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未来を育てる

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「経験することからいろんな成長が見え、いろんな方向へ進んでくれればいいかなって。そういった経験を『種』として子どもたちに植え付けられたらいいと思っています。そこをどういうふうに伸ばしていくかは親や育つ環境だと思うんです」

そう話してくれた園長の鳥取さん。今回募集するのは東京都認証保育所である、さくら大崎保育園の保育士。

sakura-hoikuen01 認証保育園とは東京都独自の制度で、さまざまなニーズに応えた新しいかたちの保育所です。

保育士免許の資格者であれば経験は問わないそうですが、幅広い活動をおこなうさくら大崎保育園では、経験者の方が助かるとのこと。

実際にお話を聞くと、保育園でもさまざまな活動を自分たちで企画し、いろんな視点で園児たちと向き合っているんだなと感じました。

 
JR山手線の大崎駅南口から徒歩3分、高層ビルが並ぶ一階にさくら大崎保育園が見えてきました。

sakura02 さくら大崎保育園はビルの一角にあります。都市開発の計画により、この場所を提供していただけたそうです。

ビルに囲まれているけれども、まわりには緑があふれ、とても静かな場所でした。

 
はじめにお話を伺ったのは園長の鳥取さん。さくら大崎保育園について話をお聞きしました。

鳥取さんは保育園と幼稚園の両方で働いた経験があり、この職場では4年目とのこと。

実際に自分が子育てをしていたときに感じた想いから保育士をはじめたそうです。

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「親として、自分の子どもを保育園や幼稚園に預けると、いろんな点に気づくことができたんです。そういった自身の体験が今のような保育園をつくろうと思った大きな理由ですね」

保育士や幼稚園士、実際に利用する主婦といった視点から、どんな保育所が求められているかを考えた鳥取さん。

自分が経験してきたなかで、理想の環境がこの保育園だったようです。

「立地的には雑多な場所じゃないので、安心して子供たちと散歩へ出かけられるんです。子供を育てる上では、いい環境だと思います」

「教育面では『体験させる』ということを大事にしています。たとえば不定期に、英語の先生を読んで英語の歌を歌ったり、音楽の先生を読んで体を動かすダンスをしたりする時間を設けています」

外から講師を招くことによって、実際に体験させてみる。

「あと、食育にも力を入れています。昔はそこまで注目することもなく、十分な栄養をとれば問題ないという認識だったんです。でも今は誰と食べるかといったことまでも食育に入るんです」

単においしいものを食べさせるだけじゃないんですね。

「0歳から2歳の小さい子でも、できることはなるべく自分たちの手で体験させてあげるんです。たとえば今日はカップを用意して、一人分ずつ自分でお米を研いだんです。そのお米で自分たちのおにぎりを握るっていうことまで体験させるんですよ」

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「子どもが見るのは食卓に置かれた、すでにお茶碗にもられたご飯なんです。でも実際はこうやって出来るんだよっていう体験を子どもたち自身の体で体験させてあげるんです」

当たり前のことでも、0から体験させてあげる。身体的な経験は感覚としてずっと残っていくことを、鳥取さん自身が経験の中でみつけた教育なんだと思いました。

 
ちょうどこれから2歳児クラスの園児たちがおにぎりを握るところだったので、その様子を見せてもらえることに。

炊飯器の炊きたてのお米の香りをかぐ。熱さを確認して、実際に炊きたてを試食させてみる。園児にとってはすべてが新しい体験。

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なにより、担当している保育士のみなさんが楽しそうに笑っていました。

「保育士はみんな自分の子のように可愛がるんです。毎日朝8時くらいから夜6時くらいまでのお時間を一緒にいるので、やっぱり親と変わらない気持ちになってくるんですよ。それだけの時間を一緒にいると、ちょっとした成長に気づくことも多くて、それだけでもうれしかったりするんです」

そういった食育は他にもおこなっているんですか。

「他にはポテトサラダを作るときも、茹でたジャガイモをビニール袋に入れて子どもたちの手でつぶすんですが、食卓に並ぶ料理の元の味を感じてもらうために、そこで一度味見をさせるんです」

「味のついているものが当たり前と思っているので、ジャガイモのマッシュなんかも最初は嫌うんですが、自分でつくったものなので次第に食べるようになっていくんですよ」

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「あとは季節のものを使った食育なんかも多いですね。丸いスイカを子どもたちに見せるんですが、子どもたちが普段目にするスイカって三角に切られたスイカがほとんどなんです。」

「でも実際はこんなに大きいんだよっていうことを教えるために、あえて大きいスイカを準備して、最後はスイカ割りをしてわざと割れた歪なスイカを食べさせるんです。そういった経験がないので最初は戸惑うんですが、何回か食べていくうちに美味しいって言ってくれます」

なんでもないと思うことでも、園児にとっては新しい体験なんでしょうね。

「やっぱり子どもにそういう経験をさせてあげたいですし、保育士も子どもの反応を見ることがとても勉強になるんです。そうすると、子どもってこういうことに喜ぶんだな、こういった反応をするんだっていうのを見て、それが保育に活かせたらいいかなという想いがあって。だからいろんな活動を少しずつ取り組んでいきたいですね」

