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ハッピーが伝わっていく

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「熱いうちにどうぞ」

すすめられて、ふわふわのパンケーキを一口頬張る。口に広がる優しい甘さに、なんだかほっとする。

美味しくて、うれしくて思わず笑顔になってしまう。

rainbow01 レインボーパンケーキは、原宿にある行列の絶えないパンケーキ屋さん。素材にこだわり、日本人の味覚にあった優しくほっこりとした味のパンケーキで訪れる人たちを笑顔にしている。

だけど、たくさんの人がここにやってくるのは、ただパンケーキがおいしいという理由だけじゃないように感じる。

忙しい中でも、目の前の人のことを思いやりながら働く。そんな気持ちが伝わってくるから、また来たくなるんじゃないかなと思う。

rainbow02 人と人とのつながりをとても大切にしているお店です。一緒に働いていく人に対しても、その想いは同じ。

将来は自分のお店を持ちたいと思っている人や、まだやりたいことを探している人も。ここで働きながら、その夢や目標を共有し、応援していきたい。代表の岩城大さんと知春さんご夫婦は、そんなふうに考えています。

思いは隣の人のしあわせにつながっていく。そんな場所だと思いました。


地下鉄明治神宮前駅から歩いて5分。古着屋さんや美容室が並ぶ路地を抜けて少し行くと、夜でも一際目をひく虹色のラインが見えてくる。2階に店舗、1階には予約制の個室があるのだそう。多いときには階段の下まで行列ができる。

rainbow03 2階に上がり、まずは岩城大さんにお話を伺う。明るい笑顔が印象的で、話しているとこちらまで元気になるような方だ。

旅好きで、もともとは大手通信会社でマーケティングの仕事をしながら、バックパッカーとして海外をまわっていた。

rainbow04 旅先のハワイでパンケーキに出会ったのは今から14年前。日本にパンケーキブームがくるずっと前のこと。

「当時からパンケーキ屋さんはあって、日本人の女の子たちで行列ができていました。みんなわくわく笑顔で、パンケーキが出てきたらうれしそうに写真を撮ったりしてね」

「それを見て、パンケーキってこんなにも人をハッピーにする、ポテンシャルがある食べ物なんだと気づいたんです。日本ではじめたらきっとみんな喜んでくれるんじゃないかなって」

パンケーキに可能性を感じながらも、仕事が楽しかったこともあってそのままになっていた。だけど昇進して地方への異動が決まったことをきっかけに、ふとパンケーキのことを思い出す。

「将来に悩んでいたときに、そういえば数年経つけれどパンケーキはまだ日本に広まっていないなと気づいて。それなら自分がパンケーキ屋さんをやってみようと思いました」

不安はなかったですか。

「経験もない世界に飛び込んだから、まわりの人たちには大反対されましたよ。でも僕は『パンケーキは絶対くる!』と確信していたし、文化としてのパンケーキを日本に広めたいと思ったんです」

文化としてのパンケーキ。

「当時“ホットケーキ”はあったけれど、子どもの食べ物という印象が強かった。それを払拭して、大人が食事としてもスイーツとしても食べられるようなパンケーキを、日本の食文化に提案したい。そんな想いでお店をつくりました」

rainbow05 「海外で食べたパンケーキはボリューミーで味が大雑把というか。食べているとだんだん疲れてきてしまうんですよね」

低脂肪のミルクを使ったり、バターを使わずに生地をつくったり。いつでも食べたくなるような繊細な味で、からだにも優しく安心して食べてもらえるよう工夫した。

研究を重ねてオリジナルのパンケーキが完成。2011年にレインボーパンケーキをオープンする。

rainbow06 「最初は3人くらいでお店のことをすべてやっていました。手際も悪いし、一度にまとめて焼く技術もなかった。30分以上お待たせしてしまうこともありましたね」

少しずつ技術も改良し、今では幅広い年齢層の方が来てくれるようになったという。

「最年長のお客さまっていくつだと思います?」と岩城さん。

日本にパンケーキブームが来たといっても、あまり年配の方が食べている印象はない。若い人がお母さんを連れてきたりするのかな、と思い「60代くらいですか」とこたえる。

「正解はね、97歳」

思わず「97歳!?」と声が出てしまう。近所に住んでいるおじいさんで、杖をつきながら一人でやってきたそうです。

「『息子がおいしいから食べたほうがいいって言うんです』と話してくれて。自分たちのお店を通じて人の輪が広がって、食べにきてくれたお客さまと作り手もつながっていく。そういうつながりから気持ちがダイレクトに伝わる感覚がすごく楽しいし、やりがいですね」

今ではお店で働く人の数も10人になった。東京はもちろん北海道や九州など、いろいろな地域から人が集まっている。

「洋服が好きで東京に出てきて、洋服屋になりたいと思っている人や、もともと常連さんだった子もいます。会社員をしていたけど、カフェで働きたいと来てくれたんです」


高梨さんも、2年前に夢を持ってここにやってきた。今ではホールマネージャーとして、ホールもキッチンも両方こなす。

rainbow07 「僕は自然や海が好きなので、将来は自然に溶け込んでいるようなカフェをつくりたくて。次の休みには、アメリカの西海岸でカフェ巡りをしようと思っています」

