求人 NEW

旅人つなげるSTAY

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

旅の楽しみ方は人それぞれ。

美味しいものを食べたり、きれいな景色を見たり、気の合う仲間と語り合ったり。ときには、旅先での出来事が次の旅へといざなってくれることもあると思います。

そんな旅の拠点となるのが宿です。よい宿は、旅を一段と面白いものにしてくれます。

今回、北海道・札幌で2017年6月に新規開業するゲストハウスの立ち上げから関わるスタッフを募集します。そこは「住む」でも「泊まる」でもない、「STAY(滞在)」をテーマにした場所になっていきそうです。

加えて、経営母体の株式会社フィルドでも人材を求めています。STAYを軸に据え、代表の齋藤さんとともに今後の事業展開を考えて実行していく事業企画プロデューサー。そして、ゲストハウスやその他施設をハード面から形づくる建築設計スタッフです。

冬に差しかかる札幌へと、いつもより重ね着をして取材に向かいました。


成田空港から新千歳空港までは、およそ1時間半。さらに電車で30分ほど行けば札幌駅に到着する。

p1330082 駅の外に出ても、思っていたより寒くはない。道幅の広い通りからは快晴の空が見渡せて、遠くには立派な山の姿も見える。

そんな景色を眺めながら10分ほど歩くと、フィルドの事務所に到着した。

まずはじめにお話を聞いたのは、代表の齋藤さん。

p1320055 フィルドは、建築・不動産・まちづくりに関わるさまざまな事業を展開する会社。戸建ての住宅や商業施設の開発、まちのコンサルティングなど、多岐にわたるニーズにワンストップで応えてきた。

実は以前、日本仕事百貨の取材を受けていた齋藤さん。当時は北海道・上士幌町のまちづくりに関わる人の募集で、長靴にフリース姿のラフな格好だった。

今はスーツを着ているけれど、普段はどんな働き方をしているんだろう?

「社長っていうのはあだ名みたいなもので。ぼくも担当物件を持って設計しますし、現場にも行くし、普通にやってますよ」

それは社長に限らず、ほかの役職でも同じことだそう。ゆるやかな役割分担はあるものの、全員が横断的な視点を持って取り組むのがフィルドのスタンスだ。

「いつも言っているのは、建物は土地の上にあり、土地はまちのなかにあるということ。つまり、建築・不動産・まちづくりを一体として考えています」

大きく言えば、人の暮らしに関わり続けてきた会社と言える。

一例として、5年間運営していた「ソーシャルアパートメント中の島」について紹介してくれた。

01%e3%82%a8%e3%83%b3%e3%83%88%e3%83%a9%e3%83%b3%e3%82%b9%e3%81%ae%e3%82%b3%e3%83%94%e3%83%bc 「国籍も年齢もバラバラな人たちが滞在するシェアハウスなんです。この5年間に3組結婚するような、濃いコミュニティがそこに生まれていて」

ちょうど台湾や韓国、フランスなどからの住人が暮らしていたときのこと。時を同じくして、尖閣諸島や竹島の領土問題に焦点が当たり、海外での反日運動が加熱していた。

「ただ、住んでる子たちは『ぼくらは関係ないよ』と言うんです。『あれは国と国との政治の道具の話だから。ここにいる仲間はみんな友だちだし、これから何があってもその事実は変わらない』と。その思想にいたく共感して」

「彼らは国を代表しているつもりもないでしょうけど、目の前の相手と接することがその国を知ることであり、逆もまた同じで。それに、友だちがいるおかげで北海道が好きになって、札幌にも何度も来てくれる。結果的に観光やまちを知ることへもつながると思ったんですね」

%e3%82%a4%e3%83%99%e3%83%b3%e3%83%88%e3%81%8a%e8%8a%b1%e8%a6%8b そのなかで生まれてきたのが、STAYの構想だ。

