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まじめな採用

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

就職する、という言葉は、希望と不安、どちらを感じさせることが多いのだろう。

学生から社会人になるための就職活動。あふれる情報の中で、自分が働きたいと思う会社をみつけるのは簡単なことではない。

入社する前に会社のことを知ることができていれば、いわゆるミスマッチを減らすこともできる。


今回紹介するのは、企業が採用するときの広報やツールづくりをサポートする株式会社共同企画。29年間、新卒採用に関わることを中心に企画提案を行ってきました。

今回は営業から企画、制作ディレクションまで一貫して関わっていくプランナーとして働く人を募集します。

社会人としての経験のある方であれば、とくにスキルは求めないそうです。


浜松町の駅からオフィス街を歩いて行くと、急に緑が広がった。共同企画は、増上寺の手前にあるビルに入居している。

最初にお話を伺ったのは、代表の織田さん。とても理論的に、わかりやすく話をしてくれる方です。

kyoudoukikaku - 10 織田さんは2年前、現会長から社長を引き継いだ。

「学生のとき就職活動に失敗して、滑り止めだった会社しか内定をもらえなかったんです。けれどそこでの経験が僕の人生を変えました。現会長に出会ったのも、その会社だったんですよ」

偶然、いい会社に就職したんですね。

「いやいや、その会社は労働環境がいいとは言えない会社でした。自分自身、非常に視野が狭かったし、社会に対する期待を真っ逆さまに裏切られたこともあって。ゴールデンウイークに知り合いの社会人に相談したんです。辞めたいって」

就職した先がどんな会社でも、学生時代と社会とのギャップで、その時期に悩む人は少なくないと思います。

「でもそこで3時間説教されてね。なにも知らず、なんの力もないくせに何様のつもりだと。3年やって、それでも今の気持ちが変わらなければまた相談にきなさい、って言われたんです」

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 「その帰り道、3年間は絶対に後ろ向きなことは口にしまいと思ったよね。そこから僕の人生がかわったんです」

朝早くから終電まで、残業代も出ない中でも必死で働いた。がんばっている中で、この会社でも学ぶことがたくさんあることに気づいたそうだ。

少しずつ成果が出はじめ、面白みを感じられるようにもなったある雪の日、打ち合わせの合間に入った喫茶店で、同期と「独立しよう!」という話をした。

そこからは必死に働きながら1年で130万円もの貯金をして、本当に独立に踏み切った。

「最初は売り上げもなかったし、どん底生活でした。けれど解放されて自由にできることが、なによりたのしかったんですよ」

3、4年くらいしてから売上が伸び出して、とてもいそがしくなったそうだ。

お話を聞いていると、独立したあとのほうが仕事や環境がハードだっただろうと想像する。けれど、当時の話を織田さんはとてもたのしそうに話す。

「おもしろくしていくのは自分次第だよね。前向きになれるようなやり方は、いくらでもあると思うから」

この後は紆余曲折もあり、現会長が経営していた共同企画に参画することになった。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 今スタッフは全部で10名。クライアントは140社ほどにもなる。ほぼ全員が営業、企画、制作ディレクションまで一貫して担当をしているそうだ。

既存のクライアントを持ちながら、新規開拓も自分たちで行っていく。企業が採用活動を行う時期はほぼ同じだから、時期によってはとてもいそがしくて休みがとれないこともある。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 「他社と決定的に違うところは、汎用商品を一切持っていないところです。お客さまのところにいって、課題を見つけ出して、提案して形にする。新人なんかは、なにをしたらいいかわからないよね」

日本仕事百貨のように、メディアがあって掲載する、という仕事のメニューが一切ない。課題をみつけて、その会社の採用に適した伝え方、ツール、コンテンツを提案して、つくっていくことになる。

ただ単に事業内容を並べるだけでは、受ける側にちゃんと会社のことが伝わらないことも多い。まずは手に取ってもらえそうなファッション誌風のパンフレットをつくったり、働いている人のストーリーを読み物のような冊子にまとめることもある。採用の段階によっても、受ける側が知りたい情報は異なってくるから、それに合わせて適したツールが変わってくる。

クライアントの業種は多岐に渡る中で、大手メーカーの比率が多いそう。理系の分野では、その会社ではどんな事業を行っているのか、どんな専門性が求められているのか。いわゆる「職種」が多岐にわたるので、それを丁寧に紹介しないと仕事のことは伝わらない。文系の学生にアプローチするものとは、ツールや掲載するコンテンツがまったく変わってくるそうだ。

話を聞けば聞くほど、奥の深い仕事だと感じる。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 「形がないものを売るのは難しい。けれどそれが、社員を磨くんですよ」

社員を磨く、ですか。

「僕が、というより、自分で磨く。たとえば、ルールがあると非常にわかりやすい。けれど僕にいわせてみれば、そんなものがないと動けない人間はだめだと思うんだよね。自分の頭で考えて、苦労して、信頼される人間になってもらいたいんです」

