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リノベーションという言葉が、暮らしの中に浸透してきたように感じます。誰かに与えられるのではなく、自分で選んだり、ときにはつくったり。暮らしや住まいを自由に選び取れるようになってきました。
一方で、自由度が上がったぶん住まいづくりに求められるハードルも、上がっているように思います。
応え続けていくためには、どれだけ住む人の想いに寄り添えるかがカギになってくるんじゃないだろうか。
そんな「本当に幸せな住まいづくりとは何か」をとことんつきつめて考えながら、仕事をつくってきた会社があります。
これからご紹介する株式会社長崎材木店。
不動産仲介から注文住宅、リフォーム・リノベーションやお庭のことまで。木材を100年以上扱ってきたからこそ、自然素材にこだわって住まいに関わるさまざまな事業を展開しています。
今回は、ここでリフォームやリノベーションの営業を担当する人を募集します。
お客さまの話を聞きながら、住まいづくりを最適な形へと導いていくことはもちろん、施工管理や職人さんとの打ち合わせも行う。“つくっていく”ということを実感できる仕事になると思います。
正直に、まっすぐ住まい手と向き合いながら仕事をしていくことは、当たり前のようでとても難しいこと。自分の働き方も省みながら、ぜひ続きを読んでみてほしいです。
福岡空港から博多駅に出て、快速列車にゆられること20分。
長崎材木店のある、古賀駅に到着した。駅前には飲食店や個人商店、奥にはマンションが並ぶ。
しばらく歩くと、長崎材木店のオフィスとショールームを兼ねた「WOOD VILLAGE」を見つけました。
敷地内には、おしゃれなモデルハウスやガーデニング用品を扱う雑貨屋さんもある。
「材木店」という名前から、正直もっと古めかしいオフィスをイメージしていたのだけど、なんだかテーマパークのような空間でちょっと驚いた。
ショールームを兼ねた打ち合わせスペースで、専務の長﨑さんにお話を伺います。
創業は明治30年。現在の社長は、長﨑さんのお兄さん。初代から数えると五代目にあたる。
「原木を伐採して、牛車で引いてきて。加工したものを一般の大工さんたちに提供したというのが会社のはじまりですね」
木材の販売を生業としながら、地域になくてはならない存在として人々の暮らしに寄り添ってきた。
ところが時代の流れとともに木材の需要は少しずつ減少傾向へ。このままではいけないと、建材の販売や不動産事業、注文住宅の販売へと事業を拡大していく。
今回新しい人を募集するリフォーム事業部も、そんな流れのなかで生まれた事業の一つ。
「当初はリフォームなんて言葉も使われていなかった。お客さんの認識は修理とか改築みたいな感じでしたね」
「社内では『もうむりばい』と会社の将来を諦めるような声も聞こえていて。それなら僕自身もどんどん外に出て営業をしていこう、木材の販売以外の道を切り開いていこうとリフォーム事業部に異動しました」
新しい部署で、なにができるのかとあらためて考えると、この地にずっと根付いてできた地域の人たちとのつながりを大切にすることだと思ったという。
「僕は古賀で生まれて、古賀で育ってきた。ひとり暮らしのおばあちゃんとか、木材を売っている時代からよく話をしていたんです。そういう人たちのお手伝いができたらという気持ちが強かったですね」
基本的な商圏エリアは、職場から車で30分以内に行ける距離に定めた。なにかあったときに、すぐに駆けつけられる距離にいたいから。
長﨑さんたちはそこから、地域のさまざまな困りごとに応えていく。たとえば網戸の張り替えや水廻りの修理、ときには電球を替えてほしいという依頼も。
そこからどんな些細なことでも要望に応えたいと生まれたのが、ハンディマンと呼ばれるなんでも屋集団。
時間が経ってからわかることもあるからと、一定期間が経ったらお家を巡回訪問するお客さま相談室もはじめた。
「どんなことが不安だろう」「どうしたらうれしいと感じるだろう」と考えながら、気づけば設計から引き渡し後のアフターフォローまで、すべて自社で行うことが強みになっていた。
一貫してお客様に寄り添う姿勢なんですね。
「商売だけを考えたら、やらなくても成り立つことかもしれません。でも堂々と、自分たちは地域の役に立っているんだと言えるような仕事をしてほしいんです。今後もお客さんに対してできることを深掘りしていきたいですね」
強い信念はありながらも、押し付けているような感じはない。さまざまな事態を想像しながら選択肢を増やしているように思いました。
日々どんなふうに働くことになるんだろう。
教えてくれたのは、新しく入る人の上司になる吉田さん。
よく笑い、よく話す。なにか困ったことがあったときにも、きっと相談しやすい空気をつくってくれる人なんだろうな。
「飛び込み営業はしていないんです。どちらかというと、総合職のようなイメージかな」
総合職のような、とは。
「家を丸ごとつくり変えるような大きな現場は、現場管理担当と設計士と協力しながら進めていきます。でもキッチンの入れ替えとか、住みながら一部屋だけの工事などの場合は、はじめから終わりまで営業が一人で担当します」
