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リアルが生むサイクル

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買い物もコミュニケーションも、いまやネットで簡単にできるのが当たり前。

けれど、少し足を運んでみるからこそ出会えるモノや人がいるんだと思います。

「どんどん技術は進んで、ネットを使った仮想空間でのコミュニケーションが多くなっている。でも、きっとどこかで原点回帰して、人と人が直接触れ合うことで何かが生まれるということは無くならない。無くしちゃいけないと思うんです」

これは、株式会社東京リサイクルの代表、赤池慶彦さんの言葉です。

ハンドメイド作品を作家自身が展示・販売する「青空個展事業」や、さまざまなコンテンツを通して親と子の学びの場をつくる「e-kidsプロジェクト」など。

株式会社東京リサイクルは、フリーマーケットを軸に多様なイベントを企画・運営する会社です。

トップ 人と人とのリアルなコミュニケーションの場を創造していく会社で、デザイナーを募集します。

あわせてイベント企画営業職も募集するので、こちらに興味のある方もぜひ続けて読んでみてください。



訪ねたのは東京・中野坂上駅から徒歩5分のビル。

7階が東京リサイクルのオフィスで、8階はアトリエギャラリーとして2年前にオープンしたそう。

8階のアトリエギャラリーでお話を伺いました。

格子状の棚に飾られているのは、ハンドメイドのアクセサリーや帽子といった作家さんの作品。ここで展示販売をしたり、セミナーやワークショップを行うなど一般の方にも開かれているといいます。

「何回イベントに出てたか、もう覚えていないぐらいですね。年間100日として20年間ぐらいは現場に出ていたので、結構な回数は出たのかなと」

そう話すのは、代表の赤池慶彦さん。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA もともとは慶彦さんのお父さまが、若者の間で人気だったフリーマーケットを誰でも出店できるようなものにしようと今から25年前に会社を創立しました。

慶彦さんはそれ以前よりもっと前の子どもの頃から、モノを販売する経験をしてきたといいます。当時のことを話してくれました。

「小学校6年生ぐらいの頃、父が経営していた会社が倒産して1年間両親と離れ離れで過ごした時期がありました。『どうしたら家族が一緒にいられるのか』と子どもながらに考えるなかで、父や母の商売のお手伝いをはじめて。路上で販売したり、週末は親子でフリーマーケットに出店をしていました」

家族が一丸となるためとは思いつつ、はじめのうちは自分が遊びに行きたいところにも行けず、あちこち連れて行かれるのをイヤだと感じることもあったといいます。

けれど、お客さんが求めているものを仕入れたりして、自分で考えて行動してみたら、相手のよろこぶ顔を見ることができた。

いつの間にか仕入れをすることが楽しくなったし、人と話すことで刺激を受けるようになっていったといいます。

「フリーマーケットの売り物のなかには、思い入れの深いものも多くあります。とくに子ども洋品やおもちゃなどは、買ったときの親の気持ちや使ってきた子どもの思い出が詰まっている。でも、いつまでもとってはおけず『誰かが大切に使ってくれるなら』と、持ち主だった人から必要とする人の手に渡るのを見てきました」

「そんなふうに、誰かと誰かがモノを介してつながって、何か縁が生まれるようなコトをつくりたいという想いが、僕のなかにはずっと根底にあるんです」



家族で長く経営してきたフリーマーケットの事業は、今では商業施設やレジャー施設といった場所で毎週開催するほど。500〜600店が出店するような大きな規模のものもあり、海外旅行者の人気のスポットにもなっているといいます。

「出店者のなかには『30年戦士』と呼ばれる60〜70代の方もいて、今でも毎週出店しています。『お前先週来なかったけど生きてたか?』と、その人たちの生存確認のツールというか、コミュニケーションの場にもなっていますね(笑)」

長い付き合いのある出店者さんについて話してくれたのは、慶彦さんの弟・正行さん。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 子どもの頃から兄・慶彦さんと二人三脚で歩んできました。

現在は取締役を務める正行さんに、実際に東京リサイクルが手がけるイベントについて伺っていきます。

正行さんが中心になって進めるプロジェクトは『e-kidsプロジェクト』。親と子がともに学ぶことを目的に、さまざまなコンテンツを提供しています。

たとえば「キッズフリーマーケット」。子どもたちだけで実際のお金を使ってものの売り買いをするフリーマーケットで、はじめて体験する子が多いといいます。

④ 「練習では『いらっしゃいませ』と元気に掛け声が出せても、本番になるとなかなか声が出なくて。でも開催時間が残りわずかになってくると、自分で『安くしますよ!』って声出しができるようになる。子どもたちが自分の力で何とかしようとするんです」

「それを見守っている親からすれば、子どもがはじめて歩き出すかのような体験なんです」

e-kidsプロジェクトが中心に考えるのは、親も一緒に学ぶ場であるということ。

「子どもたちのなかには、挨拶をしなかったり、商品を投げて渡す子もいたりします。そこに親が気づいて、立ち居振る舞いをどう家庭で教えていくか考える。一過性のものではなく、親と子が一緒に成長していくような機会になるといいなと思ってやっています」

