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庭を暮らしのなかに

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

日々過ごしているなかで、時間も余裕も足りない日だってたくさんある。

それでも食卓に庭で摘んだ花を飾ったり、夜は庭に椅子を出して本を読んだり。

緑が身近に感じられる暮らしは、私たちの気持ちも生活も、なんだか豊かにしてくれるような気がします。

brocante01 「僕は、植物が嫌いな人っていないと思うんです。庭を活用して、日常の生活を楽しむ方法や質を高める工夫をする余地はまだたくさんある。生活や趣味を楽しめるような、暮らしのなかに根付いた庭をつくれたらと思っています」

そう話してくれた、代表の松田さん。

フランス語で「古道具」を意味するBROCANTE(ブロカント)は、フランスのアンティーク家具・雑貨の販売と、造園・外構工事を手がけています。

今回は、ここで庭のデザインから施工管理、アフターケアまで一貫して関わるガーデンスタッフを募集します。

異業種からでも飛び込める環境なので、植物が好きな人であれば経験のない人にも、ぜひ知ってほしいです。



横浜市営地下鉄、センター南駅から静かな住宅街を歩くこと20分ほど。時折畑も見えるのどかな風景のなかに、BROCANTEのオフィスがあります。

brocante02 ここは撮影スタジオと倉庫も兼ねた場所。このほかに、自由が丘にも店舗がある。

ホームページがとてもお洒落で緊張していたけれど、代表の松田さんは柔らかい雰囲気で話しやすい人だった。

まずは、どのような想いでこの場所をつくったのか聞いてみました。

brocante03 話は、松田さんが大学生だったころまで遡る。

「花屋さんと飲食店の厨房でアルバイトをしていて。花屋さんは花束やアレンジメントをつくるのが楽しいし、入ってくる花々から季節を感じられる。同時にレストランも、おいしいものをつくれるようになることや、おいしいって喜んでもらえることがすごく楽しかったんです」

卒業後は迷ったものの、レストランに就職。けれども、明けても暮れても厨房で同じ仕事を続けることに馴染めず、花に関わる仕事をしようと退職を決意。

23歳のとき、なけなしの貯金を手に単身渡英した。

「もう帰らなくてもいいや、くらいの気持ちで。イギリスでは庭が一つの大きな文化として根付いていて、見に行ったらすごく感動したんですよね。こういうのをつくる仕事がいいなと思いました」

帰国後は、造園会社に就職。庭が広くて古い家を借りて、DIYをしながら自分の好きなように植物を植えて。仕事も暮らしも充実していたといいます。

brocante04 「ただそのときは、生活に根ざす庭というよりも植物を見て楽しむ園芸的な要素が強かったんです。そのあと自分で起業した当初も、かっこいい雰囲気とか、上辺のスタイルを追いかけていたような気がします」

当時は、日本でもイギリス風のイングリッシュガーデンが流行していた時代。「こんな庭にしたい」と依頼は舞い込むものの、2、3年で維持できなくなってしまう場合が多かった。

松田さん自身も管理の難しさを痛感したし、ただ眺めているだけの庭に面白みを感じなくなっていく。

そんなとき、大きな転機になったのがフランスで友人の家を訪ねたことだった。

「庭の果樹になった実を食べたり、花も好きなように植えてたりとか。すごく洗練されているわけでもないんですけど、無理がないんですよね。狭くても、みんな外でわいわい飲み食いしている。庭がすごく生活に密着しているように感じたんです」

brocante05 難しく考えなくても、生活の一部として楽しめればそれでいい。そんな感覚が心地よかった。

「住まう人が活用できる庭を、日本でもつくっていきたい。お金をかけなくても、住宅のなかで改善できる部分は多いと思うんです」

たとえば、庭で燻製ができるようなスペースをつくったり、愛犬が散歩から帰ってきたらすぐに使えるシャワーがあったり。

そんな住む人の暮らしに合わせた工夫は、戸建てに限らずマンションでもできるのだそう。

「マンションだと、ベランダに水道がないところが多くて。そうなると水やりも大変なんですよね。でも、エアコンの穴から管を出して水道を取りつけることもできるんですよ」

「植物を取り入れたいと思っても、どうすればいいかわからない人も多いと思うんです。そういうときに、頼ってもらえるような存在になれたら」

植物が好きではじめたこの仕事。

突き詰めていくと、人の想いをかたちにしていく仕事なのかもしれない。

brocante06 ほかにも活用法を尋ねると、松田さんは目を輝かせて次々とアイディアを話してくれる。

「キャンプ好きな人は庭でテントを張れるようにしてもいいし、軒下に自転車をいじる道具を並べてもいいですよね」

「いつもプランを考えるときには、お客さんが楽しく過ごせるっていうのはもちろん、描いている自分も楽しくなってきちゃうような庭じゃないとおもしろくないと思っているんですよ」

そういう想いはお客さんにも伝わるし、それぞれのオーダーに一つひとつ丁寧に応えることが信頼にもつながっている。

「庭からライフスタイルを押し広げるというか、より楽しめるスペースとしての庭を提案していきたいですね」



そんな松田さんと一緒に働いているのが、ガーデンスタッフの渡邉さんです。

brocante07 もとはグラフィックデザイナーだった方。植物が好きで、異業種からこの世界に飛び込んだ。

「前職では最終的なお客さんの反応がわかりづらかったので、直接人に手渡して喜ぶ姿が見えることに憧れていたんです」

「そのなかでも、自分が好きな植物に関わる仕事がしたいと思っていました」

植物に関わる仕事は数あれど、なぜBROCANTEだったのでしょう?

