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世の中には求められたものを正確に形にする仕事もあります。一方で仕事をつくるところからはじめるやり方もある。株式会社デュエットプランニングは、主に印刷物のデザイン・企画・制作を行ってきた創業25年の会社。
ちょっと変わっているところが二つあって、ひとつは売り上げの95%は労働組合関連の仕事であること。定期的に発行する機関誌やハンドブック、ポスター、大会議案書などをつくっているそうです。
もうひとつは問いから考えている会社だということ。
ときにはクライアントもまだ想像できていないようなことを見抜いて形にしていく。
そんな働き方が実現できているのは自由だから。
自由と言っても、楽ができるというわけじゃありません。責任が伴う自由です。問いから導く働き方を実現するには、型にはまっていては難しい。
だからこそ、自分が決めたやり方で、自分のアイデアを活かしながら仕事を進めていく。
今回は、そのすべての工程を管理する営業スタッフを募集します。
この会社の営業はやりたいことに対して、会社から「ノー」と言われることはまずないそうです。
しかも経験は問わないとのこと。企画やデザインに興味があって自分の裁量で仕事をしたいと思っている人に、ぜひ読んでもらいたいです。
デュエットプランニングがある愛知県岡崎市は名古屋駅から電車で30分ほどのところにあります。
かつて徳川家康が生まれたこのまちには江戸時代には城下町がつくられ、有名な史跡があったり、宿場町の面影が残っていたり、歴史のまちと呼ばれています。
JR岡崎駅から歩いて10分のところに事務所を構えたのは15年前から。
中に入るとにこやかなスタッフさんたちが迎えてくれました。なんだかホッとする雰囲気です。
まず社内を案内してくれたのは代表の長谷部孝夫さん。5年前にお兄さまの雅信さんから社長業を引き継ぎました。
「1階に制作チームがいて、2階が営業と総務、3階は食堂やデータのバックアップスペースとして使用しています。3階の和室はマッサージ機も完備してますので寝っ転がることもできます」
もともと親戚が営んでいた印刷会社で働いていた孝夫さんと雅信さん。そこでは営業から印刷まで、ほとんど自社で完結する仕事をしていたそうです。
そこから独立してデュエットプランニングを立ち上げたのは、今からちょうど25年前のこと。
「うちには印刷設備がありません。それには理由があります。前の印刷会社での経験から、設備は老朽化もあり10年に一度は入れ替えが必要で多額の投資が必要です」
「さらに労務管理も大変ですし、設備に合うような仕事を取りたがります。自由度が制限されます。それが嫌でした。企画とデザインだけで勝負したい。それが、会社を立ち上げたときの想いでした」
そんな想いが印刷機を持たないスタイルをつくりあげた。一緒に働くのも社内のスタッフだけでなく、パートナーとなる印刷会社さんやフリーのカメラマンさん、デザイナーさん、そしてライターさんなどと協力して制作物をつくっている。
「独立したときに企画とデザインで食っていける会社にしましょう、というのが我々の出発点なんです」
孝夫さんの目標は、日本一休めるデザイン会社になること。
でも、デザイン会社にはどうしても休めない、残業が多いイメージがあります。
本当に実現できるんでしょうか。
「休日を増やす事は、この業界では、大変な勇気が必要です。就業時間が売上げに直結する業界だからです。労働時間を減らして売上げを増やすという難題を解決するためには、制作における工夫と圧倒的な営業力による新しい仕事の提案が必要です」
企画で食べていく。しかも休みもとれる。
働いている人たちにとっては素晴らしい環境。でもどうやって仕事を得ることができるんだろう。
「それは知恵と努力と工夫です」
この知恵と努力と工夫というのはどういうことだろう?休みがちゃんとあるそうだから、がむしゃらに働くようなイメージでもなさそうだ。
その答えは仕事をつくることもできること。
それを言い換えるならば、答えを導くだけでなく、問いから考えることだと思います。
それにしても一体、どういう仕事なんだろう。
具体的に聞くために、横山浩久さんに話を聞きました。横山さんは昨年の4月から専務になった方で、今は営業全体を統括しています。
「デュエットに入社して11年経ちました。その前からお付き合いはあって、この会社のことは良く知っていたんですよ」
もともと会社の雰囲気もスタッフの人柄も知っていたから、安心して入社することができた。
外から見ていて、どんな印象の会社でしたか?
