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大工を再定義

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家づくりって、分業が基本です。

大工さん、塗装屋さん、設計士、左官屋さんなどなど。それは一つひとつの仕事に熟練の技が必要なこともあるでしょうし、分業すると効率的なのも理由だと思います。

でも最近は自分ですべてをやりたい人が増えていると思います。たとえば、素人でもセルフリノベーションで家づくりする人が増えているように、プロにだってそういう発想の人たちが生まれてきています。

施工もする建築家とか、ハードだけじゃなくてソフトも考えるとか。

水雅はまさにそんな会社。

suiga01 技術を大切にしつつ、慣習にとらわれない仕事をしています。そうやって働いていると、失敗してやり直さないといけないこともあるけれど、新しいアイデアを形にすることができるし、なによりも楽しい仕事になる。

今回はこの会社で施工管理、デザイナー、そして大工の募集です。職種はありますが、それにとらわれず自由に働くことができると思います。


東京メトロ丸ノ内線。新宿駅から20分ほど電車に乗って、南阿佐ケ谷駅で降りる。住宅街を5分ほど歩いていると、目的の住所にたどりつく。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA でも看板がないからよくわからない。作業場のような場所があって、中からはゴリゴリしたベース音。

入口には電話をしている人がいる。

服装もカジュアルだし、たぶんここじゃないはず。

建物の2階へあがると、事務所のような場所を発見。「よかった」と思いながらなかへ入るとデザインされた事務所空間だった。

打ち合わせスペースでしばらく待っていると、さきほどの電話の人が!

「すみません、現場のほうが追われていて。やんなきゃいけないし、失礼だと思いながらもトラブルになってしまって、作業していました」

代表である田代さんだった。見た目はとても若い。

suiga03 どんなトラブルがあったんですか?

「扉の引き手の高さを間違えてしまって。仕上げの段階で気づいたので、今から補修かけてて。明日納品なんだけど」


いきなりハプニングから取材がスタート。

ただ、田代さんがこの仕事をはじめたのも、同じように偶然だったと言えるかもしれない。

もともとは音楽を東京でやろうと、19年前に広島から上京したところからはじまる。

「ハードコアとかメタルとかやっていて。それで挫折というか、飯食えないから、仕事しなきゃいけない。それで建築のバイトしたりして。もともと設計とかに興味はあった」

「それで建築の現場で働いていたら、音楽より面白くなった。気づいたら建築しかやってなかった」

suiga03 今は36歳。

仕事のどんなところが面白かったんですか?

「つくったものが残る。一生とはいわないけれど、でも残る。音楽と違って可視化できるものだったのが自分の中でヒットしたのかもしれない。はじめは戸建ての仕事をしていたんですけど、できたときの爽快感というか、達成感がよかった」

大変だったことはないんですか?

「あったんでしょうけど、もうあまり思い出せないですね」

会社をつくったのは、この仕事をはじめてどれくらいですか。

「5年か6年くらい経ったころ」

仕事に慣れた時期ってありました?

「ないですね。常に勉強。いまのいままでそう思ったことないですね。でも仕事をやっていくうちに、自分だったらもっと上手くやるのに、という思いがあって独立したんです。安易な考えでしたけど」

簡単ではなかった。

「そうですね。理想と現実のギャップ。自分がうまくいくと思っていたことが、実はそんな予算がかけられなかったり。そういうのが見えてなかった。ただ、ひたすら質にこだわればいいと思っていて。でも利益もださなきゃいけない。そのへんの葛藤が最初はありましたね」

suiga04 「いまでも解決できていないこともありますけど、それは永遠に追求していかなきゃいけないことかもしれないです」


はじめは大工仲間と2人で独立する。高円寺の小さなマンションを借りて、営業をして、いろいろな仕事の下請けからスタートした。

その当時のことを外側から見ていたのが専務の戸石(といし)さん。

「おれはもともとやりたいことがなくて、はじめは司法書士を目指していたけれど無理だと思って」

「ただ、バイト先の知り合いに建築関係が多かったんです。それで話を聞いたら楽しそうだったから、紹介してもらって入ったんです」

suiga06 はじめに入社したのが、大工が5人いる会社。

「いままで仕事がなかなか続かなかったんですけど、大工はちょっと違っていて。頭使いながらつくっていく。セオリー通りじゃないところが、やればやるほど楽しくなってきて」

「たとえば、先輩のアドバイスがあったけど、自分の思ったやり方のほうがいいと思うこともあって。それで自分の思ったとおりにやってみると、やっぱり先輩の言っていたほうがよかったり。でもそうやって覚えていくんです」

そんなふうに働いているときに、田代さんと同じ現場になることがあった。

第一印象はどうでしたか。

「あまり同世代がいなかったので、まず若い人発見!って思いました。自分は会社で働いていたんですけど、そのときには社長は独立してて、ひとりで現場にはいってたんです。それが衝撃的で」

衝撃的。

「だって自分は下っ端でやっているのに、もうひとりでやっていて。すっげーと思って。話を聞いてみたら、ほとんど大工歴は同じくらいなのに、その差にびっくりして」

「よく現場のスケジュールが押してくると、いろんな大工がやってくるんですけど、そういうときに必ずいるんです」

助っ人ですね。

「そうそう。それでいつも一緒に話していて」

どんな話?

