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場生むクリエイティブ

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誰かの価値観が変わる。意識が変わる。

その変化は、毎日どこかで起きている。

たとえば本を読んだとき、圧倒的な写真を目にしたとき。

どこかでたまたま隣になった人と、言葉を交わすときかもしれません。

バウムはそんな変化が起きる瞬間=“場”を生み続けているソーシャルクリエイティブカンパニー。

cpt-2016-09-02-17-44-42 企業や社会の問題を解決するために、コンセプト設計やデザイン、WEB制作やイベント運営などさまざまな手法で“場”をつくっています。

どうしてその広告をつくる必要があるのだろう。つくることで社会にどんな変化が起きるのだろう。そんなふうに、バウムでは依頼されたクリエイティブ制作をするだけではなく、そもそもの課題を見つめ、コンセプトから考えます。

自分のつくる“場”で社会をどう変化させたいかを考える。それって自分が働く意味を考えることにもつながるようにも思えます。

自分のつくりだすものが何を変えるのか、しっかり感じて働きたい。

そんなふうに一度でも思ったことがある方に、ぜひ続きを読んでもらいたいと思います。



東京・外苑前。

駅から歩いて10分ほどで、ワタリウム美術館のすぐそばの白いビルが見えてきました。

そのビルの4階、エレベーターを降りて目の前がBAUMのオフィスです。

前回の取材のときに訪ねた日本橋オフィスから、この春引っ越しをしたばかり。

日本橋のオフィスと同じように、ここもみんなでDIYしてつくったそう。手づくりのフローリングや、棚があたたかくて、なんだか居心地がいいところです。

代表の宇田川さんが現れたので、さっそく名刺交換を。

すると宇田川さん。

cpt-2016-09-02-17-46-47 「“日本仕事百貨”って書いてあるこの6文字も、名刺も、たぶん“場”なんですよね」

文字も名刺も“場”ですか?

「だってこれはケンタくんが考えたことが誰かに伝わる6文字だから。この名刺を通じて遠藤さんとコミュニケーションがはじまっていますしね。誰かの思考に触れたり、それに影響を受けて関係が動き出すという意味では、人が2人関わっていればそれは場になるということ」

「なので、ぼくがつくるコピーも場だと思っています。コピーを考えるのもカフェをつくるのも変わらないと思って仕事しています」

宇田川さんは空間も名刺も言葉も、誰かが誰かに影響され変化が生まれるなら、つくられたものはすべて“場”になると考えている。この日本仕事百貨のWEBサイトだって“場”ということ。

宇田川さんが、人の価値観が変わる、社会を変化させる瞬間に興味を持ったきっかけの1つに、学生時代に目の当たりにしたプロジェクトの存在がある。

それは、白いリストバンドをつけることで“貧困を過去のものに”という意思表示をするというイギリスのNGOが始めたプロジェクト。アクセサリーのように身につけられる“ホワイトバンド”は日本でも流行した。

デザインや見せ方1つで、社会の価値観を変えられるということに可能性を感じたそう。

img_3213 「盛り上がりと同時に批判もあったりして、それも含めて超おもしろいって思ったんです。こういうのを仕事にしたいと思いました」

宇田川さんは新卒で宣伝の会社に就職し、その後独立してバウムをつくります。

クリエイティブ制作や宣伝といった仕事をしながら、それらが社会にどんな変化を与えられるかを考えてきたバウム。おのずとプロジェクト自体のコンセプトを考える仕事が増えていったそう。

そんなバウムで最近取り組んだプロジェクトにへき地の地域プロモーションの仕事がある。

それは、北海道にある世界的リゾート地の隣町を外国人に向けて紹介するプロジェクト。

国内でもほとんど認知されていない、観光地としてはマイナーなエリアをどう紹介していくべきか。外国人に足を運んでもらうためのコンセプトを考える必要がありました。

バウムが企画会議に入る前は、リゾート地によくある観光スポットやグルメ情報をまとめたガイドブックをつくろうと計画されていたそう。

「僕はそれを見て『隣に快適なリゾート地があるのに、そこと似てるもののために遠出はしない』と思った。どこかの後追いでは、地元の人たちにとっても楽しくないし、長期的な変化にならないだろうなって」

「やるなら地元の人たちのやる気とか考え方を変えるものをつくれたらいいなって思いました」

宇田川さんが考えたコンセプトは“世界的リゾート地より深い、ヤバいものが集まるエリア”というもの。もちろん訪れる外国人の傾向を調査した上でのアイデアだった。

img_8422 「地元の人たちに『素晴らしいところを教えて』っていうとだいたいどこの地方のガイドブックにも書いてあるようなことしかでてこないんだけど、『ここにしかないヤバいものを教えて』っていうと皆さんワクワクしながら、想像しなかったようなものを教えてくれるんです」

「『絶景だけど階段が壊れてて行けない』とか『いい温泉だけど熱すぎて入れない』とかね」

なんだかとても楽しそう。

「1年のプロジェクト、その後その街が発展するにはどうしたらいいかを考えていくと、みんなが楽しみながら結果を求められるものをつくったほうがいいと思ったのでそういうコンセプトにしました」

