味では、新村はリノベプレーヤーのハイブリッドな形だと思うんです。」
代表の松山さんから紹介されたのが、新村さん。どこがハイブリッドなんだろう?
まずはどんな経歴の方なのか聞いてみる。
「ぼくは高校も大学も建築を学んでいまして。でも就職活動にまったく興味がなかったんです。」
「スーツも準備していなかったし。もともとアトリエ系に進もうと思っていて、いろんなところでインターンはしていました。それでいつの間にか卒業してて、設計事務所にアプローチしたんですけど、どこも倍率高いし、1年は給料ゼロとかでした。」
そんなときに大学のOBに声をかけられて、設計事務所に入ることになった。住宅や病院などの設計を担当する。
けれども転機は急に訪れた。
「点検でお施主さんを訪ねたときに、生活感がなかったです。家具もなければ小物もない。生活空間として設計していたのに、生活が感じられなかった。話を聞いてみれば『家にお金をかけすぎて、私生活を我慢している』ということだったんです。」
「総合的に考えて、新築の負荷が高すぎると感じたんです。そこで建築の仕事自体に疑問を感じて、働き方を見直そうと思ったんですね。」
珍しい仕事に就きたいと考えて、ウェディングレストランで働きはじめた。仕事には満足していたけれども、働きながら二級建築士をとったり、設計の仕事も手伝ったり。
やっぱり設計の仕事に気持ちが戻っていく。そして辞めることになった。
「辞めてから何をするか決めてなかったんです。そんなときに、リビタの内山さんと島原万丈さん、そして松山が登壇するイベントがあって参加したんです。」
どうでしたか?
「それぞれの会社とか業界の話とかされて、最後に松山が全体を締めるような話だったんですけど、それにとても興味をもって。本人がとなりにいるので言いにくいですけど(笑)」
「自分はいろいろなセミナーやレクチャーに出席するほうだと思うんですけど、みなさん割とシンプルにまとめて、わかりやすい構成になっているんです。けれど松山の場合はアニメの挿絵が盛り込まれていたり、見たこともないような構成になっていまして。まさかそんなものだとは思ってもいなかった。衝撃を受けたんです。それで飛び込みで就職させてもらって。今2年目です。」
入社してからギャップとかはありましたか?
「まずは仕事のスピードと幅に驚きましたね。」
スピードと幅?
「新築よりもリノベーションのほうが、スピードが早いです。あとリノベーションの場合は、設計だけでなく、住宅ローンなどのお金のことや物件選びなんかもしますから、幅は広いです。」
「あとはスタイルも違う。たとえばお客さんと一緒に選んでいく。」
選ぶってどういうことですか。
「たとえば素材ですよね。新築の場合は費用面も考慮しつつ、ほとんどこちらで決めてしまってから提案することが多いんですが、リノベーションではスイッチプレートから一緒に選んだりします。」
そうなんですね。みなさん、どれくらいの案件を担当しているのですか?
「基本的には常に4、5件のプロジェクトを担当しています。商談中のものや、プランをご提案しているもの、施工しているものがまざっていて。平日は現場を見たり、作業が多いですが、週末は打合せが増えますね。」
ほかに大変なことなどありますか。
「リノベーションって、新築とちょっと違っていて。たとえば配管の経路とか、もともと決まっているので、それをプランに対してどう合わせていくか、っていう調整が必要です。職人さんと打合せするときに、新築の知識しかなかったのでそこは苦労しました。」
新村さんは、まだ設計の経験がありますけど、不動産や施工の知識がないですよね。これから入る人も、すべてわかる人なんていないと思うんですけど、大丈夫ですか?
「いまは外部に指導していただける方がいらっしゃるのと、あとは自分自身も勉強なので。他社とも情報交換させていただきながら学ばせてもらっていますよ。」
何かよかったことってありますか。
「新築をやっていたからこそ、お客さんに説明ができることもあります。この前、お引き渡しさせていただいたお客さんには『新築との比較がわかりやすくてよかったです。』という一言をいただけて、お食事にも誘っていただきました。」
今回、募集するのは、リノベーションの営業と設計・施工管理の担当者だけれども、新村さんのようにすべてやりたい、という人も大歓迎とのこと。
代表の松山さんに、どんな人に来てほしいか聞いてみる。
「目指すのはレオナルド・ダ・ヴィンチのように、戦車のデザインもすればモナリザも描くような。」
レオナルド・ダ・ヴィンチ。
「それくらい幅広い分野に関心があって、どんどん行動できる人を育てたいです。だからデザイナーというよりは、アートディレクター。スペシャリストよりはゼネラリスト。リノベーションという旅のツアーコンダクターのような役だと思っているから。」
「設計経験者には営業も経験してもらいたいし、もともと工務店の営業マンだった方には現場も見てもらったり。その中でもデザインは、とても大切にしていきたいです。」
リノベーションは新築よりも、担当者の仕事の幅は広くなっている。それを大変だと思うか、いろんなことをひとりでできると思うか。後者の人に、この仕事は合っているように思う。
それに幅広く仕事をすることは、アポロ計画のアイデンティティでもあり、強みでもある。
これまでいろんな「変なこと」をしてきたそうだ。そんな「変なこと」がきっかけとなって、仕事になることも多いとのこと。
たとえば、以前フリーペーパーをつくっていたので、それでアポロ計画という会社名を思い出してリノベーションを依頼されたり。
これからもいろいろなことが起きていくと思う。たとえば、松山さん曰く、公共性の高い仕事の相談が増えているとのこと。
「今まではBtoCでしたけど、これから問題になっていくのは大きな箱物をどうしていくかですからね。東京とか福岡なら売却して売ればいいけれども、地方ではそう簡単にはいかない。リノベーションスクールのみなさんも、全国をキャラバンして日本を変えていこうとしています。あれもまさにリノベーションで解決できる問題だと思います。」
ここで言うリノベーションは、設計やデザインだけではない。もっと幅広いもの。ただアポロ計画には、様々な領域で積み重ねてきた実績がある。
もし今、設計や不動産営業の仕事をしていて、もっといろんなことに挑戦したい、と考えるならば、ぜひ応募してみてください。その人次第で、可能性はどんどん広がっていく職場だと思います。
(2015/02/06 ナカムラケンタ)