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高いビルがずらっと並ぶ紀尾井町。オフィス街特有の落ち着いた雰囲気のあるところです。
駅を出て少し歩いて、外堀跡にかかる弁慶橋を渡ると、元赤坂プリンスだったところに新しいビルが見えてきました。
東京ガーデンテラス紀尾井町。このビルの一階にカフェがあります。
DEAN&DELUCA。
おいしいパンやコーヒーが好きな人ならきっと行ったことがあるお店ではないでしょうか。
世界各国、日本全国の食を扱い、カフェではイートインもできます。紀尾井町のお店では開放感いっぱいのテラス席もありました。
もともとはアメリカでスタートし、「“食べること”は人生を味わうこと」をコンセプトに食の楽しさを伝えてきました。
食べることでしあわせになる。
そんなことがよく伝わってくるお店だと思います。なぜかと言えば、コミュニケーションを大切にしているから。
今回はお店を管理したり、実際に店頭に立ったりする人と、MDというお店に並ぶ商品を考えたりする人の募集です。
食べるということが生活の一部となり、それを日々のしあわせと感じる人にとってはとてもぴったりなお仕事かもしれません。
ぜひ最後まで読んでみてください。
店内に入ると、事業統括の平井さんが迎えてくれた。
キッチンのとなりにある席で話を伺った。
「DEAN&DELUCAに入る前は、おもしろい商品とか、なんかこれ家にあるだけでハッピーだなっていうものを買って帰ったりしていたけど、全然なに屋さんかわからずに通ってたんですよ」
当時は店舗づくりの仕事がしたくてコンビニなどで働いていたという。そのころ、東京出張のたびに通っていたのがDEAN&DELUCAだった。
一体何に惹きつけられて、働くというところまで至ったのだろう。
「前の仕事をやめるときに、ふと頭によぎって。そんなに大きなチェーン展開はしていないけど、1店舗1店舗大切にやっていくことをここなら楽しめるのではないかって」
「名前は忘れていたのですが、ブランドとしての魅力が伝わってくるというか」
魅力が伝わってくる。
「扱っている商品がそんなに安くはないんです。でもそれぞれにこだわりを持って、つくり手さんへのリスペクトも持っている。食を楽しみながら、大切にしているように感じたんです。そういう魅力をもっと自分の力で大きくしていけたらなってパッとひらめいて。とりあえず何も考えずに応募しました」
たしかにお店に入って商品の値段を見ると決して安くはない。
ただ一つひとつの商品を見ていくと、丁寧につくられたものであることが伝わってくる。
お店の人に商品について聞いてみても丁寧に説明してくれる。
聞くと、しっかりとした研修があり、ただ商品を売る、つくるだけではなく、きちんとそのものの背景まで知った上で説明していただけるようだ。
続いて話を聞いたのが商品の企画開発を担当する吉住さん。
この会社に入社する前はフランス料理店でキッチン、カフェでカウンターを担当していたそう。
そうしてDEAN&DELUCAに出会い、社風に共感して入社を決めた。
「楽しんで食事をしよう、楽しんで食材を選ぼう、こだわっていいものを食べようっていう私が大事にしてきたことと合致したんです」
吉住さんが担当する商品の企画開発とはどういうものだろう?
具体的に聞いてみる。
すると出てきたのが一杯のアイスコーヒー。
これを開発したのが吉住さん。
商品化に至るまでのお話を聞いてみると、より熱のこもった話をしてくれた。
「今までにないアイスコーヒーをつくりたくて、半年かかったんです」
今ではメジャーになっている水出しコーヒー。
DEAN&DELUCAでも数年前から出していたが「みんなが飲み慣れてるものとは違うアイスコーヒーをつくりたい」と考えた。
吉住さんの熱意からはじまって、新たなお店のヒーローアイテムになり得るものが生まれる。
豆選び、焙煎度合、シロップやミルクをいれてもぼやけない味を求めて、試行錯誤を繰り返した。
一口飲んでみると、ふわっとフルーツのような香りがありながら、コクもあり、後味はすっきり。独特の甘い余韻が残る。
ビールサーバーから出てくるというのもおもしろい。
「たくさんの苦労があってやっとできあがって、でもすごく楽しくて。愛着が湧きすぎて自画自賛してるんです(笑)」
実際にお客様からも社内からも評判がいいという。
話を聞いてから飲むと一段とおいしく感じられて、そのものの背景を知るということはこういうことなのだと思った。
「つくっている人の想いなどを知った上で商品をつくるのと、何も知らず分量だけ量ってつくるのでは、出てくるもののクオリティも込める想いも違ってくると思うんです」
お店に実際に立ったときに困らないように、ベースをしっかりつくりあげていくことを研修では大切にしているそう。
ここまで熱く語る人から受ける研修というのは、きっと「お腹いっぱい」になるのだろう。
それでもただ一方的に厳しく研修をするのではなく、和やかな雰囲気の中で、お互いのことを理解し合う。
そうすると学ぶ側は素直に聞くことができるし、感動したり、驚いたりもする。研修後にはさらにDEAN&DELUCA のことが好きになるという。