完成したガイドブックを見せてくれた。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 「ヤバい」という日本語は「GO DEEP」というコピーに変わり、大胆なデザインが楽しい。英訳された言葉もクスッと笑ってしまうような内容で、まだ見ぬエリアが愛おしくなってしまった。

「隣のリゾート地のことはしっかりリスペクトしつつ、自分たちのエリアの役割を短い言葉にこめました。打ち合わせの30分前に突然ひらめいて、そこから一気にコンセプトからモックアップまでつくって提案しました」

地元の人たちも宇田川さんの考えた「GO DEEP」というコピーを気に入って、よそで地域のイベント出展があるときなどは、“面白いヤバい街だ”と自分たちで話をしてくれているという。



2010年にバウムを立ち上げて7年目。

自分たちがつくったものが社会にどんな変化を生めるのか。もっともっと本質に触れるように仕事をしたいと宇田川さんは話します。

「今までクリエイティブの人たちって、規模の大きな仕事にやりがいを感じてきたと思うんです。街におどる大きな広告とかテレビCMとか。で、大手の会社に入って競争をするのが才能を役立てる唯一の選択肢だった」

「この国の経済にとって、それは大切な役割です。でも、残念ながら社会の課題に取り組むために自分のクリエイティブの才能を使っている人があんまりいない。そんな会社が1個くらいあってもいいのかなって思って」

表面的なことではなくて、自分の才能を社会の未来にどう活かせるか。そんなところにやりがいを求める人にとって、バウムはとてもいい環境だと思います。

宇田川さんはとても率直に言葉を放つ。まるでラップのような語り口調に笑ってしまいそうになりながら、とても素敵な人だなぁと思いました。



そんな宇田川さんと一緒に働くのがコンセプト部の高橋さん。

cpt-2016-09-02-17-46-04 ちなみにバウムにはコンセプト部以外にも編集&PR部などの部署があるそう。

日本仕事百貨の記事を見て入社されて1年半ほどの高橋さんにも話を伺いました。

「僕はコンセプト部の中でも企画や進行に関わることが多いですね」

最近携わった大崎のカフェ“Ours”では、お店のブランディングやイベント運営を担当したそう。

それは、新しいマンション建設にともなってできる街区の住人と、もともとの地元住人のコミュニティが生まれる場をつくるというプロジェクト。 “街にコミュニティをつくる”という課題のもと、住人参加型の継続していける場を考えていった。

「いきなり若い人がワッて増えて、そこにいきなり斬新すぎるものが飛び込んでも、もともと住んでいた人からしたら自分たちには関係ない場所と思われかねない。誰にとってもユニバーサルであることを重視して、お店のあり方を考えました。“Ours”と名づけて、公民館のような使い方もしてほしいという気持ちを込めて“cafe&hall”という冠をかかげています」

_dsc0142 「住人参加型のイベントがしやすいように、カスタマイズできる什器をつくったりと、場が継続的に生まれる工夫もしています」

場をつくった後も、どのような場にしたいかを理解してもらうためのイベント企画や運営もしているそう。バウムの仕事は本当に幅広い。

「バウムの仕事は大体がゼロから始まることばかり。誰もやったことがないものが多いので、そのまま何かを参照するということはあんまりない。一つひとつ考える仕事です」

そんな高橋さんは、バウムに入る前はCMの制作会社で制作進行の仕事をした。連日徹夜が当たり前の大変な環境に身を置いて、感じるところがあったのだそう。

「映像とかクリエイティブな仕事って、肉体的にも精神的にも結構大変な仕事が多いんです。これをつくったら誰かが幸せになる、それが売れてみんなの役に立つという見込みがあればまだ救われるんだけど、『これやって意味あるのか?』という思いは仕事をする上でめちゃめちゃモチベーションを削ぐんですよ」

「クライアント、つくる人、受け手みんなが幸せになれないのかなって思うようになりました」

バウムに入られてからはどうでしょう。

「嘘をつかずに仕事ができているように思います」

嘘をつかずに?

「僕らが大事にしてるのは子どもが遊びに来れる会社であるかどうかと、自分のお母さんに自分がやってるプロジェクトを勧められるかどうかなんです」

お母さんに勧められるかどうか。

「やってることは同じデザインとか映像とかなんだけど、その姿勢が全然違う。ここは違うと思うことは違うと言いやすい。クライアントさんと対等に仕事ができることが多いです。やろうと思えばこういうふうに働けるんだと思いましたね」

cpt-2016-09-02-17-45-02 どんな人と働きたいでしょうか。

「たとえば今回グラフィックやWEBの仕事を募集するんだけど、多分専門の仕事だけじゃなくて、社会に対してもっと広い視野で考えないといけないときもあると思うんです。そういったときにデザイナー的な思考で、ちゃんと考えて発信できる人」

「あとは、お金や働く人のことまで考えて、いいことの仕組みを世の中につくりたいという感覚がちゃんとある人かな」

バウムの仕事はプロジェクトの必要性から考える。

ゼロから考えていくのはとても大変だろうけれど、そこに自分のクリエイティブの意味を感じられるなら、とても健やかに働ける気がします。

少しでも共感することができたら、ぜひ応募してみてください。

(2016/9/27 遠藤沙紀)