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このまちの風になる

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「都市部に住んでいる若者が来てくれて、こちらにないアイデアを持ってきてくれたら、まちの子どもたちにとっても、お母さんたちにとっても刺激になると思うんです」

そう話すのは、大崎町役場に勤める上橋(かんばし)さん。

大崎町は、鹿児島県・大隅半島の東側に位置する人口13000人ほどの町だ。最近、高速道路が通るようになったこともあり、鹿児島空港からは車で1時間半ほど。

oosaki01 今回は、ここ大崎町で地域おこし協力隊として働く人を探しています。募集するのは、新商品開発や観光プロデュース、空き店舗を活用する「企画職」と、小中学校の学習支援を行う「学習支援員」の2つ。

いずれお店をやってみたい・こんな商品をつくってみたいというアイデアを持っている人、地方で子どもの教育に携わってみたい人はもちろん、これまでと違う土地で新しい暮らしにチャレンジしてみたい人は、ぜひ読んでみてください。

まずは、企画職の受け入れを担当する、企画調整課の上野(うえの)さんにお話を聞いてみる。

oosaki02 「私は生まれも育ちもこの町なんです。大学は県外に出してもらったんですけど、長男だったこともあって23歳のときに帰ってきてから、ここで働いてますね。去年までは農林関係の部署にいたんですが、この春から企画調整課になって、広報誌の作成などに携わっています」

なんでも、今回の企画職の募集には、大きく3つのポジションがあるという。まず1つ目が、新商品開発担当。

「地元にある素材や特産品を活用していただいて、大崎町の顔となるような商品をつくっていただけないかと思っているんです。この町では農業や畜産が盛んで、マンゴーや和牛などが有名。他にも農産物がたくさんあります。隣の市の加工技術研究センターで試作していただいたりしながら、新しい商品を開発していければと考えています」

oosaki03 「大崎牛を国内や海外に広くPRしたいとあちこちを飛び回ったり、ハンバーグなどの加工食品をつくろうとしたり、やる気のある畜産農家さんたちも町にいるんですよ。自分で開発するだけじゃなく、そうしたPR活動を手伝ったり、事業者さん同士の連携を促したりするのもいいと思います」

新商品が新しい産業につながって、町の人たちが働ける場が増えてくれたらいいなという想いが、上野さんにはある。

「同じ中学校出身の同期で、大崎町で働いている人は2~3割ほどしかいないんです。仕事があまりないということで、隣の市や県外で働いている人がやっぱり多くて。飲み会とかで会う機会があると、戻ってきなよって話すんですけど、やっぱり働ける場がもっとないといけないなと思うんですよ」

 
そしてもう1つのポジションが、観光プロデュースの担当者。

働く場所は、観光案内所になる。たとえば「この町でおすすめの観光スポットはどこですか?」というように、大崎を訪ねてくるお客さんに対応するのが仕事だ。ゆくゆくは、観光用の情報誌やマスコットキャラクターなども新しくつくっていきたいと考えているそう。

oosaki04 「海外からのお客さまも結構多くて、最近は韓国や中国から韓国客が訪れるんです。古墳や海岸など、見どころを伝えるようにしています。大崎は資源ごみのリサイクル率が8連続で日本一なのですが、インドネシアの方々が資源ごみの分別の視察に毎年訪れたりもしますよ」

「あとは、大崎町に住んでいる人にも、もっと自分たちの町を楽しんでもらえたらと思っているんです。自分の住んでいる地域の魅力って、外の人はわかるけれど、住んでいる人はあまり気づかない。キャンプ場や温泉など、この地域でもっと遊んでもらえたらなって」

oosaki05 3つ目のポジションは、空き店舗活用の担当者。3つの中では、最も自由度が高く、自分で企画を持ち込める人にはぴったりかもしれない。

「町の中心に空き店舗が多いので、それらを活用して、昼間はカフェ、夕方は学校の子供たちが立ち寄る塾だとか、町の人が集まる場所にできないかなと思っているんです」

「空き店舗は一緒に探しますし、利用促進ということで改修費の一部を助成したり、町からも補助金を出しています。たとえば、いずれパン屋さんをやるのが夢だとか、自分でスペースを持って何かを始めたい人に来てもらえたらうれしいですね」

oosaki06 地域おこし協力隊として初年度は給与をいただきながら、自分でお金を生み出して生活していく準備をする。

なにかを始めてみたい人にとっては、いい機会になると思う。

「もしくは、これがやりたいという強いものがなくても、町民の『やりたい』を後押ししてくれる神輿担ぎ役になってくれたらいいなと思います。住民同士が集まる飲み会で話を聞くと、結構みんなアイディアを持っているので、それを拾って一緒にすすめていけるような役割の人が必要だと考えています」

 
教育委員会管理課に勤めている、上橋さんにもお話を聞いてみた。大崎町生まれで、新卒で入職して以来、ずっと町役場で働いているそうだ。

oosaki07 「町内の学校の施設管理や、学校の教育支援が、私の主な業務ですね。国や県の教育方針を学校側に伝えたり、先生たちとやりとりしたり、まちの教育行政全般に関われる幅が広い仕事です」

