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夢や大きな目標を持っていたほうが仕事って頑張れるし、何より楽しいもの。それぞれの夢に向かい、日々かばんづくりに励む人たちに兵庫県豊岡市で出会いました。
日本産かばんの約7割を生産している「日本一のかばんの街」、豊岡。
老舗のかばん卸、株式会社ウノフクの代表、卯野隆也(うのたかや)さんはかばんづくりについてこう話します。
「いまだに気に入ったかばんがないんです。値段も、使い勝手も、見た目も、すべて完璧っていうものがない。これだけ世の中に溢れていても、使う人はどこかしら物足りなさを感じていると思う」
「だけど、かばんっていうのは精密機械のように複雑ではないから、たとえ自分ひとりだけでも何とかつくることができる。自分が思うような形にすることができるんですね。それが、かばんの面白いところじゃないかな」
いまウノフクは海外向けのブランドを立ち上げ、新たなチャレンジがはじまったばかり。
今回募集するのは営業職です。商品企画・webデザイナーも同時に募集するので、興味ある人はぜひ続けて読んでください。
この日は豊岡市内にある本社を訪ね、はじめに代表の卯野さんに話をうかがいました。
創業は大正10年。ウノフクは旅行具の卸売業にはじまった会社です。
古くから豊岡でつくられていた柳細工のカゴ「柳行李(やなぎごうり)」を販売していました。
「私の幼いころも柳行李を扱っていましたね。主に服を入れるような大きい柳行李を職人さんに編んでいただいて、うちでまとめて東京や大阪に発送していました」
現在は海外の生産地ともネットワークを持ち、500以上のかばんを取り揃えるようになった。デザインや素材だけでなく産地の選択肢もあることで、OEM・業務用・オリジナル商品・ノベルティなど、お客さんのさまざまな要望に最適なかばんを提案できるという。
そんなウノフクがいま力を入れているのが、海外展開です。
得意のビジネスバッグを武器に、豊岡に数あるかばん関連企業の中でも群を抜く輸出実績を持っています。
「アメリカやヨーロッパには日本のビジネスバッグのような商品がないんですね。だから、こちらのほうが機能的にもデザイン的にも進んでいるだろうと、豊岡でつくったものを販売してきました」
「けど、何回か展示会に出してみると単にそれだけじゃないなと感じまして。いまのままでは限界がある。それならばと思い切ってフランスのデザイナーにお願いして、海外向けのブランドをつくったんです」
豊岡のかばんの伝統と高品質なものづくり。そこにフランスのデザイン性を掛け合わせた新ブランドが「unofuku」です。
展示会に出してみると感触はよく、反響を見ながらブラッシュアップを重ねているといいます。
ウノフクがフランスのデザイナーと組むことができたのは「たまたま」なんだとか。
なんでも、最近採用した女性の旦那さんがフランスのマーケットやブランディングにかなり精通した方らしく、そのご縁で紹介してもらったのだそう。
いまはその方にもブランディングや海外戦略のアドバイスをもらい、「unofuku」の展開に合わせて会社のwebサイトも刷新中だといいます。
たしかに「たまたま」だったかもしれないけど、運も実力のうち。動き出しの判断が早く、チャンスを逃さないのがウノフクらしさかもしれません。
「うちはね、営業力はそこそこついていると思うんです。弱いのはデザイン力や企画力。今後の課題はどうやってその力をつけていくか。海外戦略が何らかの打開策になるんじゃないかと思っているんです」
海外展開のほかにもうひとつ力を入れているのが、国内の販路開拓です。
問屋さんを越えて現地の小売店と直接取引をするために、4年前には東京に事務所を構え、今年は新たに神戸にも立ち上げました。
今回募集する営業担当の人は、まずはじめの数ヶ月は豊岡の本社で勤務し、東京でしばらく仕事を覚えたあと、神戸で働いてもらう予定です。
「一昨年には 170店、昨年は140店と販路が増えてきているので、これからはつながった店舗とのパイプを太くしていきたい。それと、かばん屋さん以外の販路、たとえば雑貨屋さんやECサイトとかでも販路をつくっていきたいと思っています」
具体的に営業はどんな仕事をするのだろう。
営業企画部の主任の岩井達郎さん(写真左)と課長の松本善寛さん(写真右)に話をうかがいました。
とても話しやすくて、気さくなふたりです。
ウノフクでの営業は単にものを売るだけではなく、企画にもかなり入り込んでいくという。
たとえば、電車の車掌さんや運転手さんが持っている、あのかばん。ウノフクは東京の鉄道会社数社と取引していて、岩井さんが担当しています。
