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青山ヴィンテージ

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

洋服に家具、カメラにくるま。いろいろなシーンでつかわれるヴィンテージという言葉は、ワインづくりから生まれたようです。

ただ年代が古いだけではなく、特定の当たり年につくられたよいものを指します。

くわえて、人が今日まで残してきたことにも価値があるようです。

今回は株式会社フリーダムコーポレーションの募集です。

東京は青山を中心に、リノベーション及び不動産仲介を手がけています。

1 ファッションやアートで知られる青山は、自分の暮らしをつくり、楽しむ人たちが集い、ヴィンテージマンションが数多く残るエリアでもあります。

フリーダムコーポレーションのオフィスは、銀座線の青山一丁目駅から2分ほど歩くと見えてくる。

外国人用の高級住宅として建てられたマンション。築40年を経て、2フロアをオフィススペースとして転用した一角にある。

2 ドアを開けると、代表の谷村さんが迎えてくれた。

子供の頃から建物を見るのが大好きだったという。いずれは不動産仲介の仕事で起業を視野に入れつつディベロッパーに就職。オフィスインテリアの営業・設計を手がけた。

「証券会社に銀行と、外資系企業のお客さんが多かったんです。オフィスを訪ねると、インテリアから人を大事にしていることが、伝わってきて。デザインの面白さに引き込まれていったんです。」

SONY DSC その後は不動産仲介の会社へ転職を経て、2003年に独立をした。

今回募集するのは、「東京リノベ」というブランドのリノベーション事業。そして「青山賃貸.com」「青山売買.com」からなる不動産仲介だ。

主なエリアとして選んだのが青山。

「一番やりたいところではじめたんです。青山はNY、パリ、ロンドンと並ぶ日本のカルチャーの中心。早くからリノベーションが広まっていったエリアでもあると思います。」

お客さんから学んだことが多いという。

「デザイン関係の方であったり、ヨーロッパ在住経験だったり。自分のセンスを持って暮らしている人が多いんですね。原宿では細かい路地まで、住居を美容室兼ギャラリーに転用しているところがあったり。ヴィンテージマンションをセルフリノベーションしている部屋も見て、衝撃を受けましたね。」

ここで、東京リノベの手がけた案件を紹介してもらう。

大学で都市工学を教えるご一家。東京リノベの施工案件をHPで見て、相談会へ。

「イメージに近い物件が、渋谷・南平台にあったんです。内見に向かい、その場で即決でした。」

4 ご主人も建築のプロ。ディテールの詰めには手を惜しまなかった。

「毎週オフィスで、長時間にわたり建築家を交えて打ち合わせていきました。私が日中仕事で出て、夜戻ってきても同じように打合せしているんです(笑)。それだけ盛り上がっていたんですね。結果として、満足いただける仕上がりになりました。」

お客さんの要望に応えつつ、予算内に収めていくことも大切。

床材にはこだわろうと、幅広のナラ無垢材を用いた。

また、ご夫婦には赤ちゃんが生まれたばかり。成長の過程で楽しめるように、壁面を黒板マグネット塗装にする提案も行った。

5 ところで家づくりと一口に言っても、ハウスメーカーからリフォーム会社、工務店まで選択肢はさまざま。

谷村さんは、建築家との家づくりを知ってほしいという。

「建築家って、どこか頼みづらく感じられるかもしれませんね。でも、意外に気さくな人も多い。それに、相性のよい建築家と出会うと、家づくりがどんどんよい方向に発展していきます。プロセスもほんとうに楽しくて、予想しなかったクリエイティブなものができあがるんです。」

建築家とお客さんの間をつなぐことが、東京リノベの仕事だ。

「人生の1/3以上を過ごす家って、大事だと思います。『これでいいのかな?』と違和感を持ちながら家をつくる人も多いでしょう。とはいえ、自分の希望をきちんと描けたり、どこに頼めばよいか知っている人もそうそういませんよね。家づくりでミスマッチを起こしてほしくないからこそ、お手伝いしたいんです。」

色々な希望に応えられるよう、さまざまなタイプの建築家とパートナーシップを結んでいる。

「アイアンなどによりコンテンポラリーなデザインを得意とする方もいます。また、ミラノサローネにも出されているL社さんは、ほっこり感を残しつつ、かわいすぎない家具を揃えてくれます。建築設計事務所のHaKoDesignさんは店舗設計を得意としており、面白いアイデアが出てきます。」

