求人 NEW

人を幸せにする和菓子

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

人々の生活に根ざした習慣や形式。それが長い歴史を通して形になり、伝統として生きている街、京都。

何百年も続く歴史が数多く存在する街で、伝統をつくりはじめた和菓子屋さんがあります。

01 京都府は上京区にある和菓子店『UCHU wagashi』。

今回はUCHU wagashiで和菓子を製造するスタッフと、その商品を販売する店舗スタッフを募集します。

製造スタッフは本社に隣接する自社工場で製造を担当します。

単純作業で終わるというわけではなく、製造管理といった立場になれる方が求められるそう。

もうひとつの店舗スタッフは2店舗ある店舗の店長候補としての販売スタッフとなります。

特に必要なスキルはありませんが、商品は和菓子。季節のことやお茶のことなどの知識が接客のなかで求められることも。

京都の文化や暮らしに馴染んでいけると仕事に活かせるかもしれません。

また、ブランドが成長していくにあたり、いろんなアイデアや価値観をつくっていくうえで、商品企画職も求めているとのこと。

何が求められているか。どんなことが喜ばれるか。

そういった発想を製造と販売の仕事のなかで見つけだしてほしいそうです。

 
京都駅から地下鉄鳥丸線に乗ること10分。今出川駅に到着しました。

そこから15分ほど歩くと、UCHU wagashi西陣店が見えてきます。

02 本店の西陣店を構えたのは2010年。

前職はグラフィックデザイナーだった代表の木本さん。京都で暮らしながら東京の仕事をおこなっていく中で、生まれ育った京都に貢献できる仕事を手がけたいという思いが強くなっていく。

自分が培ってきたデザインスキル、マーケティング、ブランディングの力を有効に使え、京都の文化に寄与するには。

そのひとつの可能性が「和菓子」でした。

03 「でも和菓子のお店へ企画を持ち込んでもなかなか受け入れてもらえなかったんです。何百年続く大きな老舗にアイデアを提示しても、それまでの歴史を振り切って新しいことに挑戦することは難しかった」

どうしたらいいかといったら、全部自分でやらないといけなかったんです、と木本さん。

そういった考えから店舗開業までに1、2年の期間はマーケットリサーチをおこなった。

「はじめから100年はデザインを変えたくないと思っていました。ここにあるお菓子はまだ生まれて5年目ですが、デザインは100年一切変えなくても売れるような強いものをつくっています」

五感で味わうものとされる京菓子。デザイナーの視点で観察することで、共通する考え方があった。

「どんな物でも、良いものは普遍的なんですよ。良いデザインは残り、そうでないものは消えていくんです。誰が見て使っても『良いもの』。そういうものが伝統になり得るんだと感じています。京都に何百年も残るものは、蛇足的な要素がなく、普遍的な価値を有するものが多いですよね。僕らもそんなものをつくっていきたいんです」

「その上で現代の思考に合わせて商品をつくることを意識しています。時代というのはずっと変わっていくので、それに合わせて育てていくという活動が求められるのかなと」

京都の暮らしや文化が関わってくる和菓子は、ただ商品を提供するだけではいけない。

「京都は東京とお金の流れ方も違うし、ものを大切にするという姿勢も違う。商品を買ってくださる方はこの街に住んでいる人もいるし、観光で来る人などさまざまなのでこの街を知ることは絶対に必要なんです」

「200年、300年続く京菓子も、その歴史を知らないと軽い物しかつくれないと思うんです。そういった意味でも京都について勉強したいっていう方はこの仕事が楽しめると思います。京都は街も文化も勉強になることがたくさんあるので」

新しい客層を開拓しながらも、京都の人にも愛される和菓子をつくる。

何百年も歩んできた歴史に新たな価値を付け加える責任は大きいけど、積み上げてきたものを台無しにしないためにも、きちんとしたものづくりを続けたい。

 
そんなものづくりの価値観に共感し、ともに築き上げたいと話すのはディレクターの松本さん。

04 ものづくりの仕事に携わりたいなと思っていたときに、UCHU wagashiに出会う。

はじめはお客さんとして訪れ、そのときに言われたことを今でも覚えていると話します。

「木本から、『デザインというのは、伝えたいことを表すための手段の1つにすぎない。デザインをするのが目的ではない』と言われて。デザインを勉強したことがないのに腑に落ちたんです。それ以来、その本質は何かを勉強してみようと思って」

そういったなかで求められるのは想像力だと話します。

「自分がつくった商品がお客様の元に届き、お客様が箱を開ける瞬間を想像できるかどうかが大切です。お客様が、可愛い!と喜んでいる姿を思い描ければ、自分のモチべーションもあがりますよね。それらを想像して作業に取り組める人がいいです」

沢山の人を喜ばせているという事実がUCHU wagashiのお菓子にはある。それを一緒にイメージできる人がいいのかもしれません。

今回募集する製造スタッフに求められる大切なことは、『自分がお客様を感動させる和菓子を提供している』という気持ちを常に持ち続けられるかどうか。

「誰かを感動させたり笑顔にするお菓子をつくることは、その作業も楽しいと思わなければできません。店頭に立つわけではなく、毎日の製造を黙々とこなし、かつ、お客様の気持ちを想像して自分のつくるお菓子に責任を持てる方が向いていると思いますね」

