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人をつなぐ 未来へつなぐ

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リアルな人と人をつなぐ。その「つなぐ」って何だろう。

今の時代に必要な、みんなが理解して納得できる「つなげるデザイン」って何だろう?

その問いに対して、真剣に取り組む人たちがいます。

ボノ株式会社は、人や地域をつなぎ、根本にある課題から地域の人や企業とともに考え、新しい商品やサービスをつくっていく会社です。

IMG_8364 今、この会社に必要なのは、実際に地域で起きている課題を共有しながらこれまでに蓄積してきたもの・新たに生まれるプロジェクトを「見える化」する力。

そこで今回は、デザイナーを募集します。

デザインを軸に、まちの人や企業と関わりながら思考と対話を重ね、新しいモノ・コトを創造し伝えていく。

そんな仕事がしたいと考える方は、ぜひ最後まで読んでみてください。

江戸川橋駅から10分ほど歩いた静かな路地に、ボノ株式会社のオフィス兼コミュニティ・スペースである「我楽田工房」があります。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 午後1時。ドアを開けると、スタッフの皆さんがお昼ご飯を食べ終えるところでした。料理は女性スタッフの小林さんの手づくりだそう。

「工房」と言うだけに、一般的なオフィスとは雰囲気がまったく異なります。この会社で、一体どんなことが起きているのだろう。

まずは、会社の立ち上げから現在までのことを、代表の横山さんに伺います。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 会社の代表でありながら、ご自身もIT業界でクリエイターとして活躍する横山さん。前職ではインターネット上のコミュニティやポータルサイトの、企画・制作をしていました。

8年前、とある仕事の依頼をきっかけに一人でボノを設立。

次第に仕事も仲間も増え、「百年残る価値を創造する」という新たに掲げた理念のもと、組織として活動をはじめました。

この理念を掲げるきっかけとなったのは、横山さんのお子さんとの会話だったといいます。

「当時、『お父さん何屋さんなの?』と聞かれて『最先端のクリエイターやってんだよ』と。『わあ、かっこいいね!』と言ってくれていたのが、そのうち『お父さんのつくったものが見たいな』って」

「そこで『あれ?』と思ったんです」

消費の激しいIT業界。自身が30代前半までにつくったものはまったく残っていなかったそう。

形に残せないクリエイターって何なんだろう?

そう横山さんは感じたといいます。

「形あるものを長く次の世代に渡していくことは、社会にある当たり前の概念だけど、それをやれていなかった」

クリエイターとして、インターネット上の世界ではなく、実際のリアルな場で人と人を本当につなげることをカタチにしてみよう。

まずは、自分たちの足元にある地域に注目し、人が集まる場をつくろうと2014年に立ち上がったプロジェクトが「我楽田工房」です。

印刷工場の倉庫だった場所を近隣の人や友人たちとDIYして、コミュニティ・スペースをつくりました。

IMG_9130 サービスの提供者とお客さんという関係ではなく、一緒になってつくることで、さまざまな価値を共有しようとだんだん人が集まっていく。

そうしてファンとなった人から、地域の人脈や食・文化といった情報なども集まってくる。

「さらに、『そもそも自分たちは何が欲しいのだろう?』というところも、ここへ集う人たちと一緒に考え、地域の魅力ある人・モノ・コトを使って新しいカタチをつくっていきます」

コミュニティ・スペースについてよく聞くのは、場をつくって、人やモノを集めて終わってしまうこと。その先にあるプロジェクトの実行に至らなかったり、持続できないケースが多い。

でも、我楽田工房では、企業・地域・参加者が存在するから継続性のあるプロジェクトがいくつも生まれているといいます。

たとえば「まち冒険プロジェクト」。

IMG_8249 「何かしてみたいけど活動の場がない」という若者がいる一方で、「若い人に来てほしい」「まちの魅力を発見したい」という地域がある。両者のニーズや課題をうまく活用して何かできないか。

そこで横山さんたちは、地域でのサービス展開を模索する大手企業を取り込むことで資金的にも回る仕組みをつくり、地域で発見したモノから企画をつくり実行していこうと「まち冒険プロジェクト」を立ち上げました。

舞台の一つである島根県吉賀町は水源豊かな里で、一級河川の中の水質が全国1位に選ばれたこともあるそう。

「それほど誇らしいものがあっても、みんなに知られていない。でも、町には水質のよさを活かして、有機野菜や肥料を使わない米づくりにこだわる人たちがいて」

そのお米づくりを自分たちも手伝って、学生だけで運営する都内のカフェで新メニューとして使ってみよう。

参加した学生からはそんなアイデアが出たといいます。

IMG_7314 「眠っていた地域の魅力を、まちの人と若者が一緒に発掘し、情報発信するところまでしてみると、みんなよろこんでくれたんです。学生もHPを立ち上げて率先して記事を書いてくれるし、なかには『移住したい』という元気な学生が出てきて。いい流れが生まれてきた」

