求人 NEW

伝統と変革を紡ぐ

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

実家の裁縫箱の中で、家庭科の授業のミシンで。多くの人が見かけたことがあるだろう、ダルマのマークがついた家庭糸。

この糸をつくっているのは、1901年に創業した横田という会社です。長い伝統を踏まえながら、新しいチャレンジもはじまっていました。

新しい売り方で、新しい商品を売る、営業職の募集です。

yokota_kateiito 近ごろは「手芸男子」なんて言葉も聞くけれど、個人的にはなじみの薄かった、手芸の世界。そんな僕でも、ダルマのマークには見覚えがあった。

取材前に、横田のホームページを見てみる。すっきりしたデザインで、とてもセンスがいい。

てっきりデザイン会社に発注してつくったものだと感じたところ「社内のスタッフでつくってるんですよ」と教えてくれたのは、取締役の横田宗樹(もとき)さん。企画生産部の部長、経営企画室の室長を兼務する33歳だ。

y_motoki1 「企画生産部はものをつくって商品化する部隊で、工場の管理だとか、生産の効率性だとかを見ています。経営企画室は社長直属の新しい部隊として、新しい販路も開拓するような売り方を考えています」

横田という会社は、宗樹さんのおじいさんの、そのまたおじいさんが114年前に立ち上げた。社員の平均年齢はおよそ45歳だ。

いま、宗樹さんを中心に20代と30代の力を結集して、次の世代への準備を進めている。

入社7年目の宗樹さんは、その前に不動産系の会社で営業職をつとめていた。同期の20人が4年間で4、5人までに減っているような厳しい職場だったという。

「1日3件のアポイントを取るのが目標の会社だったので、午前中に何十件も電話するような仕事をしていたんです。仕事は大変でしたが、初めての人に会うおもしろさとか、飛び込んで契約を獲得するやりがいなどを学びましたね」

担当していたリーシングのビジネスは大きな資金がからむので、営業で簡単に社長に会えるような環境だったという。

仕事の楽しさを実感しだしたころ、実家の家業にチャレンジしたらどうなるのか、やってみたいと興味が湧いたのが20代の終わりだった。

職種の違う横田に入って、ギャップはなかったのだろうか。

「以前はずっと新規開発の営業でした。横田では昔からの顧客がいらっしゃいます。ダルマのマークが積み重ねてきた信頼があるというのはすばらしいことです」

yokota_lace 「レース糸のような1個何百円という安い単価の製品が、何十人の社員を支えているのもスゴいなと思いました。この小さな糸で食べさせてもらっているんだなと」

横田が扱う商品数は、数千アイテムにおよぶ。

3分の2ほどの自社開発商品は、ダルマのマークがついたもののほか、他社ブランドとして卸すこともする。中国生産の糸を100円ショップに納品するようなスタイルもある。

「今年は為替の影響もあって海外のものは減りました。糸に関することで、お客さんが求められているものは、どこまでも探しにいこう、つくり出そうという目標はあります」

「ただ、よそがやっているものをしてもしょうがない。人気の商品を二番煎じで安く売るということはしません。誰もやってないものをやることで、新しい市場をつくれる。できれば廃盤になることなく、ダルマ糸のように長く売っていきたいと思っています」

宗樹さんのスマートフォンには、創業時からのダルマ糸の変遷がきれいな写真で収められている。

滋賀にある工場の様子も動画で見せてくれた。撮影は宗樹さんが担当している。

y_factory 「商品を買ってくれたお客さんがリピーターになってくれるように商品を開発しています。どんなに頑張って営業がお店に入れてくれても、それが店頭で売れなければ企画のせいですよね。だから、2つの仕事はお互いに力を合わせてもらいます」

「営業の仕事は大切です。定期的にいろんな店を回るので、商品が売れなかったらその理由もきいてくる。その結果を企画に伝えてもらい、また次の製品ができるんです」
 
 
ここからは、営業部の梶原(かじはら)康一郎さんに話をうかがう。新卒で入社した25歳。いま、会社の変化を感じているという。

y_kajihara1 「入ってまだ4年目ですが、まず商品のラベルが変わりました。入社当時は本当に『おばあちゃん向け』だった見た目が、自分の世代の生活にも溶け込むようなデザインになったんです」

普段の仕事について教えてもらう。

「会社の歴史が長いので得意先も古いところが多く、数十年以上の付き合いがあるところが多いです。小売店・代理店・量販店など、関西圏内を中心に50~60件を担当しています。現在の代表者は高齢な方も多いですが、世代交代が徐々に進んでいますね」

y_kajihara2 「午前中は取引先から来た注文の受注入力や、雑務をすることが多いです。データ分析から登録作業までデスクワークもこなすため、毎日外出するわけではありません」