04a つくる和菓子は落雁(らくがん)。作業自体は単純でありながらも、製造管理などを任せられるような、全体を仕切れる方を求めているそう。

「毎日の同じ作業工程のなかでどうしてもお客様のことを忘れがちになってしまう。そこを忘れずに、人に喜ばれる和菓子をつくっているということを常に感じ、楽しめる人がいいですね」

自分のつくったお菓子が、どのようにお客様に届いて、どのように喜ばれるのか。それらを考えることまでが働くことに対する姿勢なのだろう。

本社に隣接している自社工場にも案内してくれました。

05 そこで実際に製造をしている方にもすこし話を聞いてみます。

「私たちのつくっている商品は見た目はもちろん、口どけ、おいしさにもこだわっています。その仕上がりまでの感覚がつかめずに苦労しましたね。また、決まったレシピ通りにつくるわけではなく、雨の日であれば色々と配分を調節しないといけないので感覚が求められますね」

手元の感覚でつくりあげていく作業もあるので、微妙な感覚を掴むまでに苦労したそう。どういった人が向いているんでしょうか。

「私は手先の器用なほうではないし、調理の経験もなかったので、やる気があればできると思います。強いて言うなら素早い動きができる方かな。和三盆糖と水分だけでつくっているので、時間が経つと乾いて形がつくれなくなるんです。スピード感が重要になってきますね」
06 「はじめはトライ&エラーの繰り返しだと思います。私も最初の一ヶ月は商品になるような品はつくれなかったので。商品の種類によってまたつくり方や感覚も変わってきます」

 
続いて、本店から数キロ離れた場所に位置する寺町店に伺う。

07 今回の店舗スタッフは販売はもちろん、お店の運営全体を見ることができる人を求めているそう。

大変な責任感があるようにも思えるが、今現在ここで働いている大原さんに話を伺うと、仕事量の大変さは特に感じないようだ。

それよりも重要になるのが丁寧さ、と話します。

「嗜好品を販売していますし、年配の目利きのお客様が多いため、ちゃんとお店や商品、お客様のことを見れる人じゃないと大変なのかなと思います。実際につくっている商品の様子を見ていないと接客はできないと思うし、もちろんお客様のことも見てないと、きちんとしたおもてなしはできないですよね」

店頭に立つ事がすべてではなく、内側のことまで認識した上で接客出来る人が向いているのかもしれませんね。

「そうですね。UCHU wagashiで働いていると、商品の製造から、それがお客様の手に渡るまでの一連の過程を見れるというのが良いところだと思います。最初私も研修をして、『こんなふうにできているんだ』と感動したので、やっぱりその感情を最後まで届けたいっていう思いはありますね」

4ヶ月前に働き始めた大原さん。前職での経験もあり、お干菓子の世界も知っていたとのこと。そこでの知識や経験はかなり活かされているよう。

08 「やっぱり季節のことやお茶のこと、感じることは自分の中にあって。そういった知識があった上で接客をするといろいろと会話ができるというか。でもお客さまには自分以上に和菓子に詳しい方が来られたりするので、そのときはむしろ私が教わることが多いですね」

1日の仕事の内容は?

「開店前に清掃をおこない、あとは接客をします。お客さまがいない時間は商品を包んだり、ディスプレイの掃除など気がついたら率先して業務をおこなっています」

小さな店舗だからこそ訪れるお客さまに対する思いは丁寧に、強くなる。

09 「とにかく気持ち良く帰っていただくということを心がけています。お店の空間やディスプレイで商品を楽しんでいただいて、帰ってからまた商品で楽しんでもらう。そしてまた来てくれることを楽しみにしています」

「お店に入ってきて『可愛い!』っていう声が聞こえるだけでうれしいですね。商品の話ができたらもっとうれしいです。人によっては大変なこともあるかもしれないんですけど、私にとっては単純作業から商品の提供まですべてが好きで」

些細な気遣いから接客は始まっている。

「商品の見せ方から商品を包んで手渡すまで、すべてつながっていると思うんです。きれいな商品を贈りたいと思うし、きれいじゃないといやなので。接客ですけどそういったことも大事な仕事だと思います」

「商品を買ってくれることだけを考えるか。その先を考えられるかの違いだけだと思います」

ただ商品を売るだけ、商品のコンセプトを伝えるだけではなく、自分なりに解釈した魅力を自分の言葉で伝える。

話すことが苦手でも、自分の言葉を丁寧に選ぶことが大事なのかもしれません。

10 お客様がUCHU wagashiの商品を手にした時の感動を想像する。

そして、その感動が何百年も続く歴史になるには。

自分ごとのようにUCHU wagashiのことを考えることができる。

そんな方であれば、共にブランドを盛り上げて、活躍できるのではないでしょうか。

気になった方は、UCHU wagashiの落雁をぜひ一度ご覧下さい。

(2015/7/28 浦川彰太)