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思い出添えるカフェ

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

遠い場所へ足を運んだとき、景色や観光以上に、人との出会いが思い出につながるときがあります。

そして、その地で食べた料理が人を幸せにし、笑顔にするときも。

何気ない言葉のやりとりが、頭のなかに心地良く残る。はじめて訪れた町なのに、美味しい料理を口にした途端、安心できる。

m-01 そんな体験に出会えるカフェレストランが長崎県の波佐見にあります。
名前はmonne legui mooks(モンネ・ルギ・ムック)。
ここで一緒に働くカフェスタッフを募集します。
 
長崎県東彼杵郡にある波佐見町。福岡空港から電車に乗り継ぎ、となり町にある有田駅へ向かいます。
駅で迎えてくれたのは、オーナーの岡田さん。
「お店へいく前に、波佐見のまちを案内します」といって、いくつかのお店を案内してもらうことに。
「波佐見はかつて、日本の生活食器として大量生産を得意としてきたんです。ただ、世界中で大量生産が容易になったときに、職人の仕事が減ってしまって。そんなとき、この町にある技術にデザインの力が加わることによって、日本の生活食器の魅力を幅広い世代に伝えることが出来たんです」

以前日本仕事百貨で紹介した東京西海さんも、その担い手のひとり。困難を乗り越えて今の波佐見があります。
しばらく進むと、陶器のお店「マルヒロ」が見えてきた。すべての工程が手作業ゆえに、焼きあがった際に生まれてしまう廃棄物を利用してつくられた空間は、まさにこの町の可能性を体現しているようでした。
m02 途中、さまざまな場所を案内していただく先々で気づいたことがあった。

それは、いろいろな人が気兼ねなく挨拶や会話をしているということ。

「波佐見の人はみんな人間味があるんです。町ですれ違うおばちゃんやおじちゃんはみんな挨拶するのが毎日当たり前で」
岡田さんは理由をこう説明する。
「この町って今の日本に失われている『結の文化』が普通に残っていて。僕は人間性こそこの町の良さであり、財産だと思っているんです」

「人に会うってことはすごい心に残ることで。なんか良いと思った人の場所って、何回も足を運んだりするんです。多分、この町にもそういう関係が成り立ってるんですよね」

一見したら日本の地方によく見られるような、静かな田舎町なのかもしれない。

けれども、波佐見に住む人や伝統、生活は若手の活躍や、それを受け入れる地域の方の柔軟性によって静かな熱気にあふれていました。

m03 最後に案内していただいた場所は『西の原』という製陶所の跡地を改築したエリア。この入り口にモンネルギムックはあります。

そもそも、どうしてこの建物に出会えたんでしょうか。

「日本をずっと旅していたのですが、工芸品の産地を回れば日本の歴史と文化がわかるだろうと思い、染物・織物・漆・紙・吹きガラスといった名産の地をまわっていたんです」

そんなとき、ふと九州にいた友人から、ある物件を見にこないかと声がかかる。

「それがちょうど九州に足を乗せたタイミングで連絡があったんです。こんなタイミングはないなと思ってすぐに『行きます!』と返事しました。そうして出会ったのが、この場所だったんです」

m04 「この建物がまとう雰囲気に圧倒されましたね。ちょうどそのとき日本各地をまわっていて、地方で何かできるんじゃないかっていう希望を見出していて。この風景も残したいって思ったんです」

その思いがかたちになったかのように、店内を覗くと静かな田舎町にあるとは思えないほど多くの人で溢れかえっていた。

いまでは雑貨屋をはじめ、輸入食材屋、おにぎり屋、自家焙煎のコーヒー豆店、焼き物屋、ギャラリーが立ち並ぶようになった『西の原』。イベントや展示もおこなわれている

m05 お店が落ち着くまで、ご飯をいただき、ゆっくりすることに。
店内を見渡すと、スタッフの方々が、実にさりげなくお客さんに声をかけている。

当たり前のように話をしてくれると、なんだか自分を受け入れてくれたような気がして、とても心地よい。

一息ついて、あらためて岡田さんに話をうかがう。

m06 「23歳のころから、東京の赤坂にある『AUX BACCHANALES』でフレンチを学んで。その後、ケーキづくりに興味があったので、フランスで一ヶ月くらい現場を見に行ったんです」

そのとき、興味をもったものがあった。

「日本と大きく違ったのが、粋なサービスだったんです。なんていうか、不意にこっちがうれしくなるようなことをしてくれることがほんと多かったんですよ」

「もてなし方って、日本は綺麗にまとまっているけど、表面的な気がしていて。『ありがとうございました』と『いらっしゃいませ』を言って終わりにしてしまっている人が多い気がするんですよ」

たしかに日本のレストランや飲食店は、料理を運んだら終わりという場所が多い気がする。

ご飯ひとつに注目してみても、食材をつくる人がいて、それを調理する人、運ぶ人がいて。そして、調理した食を盛り付ける器があり、いただく空間がある。

料理の説明やもてなし方を聞くと、そんな丁寧さに気付かされる。

「でも、ここはご飯を出したら終わりにはしたくないんです。食を通じて会話が生まれたり、出会いになるように心がけているんです」

不定期にライブやパフォーマンスもおこなわれるムックは、ここで出会ったみんなが繋がっていく場になっているのだと思う。

m07 そんなmonne legui mooksも、今年で10年が経った。

「今、長崎にはそんなふうにがんばっているお店が結構あるんです。新しく立ち上がるお店もすごく緊張感がある。そうした環境の中で根本的に変わった考えが、とにかく何でもがんばっていいんだと思ったことです」