6 今後はさらに建築の幅を広げていきたいと考えている。

その一つが、より高級なリノベーション。

たとえばキッチン。レディーメイドのものでもこだわれば、一つ数百万という世界があるそうだ。さらにワンランク上を求める方もいる。そうしたお客さんにも応えていきたい。

東京リノベで働く人はどんな人がいいのだろう。

「アートに食に、まち。あらゆるものに興味を持てる人が楽しめると思うんです。引き出しを持つことで、お客さんの希望にも応えられるんですね。」

建築もしくはインテリア系の素養があるとよいとのこと。

「学生時代に勉強したけれど、建築系の仕事に就けないままタイミングを逃している方もいるでしょう。いい機会だと思うので、飛び込んでみてほしいです。」

はじめは谷村さんについて、仕事を覚えていく。

「サポートしていきます。あらゆるジャンルの要望に応えられるようになってほしいです。」

希望があれば、東京リノベを任せることも、谷村さんは視野に入れている。

働きながら、興味の幅も広がっていく仕事だと思う。

フリーダムコーポレーションでは、不動産の投資・運用も手がけている。身につけられることは幅広く、深い。

ここからは現在仕事をしているお二人にも話を聞きました。

「青山賃貸.com」を手がける山中さん、そして「青山売買.com」の西野さん。

7 (左:西野さん 右:山中さん)
はじめに山中さんは、大まかな仕事の流れを紹介してくれた。

「まずは、不動産の紹介サイトで物件を探します。『あっ!』と思った物件を見つけてはwebに掲載していきます。お客さんからお問い合わせをいただくと、案内をして契約までを担当していきます。」

青山というエリア上、こだわりを持たれている方が多いそう。ハンモックを吊るせる賃貸に、メゾネットタイプにスケルトン物件。ちょっと変わっていたり、面白みのある物件を紹介していく。

続けて青山売買.comを担当する九州出身の西野さん。入社3年目を迎える。

8 webを見て、次のアクションにつなげてもらうことが大事だという。

西野さんは売買物件の紹介において、どんなことを心がけているのだろう。

「読む人の立場で記事を書くことですね。どんなことが書かれていたらうれしいだろう?自分が住んでみたらどうなんだろう?と想像します。」

「たとえば、お部屋のよさだけで人は住みません。エリアを伝えることも大事です。つねに情報を更新していくためにも、基本的にはオフィスでのデスクワークが中心です。ときには現地取材に行くこともあります。」

色々な視点で伝えていくという。

このカフェいいな、楽しそうだなというところをパッと見つけて紹介したり。ファミリー向けの物件紹介であれば、近くに子どもが遊べる公園はあるかな。買い物はどこでするんだろう。仕事帰りの夜道は安全だろうか。

9 「この間、お客さんにこう言ってもらえたんです。『わたしと同じ目線・言葉を使ってくれるからいい』って。伝わるのは、やっぱりうれしいことですね。」

これから働く人にも、まずは自分が楽しんでほしい、と西野さん。

「文章に表すのは、いつも大変です(笑)。でも、楽しんでいる姿は文章に表れて、お客さんにも伝わると思うんです。」

西野さんは、働きはじめてからの2年間で色々な変化があったという。

「小さい頃から、折り込み広告の平面図を眺めているような子どもで。建築好きが、仕事を通してさらに深まっていきました。休みの日は、自転車で東京中の古い建物を回るんです。いまでも古いアーチが残って、使われている姿を見ると、うれしくなって。」

「最近は、物件の平面図を見るだけで興奮するようになりました。わたし、大丈夫かな(笑)。あらためて建物が好きなんだ、と実感しています。」

みなさんに共通するのが、自分が魅力を感じたものを人に伝えようとする姿勢。

そんな青山物件の特徴の一つが、ヴィンテージマンションだ。

「古いからいい、ということではないんです。たとえば南青山にあるシャトー東洋南青山。アイコンとなっているセンターの非常階段は、コンパクトにして、もう一部屋つくることも考えられたでしょう。けれど階段があるから豊かさが感じられる。最近は効率が優先されていくなかで、こうしたマンションがつくりにくくなってきたんです。」

10 「それからビラシリーズの木製扉は、物件ごとに模様が異なります。中に入ってもため息が出ますね。」

魅力的な建物は、人の手が育んできた。

「いいと思うからこそ、育んでいきたい人が住むんですね。手入れが行き届くことで、昔の良さを残しつつ、いまに至っています。住む人がどんどん良くしているんですね。」

一度青山に住むと、離れられないお客さんも多いそう。

「職住遊の近接って魅力だと思います。提案していきたいところです。都心に住むことで、朝の通勤ラッシュもなくなれば、帰宅後は着替えて遊びや食事もすぐ行ける。まちを生活の一部にすると、人生の楽しみ方が違うと思うんです。予算も選びようによって、可能性は広がります。」

11 物件を引っ越しながら、長いお付き合いになるお客さんも少なくない。

最後に「印象に残ったお客さんはいますか?」とたずねると、こう話してくれました。

「うちで入居された方が何年かして、次の物件を探すときに連絡をくださるんです。『覚えてくれてます?』って。次の入居者を紹介いただくこともあります。つなげてくださるんですよ。だから… 印象に残るお客さんというと、みなさんそうですね。ほんとうに色んな人と出会えますよ。忘れずにまた来てくれるのが、うれしいです。」

(2015/06/11 大越はじめ)