今後、新しい商品やサービスが生まれるところまでは、2〜3年はかかるだろうと横山さんは話します。

それでも、人材育成や事業化に向けた活動が若い人のなかで広がっていったら、さらに面白いものが生まれるのではないかと可能性を感じているそうです。

若者と地域をつなぐ入り口をつくり、一時的な「楽しかった」で終わるのではなく、継続していく仕組みをデザインする。そこにいる人も、支援する人たちも納得のできる、全方面にwin-winな方法に思います。

IMG_2441 「何よりも『つながる』ということが地方にとっては価値がある。たった10人の若者のために、はるばる市長が来てくれるのはなぜか、その意味を学生は考える。そういった一つひとつのプロセスを踏むことで、刹那的なつながりではなく、人脈を切らさず続けていこうと。それができれば、きっと次のステージも見えてくる」

ボノの活動が支持されはじめた今、派生するプロジェクトが増え続けているそう。

そのひとつが「コミュニティナース育成プロジェクト」。

島根県雲南市で、医療人材による地域コミュニティづくりを実践している矢田明子さんの活動をモデルに、地域を盛り上げる存在としての看護師を育て、他地域へ展開しようという活動です。

実際に京都府綾部市での話が進み、東京でのワークショップ・綾部市でのフィールドワークを予定し、将来的には短期留学も考えられるかもしれないといいます。

コミュニティナースは、今後さまざまな地域で必要になると予想されます。

けれど、問題がいくつかあるそうです。

「矢田さんのように実践する人物がいなくなったら、どんなに優れた仕組みでも消えていってしまうもの」

「そうならないためにも、内容を体系化することが必要です。看護師も医療法人も行政も企業も、みんながひとつになって回していける仕組み・コミュニティをデザインしていかないと」

そして、今後ほかの地域へ展開していくためには、行政やまちの人・企業の理解と納得に結びついていくような伝え方を考えなくてはいけない。

だから、現場で起きている本当の出来事を見た上で、本質が何なのかを一緒に探り、理解し、カタチにし、伝えるための「見える化するデザイン」をカタチにできるデザイナーが必要だといいます。

「企業にとって遠い世界の話にさせない。地域の看護師やまちの人とのコミュニケーションを通して、自分たちがどんなサービス開発をしていくか調査分析しながら一緒にまちの課題を解決していくことは、企業にとっても価値あることだと感じられるようなデザイン。そういったことをできる人を求めています」

IMG_2633 (1) 「コミュニティナース育成プロジェクト」に限らず、さまざまなカタチで生まれるボノのプロジェクトや会社そのものが、外にいる人から「見えていない」状態だそうです。そこを「見える化」する役割が求められています。

「そのデザインを通じて人と人をつなげられなかったら意味がない。けど、ゴールは見えにくいものだから、悩むこともあると思います」

「でも、実験ってそう。一発目でその通りだったなんてことにはならないものじゃないですか」

それにしても、ボノのスタッフは総勢5名。小さな会社であるのに、どうして大手企業と結びつけて継続性のあるプロジェクトをつくることができるのだろう?

「奇跡的な職場だと思ってます(笑)。地方に囲まれながら東京で働けて、しかも事業パートナーがいるなんて、なかなか聞いたことがない。僕らに揃ったモノを他と比べると『すげぇ』って実感しているところです」

そう話すのは、スタッフの齋藤さん(写真右)。さきほどお昼の料理をつくっていたという小林さんと一緒にお話を伺います。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 齋藤さんは、ライターでありながら木こりとしての一面も持つ、面白い肩書きの持ち主。前職では築地の青果市場で働いていたそうです。

「うちのサイトを見て『ダサいな、こうしたらもっとよくなるのに』と言ってカタチにしてくれるような人が来てくれたら。企画だけでなく、今欠けている見せ方の部分を埋めていくなかで、お互いに横のやりとりも増えると思います」

ボノではお互いに意見をぶつけ合うことがよくあるのだと話すのは、小林さん。今年の4月に入社したばかりで、もともと文章を書くことや旅をすることが好きなのだそう。

「入社して最初に齋藤から言われたのは、『うちはみんなが会社や事業をよくしていこうという意志があるから、意見を言い合えるんだよ』と。実際に代表の横山とスタッフがバチバチ言い合っているのもよく目にしていて(笑)」

「ケンカのように見えて、目指しているところは同じだから関係が崩れたりせず、さらに新しいアイデアが生まれるんです」

IMG_8375 お二人の取材途中、先に打ち合わせに向かう横山さんが机の上に用紙を広げてくれた。

「2年前に概念図を書いて。今まさにその通りになってきたんです」

図に書かれた内容を見て、「場と場を繋げる」と声を揃える二人。

「あ〜!これ、この間妄想してたことだ」と齋藤さん。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA この会社には、見せるデザインの力が足りていないけれど、自信を持ってカタチにできる「素材」がたくさんあると思います。そして、意見を言い合いながらともに考え創造していく土壌もあります。

まずは実際に工房を訪れて、この場のエネルギーを感じてみてほしいです。

(2016/05/16 後藤響子)