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ウェブで実現する

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「未経験でもやる気のある面白いエンジニアを募集します。今はつくれなくても、つくりたいものがある人のほうが絶対いいです」

ウェブサイトをつくる仕事は、画面の中をつくるものだと思っていた。

でも話を聞いていくうちに、画面の中ではなく、画面の”向こう側”にあるリアルな人の行動を生み出すのが仕事なんだとわかってきた。

SONY DSC だから、エンジニアに向いているのは、技術や経験より、こんなことができたら楽しいとか、こんなものをつくりたいとか、そんな想像をするのが好きでたまらない人かもしれない。

いま、ウェブで実現したいことがなにかしら思い浮かべられる人なら、エンジニアになる道もあると思います。

今回は、未経験の人でも応募できるエンジニアを募集します。

ウェブサイトを中心に、コンセプトの立案、デザイン、開発、それからコンサルティングまで行っている「nD(エヌディー)」という会社です。

社員はたったふたり。オフィスはなく、それぞれ自宅やお気に入りの場所などで、お互いにオンライン上で仕事の進捗を共有しながら”リモート”で仕事をしています。

週に1度のミーティング以外はふだんはなかなか会わないというふたりが、千葉の南房総にある「シラハマアパートメント」というカフェ+宿で1泊2日の合宿をするというので、そこにお邪魔して話を伺うことになりました。

SONY DSC 東京駅から出ているバスに乗り約2時間。目の前はすぐ海という場所に降り立った。海沿いの道を歩き、シラハマアパートメントにたどり着く。

nD代表の中原さんと唯一の社員の宮本さんが、ふたりそろって迎えてくれた。窓からも海が望めるこの場所は、打ち合わせや合宿などで何度か使用したことがあるそうだ。

nDは、代表の中原さんが今から6年前にひとりで立ち上げた会社。まずは中原さんに、会社がどんなふうにはじまったのか聞いてみる。

SONY DSC 「12年くらい前ですが、ぼくは大学院を卒業してから、ウェブやデザインの仕事をフリーではじめました。ウェブをはじめたそもそものきっかけは、タイミングがよかったんです」

「ウェブの世界って、いまでこそユーザーエクスペリエンスとかサイトマップとか難しい単語や概念がたくさんありますが、10年前はいまよりも”荒野”だったんです。いろんなひとがガチャガチャ遊んでいるようなよくわからない状態でした」

中原さん自身も、ただ楽しくてウェブで遊んだり、目の前にある仕事をしていた。依頼は人づてに増えていった。

就職活動はせずフリーランスになり、その後会社をつくった。

拠点は都内近郊なのになぜか本社が岡山県井原市にあるのは、中原さんの実家を本社にしているから。

「ぼくの実家はすごく田舎の山奥にあるのですが、そこに突然デザイン会社ができたほうが、たとえば東京の青山にオフィスをつくるよりも面白いと思ったんです」と中原さん。

本社が岡山県にあってもみんなリモートワークだから出勤しなくていい。むしろちゃんと仕事さえしていればどこにいてもいい。

場所に縛られない仕事ってこういうことなんだと思う。

SONY DSC 「ぼくたちのようなインターネット的な仕事をしている人が、離れていても、会わなくても仕事ができる働き方を率先してできたらなって。そして、たとえば、それを知ったラーメン屋の店主がラーメン屋を離れても仕事ができる方法を考えたり、色々な職業の人が新しい働き方を考えられるようになったら、もっと楽しくなるだろうなと思います」

中原さんには何度かお会いしたことがあるのだけど、話をするたびに面白い方だなと思う。

たぶんお客さんも、ウェブサイトのクオリティーだけではなく、考え方やアイデアを求めて相談にやってくるのだろうな。

「コンサルティングの仕事も最近増えてきているんですよ。ウェブサイトをつくるときも、ぼくたちの強みは『ウェブサイトをつくらなくてもいいんじゃないですか』と言えることかもしれません」

それはどういうことでしょう?

「話を聞くなかで、今じゃないな、と思うこともけっこうあるんですよ。『プライオリティーとして、まずは別のことをしたほうがいいんじゃないですか』とか『Tumblrなどの既存のサービスで自分でつくったほうがいいんじゃないですか』とか。そこから考えられることが強みです」

「『考えられる会社』と『つくれる会社』。どちらかができる会社はたくさんあるのですが、小さくても同時に両方できる会社ってあまりないんですよ。その間をつながないと、ウェブを面白くすることはできないと思っています」

実際にどんな仕事をしているのか見せてもらった。

「たとえば、広告会社の依頼でオロナインの商品を紹介するサイトをつくりました。写真にカーソルを合わせると、オロナインの容器がくるくる回ります」

9 http://www.otsuka.co.jp/ohn/

「回るというアイデアは打ち合わせで出たのですが、実際にできるのか、本当に回ったら面白いのか、を確認するために、次の打ち合わせで実際に仮のサイトをつくって見せたんです。そうしたらすごく盛り上がって」