まずはお客さまのお宅に伺って、話を聞くところから。
家族構成や生活スタイル、リフォームを決めた背景なども聞いていくそう。ときには言葉にならない漠然としたイメージや想いも汲み取りながら、目指すイメージをすり合わせていく。
見積もりを作成し、契約をしたら工事の段取り。職人さんと打ち合わせをしたり、スケジュール表を作成する。
着工後は工事全体の進捗も管理していく。こうして聞いていると、設計以外のことはほぼすべて一人でみていくような感じだ。
さらに既存の構造を生かしてつくるから、同じものは一つも存在しないということが魅力であり、悩みのひとつにもなる。いつも新鮮な気持ちで現場に向き合っているといいます。
なんだか、営業という言葉からは想像もできないくらいいろいろな仕事があるんですね。
「本当に、簡単じゃないんです。お客さまとの食い違いや思い違いもあるし、人間ですから失敗することもあるでしょう」
「言っていいのかわからないけど、僕も連絡漏れとかいろいろ失敗してきましたよ」と笑う吉田さん。
どんなことがやりがいになっているんでしょうか。
「妥協せずに、常にチャレンジしながら働けていることだと思いますね」
「たとえばリフォームでは、天井を高くして梁をわざと見せるスタイルがあります。鉄骨のお宅だけど、お客さまはそういうスタイルが好きだと話しているうちにわかって。なんとかならないかと職人さんと悩みました」
天井を高くすると鉄骨が見えてしまう。知恵をしぼった結果、鉄骨に木をかぶせて梁に見立てることに。ところが今度はなんだか空間全体のバランスが悪い。
ならば構造上は必要ないけれど、反対側にも梁を入れようとデザイン面からも考えたといいます。
「とことん話して、試行錯誤しながらつくったお客さまから感謝のお手紙をいただいたときは、自分にも誇れたし自信になりましたね」
最初からすべて器用にこなせなくても、吉田さんのように自分で考えながら行動できる人なら、楽しみながら働いていけると思います。
最後に紹介したいのが、入社2年目の甲斐さんです。
敷地内を一緒に歩いて、案内してもらいながら話を聞きました。
今の仕事につくまでの経緯をたずねると「私、大学では経済学部だったんです」と意外な返事。
「家にいる時間が好きで、もともと興味はありました。私は宮崎の高千穂出身なんですけど、長崎材木店は宮崎の杉を使っているんですよ。ここで働くと、なんだか離れていても地元を身近に感じられるような気がしたのがきっかけです」
「面接のときから他の会社とは雰囲気が違いましたね。普通は受付で事務的な対応をされるんですけど、ここでは『大変ね、何回もきて。大丈夫、受かるわよー』って励ましてもらったりして(笑) あぁなんかいいなって」
ここでなら楽しく仕事ができそうだと思えたのが、はじまりだそう。
実際に働いてみて、どうですか?
「人には本当に恵まれていると思いますね。夕方事務所に帰ってきて、みんなで話すことがすごく多いんです。『こんなことで困っている』とか『この素材を使ったらこうなった』という話も、世間話みたいな感じで共有されています」
決められた時間をつくらなくても、自然に互いを気にかけたり必要なことは話しあえる環境がうれしい。九州のおいしいお酒とともに、飲み会をすることも多いのだとか。
とはいえ、はじめは右も左もわからなかった。仕事を覚えていくのは、職人さんとのつながりが大きかったという。
「入ったばかりのころ、会社のトイレの改装を任されて。塗り壁も、どんな手順で塗っていいのか全然わからない。この材料を塗って、どのくらい時間をおいたら次を塗るということまで一から教えてもらいました」
一人で仕事をするようになってからも、着工後はハプニングがつきもの。
天井を抜き、床板をはがしてみるとないはずの梁が出てきたり、シロアリに食い荒らされていたり。
「そういうときに、まわりに聞きやすい環境が整っているんです。大工さんもハンディマンの人たちも社内にいるので、写真を見せながら『この部分、どうしたらいいですか』って聞いたりして。わからないことはたくさんありますが、勉強になるしとても心強いです」
実際、作業場を訪れると「今日は取材を受けているんですよ!」とハンディマンの方に話しかける甲斐さん。「ちゃんと話せてるのか?」と言いつつも、みなさんにこにこと話を聞いている。
大工さんとも「今なにつくってるんですか」「あのお宅の家具だよ、こういうやつ」と気さくに話をしていた。
役割の垣根はなく、本当に職人さんみんなに育てられているような感じがする。わからないことは素直に聞いて学んでいこうという甲斐さんの姿勢も、まわりの協力を集めるんだろうな。
どんな人と一緒に働きたいですか。
「誰かのために何かしたいって思える人かな。よく社長から自分や家族の家をつくるつもりでって言われます。じっくりいろんなお話を聞いていると、自然と家族のような気持ちになっちゃうと思いますよ」
ここで働くみなさんは、自分の仕事に誇りを持っているように感じました。
それは本当に良い住まいをつくりたいというお客様の気持ちも、それに全力で答えたいという自分の気持ちも裏切らずに仕事ができているからだと思います。
正直に、胸をはって思いを貫く住まいづくり。興味を持ったら、ぜひ仲間に加わってください。
(2016/7/15 並木仁美)