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「『没入』というのは『没頭』の上ですよ。石の上にも2年かな。2年間はここで仕事に没入してほしい。入ったら余計なことは考えない。家に帰ったらクタクタになって疲れて寝る。そんなふうに2年過ごせば、その経験はものすごい自信になりますよ」これはチーズケーキや焼菓子の製造・販売を行う”チーズガーデン”を運営する、株式会社庫や(くらや)の代表・手塚さんの言葉です。
チーズガーデンの主力商品”御用邸チーズケーキ”は栃木県那須のお土産の代表格。最近は都内や大阪にもお店をオープンさせています。
手塚さんの人生はとにかく行動あるのみ。仕事に没入していたら、事業を始めていつの間にか今年で31年目になっていたそう。
30年の節目を迎えた庫やでは、手塚さんとともに働く販売促進スタッフとオンラインショップの運営を行なうスタッフを募集しています。
販売促進部は、お店のポスターやチラシをデザインしたり、イベントを企画運営したり、言葉をつかって商品やブランドの見せ方を考える仕事。オンラインショップは、商品の注文・発送はもちろん、どのようにして売上につなげるかを考える仕事です。どちらの仕事もルーティン業務はないそう。
仕事に没入し続けること。とにかく前を向き続けること。庫やの仕事はとてもエネルギーのいるもののように感じます。
それでも、命の跳ねる音のするような代表・手塚さんを前にしていると、没入した先を見てみたくなってしまう。そんな場所。
少しでも気になった方は続きをぜひ読んでみてください。
東京から新幹線で那須塩原駅まで1時間あまり。そこから車で30分ほど行くと、庫やの本社に到着した。
オフィスにはチーズガーデンの店舗と工場も併設されていて、車を降りるとふわっと甘いよい香り。
中へ入るとアート作品がいくつも飾られた廊下の先、明るい光が差し込むテストキッチンに案内された。ガラス張りの壁からは販売促進部と社長室が見通せる、気持ちのいいところ。
会議を終えて風のように現れたのは代表の手塚さんです。カメラを構えると嫌がられてしまいました。写真を撮られるのは苦手なのだそう。
手塚さんはもともとパティシエでもなければ、チーズケーキの評論家でもありません。チーズガーデンができあがった経緯を聞くと、意外にも最初に起こした事業は、わさび漬けのお店だったと教えてくれた。
テーマは『誰でも知っているもの』をつくること。わさびを漬けた経験も知識もないけれど、とにかく始めたそう。
「僕は仕事をつくりあげるのが好きなんです。無から有を生む、それをゼロワンと言っているんですけどね」
試行錯誤しながら始めたわさび漬けの事業が縮小してくると、そこから急転換、事業を始めて10年目にしてチーズケーキづくりを始めます。
“誰でも知っている”チーズケーキへの転換は、手塚さんの中では仕事づくりのプロセスの中の一つだったと言います。
「仕事って何でもいいんです。何のために仕事があるかというとみんな楽しく幸せになりたいから。だからこそ、仕事に自分の好きが芽生えないと幸せじゃないよね」
じゃあ、手塚さんの”好き”はどこにあるんでしょう。
「ゼロから創造するそのプロセスが、苦しいんだけど最高なんだよ。いろんなところで失敗もして打ちひしがれるんだけど、そこからジタバタする。その繰り返しで突拍子もないものを生むんです」
チーズケーキをはじめた当時はもちろんお菓子づくりの知識もなかった。
最初は「おいしくない」と言われることもあったそうで、釜の機械メーカーの人につくり方を教わることもあったと言います。
「老舗だとすでにストーリーがある。でも僕は初代だから、仕事をつくるのと同時進行でストーリーをつくらないといけない。チャレンジし続けるためにはお金も稼がないといけません」
誰もが知っているチーズケーキを売るためには、質をあげるのはもちろんのこと見せ方も大事になる。何もかも突き詰めていかないといけない。チーズケーキも改良に改良を重ねてきた。
チーズケーキ販売のほかにも新製品の開発や店舗のリニューアルをしたり、 チーズガーデンをはじめてからずっと毎月のように新しいことをはじめてきている。
その甲斐あってか、20年経った今では全国各地の百貨店から声のかかるブランドになった。
その一方で、とにかく仕事に没入する手塚さんについていけず、辞めていく社員もいたという。
「経営者の僕が絶対の自信を持って仕事をすることが、雇用している人に対しての責任だと思っています。ついて来られない人は仕方がないよ」
厳しくも聞こえる言葉だけれど、手塚さんの言葉には嘘がなくて、瞳はまっすぐだ。
「せめて2年、これで良かったのかなんて考えないで仕事をする。あっという間に時間が経っちゃったという時期がないと、次のステップには行けないと思っています。そのうち時間をコントロールできるようになればきっと楽になるから」