営業からディレクションまで、仕事のやり方は社員にほぼ委ねている。決まったやり方がないから、仕事にもそれぞれのスタイルがでるそうだ。


次に話を伺ったのは遠藤さんと伊東さん。第一印象は、なんだかぜんぜん違うタイプに見える。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA ジャケットをまとっているのが遠藤さん。ハキハキと話をするところからも、頭のいい人なんだろうなと思う。ご挨拶するときに名刺をとても丁寧に渡してくれたのが印象的だった。

「前職は出版社だったんですけど、入る前に聞いていたのと違う部署に配属されたんです」

もともと編集する仕事に関心があったけれど、実際に配属されたのはバリバリの営業部。働き続けても、編集部に配属される気配はまったくなかった。

「不誠実ですよね。きちんと本当のことを伝えて、そこに共感して入社するっていうのが本来の姿だと思ったんです」

そんな想いが、共同企画へ転職するきっかけになった。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 日々、どんな仕事をしているんだろう。

「仕事をとりにいく時期はコンペがずっと続くし、お客さんのところに足繁く通う。その後は半年ほどかけて取材や制作をしていきます」

企業からコンペの話がきて提案をすることもあるけれど、日々通うことでできる関係から発注に至ることもある。なにより相手のことを知らないと、相手の課題を見つけることもできない。

「極端な話、お客さんが『青』って言ったものを正確に把握するのは難しいじゃないですか。僕の思っている青とは違うかもしれない。相手と考えを共有しておくためにも、本当はもっと通ったほうがいいくらいなんですが、時期によっては難しかったりしますね」


仕事をしていく中で、気をつけていることはありますか。

「会社をよく見せなくちゃいけないっていう、採用広報フィルターがあると思っていて。なるべくそれをとる作業をしています。やっていることをそのまま伝えたほうが差別化にもなるし、受ける側にも誠実ですよね」

「担当者が自信をもって、自社をアピールできることが重要だと思っていて。いいものをつくるために、担当者から出てきたテキストを、こっちで全部書き直したりもします。それが結果的にいい採用につながっていくんじゃないですかね」

遠藤さんの直属の後輩だという伊東さんはどうだろう。

「担当の人とは、一緒につくっているっていう感覚を共有するようにしています。自分がつくったもののほうが、PRする動機につながるかなと思って」

こんなふうに考え方は少しずつ違う。あまり社内のチームで相談をして進める、ということもないそうだ。

けれどそれぞれが、ちゃんと自分で考えているからこそ出てくる違いだから、結果うまくいく。

「だけど、ものをつくりあげていく上で、全員まじめなところは共通しているんです」

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 伊東さんは、やさしい話し方をする方。大学院で生物学を専攻し、家具メーカーの企画職を経験した後に共同企画にやってきたという、ちょっと変わった経歴をお持ちだそう。

「友人は食品会社や製薬メーカーに就職しました。理系って“ここに就職するべき“みたいなのが決まっている感じがあるんです。それを変えられるようなことができたらいいな、と思って。ものづくりにも興味があったので、ここに入社したんです」

それまでにやってきたこととは、まったく違う仕事に飛び込んだんですね。

「大変でしたね。うちの会社って原稿を書くスキルが必要なんですが、本当に文章が書けなくて。大変なこともありますが、これだけ幅広く仕事ができることは、将来にもつながると思ってます」


「僕らは企画をする会社です。お客さんは僕らに対して、期待感を持ってくれてると思っていて。メール1本であっても、相手のことをワクワクさせられるように、と考えてます」

「いま遠藤がスーツを着ていて、僕が着てないじゃないですか。ここに来るときに、着なくていいよって言われたんです。実は今日スーツの色がかなりかぶっていて。周りからどう見られるか、相手にどんな印象を与えるかをすごく考えてる人なんですよ」

「カタいな、と思って。色には気がついてなかった(笑)」

お客さんにとって、仕事を頼む相手は提案内容だけではなくて、その人と一緒に仕事をしたいかどうかも重要なポイント。もちろんやり方はそれぞれでいいけれど、いかに信頼を得られるか、細かい心づかいができるかどうかが、次の仕事をつくっていく。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 遠藤さんは取材をした週、ほぼ毎日お客さんと夜飲みに行く予定が入っていたそう。それだけ一緒に仕事をする相手との関係が築けている、ということなんだと思う。

「お客さんもそうですが、一緒に仕事をするライターやデザイナー。彼らと仕事をする機会をもらえてるっていうのも、ここで働いている理由の1つになっています」

「小さい組織なので、新規のお客さんのとこへいくと『どこの馬の骨ですか』みたいなところからスタートするんです。そこを攻めていって、自分たちを信頼してもらう勇気がある人がいいですね」

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 最後に、織田さんにも聞いてみる。

「人がみていようがいまいが、床にごみが落ちていたらきちんと拾う。そういう価値観が備わっていれば、伸びていくと思うんですよね。言葉にしなくても努力できる人が、社会から評価されるし、最後に勝つ。そんな人を目指してもらえたらいいなと思いますね」

ウェブサイトで紹介されている事例にも、それぞれの担当者が考えた意図や考えがしきつめられています。よかったら、ご覧になってみてください。

(2015/6/26 中嶋希実)