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企業と若者、加速する

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いろんな立場の間に立って、うまく回る仕組みをつくる。

コーディネーターやエディターと呼ばれる仕事の需要が増えてきているように感じます。

たとえば、学生インターンシップ。

受け入れ側の企業と参加する学生が各自の都合を優先させたとき、企業が学生を「無給の労働力」として利用する問題が発生したり、学生が必要な経験とノウハウだけを吸収して辞めてしまうようなことが起こってしまいます。

これらの課題を解決し、企業と学生双方の成長を後押ししているのが、岐阜に本拠を構えるNPO法人G-net

主に岐阜県内の地場産業や伝統産業を営む中小企業と学生をマッチングし、半年間にわたる実践型のインターンシップをコーディネートしています。

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社長の本気と豊富な経験、そして学生ならではの視点やフットワークの軽さがうまく組み合わさったとき、予想もつかない力が生まれるそうです。

そんなG-netの取り組みに刺激を受け、熊本県八代市で実践型インターンシップのコーディネート事業がはじまろうとしています。

今回は、そのために新設される一般社団法人「八代圏域雇用促進センター」のセンター長を募集します。


取材に向かった先は、岐阜県岐阜市。

JR岐阜駅前広場からほど近いビルの2階にG-netのオフィスがある。

時代を感じさせる外観とは打って変わって、内部はイメージカラーのオレンジを基調に、きれいにリノベーションされている。昨年12月に工事したばかりで、ゆくゆくはコワーキングスペースとして開放する予定だそう。

p1370296 お話を聞くのは、インターン事業の責任者である南田さん。

9年前にG-netの一員となり、発起人の秋元さんとともに今の形をつくってきた方。現在は共同代表も務めている。

p1370393 高校までを奈良で過ごし、大学では教育学を専攻。

「何かを教えるよりは引き出すことに興味があったので、大学院までコーチングを学んでいました」

主催したイベントのゲストに秋元さんを招いた縁で、修士課程最後の一年からG-netに関わることに。

「G-netが昔から変わっていないのは、チャレンジする人を増やしたいということ。日本一チャレンジにやさしいまちづくりを目指してきました」

たとえば、衰退しつつあった商店街を舞台に、アーティストの卵の発表の場となるお祭りを主催したり。岐阜で挑戦している人を取材し、フリーペーパーにまとめて発行したり。

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地域の中小企業と学生をつなぐことで、企業は若手人材の育成経験を、学生は実践的な社会経験を積むことができる。互いにしがらみがない分、より自由に挑戦できるだろうし、結果として新事業の創出や雇用の促進につながるかもしれない。

「 成功例をひとつつくれれば、自分にもできるかもと手を挙げる地域・人が増えるはず。まずは岐阜から、地域のモデルになりたいという想いではじまったんです」

今回の八代市でのセンター立ち上げも、まさにそんな想いが伝搬してはじまるもの。

若年層の市外への流出を課題とする八代市がG-netの取り組みと実績に可能性を感じ、連携につながったという。

これまでにも、愛知県岡崎市や三重県尾鷲市でもインターン事業の立ち上げを支援してきたG-net。けれども、同じノウハウを転用するだけでうまくいくわけではない。

「G-netの八代支社ではなく、あくまで八代に根を張る人たちの組織であってほしいと思います。もちろん立ち上げのサポートはしますが、地場の産業やまちの文化、人や風土も岐阜とは違うはずなので」

%e5%85%ab%e4%bb%a3%e5%b8%82%e5%85%a8%e6%99%af 実は南田さん、大学生のときに2週間八代に滞在したことがあるそう。

「たまたまですけど、免許合宿先が八代で。自由時間は外を歩きながら、今日はこの店入ろうとか。祭りに参加してしゃべっていたら、おれんちで飲むか?と誘ってもらったり、お金もないのに何度も寿司屋に行って、サービスしてもらったり(笑)」

馬刺しやラーメンなどの食文化と、ユネスコ無形文化財に登録された妙見祭。そして温かい人たち。交通の便もよく、大規模工場が多数存在する工業都市の側面も持っている。

%e5%85%ab%e4%bb%a3%e5%a6%99%e8%a6%8b%e7%a5%ad%ef%bc%88%e4%ba%80%e8%9b%87%ef%bc%89 今回の募集も、何か八代にゆかりのある方のほうがいいんでしょうか。

「いや、そんなことはないですよ。G-netのスタッフの半数は岐阜県外出身ですし、ぼく自身も奈良生まれで、最初はG-netのモデルに興味を持って参画しました」

「実際に暮らして、まちの人とつながり、なんとかしたい産業が見えてきたとき、想いが芽生える。そういう順序でもいいような気がしますね」

採用されてからの半年間、月の3分の1から半分はG-netでの研修を行う。現場に入ってコーディネート業務を覚えながら、残りの期間で八代での立ち上げを進める。

p1370418 八代での活動は、たとえば近隣の大学や行政の関係者を集めて説明会を開いたり、受け入れ先候補の企業を営業で訪ねたり。

インターン事業の基盤づくりをしていくことになる。

教育学が専攻だった南田さんは、当初、経営やマーケティングについてよく知らないままコーディネートの現場に飛び込むことになったそう。

その状態からどのように信頼を得ていったのだろう。

「まずは相手の言葉を整理することでした。言葉の意味をすべて理解することはできなかったけれど、話を引き出して、つまりこういうことですねって。とにかくそんなことばかりやっていました」