たしかに普段の生活のなかで何をするにしてもがんばるとかっこ悪いというような空気を感じるときがある。

周囲からどう見られているかを気にする自分がいるのかもしれない。

「気負うことなく生きている感じがして、これでいいなって思います」

m-08 素直に頑張れる働き方がここにはあるのかもしれない。今回募集する方は、どんな関わり方になるんだろう。

「波佐見に訪れる観光客は年々増えていて。そこで、訪れる方とさらに交流が深められる場所がほしいと思っているんです。お客さんの流れるスピードが早いので、どうしても一人一人と話せる時間が少なくなっている現状があります」

もう一度ムックらしさを考えたとき、より関係を築ける場所が必要になると考えた岡田さん。

「今後は新しい場所つくりというか、拡大も視野に入れています」

たとえばコーヒーショップやゲストハウス。

「場所づくりに興味がある方はもちろん、カフェのノウハウを学びたいという方なんかも向いているかと思います。まだ模索している段階ですので、これから集まる方と一緒にいろんなアイデアや可能性を探していきたいですね」

「はじめはムックで働きながらいろんなことに触れてほしいです。そこを通じて次第に新しい場所に関わっていければいいなと思います」

 
続いて話しをうかがったのは鬼塚さん。

「鬼塚さんは様々なカフェやレストランの経験を持っていて。ケーキづくりの技術も、もてなし方の技術もすごく腕があるんですよ」と、岡田さんから紹介をいただく。

m09 以前は東京のさまざまなカフェやレストランで経験を積んできたが、ムックを立ち上げるときに声をかけられ手伝うことに。
「はじめは一週間の予定でしたが、いざ手伝ったらとても忙しくて。結局一ヶ月ほど手伝っていた後に、あらためて誘われたんです」

東京に戻って再び飲食をやるか、波佐見という町でお店づくり、場所つくりに関わるか。

「素直に興味をもったのがこっちでした。実際に訪れて波佐見の町の居心地の良さに魅了されましたね」

実際に働いている姿を目にしましたが、日中はとても忙しそうでしたね。

「週末はさらに忙しいです。波佐見の焼き物目当てで観光に来られる方もいるので、週末のランチタイムなんかは行列をつくることが多いです」

そこで大切になるのは、スタッフ同士で協力していくことだという。

「やっぱり少人数なので、なによりもチームワークを大切にしています。なので、思ったことは正直にいいますね。遠慮して言わないのはチームとして良くないと思うので」

m10 スタッフ一人ひとりが自分の言葉をもって、主体的に働いている。それによって、お客さんにも目が届くからか、ゆったりとした時間を演出できているのかもしれない。

どういった方が向いていると思いますか?

「何にでも興味がある人ですね。いろんなお客さんが来ますし、声も掛け合う。仕事内容も幅広いので、明るくて柔軟な性格が求められるかと思います」

「波佐見の町も、周りもさらに盛り上がっていくと思うんです。同じようにムックも一緒になって盛り上がっていきたいですね。だから新しいことだらけになるはず。そこで自分のエネルギーを発揮できる方がいいですね」

キッチンスタッフの中尾さんにも話しを伺ってみました。

m11 中尾さんは働きはじめて6年目。今では料理全般の責任者を担当している。

もともとはお客さんとしてムックに訪れていましたが、次第に興味をもちはじめ、スタッフとして働きはじめた。

「以前は介護の仕事をしていたので、右も左もわからない状況でした」

今ではホールでのお客さんとの接客をはじめ、バリスタ、料理全般をこなせるように。

接客において、どんなことを心掛けているのでしょうか。

「コミュニケーションをするなかで、多くの出会いがあるんです。ですから会話はとるようにしていますね。接客のなかで関係をつくり、帰り際にさらに話せる空気になったりすることもあります」

「ここに足を運んでくれたからこそ、自分もお客さんのことを知りたいと思うんです」

そんな接客のなかで、当然失敗もあるという。

「先輩たちに怒られることもあるんですが、そこには私のことを考えて言葉を選んでくれている意識があります。それに対してへこむのは、なんだか矛盾している気がして。注意を受けた言葉を受け止めつつも、みんなすぐに次を見ていますね」

m12  
最後に岡田さんはこう話してくれました。

「実際にお店に来て、いろいろ感じて欲しいです。理想と現実はちがうので、もっと楽しいことが待っているだろし、もっと苦労すると思うんです。でもそういう経験があってこそ新しいものって生まれると思います」

m13 波佐見にあるカフェmonne legui mooks。ここで働く人は、さまざまな出会いや経験を通して自分をかたちづくっていくと思います。

もちろん、ムックに訪れた人の思い出を形づくる役割もあります。

そんな体験をつくるカフェレストランがmonne legui mooksの仕事です。

(2016/2/15 浦川 彰太)