nDは、そんなふうに打ち合わせの段階からサイトをつくってしまうことが多いそうだ。

相手に感覚が伝わらないときは、つくって触ってみてもらったほうが話が早い。それに、問題が早めに分かるので軌道修正もしやすい。

思いついたものをすぐにつくってしまえるのも、強みのひとつだと思う。

そんなnDの仕事に、まったくの未経験から加わったのが宮本さんです。

SONY DSC 宮本さんは、ここからすこし離れた千葉の外房に住んでいて、海まで5分の場所で大好きなサーフィンをしながら暮らしているそうだ。

エンジニアというとなんとなくインドアなイメージがあったのだけど、宮本さんはそのイメージとは真逆で、肌がこんがり焼けていてアウトドアな印象だった。

宮本さんの仕事は、主にエンジニアとしてウェブサイトの提案や構築をすること。

主に中原さんがデザインを担当し、宮本さんがプログラミングをするという役割はあるけれど、その線引きは曖昧で、プロジェクトごとに異なるそうだ。

nDに入社して今年で4年目。宮本さんは、どうしてエンジニアを目指しはじめたのだろう。

「大学3年の時に就職活動をはじめたのですが、あるとき、ITベンチャー企業の社長さんが『エンジニアがいないとなにもはじまらない』という話をしていたのを聞いたんですね。かっこいいなと思って、エンジニアを目指しはじめました」

とはいえ知識も経験もなかった。エンジニア志望でエントリーシートを出してもどこも受からなかった。

たまたま来年からエンジニアになるという同じ大学の先輩にTwitter上で出会い、その人が紹介してくれたのがnDのアルバイトだったそうだ。

となりで話を聞いていた中原さんが、当時をこう振り返る。

「数年前に読んで本棚においていた、パタゴニアの創業者が書いた『社員をサーフィンに行かせよう』という本をたまたま思い出して。サーファーを雇えば、それができるなって。面白いという理由だけで採用しました」

そうして働きはじめたけれど、最初はなにもできなかった。

「『写真がスライドで動くページをつくってみて』と言われて、どうしたらつくれるのか自分で調べて考える。それでも分からなかったら質問する。ひとつできたら次は別のものをやる。その繰り返しで、ちょっとずつできることが増えていきました」

SONY DSC 途中で、無理だなと諦めたりしなかったんですか?

「つくるのが、なんだかんだで楽しかったんです」

「それから、ぼくは性格が面倒くさがりなんです。だから、自動化するとすごく気持ちがよくて。便利で楽になれるからインターネットってすごいと思うんです。初めて『Dropbox』というデータ共有サービスを知ったときに、USBを使わなくても別のパソコンとデータをシェアできるなんて!と衝撃を受けたんですね。そういうものをつくれるような技術に自分が近づいていると思うとうれしいし、努力するのが苦にならないんです」
「面倒くさがり」だからこそ、手間をかけて効率的な方法を考えられるのかもしれない。

「そうですね。効率的に、というのはいつも考えています。やっぱり仕事がリモートなので、自分で仕事をコントロールして効率的にやらないと仕事が終わらないんです。でも、サーフィンがしたいからこそ、そのためにちゃんと仕事を終わらせようと思えたり。いまでは、土日は仕事の作業はほぼやっていません。」

リモートだからこそ効率的に働ける。そんな「働き方」を提案するのもnDの役割かもしれない。

中原さんがこんな話をしてくれた。

「ぼくたちは、メールもチャットもあまりしません。電話も緊急じゃない限りかけません。というのも、お互い仕事に集中しているときに連絡が入ると、せっかくいい調子でやっていたのに、その集中が切れてしまうんですよ」

「だから、いろいろなプロジェクト管理ツールを使ってお互いの仕事を共有しています。社内ツールも自分たちで開発していて、いまVer.4です。Apple Watchを買ってアプリをつくって、それでお互いのステイタスを管理しているんです」
SONY DSC 自分たちだけしか使わないアプリだから、ステイタスの項目に「仕事」と「遊び」が半分ずつあるのもおもしろいところ。

ほかにも、椅子に座らずに立って仕事ができる特注の机をつくり、それを自分たちで使ったり販売したりもしているそうだ。

ウェブの技術にとどまらず、自分たちの働き方を日々アップデートしているのがすごい。ゆくゆくは、そういうリモートな働き方に関わる相談も増えてくるかもしれない。

最後に、一緒に働くのはどんな人がいいか、ふたりに聞いてみた。

「なにか自分の軸を持っている人がいいですね。それがインターネットと全然関係ないほうが面白いかもしれません。たとえば、格闘技とか農業とか、将棋とか、何でも」

「その方がなにか自分の取り組みをして、インターネットを使ってしたいことがある!と思っていたら、それをウェブサイトやウェブサービスで何ができるかか考えることもできると思います。受注の仕事だけではなく自分たちのサービスもこれからつくっていきたいと思っているので」と中原さん。

エンジニアの経験は、なくても大丈夫ですか?

「大丈夫です。ぼくも何もできなかったので。インターネットの技術はどんどん変わっていくので、ぼくくらいには、すぐ追いつけると思います。なにより、つくりたいという気持ちがある人がいいです。技術は教えられるけれど、つくりたいという気持ちは教えられないので」と宮本さん。

SONY DSC もしなにか自分の軸をもっていたら、それをインターネットと掛け合わせてどんどん広げていけると思う。

nDの3人目の仲間として、そんな人が求められています。仕事だけではなく自分の生き方もウェブで実現してみませんか。

(2015/09/17 笠原名々子)