「9割愚痴ですね(笑)こんな状況になってから呼びやがってって」

suiga07 「でもね、社長はとにかく必死だったんです。自分の現場でもないのに。責任感がとにかくすごくて。会社の先輩とかは、応援に来ても『1日いればいいや』って感じで、そこまで責任感がない。でも普通はそんなものです」

田代さんはそんな助っ人の現場でも手を抜かなかった。大工仕事が終わって、内装やクリーニングも手伝う。

普通の大工は大工仕事しか受けないものなのに。

「そんなに融通のきく人って、社長くらいだった。普通だったら『ふざけんな』ってなる」

いわゆる「大工」の仕事の範囲を超えて、柔軟に働いていた田代さん。

それは何も人手が足りないときだけじゃなく、普段の仕事でも同じだった。遠石さんから見て、とにかく新しいことを研究して追求する人だった。

「自分はすべて教えてもらっていたし、聞けば答えてくれる人がいた。でも社長はそんな人がいない状況で大工をやっていて。すごいと思って付いていこうと思ったんです」


そんな遠石さんとは、入社経緯が対照的なのが小川さん。

入社理由は「家から近い」だった。

もともとは塗装屋さんでバイトしていたけれど、つぶれそうだったので仕事を探すことに。

「大工もやりたかったんですけど、入ればまた見習いからスタートなんで、選択肢から外していたんです。けど嫁が『せっかくならやりたいことやれば』と言ってくれたので」

suiga08 大工の仕事を見つけて働きはじめたら、また会社がつぶれそうになってしまった。

「それで求人を探していたら、この会社を見つけて。とにかく家から近いのがよかった」

第一印象はどうでした。

「オフィスがそのときはまだワンルームの事務所だったんですけど、なかにパソコンもあるし、ベニヤとかの材料もあって。それで社長にあったら『若っ!』って思って。イケメンだし。しかも子どもの保育園が一緒で、ちょっとまずいなって思った」

まずい?

「なんか困ることもあるかもしれないじゃないですか。でもそんなことはとくになくて」

家が近い、という理由で入社した小川さんだったけれども、面白さにきづいて仕事にはまっていく。

「やっていくうちに会社としてやれることがどんどん増えてくる。そこに自分も一緒にいれるのが面白いし、うれしくて」

たとえば、家具をつくって塗装して、ひとつの商品にしたり。ほかにもきれいな下地材をつかってそのまま仕上げにすることでコストを抑えたり。ステンレスのキッチンを自分たちでつくることで、デザインとコストを両立させたり。基礎を自分たちでやってみたこともあった。

大変なこともあるけれど、アイデア次第でいろんなことができる。

「この会社も、はじめは大工仕事だけだったのが、いろいろなことに挑戦できるようになった。面白いっすよね」

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 「なによりも仕事に枠がないんです。自分がここまでやりたいと思えば、いくらでもできる。枠がないのが一番面白い」

普通は仕事に枠があるんですか。

「分業が多いよね。普通は自分の専門以外には手を出せない」

ここは試せる職場?

「そうですね。それが一番面白い」


取材をしていて、大工のイメージが変わった。こんなに自由にやっていいんだと思った。

でもそれができるのも、基本を大切にしているから。作業場に音楽が流れているけれど、ラフなカッコだけれど、できあがるものに妥協はしたくない。

suiga10 ふたたび代表の田代さん。

「自由にやれるけど、基本は大切。その土台が甘かったりすると下手こくし。充実はしているけど、大変でもある。紙一重」

でも新しいことに挑戦していると、一緒に働いているスタッフは不満を言うことはないんですか?「また社長が変なこと言っている」とか。

「そういうことは聞いたことないけど。ただ、ぼくは強要しないんですよ。やりたいなら、やってもらう」

suiga11 「大工さんっていう仕事の枠は自分で決められると思ってる。自分がここまでしかできないって思えば、それ以上は求めない。そういう意味で不満はないのかもね」


はじめはイカついお兄さん、という第一印象だった田代さん。でもこの人なら付いて行きたくなるなあ、と思った。

そんなに言葉は多くない。強要もしない。でも背中を見ていると、憧れてしまう人なのかもしれない。

経験者じゃなくてもいいそうです。まずは掃除や片付けからはじめてもいい。「見て覚えろ」というよりも「やって覚えろ」というスタンス。

「失敗しても、それで覚えるから、ちゃんとあとからお金もついてくる。だからすぐに辞められると困るんですけどね。失敗しない人はいないし、失敗しないとわかんないし」

「建築って、やらされてやる仕事じゃないと思っているんです。だから自分で意志をもってつくろうという人がいいですね。いいものがつくりたい」

suiga12 人が増えれば、この会社のやれることも増えていく。ぜひ募集職種にとらわれず、まずは応募してみてください。

(2016/5/10 ナカムラケンタ)