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「ど真ん中」をゆく

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

地域を元気にしたい。

そんな思いは、どんな仕事で叶えられるだろう。

デベロッパーとしてまちづくりに携わる。役所に勤めて地域を支える。地産品を使った料理屋をはじめる。

きっとどの仕事でも、地域に貢献できると思う。でも、大きな組織だと個人の思いは優先されないし、自治体ではやれることが限られている。

今回ご紹介するのは、地域活性化の「ど真ん中」をいく仕事です。

kokusan01 国産株式会社。

地域産業のマーケティング支援や地域コーディネーターの育成支援、社会解決型の事業提案など、地域活性化に関わる新規事業の企画・開発を行っています。

日本全国の地域で求められている、ありとあらゆることをやっているような会社です。

そんな国産に加わり、地域の橋渡し役となって日本全体を一緒に元気にしていく人を募集します。

 
東京・多摩市。

通りには車が多いけれど、どこかのどかな空気感のあるまち。多摩センター駅から歩いて5分ほどで、国産のオフィスに到着した。

kokusan02 迎えてくれたのは代表の影山さん。

ものすごく喋りやすい人だなあ、というのが取材しているときの印象だった。聞くときはじっくり聞いてくれるし、話すときは笑いを交えて話してくれるような方。

kokusan03 「ここがオフィスだって、すぐに分かりました?」と影山さん。

実は、1階に飲食店が入っている建物だとは思わず、一度通り過ぎていた。

取材でこのあたりに来ることってほとんどない。どうして多摩にオフィスを構えたのだろう?

「多摩というエリアが良いなって。大学が近いから良い具合に若者が多くて、シニア層もいる。落ち着いた雰囲気で良いんですよね」

「創業して3年は浜松町にいたのです。地方からのアクセスが良いからって思っていたけど、自分がオフィスにいることが少ないから家賃がもったいないなって。基本的に自分から出向く仕事なので」

6次産業化促進支援、地域ブランド戦略の構築、市場開拓、店舗開発、郷土料理の普及活動などなど….

影山さんは日本全国の地域を舞台に、地域活性化につながる様々な仕事をしている。

「うちは単なるコンサル会社ではなくて。地域活性化のために東京と地域をつなげていくなかで、出口となる売り場を持っていないとやっぱり地域の方に説得力がない。うちは自社商品があって、週ごとに取引先から注文が来るのですよ。だから商社みたいな会社でもあって」

「最近は説明型の商品って多くなりましたけど、こだわりをうまく伝えるために有名なシェフに代弁者のように語ってもらったりとか。うちはシェフとのネットワークを持っているので、飲食店でのイベントをコーディネートさせていただくこともあるのですよ」

kokusan04 国産の様々な取り組みは、大きく3つの事業に分かれる。

1つは、地域産品のトータルプロデュース。企画から販路開拓まで、一貫したマーケティング支援活動を行っている。

もう1つが、社会課題解決型の事業化支援。たとえば低・未利用の農林水産物を利活用して、「もったいない」を解消する活動を実践し、日本固有の種を守るなど、安全な国産食材を生活者に普及する活動をサポートしている。

最後が、教育事業。若い世代と一緒に地域を盛り上げるために、若者向けの実践型プログラムや子ども向けの体験学習プログラムを行っている。

「うちのクライアントの半数以上は、市町村さん。しかも政令都市ではない、マニアックな地域。都市圏は大きな代理店さんやプランナーさんが入っているので、僕がいくのは『このまち知っている?』っていうようなところ。そういうところを活性化できていくとワクワクするのです」

最近はどんな地域と仕事しているのか聞いてみると、やっぱり聞いたことがないような場所。

規模や地理的な難しさもあるから同業者がいなかったりするのだと思うけれど、どうして影山さんはそういった地域でやっていけるのだろう。

「たぶん、これまでずっとマーケティングをやってきていろんな業界を見ているので、あっちの業界で良いなと思ったのをこっちに当てはめてみたりとか、横をつなげて提案することができるのですよね」

「好奇心も強いからいろんな観点から物事を見て、業界の固定概念をぶちこわすような妙な組み合わせをつくるのが、人より長けているというか」

島根のとある地域との取り組みでは、農家と首都圏のフィットネスクラブを結びつけて、フィットネスクラブでご当地野菜のマルシェを開いたそう。

「それと、ライフスタイルを盛り込むことを意識して提案しているのです」

ライフスタイル?

