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広がるビーズの世界

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

ビーズにどんなイメージがありますか。

わたしは洋服の飾りに付いているもの、となんとなく思い浮かぶくらいでした。

けれど、質の高いビーズはウェディングドレスやアクセサリー、ハンドクラフト、はたまたアートの世界で重宝されているそうです。

トーホー - 1 そんなビーズをつくっているのがトーホーです。

職人さんがつくるガラスビーズは世界でもトップクラスの品質。

広島にものづくりの場を構え、ここから世界へ輸出しています。

いま、トーホーではビーズをもっと知ってもらおうと、ビーズジュエリーのブランド「ico&co.」の立ち上げや、東京浅草橋でギャラリーの運営など、どんどんビーズの世界を広げているところ。

今回は、広島で3つの職種を募集します。

ものづくりの現場である広島と東京をつなぎ、ビーズジュエリーのブランド事業をサポートする人。

山あいの工場であたらしいビーズを開発する人。

そしてさまざまなワークショップが行われたり、ミュージアムのある「TOHOBEADS Styleガラスの里」ではたらく人です。

ビーズやものづくりが好きな人はぜひ、読んでみてください。


東京から新幹線で4時間ほど。広島駅についた。

トーホーの本社は、そこから2つとなり、横川駅から歩いて5分のところにある。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA この街は、かつて原爆が落とされた場所。

「戦後は着飾る余裕なんてなかった。でも少しずつ経済が発展してくると、女の人たちはアクセサリーやビーズ刺繍でバックをつくったりするようになったんですね。『これからは、女性の活躍する時代になるだろう』と、うちのおじいさんがガラスビーズをつくったのがはじまりなんです」

そう話すのは、代表の山仲巌(やまなか・いわお)さん。

前回、東京支社で取材させていただいた山仲元(やまなか・はじめ)さんのお兄さんです。おふたりともとても気さくな方。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 山仲さんはもともと住宅設備の営業マン。6年たったころ、おじいさんから手紙で呼び戻されます。

「使命感かもしれないです。けれど、間違いなくサラリーマンより楽しいだろうなと思って。戻ってきたら、案の定楽しかった(笑)こんな小さな会社でも世界中に売っていますからね」

良いものを使いたいというアパレルブランドやハンドクラフトの世界では、国内外を問わず日本の高品質のビーズが求められているそう。

どんなビーズなんだろう。

すると、トーホー最高品質という“Aikoビーズ”を見せてくれた。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 「Aikoは僕のおばあさんの名前です。おじいさんは晩年、集大成としてつくったこのビーズに奥さんの名前をつけました」

小さな粒だけれど、びしっと形がそろっている。

「すこし前まで、ビーズは和装小物などに使われ、とても高貴なものでした。いまは和装文化が薄らいで、ビーズ刺繍など手仕事の職人さんが少なくなってきた。ビーズはハンドクラフトをやる人くらいしか馴染みのない世界になってしまったんです」

「もっとたくさんの人にビーズの良さを伝えたい。そこではじめたのが『ico&co.(アイコアンドコー)』というビーズジュエリーのブランドです。Aikoビーズは僕らの原点。おじいさんが完成させた思いを汲んでいこうと、この名前をつけました」

トーホー2 - 1 (4) あたらしいビーズジュエリーは東京や海外での展示会や、下北沢での店舗販売など少しずつ目にする機会が増えています。

そのブランド事業をサポートするのが、今回募集する1つ目の仕事。

「たとえば、百貨店さんで催事があるときは、まず東京の営業の人と打ち合わせをします。どんな商品をどのくらい売りたいか、どうやってお店で見せていくかを考える。じっさい商品をつくる職人さんは、広島に住みながら内職でやっていらっしゃる方も多いんですね。その間にたって商品を揃えたり、といった仕事もあります」

「今は僕も一緒にやることが多いです。いずれは、あたらしいブランド事業をまとめていってもらえるような人に来てほしいです」

とはいえ、地元で催事があれば店頭に立つこともあるそう。

「お客さんとお話しすることもあるので、明るく対応できる方がいいかな。ファッションやビーズに興味があるとなおいいですね」



次に、ビーズの開発をしている方にお会いするため工場へ向かった。

車へ乗り込み山のほうへ進んでいく。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 途中、山仲さんがこんな話をしてくれた。

「ぼく、来週からタイとラオスに行くんです。ビーズ刺繍を復活させたいなと思っていて」

タイとラオス… 人件費が安いからですか?