「宿をやるには法的な縛りがあります。建築や不動産、まちづくりに関わってきた我々が旅館業の資格を取ることで、旅する人に合わせたより自由な滞在の仕組みをつくれないか。そう思ってはじめたのが『THE STAY SAPPORO』でした」

1年半前にグランドオープンしたTHE STAY SAPPOROは、10階建てのオフィス物件をリノベーションしたゲストハウス。短期から長期まで滞在期間を自由に選べ、3階と10階のラウンジではイベントを開催。そこでの交流を通じて、新たな価値観に触れたり、北海道の魅力を発見できる場所となっている。

chit-chat%e6%89%8b%e5%b7%bb%e3%81%8d%e5%af%bf%e5%8f%b8 さらに、「STAYはより広がっていく可能性がある」と齋藤さん。

「キャンプ場やグランピング施設があってもいいでしょうし、駅前旅館でもいい。牧場地帯に点在している農家さんのもとを巡る仕組みそのものがSTAYかもしれません」

「エリアも道内に限らず、国内、さらには海外へと広がっていけば、世界中どこでもつながるブランドになりうると思うんです」

p1320403 これからさまざまな展開が想像できるSTAY。どんな人が入るかによって、方向性も変わっていきそうだ。

齋藤さんは、どんな人にきてほしいですか。

「絵空事や能書きを語るだけではなくて、実行してくれる人。小さくてもいいから、とにかく実績を積み上げていける人ですね」

設計担当は少なくとも1年以上の実務経験が必要。そのほかは特に経験を問いません。

「うちはほかの会社ではありえないぐらい、任せる主義。『自分でやりたいです!』と言ったらしめたもので、『どうぞ、全部やってね』という感じです。聞かれたことにはちゃんと答えますけど、基本的には口を出しません」

「将来自分でゲストハウスをやってみたい人もいいですね。一から通して経験することで、自分の血肉にしたいというのも大いに結構です」


「やりたいことは、フィルドの既存の仕事と違っていてもいいかもしれません」

そう話すのは、設計担当の後藤さん。

p1320242 「北海道でどんな面白いことをしていけるか。同じ目線を共有できているなら、その人の得意なことをそのまま活かしてもらって構わないですし、それがSTAYのネットワークを広げることにもつながると思います」

大学時代にまちづくりを学び、大学院では設計を専攻した後藤さん。さらに辿ると、幼少期の話になった。

「祖父母が酪農をやっていたので、夏休みに牛舎で猫を追っかけ回したり。『農業って大変だな、でもみんなやってるな』と思いながら、仕事を手伝ったりしていましたね」

「建築に限らず幅広い視野でモノゴトをつくりたいという想いは、そのあたりからきているのかもしれません」

090619-193 だからこそ、“かっこいい建物”を建てることは目標にしていない。

「最終的に、お客さんのしあわせにつながるかどうか。できた瞬間というよりは、10年後20年後の社会のなかで生きる建物をつくりたいと思っていて」

社会のなかで生きる建物。

「それは空室状況という数字に表れることもありますし、お引き渡し後の様子をFacebookで見かけることもあります」

長く快適に暮らせることを考え、デザイン性より機能を重視したり、ときにはお施主さんと一緒に塗装することも。

「自分たちで塗ることで、建物との距離もより近く感じられるようになります。大変な場面もありますけど、『一緒に楽しみましょう』っていうことに時間と気持ちをかけられる人なら、前向きに取り組める環境じゃないかと思います」


続いて、THE STAY SAPPOROへ。今日の宿泊はこちらにお世話になる。

p1320283 迎えてくれたのは、マネージャーの石山さん。何かのキャラクターとして出てきそうな笑顔が印象的な方。

p1320420 ここに至るまでは紆余曲折あったという。

「大学に入ったんですけど、全然楽しくなくて。何か今まで体験したことない生活をしたいなと思って、夏休みに帯広の農家で住み込みのアルバイトに行ったんですよ」

そこで出会ったのが、坊主頭で、金色の後ろ髪を尻尾のように伸ばし、ウイスキーとタバコを毎日大量に消費する農家のおじさんだった。そのすさまじい風貌と生活習慣は衝撃的だったという。