「もともとはお客さんとしてきていたんです。働いている人たちがすごく楽しそうで、お客さんも嬉しそうで。ハッピーがいっぱいある場所なんだと感じました」

ほかの飲食店で働いていたけれど、自分の夢のためにもご夫婦で経営しているこのお店で働きたいと思ったそう。オーナーと近い距離で、経営からお店づくりまでさまざまなことを学ぶことができる。

rainbow08 「だけど想像以上の忙しさに、最初はギャップを感じましたね」

体力勝負な一面もあるし、人気店だからこそ次々とお客さまがやってくる慌ただしさに、余裕がなくなってしまうこともある。

「『いかがでしたか』とお声がけをしたり、盛りつけも本来はもっと丁寧に完璧にできるかもしれない。だけど忙しくなると100%の力でやっているつもりでも、やりきれないもどかしさがあります」

お客さまに喜んでほしいという気持ちが強いから、葛藤も大きくなる。そんなときにはチームで解決するよう心がけているという。

「閉店後に『今日あのときうまくいかなかったのはどうしてだろう?』と意見を聞いて、みんなで話し合います。気兼ねなく、仕事が終わって飲みながらということもしょっちゅうです」

「そうやって一つひとつ話していくと、それぞれが考えていたことが共通意識として芽生えて、動きがすごくスムーズになるんですよね」

rainbow09 指示を待って何かをするのではなく、自分たちで考えて次はこうしてみようと提案していく。そんなスタイルでお店がつくられている。

「大さんと知春さんは、考えを話すと『じゃあやってみよう』と言ってくださるんです。そこはすごく働きやすい環境だなと思います」


下の個室にパンケーキを運んでいた知春さんにも、合間をぬってお話を伺う。知春さんは岩城さんをサポートしながら、ホール全般を担当している。

rainbow10 みなさんにとっては、なんでも相談にのってくれる、優しいお姉さんのような存在なのだそう。

ホールスタッフとして日々お客さまに一番近い距離で接する知春さんは、どんなところにやりがいを感じているのだろう。

「お客さまと心が通ったときが一番楽しいし、うれしいですね。パンケーキでハッピーになってもらうことはもちろん、気遣いやお声がけでさらに付加価値を生み出すというか」

今では常連さんになったという、一人のお客さまの話をしてくれた。

「予約時にチョコペンでプレートにメッセージを書いてほしいと依頼を受けたんです。メッセージは『いってらっしゃい、◯◯ちゃん』というものでした」

いってらっしゃいってどういうことだろう?と思いながら、言われた通りにメッセージを書いて用意をした。

「当日、乾杯をしているときにキルギスにいくという話が聞こえてきて。どんなところか調べたら、見慣れない国旗が出てきたんですよね。それをお子様ランチに刺さっているような旗にして、パンケーキにつけたんです」

海外に行くことはこの会を開いた方も知っていたけれど、キルギスに行くとは当日まで知らなかったという。

「主役の方がキルギスの国旗だと気づいて。『私が行くからつけてくれたんですね』ってすごく喜んでくれたんです」

「それ以来予約をしてくれた方も、何度もきてくれるようになりました。今ではうちのお店のパンケーキへのこだわりを、私たちに代わってお連れの方に話してくれるんですよ(笑)」

些細なことかもしれないけれど、主役の方や会を開いた方の気持ちを想像しながら、そっと後押ししてくれる。そんな知春さんの心遣いがすごくうれしかったんだろうな。

「キルギスに行くことを私は知っていたけど、ただいってらっしゃいって思っているだけじゃ伝わらなくて。思ったらすぐに行動にうつした方がいいと日々感じています」

「恥ずかしがらずに、失敗しても関わりをもってみてほしいです。虹のお店なので、ここが人と人とのつながりや何かのきっかけになって、ちょっとでもいい気持ちになったり、うれしさを味わってもらえたらいいですね」

最後に、知春さんはどんな人と一緒に働きたいですか。

「明るくて、お客さま一人ひとりに興味関心を持ってくれる人かな。たとえば二人で来たときに、前からお友達で仲良くきているのかな、久しぶりに会ったのかなと想像してみる。そういう気持ちで接客してくれたらいいですね」

バタバタしているときでも自分できっかけを見つけながら、人と接することや笑顔にすることが好きだと感じられる。そういう人ならきっと楽しく働けると思います。

岩城さんはどうですか。

「夢を持っている人や探している人がいいですね」

夢を持っている人。

「その人が夢や目標にむかって頑張ることで成長して、結果的にお店もハッピーになる。そんな正のスパイラルが描けたらと思っています」

「逆に夢がない人はここで働いて、お客さんともつながりながら新しい可能性に気づいたり、発見ができればいいんじゃないかな。僕もいつでも相談にのります」

自身も強い信念を持ってゼロからお店を立ち上げるという経験をしてきた岩城さんと知春さん、それぞれ夢を持って働くスタッフのみなさん。そんな人たちと働くことはとても良い刺激になるんじゃないかな。

rainbow11 「そのためにも、今目の前の仕事に謙虚な気持ちを忘れずに向き合っていく。そんなふうに今を一生懸命生きようと思っている人と僕も一緒に頑張っていきたいです」

気になったらまずはお店を訪ねて、そこで働く人たちから生み出されるたくさんのハッピーを感じてみてください。

(2015/12/23 並木仁美)