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これでいいのだ

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「基本的にDIYなんです。お金で解決しないほうができることも増えておもしろいと思うんですよね。稼ぎ方と使い方の実験をしながら、みんなの幸福度をどう上げるかを考えています」

株式会社モノサスはWebマーケティングと制作を中心に様々なサービスを展開しています。

東京と大阪、徳島の神山、そしてタイに拠点を展開して、さまざまな働き方と暮らし方をしているスタッフのいる会社です。

今回はタイでWebディレクターとして働く人を募集します。Webの知識や経験がなくても、勉強する機会も用意されています。海外で働いてみたいと考えていた人にはチャンスかもしれません。

  

代々木駅から歩いて7分ほど。今回はモノサスの本社に伺った。

カフェのように落ち着いた佇まい。ここであっているかな、と中を覗いてみるとスタッフの方が声をかけてくれた。

m10 出迎えてくれたのは代表の林さん。林さんの話はたのしいだけじゃなくて、芯が通っているから聞いていて心地よい。

「経営者として、会社の中にいる人たちの幸福度をどんなふうに上げるかが1つの研究テーマなんです」

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 「幸せってすごく主観的なことなんですよね。本人が幸せだと思ったらそれでいい。それはどういう状態かと考えたとき、今のところの結論は、バカボンのパパの『これでいいのだ』なんです」

物語にはさまざまなハプニングが起きるけれど、最後は「これでいいのだ」と言える状況に落ち着く。紆余曲折あったとしても、最終的に笑顔になれたら確かに幸せかもしれない。

「働き方研究家の西村哲佳さんは『働き方』と『暮らし方』という言い方をしますけど、僕はそれを『稼ぎ方』と『使い方』だと感じていて。会社で稼いだお金をプライベートで使うじゃないですか。そのバランスが大事だと思っているんです」

まずは「稼ぎ方」について聞いてみる。

「やっぱり、きっちり働くしかないっていうのが結論です。真面目にがんばって働く。その中にも効率的なやり方があって、稼げない人が稼げるようになることに価値があると思っています」

林さんは大手のコンサルティング会社出身。ご自身の言葉をかりると「死ぬほど働いた」時期が4年ほどあった。その中で、ちゃんと働けば稼ぐことができる、と感じるようになったそうだ。

「Webの業界って2、3年である程度稼げるようになります。けれどクリエイターのポジションを続けたいのであれば、一部の有名人を除けばどこかで年収が頭打ちになるんです」

結婚ができないから、子どもが生まれるからという理由で、この業界を離れる人も少なくないそうだ。

monosus - 2 「会社としては2つのことをやらないといけないと思っていて。1つはもちろん稼ぎを増やすような仕組みをつくること。もう1つはお金の使い方について効率を上げること」

使い方、ですか。

「プライベートなことなので会社がタッチしないほうがいいいんじゃないかという考え方もあります。でも実はそっちが上手になってもらわないと、満足度も上がらないと思っていて」

もちろんお金がたくさんあるに越したことはない。けれど、稼げば稼ぐほど幸せになれるんだろうか。

使い方がうまくなれば、そんなにお金が必要でなくなるかもしれない。そんなに稼ぐ必要がなければ、生き方の選択肢が広がる気がする。

「たくさん稼いでたくさん使うのも生き方だし、ちょっとしか稼がないでちょっとしか使わないってこともある。そのバランスが取れることが、幸福度を上げる大切な要素なんです」

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 使い方を工夫するための方法はDIY。

稼いだお金を上手使う。自分自身でやれば、お金で解決しなくてもできることは多いという。

「僕、料理をするんです。おいしいものを食べようと思うと、高いお金を払わないといけない。けれど自分で調理の技術を磨けば、少しの材料費でもけっこうおいしいものが食べられるじゃないですか」

先日開催された社員旅行も、すべて自分たちで準備をした。

「無人島に行きたい!」という意見を実現するために、飛行機・宿・バーベキューなどの用意をすべて自分たちで行った。めんどうくさいことばかりだけれど、自分たちで考えるからこそできる贅沢もある。


とはいえ、生活するのには家賃、食費など、お金は必要なもの。上手な使い方を実践するために林さんが考えたのは、住む場所の選択肢を用意すること。

「東京にいれば家賃も高いし食費もかかる。でも神山とか行ったら家賃2、3万円で一軒家に住めるんですよ。タイも物価が3分の1くらい。それってすごく可能性のあることじゃないかなって」

今タイで働く宮川さんに、スカイプを通して話を聞くことになった。

遠慮がちに話をする宮川さん。画面を通してだけれど、きっと優しい人なんだろうなと思う。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 宮川さんは前職でテレビ番組のアシスタントディレクターをしていたそう。けれど仕事が続かず、なにもしていない時期があった。

「なにか手に職をつけようと考えて。偶然Web業界で働く方のドキュメント番組を見ておもしろいなと思ったり、友人に几帳面な性格がコーダーに向いているって勧められて。この会社に最初はアルバイトとして入りました」