「ただの造園屋さんでも、花屋さんでも、インテリア屋さんでもない。でもなんかすごく雰囲気のいいものをつくっていて、他に同じことをやっているところが思い当たらなくて」

brocante08 確かにBROCANTEの手がける庭は、いろいろな草花と雑貨が組み合わさった繊細なデザインだと思う。

「デザインの経験を生かしつつ、よりセンシティブなものをつくっていけるところに魅力を感じたんだと思います」

仕事は、お客さんからいただいた問い合わせに応えることからはじまる。

担当が決まると現場に足を運び、お客さんの要望や困りごとを聞きながらプランを組み立てる。その後は見積書と図面をつくり、具体的な提案へ。予算との兼ね合いもあるので、丁寧に擦り合わせながらお客さんと二人三脚でつくっていく。

契約後は職人さんたちとスケジュールを組み、施工に移る。現場を管理しながら、作業に加わることも。最後に自ら植栽をして、納品するまでが一連の流れだ。

brocante09 一軒家では一ヶ月ほどかかる場合もあるし、短いものなら2、3日の工期で終わる。

「結構自由に考えられるんですけど、考えた案を実際にどうやって形にしていけばいいのか、わからなくて最初のころは悩みましたね」

「松田さんについて仕事のやり方を学びながら、なんとなく真似することからはじめて。お客さんや職人さんとのコミュニケーションも学んでいきました」

入社後にギャップを感じたことがあれば、教えてください。

「快適な空間や雰囲気づくりをしているわりには、自分たちが使う空間には結構無頓着というか。僕はきらいじゃないんですけど、あとでオフィスを見てください(笑)」

「あとはトラック一台分のゴミとか、重いものを運ぶこともしょっちゅうですし。みんなに好感を持ってもらえるものが出来上がるまでの過程は、大げさじゃなく埃にまみれています」

brocante10 頭も身体も使う仕事。大変なことも多いだろうけど、渡邉さんは自分と同じように植物を好きになってくれる人が増えていくのがうれしいと話します。

「庭が植物に興味を持つきっかけになったり、『花が咲いたね』とか『こうやって手入れすればいいよ』と言葉を交わして、ご近所さんとのコミュニケーションが増えたり。生活に良い影響があったっていう声を聞くと、この仕事をやってていいんだなと思います」

日々新しい品種の植物が開発され、地域によって育ち方も変わるので勉強も欠かせない。

BROCANTEでは、生産者の方に直接会いに行って声を聞くこともできるそう。渡邉さんのように植物が好きな人なら、楽しみながら学んでいけると思う。

「ここではいろいろと任せてくれるので、うまく“好き”を仕事として続けられる。植物を幹として、いろんなことにつながれる環境だと思います」



「最初にBROCANTEの手がけたものを見たときは、松田さんの人柄がすごく出ているなっていうのが印象的でした」と話すのは、同じくガーデンスタッフとして働く宇津木さん。

brocante11 「お客さんの要望に対して、親身になって提案していることが感じられて。この人となら一緒にやっていけるなと思いました」

入社8年目。宇津木さんが庭づくりで大切にしているのは、どんなことなのでしょうか。

「もともとBROCANTEの雰囲気が好きで来てくださる方が多いので。使いやすさと飽きのこないデザインを大切にしています」

目指しているのは、長く使うほどにより良くなっていく庭づくり。植物を相手にする仕事でありながら、実は人と関わる部分も大きい。

「僕はお客さんとの打合せに時間をかけるようにしていて。3時間以上かかる人もいます。ライフスタイルや、お子さんの人数、趣味や休日はどんなふうに過ごすか。お庭をどんなふうに使いたいかを引き出して、菜園や砂場をつくるなど具体的な形に落とし込んでいきます」

同じ目線で意思疎通を図りながら、一番合った庭を模索していく。

brocante12 ちなみに、先に話してくれた渡邉さんは、打合せに時間をかけず、まずは自分なりに感じ取ったものを形にしてから、それを元に話をしていくタイプだそう。

決められたマニュアルはないので、それぞれが自分にあったやり方で働いています。

「こうするときれいだけど、手入れが大変ですよとか、そういう説明もプランニングの時点でしています。人によって許容範囲が違うので、忙しい人には水やりが少なく済む植物を提案したり、維持しやすい工夫をしています」

剪定の仕方や消毒など、困ったことがあればすぐにアドバイスをしながら付き合っていく。結果として、より積極的に庭や植物と関わってくれる人が増えるそうだ。

最後に、宇津木さんはどんな人と一緒に働きたいですか。

「BROCANTEは、自分にやる気さえあればなんでもできるところだと思っているので。経験がなくても臆病にならずに、『あれやりたい』『これやりたい』って言ってくれる人が来てくれるといいなと思います。この環境をうまく使ってほしいですね」

brocante13 ただきれいな庭をつくることにとどまらない、その先に見える暮らしの豊かさ。BROCANTEで働く人自身も、それを感じられるのではないかなと思います。

3月22日(水)には、松田さんをバーテンダーに迎えたしごとバーも開催します。

植物のこと、仕事のこと、暮らしのこと。松田さんを囲んで、ぜひ一緒にお話ししましょう。

(2017/3/15 並木仁美)