話を聞くうちに、個々の事例からマーケティングのこと、経営のことなどを理解していった。相手はさまざまな業種の社長さんだから、コーディネートに携わるなかで学べることも多いと思う。

「それから、“人を活かすには?”っていうことを常に考えてきましたね」

人を活かす。

「たとえば、インターン生に対して『やってみたいことを明日までに10個挙げてきてね。なんでもやらせてあげるから』って。それは一見、裁量を与えて主体性を尊重しているようで、実は圧倒的に成長を阻害していると思うんです」

「何をやるかはっきりしているから、安心して挑戦できる。挑戦すると視野が広がり、事例や知識、経験が増えてくる。それらの蓄積があって、ようやく自分で考えられるようになる。コーチングとティーチングのバランスを常にとりながら、その人が活きる道を一緒に伴走することが大事だと思います」

半年間という限られた期間で企業と学生双方の成長を生むために、まずは企業の課題や社長の想い・展望などを聞き取り、インターン期間の構想を立てる。会社にとって意味があり、学生にも挑戦できるよう設計し、プロジェクトに落とし込んでいく。

受け入れ先企業とプロジェクトの方向性が定まったら、年に二度、夏と冬にマッチングイベントを開催。参加したいインターンシップを学生自ら選び、企業と出会う場を設けている。

「地域の中小企業に伴走する側面と、チャレンジしたいっていう意欲を持った若者の成長を後押ししていく側面と。この両面があるのは一番の醍醐味でもあり、難しさでもあるんですよね」

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「今、枡ってなかなか使われないじゃないですか。大橋量器さんも、一時は最盛期の40%まで売り上げが落ちて。そこへIBMから戻ってきた社長が全国の酒蔵を回り、なんとか持ち直していたものの、やはり厳しい状況が続いていました」

社長ひとりの営業では限界があるし、新たなことを仕掛けなければ、近いうちに需要はなくなってしまう。

そこで、合格祈願にかけた五角形の枡を販売。ストラップ用の小さな枡をつくると、受験シーズンに少しずつ売れるようになったという。

%e3%88%ad%e5%90%88%e6%a0%bc%e6%9e%a1%e3%81%ae%e5%86%99%e7%9c%9f この合格枡の販路をさらに広げたい。

「『じゃあぼく、代わりに営業します』という子が、はじめてのインターンで。2ヶ月で全国34ヶ所の寺社仏閣を回ったものの、契約はとれませんでした」

「ところがそれから半年以内に、2社から今でも続く大口の受注が入ったんです。きっかけは、インターンの彼が会社を訪ねたことでした」

以来、半年ごとに学生が参加し、合計20名以上が大橋量器でのインターンを経験してきたという。

なかには、語学力を活かして海外展開を進めた学生も。

「将来は日本のモノを世界に届ける仕事がしたいという、帰国子女の女の子で。社長もいつかは枡を海外に届けたいと言っていました。そこで、彼女が海外向けのパンフレットや、海外の展示会に出るにあたっての申請書をつくったりして、海外展開の皮切りをしたんです」

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学生には、ハード面での技術革新や、経営コンサルティングのようなことはできないかもしれない。

その代わり、BtoBからBtoCへの販路拡大時に若者の視点を取り入れたり、ひたすら足を動かし、各地を営業して回ったり、語学を活かした海外展開につなげたり。ソフト面なら、力を発揮できる場面もたくさんある。

「短期間に人ってこれだけ変わるんだっていうのが、目の前で見れる。これはものすごくうれしいことで。ほんとに、化けるんですよ」

ある日の日報にて。

仕事の意義について悩み続けていた子が、こんなことを書いていた。

「誰かを幸せにすることこそ、わたしのとっての仕事なんだ。そう気づいた瞬間に仕事が楽しくなりました」

それ以来、本当に楽しそうに働きはじめたという。

「最後のほうの日報を読むと、『名古屋のいくつかの企業に営業に行ってきました。その帰り道、パッと見つけたお店が相性良さそうだったので、飛び込んでヒアリングしてきました』なんてことも書いてあるんです」

「うれしいと同時に焦りますよ。そのスピードで来られたら、ぼくたちももっと成長しないといけないし、企業の社長も影響を受けて変わっていく。関わり方、声のかけ方が変わるんです」

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けれども、目の前の人を活かすことが企業を活かすことにつながり、その連鎖によって地域全体が盛り上がってゆく。

そんな生態系を地域に生み出していく仕事には、きっと大きなやりがいを感じられると思う。

「G-netのモデルが本当に横展開できるのか、すごく楽しみで。岐阜でできて、熊本でもできるなら、札幌でも、新潟でも、石川でもできる。そう言えるようになったらすごくいいなっていうのは、ぼくが楽しみにしていることですね」

挑戦する人を増やす仕事。

熊本で挑戦したい方は、ぜひこの機会を活かしてください。

※1月11日(水)に「しごとバー」をリトルトーキョーで開催します。ご興味持たれた方はぜひ、ご参加ください。

(2016/12/20 中川晃輔)