「まず先方からの要望をすべて聞くというところからはじまります。無線を入れるためのポケットをつけてほしいとか、雨が降っても対応できるように撥水性のある素材にしてほしいとか。鉄道会社さんはソフトアタッシュケースの場合が多いですけど、ショルダーバッグにしてほしいというご希望もあります」
さまざまな要望の裏にはお客さんが真に求めていることが隠れているという。
たとえば、本革にこだわる本当の理由は「高級感を出したい」という思いかもしれない。予算とのバランスを見て、デザインやほかの素材で解決することだってできる。
そうして提案したものを元に、次は本社にいる企画担当のスタッフと連携してサンプルづくりをします。
岩井さんは企画担当を通さず、自ら豊岡の職人さんとやりとりしてサンプルづくりを進めることも多いのだそう。
「サンプルができたらお客さんとまた相談して、今度はセカンドサンプルをつくって。それを何回か繰り返してこれでいこうとなったら、メーカーさんに発注。メーカーさんも鞄の形状によって得意不得意もあったり、生産のキャパもあるので、どこにしようか自分で決めて。それでようやく生産ですね」
売り先をつくるだけじゃなく、ものづくりの最初から最後まで。もはやプロデュースの仕事です。
「けっこう自由なんですよ」と話すのは松本さん。
「この会社は上司からあまり口うるさく言われない。自分でつくりたいものをつくって数字を出していけばいい。スタンスは自由でありがたいですね」
だから自ら考えて行動できる人のほうがいい。任されるからには責任は大きいけれど、リスクを不安がるより、チャレンジすることにワクワクする人のほうがウノフクには合っているんじゃないかと思う。
そう松本さんに伝えると、こんな話をしてくれました。
「もう十何年も前になるんですけど、会社がビバリーヒルズポロクラブのライセンスを借りることになって、女子高生が使うスクールバッグをつくろうと。それで流行に詳しい人に話を聞いてみようと思って、東京で業界を牽引している会社の社長さんに飛び込みで会いに行って、色や素材、サイズから何まで全部聞いてその通りにつくったんです」
「そしたら5万本も売れた。スクールバッグって雑貨屋に置かれるんですけど、いままでウノフクにない販路だったので、まるまるプラスになったんですね」
いまは流石にそんな営業をしていないというけれど、すごい行動力。その社長もよく話を聞いて教えてくれましたね。
「まだ若くて何も知らないころでしたけど、熱意だけはありましたからね」
この仕事のいいところって何ですか?
「自分が仕事でつくったかばんが、日常生活の中で使われているのを見かけるとうれしいですね。このまえ東京に行ったときも、車掌さんが使ってくれているなって。どんな持ち方か、不具合ないかとか、そっちばかり目がいってしまうんですけど(笑)」
と、岩井さん。松本さんも同意見のよう。
「営業マンはみんなそうかも。自分が納めたものをターゲットの人が持ってたらうれしいですし、他の営業担当が自分の商品を扱わせてくれっていうのもうれしい。そういう商品がヒットしていくんですよね」
一方で、仕事をしていて大変なことってありますか?
「クレーム対応ですね。生地屋さんが不良を出したり、中国でつくっていたのが旧正月に入ってコンテナが止まっちゃったりとか、たまに予期せぬことが起こります」
「それと営業はやっぱり数字がすべて。新人もベテランも関係なく、数字がずっとついて回るので」
最後に、ふたりがそれぞれ目指している目標を聞いてみました。
まずは松本さんから。
「僕の中で20代はがむしゃらって目標がありまして、海外に行かせてくれとか生地の市場みたいとか言って、ものづくりもやってきた」
「30代は流通を勉強して、40代になって景気が悪い中でバランスを取りながらやっちゃってる自分がいるんですね。でも最終的には、豊岡の中でかばんを一番売ったって実績をつくりたいなって」
豊岡で一番を目指したい松本さん。
対して岩井さんは、松本さんのような営業マンになりたいのだそう。
「松本はすごく接しやすくて、お客さんの中にファンが多いんですよ。11年前に僕が入社したときも、こんな先輩いいなって一番強く思ったのは松本でした」
「いろんなかばんの企画をして実績もつくっているので、目指すのはそこかなって。30代を終えるまでに松本さんに追いつきたいと思っています」
聞けば、岩井さんのほかにも松本さんを目指している営業スタッフがいるんだとか。人柄も仕事ぶりも尊敬して目指したくなるような人が上司としているのって、素敵なことだと思う。
ここではみんながそれぞれに目標や夢を持って、毎日かばんづくりに励んでいます。
ものづくりの世界に飛び込み、そんな人たちと一緒に働きたいと思った人は、ぜひ応募してください。
(2018/2/28 森田曜光)