「飛び込みではなく基本的にルート営業で、外出時は公共交通機関を使います。大きい荷物を運びまわる日には、クルマを運転します」

今年3月にリニューアルしたばかりのWebサイトは、日英バイリンガル表記になっている。翻訳を担当したのは梶原さんだ。

「大学卒業して間もないから社内では英語が少しできたほうなので、ホームページの翻訳をやったり、海外関係のやり取りをさせてもらえました。自分のやりたいと思ったことが実現できる会社です。たいした経験や知識がないのにバックアップしてくれる、すばらしい環境だと思います」

目標にするのは、横田ブランドの海外展開だ。展示会や商談も海外であるという。

「中国、韓国、シンガポール、マレーシア、タイ、基本的にはアジア圏です。手芸店はあるのに、私たちの会社の製品はまだあまりないんですね。エアコンをきかせるので、暑い国であってもウールの需要なども意外とあってオファーが来るんですよ」

自分が将来、どう営業したいかと考えたら、新しいことにチャレンジするしかないと語る。

「同じことをやっていれば良かった時代があると思うんです。でも、だんだん編みものをする人も少なくなってきました。他社よりも企画の優れた製品をつくることができたら、私たち営業部は製品をより良く売り込む方法を考え、得意先に足を運びます」
 
 
最後に、企画生産部の牧野貴子さん。リニューアルしたウェブサイトのデザインも彼女が手がけた。

y_makino2 どういうふうに商品の企画がはじまるのか、きいてみる。

「企画した商品は年2回発表されます。秋冬シーズンはあったかい毛糸が中心です。春夏だとウェアをつくる細い糸、それからバッグや帽子用の糸を企画します。7月は秋冬シーズンの発表が終わったばかりで、これから来年2016年の春夏の企画で『こんな糸ができないか』と相談しながら試作中です」

具体的に、どんなやり取りがあるのだろう。

「街中に出て行ったり、雑誌を見たりして『こんな素材が売っている、こんな色ができないだろうか』と提案します」

最近のヒット商品にはなにがありましたか?

「ベビー用の『やわらかラム』というアクリルとウールをブレンドした糸です。スゴいあったかいんですよ。以前からあった商品ですが、2年前にラベルを変えて売れていった商品です。見え方が変わるだけで、興味をもってもらえるとわかりました」

ラベルの羊の絵は牧野さんが描いた。とてもかわいい!

y_ram 「色数はいま31色あります。時期を見ながら色をリニューアルして、新しいイメージになるようにしていますね。年間を通じてお求めいただいている糸かと思います。手芸店の販売がメインですが、新しいところにも置いてもらえるようにと思って企画しています」

営業部とのやり取りは、商品をつくってからが多いという。棚に並んだとき、お客さんに伝わるようPOPなどをデザインしている。

そのほか、お店で売る300円のブックレットもつくった。

y_book 「作品の完成イメージが写真で、つくり方が編み図でわかる本です。これまで本屋には糸が売っていなく、手芸店には本が売っていない状況で、2つが結びつかなかったんですね。この糸を買えば、これができるよという本です。ブックを見てつくりたくなった、というのを目指しています」

初心者から、編み物ができる人でもおもしろい作品を目指しているというブック。材料と完成品の関係は、食材と料理の関係にも近いかもしれない。

横田のWebサイトには「糸があれば、なんでもできる」というコピーが踊っていて、とても素敵だなと思う。

牧野さんがこれまでやりたくてできなかったデザインや企画が動きはじめている。時代のニーズにも合致して、ユーザーが広がっているならいいことだ。

y_colors それを応援するのが、営業担当の役割。牧野さんは、どんな営業担当と仕事したいですか?

「やっぱり糸に興味を持ってくださって、商品のいいところを伝えてくれる方ですね。一緒に楽しもうという感覚の人がうれしいです」
 
横田には、西日本を担当する大阪本社と、東日本を担当する東京支社があり、4人ずつの営業がいる。今回募集するのは本社に赴任する営業担当だ。

宗樹さんから、あらためて採用に関してメッセージを。

「横田は58名という社員数の割に、業務が幅広いのが特徴です。工場には染めの職人もいるし、機械からつくるので整備士がいたり、プログラムする役がいたり、企画部門には編み物の先生と呼ばれる人もいます」

「営業、企画、生産、それにバックアップしてくれる人たちを含めて会社がなり立っていますから、みんなが思いやりをもって支え合っています。自分がカバーするから、という人が集まればいい会社になると思います。数年後に定年退職する人がたくさんいますから、僕たちの世代で新しい横田を準備しておきたいんです」

y_3shot 伝統を引き継ぎ、新しい夢に挑戦するタイミング。新卒の応募者も歓迎、大阪で一緒に働く仲間を待っています。

(2015/8/10 神吉弘邦)