「都会の人からすれば、地方は非日常。観光ならそれでいいけれど、特産品を買ってもらうには日常生活に根付かないと、ものって流れていかなくて」

「だから、希少だとか特別とかの売り文句を探すのじゃなくて、ライフスタイルのどこに当てはまるかを考えてみるのです」

kokusan05 そう話しながら、影山さんがある雑誌を見せてくれた。長野県の飯田市で影山さんがプロデュースした企画だ。

「飯田市は野沢菜の生産量が全国1位。でも漬け物や味噌ってどこでもあるよねと。自然も豊かだけどそれじゃ弱いし、長野でもすごくアクセスしにくい地域。どうブランディングしていこうかと」

「今ってどこでも日帰りできるから、朝と夜に目玉がないと、観光に来るお客さんは泊まってくれないのです。それで飯田市で朝市をやっていたから朝のほうに注目して。ちょうど市の食育担当の方が『朝ご飯を食べない若者が増えている』っていう問題意識を持たれていて。そんな話から“朝飯田”というコピーをつけて、朝5時からはじまるツアーをやったりして(笑)」

影山さんはこのとき、既存の朝市のリニューアルも提案したそう。小規模で点在していた朝市をまとめてイベントのように。そこで食材を買ったお客さんは近くの旅館で調理してもらえるような仕掛けもつくった。

「フードコーディネーターさんにレシピもつくってもらったりしてね。協議会をつくって、地域みんなと一緒になってPRするとか。いろいろつなげて仕掛けないと、モノだけってなかなか買わないものですよね」

kokusan06 きっとこれが食のプロだったなら、朝食メニューの企画だけで終わっていたかもしれない。

様々な分野でのマーケティング経験があるからこそ、自在に組み合わせてつくった新しい提案ができる。

「ほんとうのプランニングってそういうこと。“全体最適”なんですよね」

全体最適?

「物事には必ずトレードオフの関係ってあると思っていて。たとえば、僕は学生のころ環境について学んでいたのですけど、割り箸とプラスチック箸、どちらを使ったほうが環境に良いのかなんて答えがないのですよ。一方はゴミが大量に出るし、一方は洗剤を使って排水を増やす」

「正解があるわけではないっていうなかで、全体を最適にすることを考えなきゃいけない。その考えが原点にあるからこそ、いろんなものを組み合わせて、いろんな人を巻き込みながらやっていこうという発想になるのかもしれないですね」

全体最適なプロデュース。決まった手法はなく、どんな地域でも考えることができる。

「現地には必ず行きます。現地の交流会や集まりで人と話して“人の掘り下げ”をする。それで、折角のご縁でつながったのだから、その人と一緒に何かできないかと考えてみるのですよ。で、僕の場合はまずやってみるのです」

「考えているだけでは進まないので、小さいものでもいいからテストケースをやってみる。交渉して宿題をもらったら、迅速に対応する。その対応力があれば、自ずと良い商品ってできていくのです」

kokusan07 どんなことを提案するか。影山さんは頭をひねりながら生み出しているというよりも、「これ面白そう!」と楽しむように企画している感じ。

「『よくそんなにアイディア湧くね』って言われるんですけど、純粋に好奇心なのですよ。やっぱり自分がわくわくすることを提案しないと、人も巻き込めないですから」

「引き出しを増やすためにも、日頃からトレンドをチェックして。現場ではしっかり観察して、何ができるかを地域の方々と一緒に考えるのがポイントです」

うまくいくまでは経験の積み重ねが必要な仕事だと思う。

「すぐにはできないですよ。大事なのは、自分の意見をちゃんと持てるか。自分の意見を持っていれば間違えてもいいのですよ。答えはないので」

今回募集する人は影山さんがやっているプロデュース事業に加え、これからはじまる通販事業を一緒につくりあげてほしいという。

これまでは地域の橋渡し役として、プロデュースした商品を宅配会社などに卸していた。

今後は自社で販売を行う媒体を持つことで、地域の力になる選択肢を増やしていく。

「まずは、一手間かけてより良い生活を送る『熟成生活』をテーマにネット通販をやっていこうと思っています。食べものの熟成って、一手間かけることで旨味が生まれる。生活にも一手間かけることで、自分らしさにつながったり、自分のゆとりになったりする。そういうのって強い生き方だと思うのですよね」

「ここ1年間、薬膳やスローライフの勉強を続けてきたので、これをもうちょっと広げてネット通販の新規事業にも含めて。DIYできる雑貨をプロデュースしたり、有名シェフと連携した仕事に繋がるフードビジネスのスクール活動もやろうと思っています。コンテンツは今いろいろ集めていて、どんな形の媒体や事業が良いのか、一緒に考えていきたいです」

商品のストーリーや国産の取り組みなど、いろんなことを伝える媒体になるだろうから、表現が得意なクリエイターに来てもらえるとうれしいという。

「たとえ経験がなくても、うずうずして、新しいことにチャレンジしてみたいっていう人に来てもらいたいですね。そのほうが僕も刺激もらえるし。新規事業に興味あって、将来独立したいっていう人も良いですね」

kokusan08 ここで経験を積めば、どの地域でも活躍できる力が身につくのではないだろうか。

大手コンサル会社や中小企業診断士とも違う、様々な分野を横断する全体最適型の提案。これこそが日本全国で求められていることなのだと思う。

地域活性化の「ど真ん中」をいく仕事です。

(2016/01/19 森田曜光)