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「オーガニック」や「有機」という言葉を、 いろんなところで耳にするようになりました。オーガニックフード、オーガニックコットン、オーガニックコスメ。さまざまなオーガニック商品が毎年続々と登場するなか、有機栽培の農産物や畜産物を卸販売する会社があります。
まだまだ日本では未発達だというオーガニック市場を、最前線で切り拓いているエフティピーエス株式会社(以下FTPS)。
有機農業を支え、発展のための事業をしながら、安全な食と環境の大切さを広めることも目的としています。
ここで募集するのは営業スタッフです。生産者・販売者・消費者が三位一体となることを手助けするコーディネーターのような役割も担います。
健康的な食や元気になる食に関心がある方は、ぜひ読み進めてみてください。
八丁堀駅からほど近いところにあるビルの7階。
FTPSは少人数の会社。中へ入るとすぐに取締役社長の天内さんが迎えてくれた。
FTPSは一般社団法人フードトラストプロジェクト(以下FTP)との両輪で動いている。
FTPは安全や環境に配慮した取り組みや産地を応援し、ひろく普及することを目的としたプロジェクト。有機農産物やこだわりの加工品を広げるための活動だ。
FTPの活動を、消費者にまで届ける役割を担っているのがFTPS。
主な事業は有機農産物の卸販売、商品企画や売り場づくり、流通のコンサルティングなど。
「うちでの営業の仕事は、人が元気になる食べもの、幸せになる食べものを運ぶことなんです。さらに農業の持っている楽しさを伝えていけたらいいな、と思います」
たとえば飲食店でオーガニックや特別栽培の野菜を扱おうとしても、現状では一括して頼める卸業者がほとんどないそうだ。それも日本のオーガニック市場が発展していない原因のひとつだという。
「有機農業がもっともっと広がっていくことが大事。一般の人にも開かれた、一括して卸しができるような会社にしていきたいんです」
そのような会社にするために営業としてやるべきことは多岐に渡る。FTPSでの営業の仕事は農家とのやりとりから商品開発、店づくり、イベントに関わること。今回募集する人にも、天内さんとともに多くのことに関わってほしいという。
「流通や販売をきちんとやるっていうのが仕事のベースです。それにプラスして、自分のオリジナル性をどんどん提案していってもらえたらいいですね。この業界は昔からのやり方があるわけじゃないので、自分たちの手でつくりあげていくんです」
「ほかの業界からくる人であれば、別の視点を持っていますよね。農業のベースはわかってもらった上で、固定概念にとらわれず変えてみたりしてほしい。おもしろいほどにいろんなやり方があると思うんです」
天内さんもずっと試行錯誤を繰り返しているそうだ。
たとえば北海道十勝地方でつくられている「インカのめざめ」というじゃがいも。糖度が高く、おどろくほどの甘さを持っている。
「出荷ではじかれてしまう小粒のものを、どうにかできないか」と生産者から相談を受けた。
どんなにおいしいものでも、消費者が使い方のイメージがわかないと売れない。売れないと新たな発注がこなくなってしまう。
「商品企画として自分たちで考えながら、取引先に打ち出し方や陳列の仕方を提案するんです。いいものでも、売る努力をしないといけない」
天内さんが試してみたのは、じゃがいもの特徴や食べ方をシールに書き、売り場に置いてもらうこと。
「担当だからって個人でかかえるのではなくて、営業会議でみんなで考えるんです。レンジに対応したパックが新たにできたから、これに入れてみたらいいんじゃない?とか。それで実際に自分たちで試してみるんですよ。どうしたら売れるかっていうのを一緒になって考えていく」
レンジでチンするだけという手軽さとおいしさから、どんどんリピーターがついていった。
「有機野菜とかこだわったものって、どうしても価格的に高くなってしまう。それをただ売り場に並べただけでは、有機がほしいという人しか買ってくれないんです。常にお客さんが変わらないんですね」
「手にとってみたらおいしかったっていうので、新たに有機のファンになってくれたりとか。そういう消費者を開拓しなきゃいけない。そのためにはどうしたらいいか。ただ安心安全だけじゃなく、新しい切り口で考えることが大事だと思います」
企業があらたにお店をつくるときは、はじめから話し合いの場に参加する。売り場を一緒につくっていくことを大切にしている。