「いいえ。費用よりも技術を求めていくんです。ああいった地域には、日本でなくなりつつある『手仕事』がまだ生きているんですよ」

そんなものづくりの状況は、ビーズ一つひとつをつくる技術も同じだそう。

「日本にも、昔はビーズの会社が20社くらいあったんです。けれど、量産をしようと海外へ出て技術をなくしてしまった。いま日本でビーズをつくっている3社は、なにか特徴があったり質が良かったりします。うちはビーズをつくる職人さんを抱え、技術を守ってきました。ゆくゆくは職人さんもブランド化できたらいいいなと思うんです」

ビーズの良さを伝えていくことは、日本のものづくりを支えることかもしれない。

そんなことを考えていると、工場へ到着。

ここで、ビーズ開発をしている坂さんにお会いしました。開発をして、15年になります。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA ビーズ開発の仕事は、営業や国内外のお客さんから来る色や形の依頼に応え、あたらしいビーズをつくること。

坂さんは、以前は化学工場の設計をしていたそうだけれど、どうしてここへ来たのだろう。

「前職では、スケールが大きすぎて自分がなにをやっているか分からなかったんです。そんなとき、広島の新聞の求人欄で『世界一のビーズメーカー・トーホー』というのを見て、世界一があるんだ、面白そうだなと思いました」

入ってみて、どうでしたか?

「ざっくりしてるなと思いました(笑)。ビーズは染料をまぜて色つけるんですけど、ぼくが入ったとき、ベテランのおじいちゃんたちは上皿天秤で測っていたんです。風があればふらふらして、それでも世界一なんだから技術や勘はすごいですよね」

「いまは、電子天秤でやっていますよ。誰でもできるので、大丈夫です」

坂さん自身工学部で学んでいたけれど、入ってから覚えることが多かったそう。

「依頼のなかでも、とくに要望や需要があって、技術的にできそうだなと思うものをやっています。すでにある技術を応用するので、化学式を見て抵抗がなければ、文系理系関係ないと思いますよ」

これまでたくさんのビーズを開発してきたのだろうな。

気に入っているビーズがあるか聞いてみた。

「うーん…。ぼく、あまり思わないようにしているんです。ちょっとしたことでも価値があるというか」

価値がある。

「うん。ある工程があって、それを応用した別の加工があって、というふうにひとつの工程が土台になって次ができていくんです。それは僕のなかではすごいなと思いますね」

OLYMPUS DIGITAL CAMERA どんな結果になるかわからない。

まずは少量、自分でできるものはやってみて、できたら多量を製造の職人さんにお願いしてつくってもらう。

「ちょうど今も開発しているところなんですが、多量でつくる部分でうまくいきませんでした。今回の場合、少量でやるときとはやり方が違うんでしょうね。『もう一回やってみます』と戻ってきたところです」

悔しいこともあるけれど、反対に、できるとほっとするそう。

こつこつ取り組める人に向いているかもしれませんね。

「そうですね。こつこつやっていれば絶対できます。大きい仕事じゃないから面白いんです。この一粒の作り方を全部わかってつくっている。そういう面白さはあると思いますね」


続いて、工場のとなりにある「ガラスの里」へお邪魔した。

山からの風が抜ける、心地いい場所。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 31年前、山仲さんのおじいさんが観光のためにつくった。

山仲さんはここで、ビーズをアートでアカデミックなものとして表現していきたいと思っています。

ガラスの里には、ビーズを紹介するミュージアム、吹きガラスの体験やワークショップができるスペースなどがある。

「ときにはウェディングもしますし、冬にはろうそくを並べてキャンドルナイトすることもあるんですよ」

そう話すのは、副支配人の河合さん。もともと美術が好きで、大学では学芸員の資格をとったそう。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 「ここでは毎日違うことが起こるので、とても楽しいです。いらっしゃるお客様も違いますし、業務もさまざま。本社で事務をしていたころより、もっとやりがいを感じています」

前日は広島市の公園で出店していたそう。ワークショップもビーズに限らず、幅広くものづくりの体験を提供している。

「昨日は、レジンアクセサリーという樹脂で固まるものをつくっていました。外の雰囲気だからこそ気軽にお客さまと話せますし、ああいうのも楽しいですよね」

「けれどワークショップやイベントがあるときは自分たちでテントや椅子を用意します。ビーズはガラス素材なので、搬入も重くて大変です。意外と、力仕事もあるんですよ」

トーホー - 1 (1) 今回「ガラスの里」では、ゆくゆくは支配人として施設を運営したいという人に来て欲しいそう。

どんな人がいいのでしょう?

「ガラスについて詳しくなくても、やる気さえあれば大丈夫です。社長が『できるならやってみよう』という方なので、新人さんであっても、こんなことがしたいという企画が通りやすいところだと思いますよ」

トーホー - 1 (2) 「アイディアを出して、みんなで形にしていくことが好きだったり、よく動ける人がいいですね。ガラスの作品づくりができる環境もありますし、美術やものづくりが好きという人も大歓迎です」

ビーズをこんなふうに魅せていきたい、もっとものづくりの面白さを体感してほしい。

そんな思いがあれば、どんどん試していける環境があると思います。


ビーズの会社といっても、いろいろな仕事がある会社です。ただ、どれも共通するのは、思いを形にするところまで担当できること。

ビーズやものづくりが好きな人へ。気になるものがあればぜひ、応募してみてください。一度、遊びにいってみるのも楽しいと思いますよ。

(2016/2/5 倉島友香)