話を聞いていると、ここで働いている人は自分の仕事が本当に好きなんだろうな、と感じる。
もちろん苦労や失敗はあるだろうけど、それでも楽しそうに自身の仕事を話してくれる。
なぜそうなったのかと言えば、上司や部下という関係にとらわれず、たくさんのコミュニケーションを重ねてきたからかもしれない。
社内の風通しのよさ。
使い古された言葉かもしれないけれど、この言葉がぴったりの会社。
ポジションで隔たれることなく何気ない会話もできるような雰囲気。ここまで会社が大きくなっても、いい意味でのゆるさがある。
もう一人紹介するのがカフェエリアマネージャーの新生さん。彼女も一人ひとりとしゃべることを大切にしているそうだ。
「私はけっこうグイグイ自分でオペレーションまわしちゃうタイプだったんです。でも自分で全部解決したとしても意味がなくて。メンバーをどうやったら成長させられるんだろうって悩みました」
「どう伝えたらみんなが受け入れてくれるのか。私が考えていることを行動で示してくれるのか。そのためにメンバーとしっかり話しました。話すのは人の悩みが多いんですけど」
人の悩み。
「売り上げや店舗の管理のことはもちろんですが、やっぱり人の悩みって尽きないんですよ。成長できないとか成長させることができないとか。例えば下の子をマネージャーにしてあげたいけど、どう導いたらいいかわからないって相談されたり」
人をマネジメントするのがマネージャーの役割のひとつ。
明確な答えがない中で、コミュニケーションを重ねて模索していく。それぞれに課題があることがわかってくる。
「自分から『こうなりたい』って発信できるようなメンバーがもっと増えてくれたら。自分の意思をちゃんと伝えることが大事です」
「風通しがよくて意見をきちんと聞いてくれる環境って、逆に言えば見られているってことなんですよ。発信できる人のことは覚えていてくれる」
エリアマネージャーもマネージャーも事務的なものを含め、店舗をよりよくしていくために動いていく。
店舗にも実際に立ち、メンバーときちんと話し、お店をどうつくりあげていくかを考える。
自分のキャラを理解し、周りも理解し、その上でどうやってお店をつくるか。
きっと壁に直面することもあるけれど、平井さんや新生さんのように向き合って相談に乗ってくれる上司がいると思うと心強い。
コミュニケーションは社内だけの話じゃないように感じた。ちゃんと自分たちの想いをお客さんにも丁寧に伝えている。
平井さんがこんな話をしてくれた。
「コーヒーひとつにしても、それで誰かの食卓をつくれるのか、食卓を飾るものとしてふわさしいのかっていうのをよく言っています。お客様がどのように使うのか、どのように食べていただくのが一番おいしいのかっていうところまで想像を巡らすんです」
「さらにそこに驚きを加える。“Make it Wow!”っていうのがよく出てくるんですけど、“Wow!”って思ってもらえるように、いろんな人とディスカッションして、視覚的インパクトを加えたりして」
DEAN&DELUCAに並ぶもので初めて見てびっくりするものといえば、オレオがそのままつきささったマフィン。
そういったものもただ売りっぱなしにするわけではなく、どう受け入れてもらえるかまで考えて、寄り添いながらつくられている。
食の楽しさを提供するために、そのものの背景を理解し、それに驚きを加え、味わってもらう。
自分たちも楽しんでつくる。
食というものへの真摯な姿勢がひしひしと伝わってくる。
今回募集するMDの仕事はこういった食べ物を提案するだけではおわらない。
例えばカフェオリジナル商品のタンブラー。通常提供している紙コップと同じ色で、完全密閉な上に冷めない。蓋も独自でつくったもの。
「朝、お店に寄ってもらってこれにコーヒーをいれる。鞄の中に入れても冷めないし漏れない。デスクでゆっくり楽しんでもらえるようなものをつくれたらいいなと思って」とにこやかに話す平井さん。
こういったプロダクトを開発することも増えていくのだろうか。
「そうですね。このお店はコーヒー屋がやるカフェではなく、食材屋がやるカフェなので。ベーカリーやサンドイッチとかのフードが充実してるっていうのはうちの強みのひとつ」
「フードを中心とした商品構成でより魅力を伝えていくために、季節限定のプロモーションとか、それに関連する商品とかを企画、開発してもらえたらうれしいですね」
DEAN&DELUCAはまだまだこれから大きく展開していく予定だという。
店舗のマネジメントだけでなく、つくることにこだわりを持って、それをお客様にも伝えていけるような人が増えると、さらにおもしろくなると楽しそうに話してくれた。
最後に、MDの仕事で関わることの多い吉住さんにどんな人が来てほしいかを聞いてみた。
「すべてのことを楽しめる人がいいですね。食材もつくることも開発もすべてのことで楽しめる人は大事だなって思います」
楽しんだもの勝ち。その言葉がしっくりくる。
自分の想いが先にあって、それを実現するチャンスは無数にある。
「言ったならやれよ」
そんな無言の期待すらもわがものにして楽しめる人がきっと活躍できる場所なのでしょう。
食を楽しむということ、それを人に伝えるということ。
ぜひ、食を通してたくさんの人をしあわせにしていってください。
(2016/8/4 西村隆ノ介)