「そうですね。今も変わっていないけど明るい会社です。いい意味で自由な会社。その分、責任はあるんですよ」
「ただ、あれをやれ、これをやれ、と言われないので、自分で考えて動かないといけません。そういう意味で大人の会社だなと思っていましたね」
たとえば、のんびりお茶を飲みながらアイデアを考えることもあるそう。
「ただ、やることはしっかりやりますよ。就業時間も9時〜18時で決まっていますし。時間の使い方は主体的に考えて組み立てます」
この雰囲気ってどうやって生まれたんでしょう。
「そうですね。創業者のカラーなのかな。自分から考えて動くことを要求されます。逆に『こんなところでおしゃべりしているなら仕事しろ!』なんてことは言われないですからね」
自由で大人な会社。若いスタッフでも手を挙げれば企画を任されます。
「あとは方向性とか、テーマとか、すごく重要視するんですよ。その事業の骨子ですから、これが定まらないとお客様に提案できません。本当に苦労するところです。でも抜群に面白いんですよね」
「ただ、スマートにやるというよりは、泥臭いところもありますよ。知恵を出すって言えば、簡単なように聞こえてくるけど、貪欲にいろんなプロセスを試していくんです」
たとえば、お客さんとよく雑談してみたり、資料にはすべて目を通してみたり。一度形にしても、やり直しになることもよくある。
そうやって考え抜いた先に提案すると「すごいことを考えてきたね」と言われることも。
もう一つ、営業の仕事として大切なことは、どういうチームでプロジェクトを進めていくか、メンバーを考えていくこと。
「パートさんを含めても、16人ほどの会社です。うちの規模じゃ、すべてはまかなえません。だからこそ、案件によって『この内容なら建物を撮影するのが得意なカメラマンがいいな』とか『料理撮影が得意な人がいい』とか考えていくわけです」
営業は案件の「絶対的主導者」とのこと。
社内のスタッフも含め、係わる人の技能を見極める能力を求められる。まさにスポーツチームの監督のような役割かもしれない。
ちなみに仕事がないときはどうしているんですか?
「ないときは創るんです。新たなニーズや困りごとなどお客さんと話をする。それが営業活動ですよね。コンペに参加することもありますよ」
今度は横山さんと一緒に、自動車系の労働組合の70周年記念誌事業を担当した長谷部佑輔さんに話を聞いてみる。
ちょうど今年は愛知県内の労働組合が結成されて70年の節目を迎えたところが多いので、70周年記念誌をつくる案件も多いのだとか。定期的につくるような大会議案書や機関紙以外にもこんな仕事があるそうです。
名字が同じなので聞いてみたら、最初に話を伺った代表の長谷部孝夫さんの甥っこさんでした。つまり雅信さんの息子さん。
「二年前に入ったばかりのときに担当したのが70周年記念誌で、それはもう大変でしたね。でも今となってはいい思い出かもしれません。もう怖いものはないな、と思えますから」
まず考えたのはコンセプトだった。
何回も話しているなかで、導き出されたのは”as one”という言葉。みんなで一つになってやっていこう、という思いが込められていた。
仕事の部分、生活の部分、社会の部分。
そんないろんな部分が積み重なって力になった。だからこそ、それがわかるようなビジュアルにしていこうということに。
この10年間、その労働組合を担当してきたパートナーのライターやカメラマンとともに、新しく取材もして記念誌をつくっていく。
10月の終わりにはじまったプロジェクトは、3月28日の記念式典に間に合わせなくてはいけない。
ところが時間がなかったのに「この原稿じゃダメ」と言われてしまった。それが2月中旬のこと。
「いろんな人が読むものだから、わかりやすい言葉で書いて欲しい、ということだったんです。こんな難しい言葉で書かれてもわからない。そこからたくさん議論しましたよ」
間に合わせるには3月の中旬に校了しなくてはいけなかった。
「本当は営業が原稿を書くことなんてないんですけど、横山に『自分がやります』って言いました。『それじゃやってみるか』となるのが、弊社のいいところなんでしょうね」
ほかにも今現在進行している食品メーカーの労働組合さんの記念事業で、映像をつくっている。
「いつも同じだとお客さんも面白くないし、自分たちも面白くない。だから違ったことをやろうと思ったんです」
全国11カ所の拠点工場があり、24時間365日稼働しているクライアントだった。もしイベントを企画しても、組合員が一カ所に集まることはできない。
そこでイベントに参加できた人もそうじゃない人も楽しめるものを考えた。
「それぞれの拠点でイベントをして、それをつなぎ合わせて映像に残すことにしました。『あっちの工場、面白いことやっているな』というようにコミュニケーションのきっかけになるんじゃないかと考えたんです」
問いから答えを導き出すだけじゃなく、ときには問いを変えてみたり、ゼロから問いをつくってみたり。
それは大変なことでもあるけれど、自分の頭で考えて実現できたらワクワクするようにも思います。もし同じように思う方がいれば、ぜひ応募してください
(2016/12/5 遠藤沙紀)