求人 NEW

スタンダードなデザイン

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

広く知られ、みんなに親しまれる“スタンダード”なデザイン。

たとえば、アニメキャラクターやブランドロゴ。

いまでは当たり前のように日常に溶け込んでいるけれど、これまで幾度もの洗練を経てその形ができあがった。きっとこれからも時代に合わせて絶えず変化し続けていくのだと思う。

そんな“スタンダード”に、会社をデザインしてくれる人を募集します。

haptic01 設計から施工、そして物件情報サイト「good room」の運営まで。賃貸リノベーションのすべてを一貫して手がけているのがハプティックという会社です。

「どこにもない、ふつう」をコンセプトに、自然素材をつかったリフォームプランを提供しています。

何となく分かるようで難しい「どこにもない、ふつう」というコンセプト。どんなものなのか、それはハプティックで働く人も空間以外で伝えるのが難しいそう。

今回募集するのは、ハプティックのあらゆることをデザインして「どこにもない、ふつう」を表現してくれる人です。

社内の考えをまとめあげ、コーポレートデザインやブランディングを手がけることも期待されています。

奇抜でも凡庸でもない、洗練された“スタンダード”なデザインを目指したいという人は、続けて読んでみてください。

 
東京・渋谷。昨年末に引っ越したという新しいオフィスを訪ねた。

前回の取材でうかがったときよりも、かなり大きな空間。

社員は50名以上。一昨年は20人、今年は35人とスタッフを増やし、大阪や名古屋にも事業展開をはじめている。

そんなハプティックを2009年に立ち上げたのが、代表の小倉さん。

とても柔らかい口調ながら、ときおり鋭い目線のある方です。

haptic02 業界ではめずらしく、ハプティックは大工やアプリ制作を内製化している。

今回募集するデザイナーも、どう働くのか柔軟に話し合いつつ、基本的には専属で働いてほしいと考えているという。

「僕らの会社って、最初は外注していても、少しずつ自分たちでできることを増やしていこうという考えがあります。いままで建築のスタッフにかたわらでデザインをやってもらっていたんですけど、しっかりできるメンバーを社内に置きたいなと思っているんです」

「一貫した価値観とデザインで、空間やWebサイトをつくって。『どこにもない、ふつう』を具現化して、さらに発展させていただきたい」

ハプティックが掲げる「どこにもない、ふつう」は、会社の考え方やミッションを表している言葉。小倉さんが創業当時に発案したフレーズだという。

ハプティックの手がける部屋を見ていると、その言葉が何となく分かる気がするけど、どんな意味なのだろう。

「僕が前職のとき、奈良にあるくるみの木の石村さんとお会いしたことがあって。すこし不便な場所にあるんですけど、たくさんの人がそこでご飯を食べるのを、心待ちにしながら並んで待っているんです。決して高級料理が出るわけではないんですけど、でもお客さんにはいつ来てもらっても満足してもらえていると思うんですよね。ある程度の値段で提供できたり、味を維持したり。多くの人が幸せになるスタンダードなものってすごく大事なんじゃないかなと思ったんです」

「日本の衣食住のなかで、衣と食はそういうところで優れているけれど、住はちょっと遅れている。いまのスタンダードのクオリティを上げて、みんなの暮らしをよくしていきたいけど、単にふつうなものをつくってもしょうがない。そこで『どこにもない、ふつう』を住宅のところでやっていこうと思いました」

haptic03 どこにもないけど、ふつうなもの。それは一生懸命に「ふつう」なものを目指してつくるのではなく、いろんな幅を知った上であえて「ふつう」なものをつくる。

それは事業展開にも通じる。

「会社はいま50名ですけど、どんどん100名、数百名と増やしていって、世の中に対するインパクトをもっと与えていこうと思っています。顔が見える関係よりは、もっと会社として規模を伸ばしていこうと」

そう言いながら、小倉さんがペンを片手に紙を広げて何かを書き出した。

2次元グラフと「量×質=影響力」という言葉。

「いくら量がたくさんあっても、質が低かったらいい影響にならないだろうし、すごくいいものを少量つくっても、多くの人は使ってくれない。だから僕らは『どこにもない』で質を高めつつ、『ふつう』で量をちゃんと出すことで、大きな影響力を与えていきたくて」

この話のなかで、小倉さんが挙げた企業のひとつがスターバックスコーヒージャパン。スタンダードなレベルで広く浸透したブランドとして、ハプティックが目指す姿に通じるところがあるという。

「質をひたすら追求したい人でもないし、金儲けだけをしたい人とも違う。このバランスを意識できる人に来ていただきたいです」

haptic04 続けて、どんな人に来てほしいのか聞いてみる。

「ただ単にデザイナーとしてデザインするだけではなく、ブランディングを含めて、ハプティックの価値観を体現していくことが必要だと思っています。そのため、紙媒体やweb、アプリ制作など、ある程度幅広くデザインできる人を求めています」