「聞けば、その方は毎冬になるとタイに行って働き、夏に戻ってきて農家という生活を続けてるらしいんですよね。『ああ、こんな生き方があるんだ』と思って」

刺激をもらった石山さん。インドを旅したり、小樽のホテルやマレーシアのラーメン屋で働いたりと、いろんな世界を見て回った。

そして1年半前、縁あってここの立ち上げに携わることに。

ここでの仕事はどうですか。

「仕事とプライベートは分けられないですね。この1年半でFacebookの知り合いが450人も増えて、メッセージがくるんです。海外の人だと、そっちは昼の2時かもしれないけど、こっちは夜の1時だ!とかね(笑)」

%e3%81%8a%e5%ae%a2%e6%a7%98%e3%81%a8%e3%81%ae%e4%bc%9a%e8%a9%b13 「それを重荷に感じる人もいるかもしれませんが、ぼくは苦じゃないんですよ。『なんでこの人ここに来たんだろう?』とか、『この人、若そうなのにいい時計してる』とか。人に興味を持って近づける人が向いているかな」

適度な軽さも大事だと思う。イベントも、展示会やトークショーのような大がかりなものではないことが多い。

「先週はたこ焼きをつくって食べるイベントでしたし、これからの季節は鍋もいい。必死に準備しなくても、テーブルを囲んで話しながら一緒にご飯を食べましょう、っていうイベントが一番よろこんでいただいてますね」

同じ釜の飯を食う。それは万国共通のコミュニケーションにつながるのかもしれない。


イベントの企画運営を担当しているのが、こちらの柴田さん。石山さんいわく、「お客さんの懐に“ふぁっ”と入るのがうまい」方だそう。

p1320649 「1ヶ月ぐらい滞在する海外の人は、『うちの国の料理食べてよ』と言ってつくってくれたり。出発の前日にお別れパーティーもしますね。で、酔っ払って飛行機逃して戻ってきたり(笑)」

地元のお祭りに参加したり、自転車でまちを案内したり。土地の魅力を伝えるのもスタッフの大事な役割だ。

「わたし、近くに好きな道があって。そこからは、すすき野の歓楽街の向こうに山が見えるんです」

「中心市街地から15分ほど歩いたところに、中島公園という大きな公園があります。大きな池があって、お花見ができたり。紅葉もきれいです。札幌はまちと自然のバランスがちょうどいいんですよね」

c031-018-preview そんな柴田さんも、石山さんとともにこのゲストハウスの立ち上げに関わったひとり。

将来はここでの経験を活かして、自宅兼ゲストハウスをやりたいという。

「子どもが『いってきま〜す!』って出るのと同時に、チェックアウトしたお客さんが『バス停まで送っていくよ』って言ってくれる。『ただいま!』って帰ってくるときには、『チェックインのお客さん連れてきたよ〜』とか(笑)。そんな絵を描いてますね」

石山さんも、ゆくゆくは自分で場所を運営していきたいそう。

「ゲストハウスって、基本的には日々同じことをやるんですけど、来てくれる人がいつも違うので、あたかも毎日違う仕事をしているような気持ちになったりはしますね」

「もともと5つ星ホテルのマネジメントをされてたような常連さんもいて。アメリカ人なんですけど、3ヶ月に1回はここに来てくれるんです。そんな出会いも面白い。『こういう生き方もあるんだ』と知れるような場をつくっていきたいですね」

いろんな出会いを楽しみながら、旅人をつなげる仕事になっていくと思います。

それにスタッフのみなさんも、面白い経験をしてここに至っている方ばかり。

STAYのこれからにワクワクした方は、ぜひ応募してください。

(2016/12/9 中川晃輔)