※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。
自分の好きなこと、信じることを仕事にしたい。それを強く思って形にしていけば、きっと誰かの心にもおなかにも届くはず。
今回、募集するのはリトルトーキョーの1階の食堂で働く人と、バーで働く人です。今日食べたいものをつくり、今晩飲みたいものをつくるのが仕事です。
昼の名前は「今日」で、夜は「今晩」という名前のお店になります。読み方は「きょう」と「こんばん」。
表に書かれた「今日」という看板を、毎晩19時になると裏側の「今晩」にひっくり返すようなイメージ。
食事や飲み物をつくる以外にも、どんどん自分で考えて動いてほしいです。
「自分がお客さんだったら、どんなものにお金をつかいたいだろう?」
こんな問いに向きあいながら、思いを形にしていく仕事だと思います。
リトルトーキョーには全国からいろいろな人が集まるし、自由につかえる空間がたくさんあります。だから今回はアルバイトの募集とはいえ、いろんなことが実現できる機会のある仕事だと思います。
これから社会に出る前に、いろいろな生き方・働き方を知りたい学生さん。子育てがひと段落して、新しい役割を見つけたい方。将来、地元に帰って、自分で場所をつくりたい人。平日はほかの仕事をしながら、職場とは別の場所をもちたい人。いろいろなチャンスに出会いたいフリーランスの方など。
普通に飲食店で働くものとは違うものを求めている人に合っているんじゃないかと思います。週1でお昼だけ、というのも大丈夫。少しでも興味があればぜひ読んでください。
リトルトーキョーは清澄白河駅から歩いてすぐの場所にあります。近くにはギャラリーやコーヒー屋さんがたくさんあり、屋上からは清澄庭園が見えます。
目の前には人気の銭湯があり、となりの中華料理屋さんも賑わっているけど、まわりはほとんど住宅とお寺さん。高い建物が少なくて、静かで落ち着いたところが気にいっています。
リトルトーキョーは5階建ての建物になっていて、1階が飲食店、2階や3階は打ち合わせやイベントなどを開催するフリースペース、4階が事務所になっていて、5階はまだあまり活用できていません。ここはいろんなアイデアを形にしていきたいところ。ぜひ何かアイデアがあれば話を聞かせてください。
1階ではすでに夜の営業が昨年の4月からはじまっていて、いろいろな方が1日バーテンダーをつとめる「しごとバー」が開催されています。今は月曜火曜がお休み、水曜から日曜まで営業していて、そのうちしごとバーは週3、4日の開催です。
しごとバーはいろいろな生き方・働き方の人に接する機会をつくりたい、という想いからはじめたもの。日本仕事百貨でいろいろな仕事を紹介していると、自分も話を直接聞いてみたい、という方によく出会います。とはいえ取材に同行いただくのは難しい。
だからいろいろな職業の方にリトルトーキョーを訪れてもらい、1日バーテンダーを務めてもらう形を考えました。お酒を飲みながらお客さんと一緒に話をしてもらいます。
1日バーテンダーとは言っても、実際にお酒をつくりません。基本的にはトークショーもしません。ただ、一緒に飲みながら話す場です。
しごとバーでは、お酒もはいるので、真面目な話もろくでもない話もごちゃまぜに。さらにトークショーのように一方的に話を聞くのではなくて、会話を大切にしています。だから1日バーテンダーの人となりがじんわり伝わる場になっている。さらにそれがきっかけとなっていろんなことが起きています。
しごとバーは20時からスタートして、22時頃に終了。そのあともお客さんが入れ替わりながらやってきます。
わざわざ遠くから訪れてくれた人。1日バーテンダー目当てで訪れて、そのまま残る人。たまたま前を通りかかってふらりと入ってくる方。よくいらっしゃるご近所さん。目の前の銭湯から出てきてビールを一杯飲む方も。
禁煙だからなのか若い人が多いです。あとはおひとりさんがほとんど。男性と女性は半々くらい。
いろんな人が混ざり合って夜がふけていく。
お昼の営業も3月25日からはじめる予定で、まずは金曜土曜の営業からスタートして、少しずつ広げていこうと考えています。
今回の募集では昼や夜のお店をサポートしてくれる人の募集になります。食事やお酒をつくったり、接客するのが主な仕事です。
なぜ1階に飲食店をつくろうかと思ったのかといえば、自分たちがあったらいいな、と思ったからです。
はじまりは社員食堂のようなもので、安心しておいしく食事ができるお店がほしいと思ったことがきっかけ。バーも顔を合わせながら会話できる場所がほしいという思いがありました。
まさに今、お昼をどうしていこうか準備しているのが高橋さんです。今は夜の食事の調理をしながら、ランチのオープンに向けた試食会も開催しています。
今日の試食会のメニューはまじパン粉のとんかつ、里芋とえびの含め煮、だし巻きたまご、島らっきょうの甘酢漬け、自家製ぬか漬、たぁさいと揚げのおみそ汁。
「まじパン粉」というのは、自分たちでパンからパン粉をつくったらおいしかった、というアイデアから生まれました。ソースはご近所さんのヤハタソースさんのもの。
なぜ今日はこんなメニューなのか高橋さんに聞いてみる。
「今日3月1日は高校の卒業式が多いような気がして。高校のときの先生が卒業式の日に『やよいついたち、さようなら』と言っていた言葉をふと思い出したんです」
やよいついたち、さようなら?