「それと、ハプティックのものに対する価値観がわかる人。ハプティックという言葉が意味するのは、触り心地とか触れるときの感覚なんです。そういうことを大事にしているから、自然素材を部屋に使っていたりするんです。その価値観に共感して醸成できる人とぜひご一緒に、と思っています」

 
続けて、設計をしながら会社のデザインも担当している、プランナーの武井さんに話をうかがう。

haptic05 武井さんは今年の春に新卒で入社したばかりだとは思えないほど、話を聞いていると会社と本人の姿勢が合致しているのを感じる。

もともと美大で建築を学びながら、ハプティックでインターンをしていたそうだ。

「美大では、みんながみんな個性を出して生きていこうとして、弱肉強食な世界で。そのなかでわたしは『ああ、ヘンなの。もっとふつうで、きれいなものでいいのに』って思っていたんです。『どこにもない、ふつう』は掘り下げていくと難しいものですけど、一見ふつうだけどいいよねっていうものをつくっているところに共感して、入らせていただきました」

武井さんはグラフィックを勉強したということもあり、インターンのころから会社のデザインを任されていたという。手がけたのは、ポストカードやホームページ、建物のサイン計画など、ありとあらゆるデザイン。

haptic06 「前任者の方に技術的なことを教わりながら、デザイン面でも『ここは、うちとは違うよ』っていうのを教えてもらって」

どこが違ったのですか?

「ポストカードに『ふつう』のイラストをデザインしたんです。でも実は、自分の独特のセンスを出したいみたいな願望が入っていたりして。なんかそういうのじゃなかったんですよね。やっぱり『ふつう』のものを求められていて、でも本当にただふつうのものじゃなくて、この会社のイメージを出さないと」

「なかなか感覚的なことだから難しいですね。でも、一言で言うと『それ、洗練されてる?』っていうことなのかな」

洗練されてる?

「新設サイトのロゴをつくらせていただいたことがあったんです。ロゴって強く印象に残るものじゃないとだめだと思うんですけど、変なものでもだめで。一般的なロゴを思い浮かべると、たとえばユニクロさんって特別なことは何もしていないけど、すごく印象に残っている。いろいろ考えた上で、ああいうところに落ち着いたデザインなんですよね。そういうところを目指す感じだと思うんです」

haptic07 「一般的なデザインより難しいことを、ここでは目指している気がします。個性を出さなくても目立つデザインってすごく難しいですよね。ふつうにデザインしても、印象にも残らないただのふつうなものになっちゃいます」

だから、個性的なものと社会に『ふつう』として一般的に出回っているもの、どちらも理解できている人がいいという。そして、なぜそのものが流行っているのか、社会の流れを理解してデザインできる人。

「ただのアーティストではなくて、デザイナーであってほしいです」と武井さん。

自分の個性を表現するデザインでもなく、自分たちの考えを声高に伝えるデザインでもない。

一般的なデザインは掴めたとか、個性を出すデザインは得意になれたという人なら、さらに一歩踏み込んでチャレンジできる環境だと思う。

haptic08 これから新しくハプティックのデザインを担当する人は、会社のイメージを掴むため、しばらくは武井さんと一緒に仕事をすることになる。

good roomの部屋を見たり、ほかのスタッフと話すことで、武井さんは「どこにもない、ふつう」を掴んできたという。

「いまみんなが『どこにもない、ふつう』を統一しようとしているところなんです。それはずっと続くことかもしれないけど、デザインで表現するには、いろんな人が持っている『どこにもない、ふつう』を感じとって、まとめあげなきゃいけない」

「やってほしいことは、山ほどあります。たとえばWebでも、『ふつう』でありながら、もうちょっとセンスよくできるんじゃないかなと思うので。本当にデザイン力が足りてないです」

武井さんはどんな人と一緒に働きたいですか?

「明るくて話すことが好きな人。それはやっぱり、仕事でも必要で。いろんな人とコミュニケーションとりながら、目に見えないものを表現する仕事ですから」

「でもあんまり、人の意見に振り回されるのもよくないんです。ちゃんとデザインを知っているデザイナーとして、ここは譲れないと伝えないと。イメージがまだ具体化されていないから、みんなも考えが固まっていないです。だから迷走することがあるかもしれないけど、それでいいんじゃないかと思います。試行錯誤です」

haptic09 求められるレベルは決して低くないと思う。「どこにもない、ふつう」を表現できるまで、長い時間がかかるかもしれない。

でも、ここでつくるスタンダードなデザインは、広く親しまれるものとして続いていくのだと思います。

そんなデザインをしたいと思った方は、ぜひ応募してみてください。

(2015/6/26 森田曜光)