今回、協力隊の制度を使って募集する「学習支援員」って、どのような仕事なのでしょう。

「大崎町には小学校が6校、中学校が1校あります。スポーツの得意な子、勉強のできる子などいろんな子どもたちがいる中で、全体のペースについていけないお子さんもいらっしゃいます。そうした子をサポートするのが、支援員の主な仕事です。授業で先生の言ったことを理解できない子に対して個別に教えたり、遠足で障害を持った子どもの補助をしたりしますね」

「昔より人がだいぶ減ったこともあって、今は町全体で1学年が100人くらい。でも、だからこそできることがあるというか、できるだけ個別のニーズを組んで丁寧な教育ができるようにして、教育力を高められたらと思っているんです。今でも各学校に学習支援員が1名いますが、全学年を1人でカバーできないですし、もっと人が欲しいのが実情なんです」

oosaki08 学習支援員に関しては、教員免許を持っていなくても、明るくて子ども好きであれば問題ない。現在は、30代から50代のお母さんたちが支援員をつとめているが、女性に限らずスポーツが得意な男性などが来てくれるのも、子どもたちが喜ぶので歓迎だそうだ。

「都市部に住んでいる若者が支援員として来てくれて、こちらにない考えを持ってきてくれたら、まちの子どもたちにとっても、支援員をやっているまちのお母さんたちにとっても刺激になると思うんです。教育委員会や学校って、風通しが悪いと思われがちなんですけど、新しい風を入れていきたくて」

大崎町の協力隊は最長3年まで。協力隊の期間が終わった後は、学習支援員として雇用を継続する形もありえるし、塾など教育関係の仕事を新しく始めてもらうことも考えられるそう。

 
大崎町に縁がない人のIターンも歓迎というけれど、この町で暮らすってどういう感じなんだろう。関東から夫婦でIターンしてきたという総務課の中山(なかやま)さんにお話を聞いてみた。

oosaki09 「私の出身は静岡ですし、主人の出身は横浜。大崎町のことは全然知らなかったのですが、主人の大学時代の友人がたまたま大崎出身だったんです。『一緒に大崎で事業をしよう』と言われて、主人は脱サラしてこちらに来ることを決めて、今では農業関係の会社をここで経営しています。私は勤め先を探して、役場の総務課で働かせていただくことになりました」

実際に住んでみて、どうでしたか?

「静岡も自然が豊富だと思っていたんですけど、むこうと比べたら全然レベルが違う自然がここにあって。子どもが二人いるんですけど、子育てするのにすごく贅沢な環境だなと思いますね。すぐそばには海もある。最近はたまにしかやらないんですが、昔は時間があれば海に行ってサーフィンしていました」

「ただ、言葉がわからなかったのはカルチャーショックでしたね。同じ日本語だからと甘く考えていたのですが、最初はなかなか方言が聞き取れなくって、会話が成立しなくて大変でした」

oosaki10 あとは、「じゃあやってみよう」という人が多いのが、大崎町の特色だという。

飲み会での話をきっかけに、住民の方が数十年ぶりにお祭りを復活させたりと、小さな動きもいくつか起きているそうだ。「活性化しなくては」というような焦りは強くないようで、みんなで楽しみながら、ゆるやかに前向きなアクションを起こしている。

「鹿児島というと南国であけっぴろげなイメージがあるかもしれないけど、田舎ですし人見知りな方もたくさんいます。最初は距離感がつかめなかったりするかもしれないけど、こっちが心を開けば受け入れてくれるので、いかに自分から飛び込んでいけるかが大事かなと思います」

oosaki11 あらためて、どういう人と一緒に働きたいかを上野さんに聞いてみました。

「もちろん、その分野での経験があればうれしいですけど、スキルには特にこだわっていないんです。それよりは、元気があって、この地域になじめそうかどうか、住んでいただく地域の方とうまくコミュニケーションがとれるかっていうのが、大切ですね」

「あとは、この町に住むことを面白がれるかどうか。サーフィンや釣りのスポットもあるし、サイクリングを楽しむ人もいる。神舞などの伝統行事もが毎年行われています。外からの目で、この町のこういうところが面白いよねっていうのを見つけていただくことが、町が元気になることに繋がると思います」

oosaki12 高齢化が進んできているとはいえ、果実や農作物などの資源も多く、ゆたかな大崎町。地域おこしについても、焦らないでゆるやかに進んでいくんだろうなと思います。「地域活性しなくては」という気負いがある人よりも、この町で暮らすことを、まず自分が楽しめるような人にぴったりかもしれません。

飲み会が多い文化らしいので、お酒が強い人だったら、地域の人たちとのコミュニケーションも楽しめそう。まずはこの夏、大崎町に足を運んでみてください。
(2015/8/17 田村真菜)