そんなキッズフリーマーケットは親御さんから支持されるほかにも、企業から注目されるようになり、長野や博多など全国各地で開催しているそうです。



今度は『青空個展てづくり市』について、青空個展を担当する赤池牧子さんに伺います。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 『青空個展てづくり市』はハンドメイド作品を作家自身が展示販売するイベント。

2009年に代々木八幡宮の境内からスタートし、最近では東京オペラシティや、公園広場などの場所を借りて開催しているといいます。

「ハンドメイドのWebサイトの人気が広まるなかでも、私たちはリアルなイベントに特化しています。それは、作品がいろんな方の目にとまって作家さんのファンをつくる場所となり、作家さんが活躍できるフィールドを広げていくことを目的に行っているからなんです」

作家さんと話す機会も多くなり、ネットとは違う交流があるといいます。

「たとえば」と話してくれたのは、ある商業施設でワゴン販売のイベントを開催したときのこと。

「作家さんは1週間ずっとワゴンでお店を出していました。その場所を毎日通っていた方が『何売ってるの?』と声をかけてくれたことから、イヤリングやピアスなど自分の作品の話をするうちにすごく仲良くなったみたいで。その方は毎日ワゴンに立ち寄ってくださって、しまいには自宅で焼いたパンを差し入れてくれたって。作家さんがすごくよろこんで、その話を教えてくれたんです」

「ネットではそこまで人とコミュニケーションをとるのって難しいと思うんです。でもリアルだと、作品はもちろん、作家さんの人柄も好きになっていったりする。『素敵なファンができたね』って私たち運営スタッフも一緒になってよろこびました」

⑥ 作家さんのなかには、お客さんとのコミュニケーションに刺激を受けて、スキルを磨くうちに企業から声がかかる人もいる。そうして作品で生計を立てられるようにステップアップしていく方も多いのだといいます。

アトリエギャラリーを構えてからは、東京リサイクルにも開催依頼の話が入ってくるようになり、昨年7月には台湾でのイベントにも出店したそう。

作家さんにとっても、台湾での販売実績が企業などから声をかけられるきっかけになったといいます。

東京リサイクルが手がけるそれぞれのプロジェクトが、企業や施設、参加者からの支持に結びついている。

それは、人やモノとの出会いが生まれる場のエネルギーが、イベントに足を運んだ人に伝わっているからだと思います。



20年以上活動を継続してきたことで基盤もできあがった。いま東京リサイクルは、将来成長していくために方向転換をしているのだといいます。

ふたたび慶彦さんに伺います。

「今後、日本ないし世界に新たなイベントを発信するようなベンチャー企業として、いろいろと仕掛けていきたいと思っています。都心のようなビジネスにつながりやすい場所だけで開催するのではなく、地域に根ざしたイベントや海外でのイベントも視野に入れています。時代の変化とともに、需要にあったイベントを供給し続けていかなくてはいけないと思うんです」

そんななかでいま必要なのが、伝えるための見せ方。

東京リサイクルで足りていないのは、デザインの部分だといいます。

「スポンサーになってくれるクライアントの期待を上回る、質の高い会場のつくり込みやポスターができているかというと、まだまだ手づくり感があって」

イベントを開催する地域や会場施設によって、出店者や訪れる人も違いがある。

そうした特徴をキャッチして、それに応じてポスターのデザインも変えていく。そんな柔軟なアイデアも求められます。

⑦ 「新しく入るメンバーには固定観念にとらわれずに新鮮な目で見てもらって、足を運んでみたくなるようなポスターのデザインを考えたり、現場の装飾などについても『もっとワクワクさせるためにはこうしようよ』と提案してほしい。いい意味で会社を振り回してもらいたいなと思います」

ポスター制作に加えて、会場に設置する備品のデザインを考案したり見直したり、担ってもらいたい仕事は多くあるといいます。

いきなりすべてをこなすことは求めません。まずはアルバイトとして、今あるものを見たり一緒にイベントの様子を共有していく。そうしたなかで徐々に仕事をこなしつつ、お互いに続けていきたいと思えたらメンバーの一員になってほしいといいます。

そのうえでどんな人に来てほしいですか?

「とにかく前向きに、だめでもトライするような人ですね。イベントは生き物です。かならずトラブルは起こります。そこに臨機応変に対応しながら、来た人に楽しんでもらえるように僕らは現場で判断・行動しています」

「デザイナーも気持ちは同じであってほしくて。恐れず新しいことを一緒にやっていって、『だめならまた来週みんなでがんばろう』と。向上心のある人が来てくれるとうれしいですね」

⑧ まずは、週末に開催されるイベントに足を運んでみてください。

自分も楽しみながら、そこにはどんな人がいて、どんな表情が生まれているのか。

感じるものがあれば、きっとこれからの東京リサイクルをつくる一員になれると思います。

(2016/06/14 後藤響子)