そう言って、冒頭に出てきた”没入”の話をしてくれる。手塚さん自身この30年間は、本当にあっという間だったと何度も繰り返す。
“没入”、“ゼロワン”など独特のことばを使う人だ。
「よかったらあげます」
そう言って、手塚さんがつくった言葉を集めた本、庫やのこれまでを演劇作品にした DVD、社名が刻印されたノートなどたくさんのお土産を渡された。
「節目節目にこういうものをつくりたくなるんだ。モノをつくるのが好きなんだよね」
笑う手塚さんはなんだか少年のようで、とても魅力的。
会社自体は変化し続けているけれど、手塚さん自身は変わらない人なんだろうという気がします。
「今日はちょうど経営会議だったんだけど、庫やは今年で31年目。これからはこの会社に誰が入ってもちゃんとまわるような状態にすることが使命だと思っています。俺がいなくてもいい状態にね」
“ゼロワン”から“老舗”になるということでしょうか。
「老舗も『ゼロワン老舗』って言いたいんです。つねに変わり続けている老舗」
新たなステージはゼロワンの延長線にある老舗。いったいどんな働きかたになるのだろう。
続いて販売促進部の課長・鈴木さんにお話を伺う。
鈴木さんはもともと紙やWeb媒体の編集の仕事をしていた方。中途で入社して1年になる。転職をきっかけに家族で那須へ引っ越してきたそう。
「大阪のお店がオープンしたのが今年の5月末。それが終わったら今度は6月末に那須の本店がリニューアル。ビッグイベントが続くなあと思っていたら、ずっと働いている人いわく、それが2、30年ずっと続いてると言うんです」
そう言いながら鈴木さんは苦笑い。ものすごいスピード感で庫やの仕事は進んでいくようだ。
『次はこうしよう』というアイディアの種は手塚さんから生まれているのだそう。販売促進部のスタッフは現在4名。
デザインや広報、お店づくりなど手塚さんと意見交換しながら種をどんどん形にしていく。
「今年のリニューアルに合わせて商品のパッケージを新しくするときも、一回つくってみて、それで手直ししていけばいいだろうという感じでした」
「なんでも良いわけじゃないけど、一度つくってみないと始まらない。自分たちがいいと思ったものであれば一回はつくってみようとなります。つくったけど一瞬で却下ということもありますけどね」
一度つくってみないと始まらない。
「そうです。本店のリニューアルオープンも『グランドオープン』と言わないようにしました。というのもオープンしてからの改善が必ずあるので」
販売促進部ももちろん商品や什器の入れ替え作業をしたという。混雑時にはレジに立つこともあるのだそう。
「私は今まで編集の仕事をしていたので、パッケージのことなんてまったく分かりませんでした」
「ここでの仕事は分からないなりにやるしかない!という感じ。次から次に新しいことができる環境にあるので、そういう経験をしたいという人にぜひ入ってほしいな」
販売促進部で働く他のスタッフも、バックグラウンドはさまざま。
分からないことはみんなで相談しながら形にしていくけれど、何かしらの得意分野があると楽しめそう。
「単純にポスターをつくったり、雑誌に広告を出すだけでなく、売上を伸ばすために新しい商品を企画したり、パッケージを一新する、といったことを販売促進部はやっています。社長が近くにいることが多いので、経営にも関わるような裁量の大きな仕事ができますね」
それは販売促進部の一部でもあるオンラインショップ運営にも言えるのだそう。
すでにオンラインショップをはじめてはいるものの、まだまだ種の状態。ここから一つのお店という意識で売上を上げていきたいという。
「売上げを上げるための施策が立てられれば自由にやれる環境は整っています。売上げを伸ばしていくにはどうしたらいいかということをWEBの制作会社さんと月1回の会議で打ち合わせしていきます」
「まだまだ社内には知識がないので、メールマガジンを打つ、割引クーポンをつくるくらいしかできていないんだけど、新しく企画してくれたら実行する手はありますよ」
たとえばオンラインショップ限定の商品をつくったり、実際の店舗と連携したイベントを企画したり。
ゼロワンを実行する環境は整っているから、あとは没入してくれる人が欲しいとのこと。一つのお店の店長になるイメージだそうです。
庫やの仕事は、同じことの繰り返しということはありえません。
何かをつくり上げることが好きで仕方ない、いつもワクワクしていたい。そう思える人にはぴったりの職場だと思います。
手塚さんがゼロからつくってきた庫やで、変化しつづける仕事に苦しみながらも没入する面白さを味わって欲しい。
楽しめそうだと思ったら、ぜひ応募してみてください。
(2016/11/18 遠藤沙紀)