「3月は弥生だから、3月1日は『やよいついたち』なんですよ。だから3月1日になると高校のときを思い出して。よく母がお弁当をつくってくれて、大会のときにはゲン担ぎでとんかつをいれてくれて。ありきたりだなとも思ったけれど、すべて手づくりの母のお弁当には感謝してます」
ふーん、本当に今日食べたいものをつくるお店なんだな。
これまではどんな仕事をしていたの?
「ゆくゆくはお店をだしたいと思っていて。大学を出てから飲食店で働いて、雑貨屋もやりたくて雑貨屋に転職して。もう少し料理をやりたいと思っていたときに、この仕事に出会ったんですよ」
「ほかにも仕事を探していたのですけど『今日食べたいものをつくる』というフレーズが響いて。1から何かをつくることは大変なことだけれど、自分のためになると思ったんです」
そのほかにも単にお店をはじめるのではなくて、食材から考えたり、生産者にも会ったり、自分で調味料などをつくったりするところにも惹かれたそう。
「新卒で働いた飲食店では、既製品をつかっていたんです。でももう少し手間をかけたいと思っていて。醤油もどうやってつくられているのか、考えたこともなくて。求人の記事を読んでいたら、いろんなことが思い浮かんでワクワクしました」
実際に職場を訪れてどう感じた?
「もっとカッチリした面接をイメージしていたら、型がないものだったので、少し心配になりましたね。普通は志望理由とか、経歴を追求されるんですけど、わりと会話しているようだった」
会話している感じ。
「そうですね。働きはじめても、柔軟にやっていくということを聞いていたので、毎日コロコロ変わっていくのかと思ったら、わりとそんなことはなかったです」
とはいえ、簡単なことばかりじゃなかった。気になったのはきちんと意思をもたないといけないこと。
「休憩時間ひとつとっても決まりがないんです。各自のペースに委ねているから、自分で考えなくてはいけない。それで自分で考えて、ひとりで築地に行ったり、経験のないこともどんどんやることになる」
自由だけれども、意思がないと難しい仕事かもしれません。
もうひとり紹介するのは夜のバー「今晩」で働く雪下さんです。バーテンダーとしての経験もあるけれども、前職はリラクゼーションの仕事をしていた方。
「日本仕事百貨を見つけたのは5年前ですね。それからずっと読んでいて、ほかの求人に応募したこともありました」
あるとき見つけたのがこの仕事だった。
「はじめはびっくりしました。これ、いいな!って思いましたね。プラスのイメージしかなかった。ダメモトですぐに応募してみたんです」
面談はどうでした?
「すごいよかったですよ。興味を示してくれていることも感じましたし、こちらが遠慮してしまうくらい。やっぱり日本仕事百貨が好きなんです」
どんなところが?
「文章が好きなんです。会社のスタンスもいいし。ちゃんと取材して、ちゃんと伝える。バーテンダーという仕事も、普通のものより面白そうだなと思ったし、いろんなことが集まってくる場所だし、どうせやるならこういう仕事のほうがいいなと思いました」
いい話ばかりですけど、何か大変なことってありました?
「やっぱりコミュニケーションが難しいですよね。会話するときに、一つひとつの言葉をしっかり選ばなければいけない」
たしかに、ぼくらはニュアンスをできるかぎり正確に共有したいと思っている。それは記事を書くときも、社内で会話するときも。
「今までは言葉がぼんやりしていても通用していたけれど、自分が考えていることをできる限り正確に言葉にして、具体的に話さないといけないと思いました。そうじゃないと伝わらないし、言葉の仕事をしている人たちだからなのかも」
「自分はこの会社でどうありたいのか、ほかの人が思っていることをズレなく認識できているか。ここはとても努力したことで、今までなら言わなくてもいいことかな、と思うこともあったけど、今はちゃんと言葉に出さないといけないんだな、と思ってます」
とても自由な仕事だと思います。でもなんとなく、という感じで働くものではない。自分の意思を持って、それをちゃんと言葉にしたり、形にしていく。
たとえば、食事をひとつつくるにしても「自分がお客さんだったら欲しいものは?」と問いかけてみる。
その上でどうしたいか具体的に考えて、その思いに至った経緯も含めて、一緒に働く人たちと共有する。
問いを持って、自分の頭で考えて、働く職場です。逆に答えはありません。マニュアルみたいなものはできる限りもちたくない。
たとえば、どんな挨拶をされたら自分がお客さんだったらうれしいと思いますか?
これも正解があるものじゃない。人それぞれ、違ってくるもの。
けれども、この問いに対する個人的なぼくの答えは「いらっしゃいませ」よりも「こんにちは」とか「こんばんは」がいいというもの。
ときには失敗することもあるけれど、一つひとつ考えて、行動してみる。そんな仕事だと思います。
(2017/3/25 ナカムラケンタ)