販売者も生産者のことを理解しようと、生産地に直に足を運んだり、農業体験したり、流通を理解しようとしたり。そういう姿勢が徐々に出てきている。
生産者と販売者の間をつなぐコーディネーターとして。さらに消費者も入れて三位一体の関係をつくりあげていくことを目指している。
「形としては変わらずお店で販売をするんだけど、売り場の中身は完全に前と違う意識を共有していて。そういう元気になる、幸せになる食べ物を販売するっていうそんなお店を一緒につくっていきたいです」
コーディネーターとしての営業の役割。
ときには生産者とお店との板挟みでもめることもあるだろう。いくらいい商品でも売れないこともある。
「それでも最初の1、2年は我慢する覚悟で思い切ってやってみないとダメだと。それくらいのことを言い合いながら関係を築いていく。そういう卸会社として存在していきたいですね」
関係を築くため、やりとりをする生産者とは毎年農地を訪れ、継続的な付き合いをしているという。
ここでの営業という役割には、人と丁寧に関係を築いていける人が向いていそうだ。
営業と一言でいっても、自分のアイディア次第ではたくさんのチャンスが転がっている。
取引する農家や小売店、メーカーが増えていき、これからはもっと多様な小売形態、販売形態に対応できる体制をつくっていかなければならない。
チャンネルが増えても、ガチガチに固定されたルールがないぶん柔軟に対応できるのかもしれない。
ただ、「有機農業」という世界に外部の人間が入っていこうとすると、少しハードルが高く感じてしまう。
新しく入る人には専門的な知識などは求められるのだろうか。
「そういうのは全くいらないです。有機農業とかに興味がある人って、食べて元気になる野菜とか好きだと思うんですね。どうして元気になるのかっていうことを勉強して突き詰めてもらえればいいんです」
「常に興味を持って、貪欲に有機や野菜のことを知ろうという方であればいいですね。畑で野菜や土に触れるチャンスもあります。どんどん吸収して、自分の言葉にして伝えられるようになると思います」
「我々の想いは農業をつないでいくことなんだよね」
そう話してくれたのは、代表取締役の徳江さん。
FTPの代表理事、大地を守る会の創業時のメンバーで、「らでぃっしゅぼーや」も手がけた。
農業の話を聞いていると、徳江さんはとても熱い人なのだとわかる。
「今年、農地を途絶えさせないために、新たな農業生産法人シェアガーデンをはじめたんです」
後継者問題に休耕田や放棄地の増加。農業自体がどんどん小さくなっている。
農業の技術や経験がない人でも参入しやすくするために、農場をシェアする取り組みが千葉ではじまったそうだ。
「この業界を仲間と一緒にもっと大きく広げて、ネットワークをつくりたいんだよ」
まだまだ有機農業は横のつながりが弱いという。全国規模で農場のネットワークをつくり、販売も体系的な取り組みができるような仕組みづくりをするために、さまざまなチャレンジをしている。
そのひとつが、今年11月に開催する「オーガニックライフスタイルEXPO」。
そのために、さまざまな団体と一緒に主催団体を設立した。
EXPOでは約190のブースを用意し、食品だけではなく、化粧品やアパレル、リビング関係などライフスタイルにまつわるものが多く集まる。
「新規に就農した人って、なかなか販路をつくれないんですよ。だからそういう人たちがもっと元気になれるように、つくる人と使う人が出会う場をつくっているんです」
FTP、FTPSのやるべきことのひとつとして広報があるという。オーガニックが注目されていると言っても、まだまだ消費者自体が理解していないことが多いのだそうだ。
「このイベントは消費者も小売も生産者も参加する。結構にぎやかな場になると思うんですね。有機農業を広めるだけじゃなくて、ライフスタイルを提案することで生活全体をオーガニックというコンセプトで固めていく」
「僕らは実際にオーガニックがビジネスとして可能かっていうのをここで示したい」
最後にどのような人に来てほしいかを聞いてみた。
「とにかく凝り固まってない人かな。既成概念とか自分の経験だけで考えるんじゃなくて。広く興味を持って、好奇心旺盛に」
「さらに言うと相手のことを考えられる人。相手が何を望んでいるのか。どこのボタンを押してほしいのかとか」
まだまだ未発達のオーガニックマーケットを広げる。農業を未来につないでいく。
きっとこれからたくさんの問題を解決していかなければならないでしょう。
強い信念も必要かもしれませんが、それよりもしなやかさが大切な仕事だと思います。
まずはとびこんで、切り拓いてみてください。
(2016/9/5 西村隆ノ介)