そういった小さな成長にも十分向き合える保育環境が整っているんですね。

「そうですね。そのために書類なんかも必要最低限のものでまとめているんです。」

「たとえば毎日の記録、日誌を必ず残さなきゃいけないなかで、既存の連絡帳に違和感を覚えたので、使いやすいものを1からつくったんです。そういったことまで模索しながら課題をクリアにしている感じですね」

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「あとは園児と保育士の相性なんかもありますので、この先生が合うねってなったらその先生が対応するっていうこともやっています。できるだけ家庭と保育園の状態を身体的にも情緒的にも変わらないようにしたいんです」

一人ひとりと向き合いながら働いているんですね。

「そうですね。それにやる気があったり、リーダーをやってみたいという希望がある保育士には年齢関係なくリーダーを体験させようと思っています。そういった経験からも新しい見方で保育ができたら面白いんじゃないかと思っています」

 
実際にさくら大崎保育園ではどんな働き方になるんだろう。保育主任の山本さんにお話を聞いてみた。

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山本さんは主に保育士の指導と、担任業務をおこなっています。保育主任としては現在四年目。どうして保育士を目指そうと思ったんですか。

「小学生のころから自分より小さい子の面倒を見るのが好きだったんです。高校を卒業するタイミングで、やっぱり保育士として働きたいと思ったのがいちばんの理由でしたね」

さくら大崎保育園で働いてみて、大変なことは何でしたか。

「こちらの保育園で勤めてからは、大変というよりも楽しいという印象が大きいです。前の職場は残業が多かったり、職員が少なかったので書類の負担が大きかったりしたんです。でも今は書類なども必要最低限の負担なので、保育に十分手をかけられる環境が整っているんです」

「でも子どもの命を預かる仕事なので、責任感というものはすごく感じています。最初は子どもの成長がとにかく楽しかったんですが、今はそれだけではいけないという気持ちがありますね」

たしかに責任は大きいですよね。

この仕事はどんな方が向いていると思いますか。

「子どものことを第一に考えられる先生だったらすごく楽しんでもらえると思います。あとは自分のやりたい保育の想いを提供したいという方だったらすごく力を発揮できる場所なのかな」

実際に山本さんも何か提案したことがあるんですか。

「私もハロウィンの企画を提案したことがあります。英語の先生が毎週来ていたので、せっかくだったらハロウィンも行事に入れたら面白いんじゃないかなと思って。仮装して外を散歩するくらいなんですけども」

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「地域の花屋さんや郵便局、駅員の方に事前にお願いした上でお菓子を渡し、そこにクラスごと移動してお菓子をもらってくるというイベントをやりました。みんな全身しっかりした仮装の衣装をもってきてくださって当日はとても盛り上がりましたね」

行事の企画など含め、積極性が求められる環境なんですね。

日常の仕事はどんな感じですか。

「ここは園庭がないので、外に行くとなったら散歩に行くんです。天気がいい日はなるべく外にでるようにしていますが、公園が近場にたくさんあるわけではないので、公園にいったものの他の保育園の子がいて遊べなかったりすることも日常茶飯事です」

「あとは大きくなったりすると手をつないで歩くのにも、誰々とはつなぎたくないとか、疲れて歩けないとか。そういったときにつよく怒るのではなくて、気持ちを奮い立たせるような対応が求められますね」

日頃の向き合い方がうまくできるからこそ、特別な行事でも子どもたちは楽しめるのかもしれませんね。

「あとは雨が降ったりして外で遊べない日もあるんですが、そういう日だとクレヨンを使って制作をすることもあります。今日の食育活動も日常的な活動として組み入れています。幼稚園ほどカリキュラムをしっかり組んではいないんですが、毎日なにかしらの計画を立てて取り組んでいますね」

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これからも保育士は続けていきたいですか。

「そうですね。この仕事の魅力って子どもの成長を見るのはもちろんなんですが、行事をみんなで作り上げていく感覚があるんです。それって、高校生のときの文化祭みたいな感じなんです」

「みんなでまとまって準備して当日を迎え、また次の日から日常に戻るっていう感覚はなかなか他の仕事では味わえないのかなって思います」

「文化祭みたいなもの」というのは、子どもたちにいろんな体験をしてほしい、という思いがあるからこそ表れてくるように思いました。

どんな体験がいいのかとことん考える。それはきっと子どもたちにとっても働く保育士のみなさんにとっても、大切な経験になる。

そんな働き方に共感した先生たちが集まっているように感じました。

 
取材が終わったあとに、園児が握ったおにぎりをいただいた。この小さなおにぎりは、子どもの成長とともにどんどん大きくなっていくんだろう。

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ただ教えるのではなく、そこに経験も与えることで、子ども達や保育士の成長を共有できる環境が生まれるのかもしれない。

(2015/6/9 浦川彰太)