それまでやったことのない仕事。大変なことはなかったんだろうか。

「なにもせず逃げていた時期に、いろいろ悪い方向に進んでいった気がしたんです。だから前に進む以外の選択肢はなかった。元ニートからタイ勤務になるっていう状況を楽しんでいるところもありますね(笑)」

monosus - 3 東京で3年ほど働いたころ、林さんから「3ヶ月くらいタイに行ってみないか」と声をかけられた。少しの間のつもりだったけれど、子会社を立ち上げることになり、結局タイでの生活が続いている。

憧れの海外生活、というわけでもない様子。

「海外で暮らしたいとか、僕まったくなかったんです。でも実際に来てみると、すごく狭い価値観の中にいたことを実感しました。あらためて日本のよさに気がつくこともあります」

タイの新しいオフィスは中心地から少し外れたところに移ったばかり。内装工事を進める中で、タイの価値観をいやというほど学ぶことになった。

「お金さえ払えば不動産の契約も日本語でできたし、日系企業に頼んだりしてスムーズに進んだと思います。でもあえてローカルなやり方で、物件のオーナーさんに紹介してもらったデザイナーと施工会社さんにお願いしました。そしたらやっぱり日本人が考える品質基準とは違うところがあるみたいで」

たとえばテーブルの木材。オイルを塗って仕上げることになっていて、現場でも念を押したら「わかってる」と答えが返ってきた。

実際にできあがってみると、どう見てもオイル仕上げではない。改めて確かめると「オイルだ」と答えが返ってきたものの、見せてもらったら缶には”ラッカー”と書いてあったそう。

「でも、そこで本当に使ったラッカーの缶を持ってくるのが愛すべきところですよね。そこは嘘つかない、悪気はないんですよ」と林さん。

今では笑い話だけれど、毎日そんなことが起こる現場にいた宮川さんは大変だっただろうな。

「僕すごくポジティブなので。結果として、日本の品質基準の高さやタイでの価値観を学べたからよかったですね。あと、現場監督の仕事ができるスキルが身についたと思います(笑)」

monosus - 1 ふたたび、代表の林さん。

「楽しめる人がいいよね。お金を払えばこういう目には合わないけれど、タイのコミュニティに入って、タイ人と仕事する。たくさんお金を払っても自分にはなにも残らないんです。一生お金を払い続けるんじゃなくって、プロセスを楽しみながら生きる力をつけるというか。宮ちゃんにとって現場監督が楽しかったかわからないんですけどね(笑)」

なんだか騒々しくも楽しい日々が想像できる。

「仕事は日本からの依頼されたものなので、普段Webディレクターとして働くのにそんな苦労はないと思いますよ」

タイのオフィスではコーディングを行うタイ人スタッフに指示を出しながら、Webディレクターとして働くことになる。

「Webサイトって普段から使うものですよね。だから自分の生活とかけ離れているわけでもない。パズルを組み立てるような、プラモデルをつくるのと似た感覚があります。平面でできたデザインが、コードを書くと実際に動き出す。つくっている行為自体もおもしろいですね」

「僕らは“コーディングファクトリー”というビジネスを展開しています。割と工場生産的につくるんです。それって突き詰めると日本のものづくり、職人の仕事なんですよ。どちらかと言うと、長く続く関係の中できちっとした仕事をしていきたいですね」

どんどん新しい技術が出てくるから、それを探求していけるような人がいい。経験のある人は、すぐにでもタイに行って働いてもらう予定だ。

経験はないけれどこれからチャレンジしてみようと思う人なら、まずは神山でスキルを身につけることになる。

「週4日はひたすらコーディングの訓練をしてもらいます。でも僕らがコーディングを教えているだけだと、だたの消費者になってしまう。ちゃんと神山で生活しないと、神山でやっている意味がないかなって」

徳島県の神山は周りを山で囲まれる町だけれど、ここはアーティストやクリエイターなどが世界中から移住者が集まっている場所。週1日は先日の募集を経てはじまった「神山塾」のメンバーに加わる。地域の中で活動をして、いろいろな価値観に触れることになる。

神山塾のメンバーと同様に、1ヶ月は合宿のようにみんなで暮らすそう。すでにはじまっているプログラムなので、タイミングが合えばすぐに受け入れることができる。

monosus - 4 どんな人と働きたいですか。

「来てみないとわからないことも多いです。心配よりも、ワクワクできる人がいいですね」

「僕らは贅沢な暮らしに憧れているわけじゃない。文化的な暮らしが豊かだと考えはじめている人も少なくないと思うんです。タイはのんびりしているけど、伸びていく国の雰囲気と生活のしやすさがあって。海外生活の入門編としてはいいと思いますよ」

OLYMPUS DIGITAL CAMERA はじめてのコーディングとWebディレクション、神山での生活、そしてタイへの移住。多くの変化の中で、きっと大変なことも出てくると思う。けれどなにもしなければ、なにもはじまらない。

自分がどんなや暮らしをすると幸せなのか、想像してみてください。モノサスのやり方がフィットしそうだと思ったら、それが冒険の第1歩になるかもしれません。

(2015/11/18 中嶋希実)
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