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軽やかに模索中…

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何かを模索しているときって、ついつい塞ぎ込みがちになりませんか?

懐に温めておきたいとか、外に見せるのが恥ずかしいとか、その裏にはいろんな感情があると思いますが、いざ動いてみると案外すぐに解決してしまうこともあったりします。

東京建築PLUS代表の中里さんは、模索しながらこの会社を4年前にはじめました。そして現在もあれこれと模索中のよう。

P1530728 それなのに、不思議と重苦しい雰囲気を感じさせない軽やかさがあります。

なぜか?

お話を聞くなかで気づいたのは、中里さんは自分の感覚に正直な人であることと、経験をもとに一歩ずつ着実に進んできたということ。

大きなビジョンは持たずに、その都度しっくりくるほうへ進んだらここにいた、という感じ。ヒョウヒョウとしていて無理がないし、変化の多い時代には適切なスタンスのような気がする。

そんな中里さんとともに働く東京建築PLUSの広報スタッフを募集します。

フルタイムではなく、週に1、2回程度の勤務を予定していて、副業も可能。Webサイトの構築や広報の経験がある方を求めています。

また、空間デザイナーとして働ける方も同時に募集中です。


取材に向かった先は、東京・東日本橋のオフィス。

ここは代表の中里さんが同級生の友人と2社で借りているスペースで、一部はシェアオフィスとしても開放している。

P1530821 東京建築PLUSは、さまざまな店舗の内装工事を手がける会社。

デザインは基本的に外注し、主に施工管理やファイナンスの面でお施主さんと現場をつなぐ役割をしている。

「まずはお客さんのヒアリングですね。あとは物件が決まっていれば、そこを見にいって寸法を測ったりする。情報が揃ったら一度持ち帰り、すぐに図面とパースに落とし込みます」

「後日、それを持ち寄って、ああでもこうでもないと打ち合わせをして。そこで金額の話もします。だいたいご要望で盛りだくさんになるので、引き算することになりますね。金額と内容がまとまったら契約をして、日程を決めて施工に入るという流れです」

完成物件の引き渡し後、1ヶ月後と1年後にはアフターフォローに入る。細かいメンテナンスの依頼があれば、その都度直しにいくこともあるという。

「飲食店やショールームを手がけることが多いです。オフィスや本屋、クリニックなどをやらせてもらうこともあるので、特にジャンルは問いません」

「今までは基本的にひとりでしたけど、去年の11月にひとり入社したので、これからより幅も広がっていくかなというところですね」

2016-11-24 09.07.02 高校から建築学科に通っていた中里さん。

小さいころは、大工になりたかったという。

「明確な原体験はないんですよ。同級生のお父さんが大工をやっていて、その子どもがすごく足が速かったぐらいで(笑)。でも、なんとなくかっこいいイメージがありました」

高校大学と建築を学び、地方のゼネコンに就職。そこで約8年間、施工管理を経験した。

「実際に建築の仕事をしてみて、ああいいなと思いました。自分に合ってるなと」

「最初に入った会社はアットホームで、漫画のような感じの雰囲気。会長も部長も大工の出身で、同年代の人も多く、現場も若手に任せてくれて。みんなでいろいろ試行錯誤するのが楽しかったですね。そこで一通りの仕事も覚えました」

学校や道路などの公共工事が主で、行政や地元の人ともフランクに関われるような現場が多かった。朝の10時にお客さんとお茶を飲みつつお話してから作業に入ったり、夕方になると、所長のつくったごはんをみんなで食べたり。

アットホームで居心地のよい会社。けれど、30歳を目前にこのままでいいのか?という気持ちが芽生えはじめる。

「ちょうど、自分のこれからを考えさせられるような出来事が立て続けに起こって。動くなら30歳までだなと思っていたので、今動いたほうがいいと思ったんですよね」

建設業での独立も考えたけれど、いきなりは難しい。

そこで「店舗ぐらいの規模なら」と思い、勉強のつもりで都内の内装施工会社に入社。5年間経験を積み、今から4年前に独立した。

「長期的なビジョンがあったわけではなくて、その都度疑問に思ったことを解消して今に至る、という感じで。そのままの状態でいるのが嫌だったのだと思います」

そのさっぱりとしたスタンスは、東京建築PLUSの手がける店舗内装にも表れていると思う。

依頼主の要望に応えながら、その空間を日々利用する人に寄り添ったシンプルなデザイン。

R0002772 中里さんは、これを「なじむ」空間と表現する。

「独立した当初は、過度に丁寧だったかもしれません」

過度に丁寧?

「要望に対してフルコミットして、どうしたら応えられるかを一番考えていた時期だったと思います。今より余計によろこばれていた気がしますね」

「だからといって、今は慣れて適当になっているわけではないんです。どちらかといえば、何が大切なのかを絞って見るようになってきた感じです」

お施主さんと話していくと、表層的なかっこよさや独自の世界観を追求した要望をもらうことがある。その要望に完璧に応えれば、完成直後は満足してもらえるかもしれない。

けれども、店舗の用途や利用する客層、日々そこで働くスタッフのことなど、完成後に使われていく様子まで考えたときに、もらった要望が常に正しいとは限らない。

そのため、一過性のよろこびよりも、使うほどに「なじむ」空間を目指しているという。

「お客さんと話すときは面白いですよ。何回も打ち合わせることで、『なじむ』空間が見えてくる。あとは予算や寸法などの制約をお伝えしながら、イメージを擦り合わせていきます」

「自分のイメージとお客さんのイメージがいきなりピタッとはまることはないですね。話す表情や雰囲気、仕草とか細かい応対の仕方をよく見ながら、ちょっとズレているなと思ったら修正する。イメージ通りのものができたときは、やっぱり気持ちいいですね」

P1530847 施工の途中段階を見にきたお施主さんが、心配の声を漏らすこともあるそう。そんなときでも中里さんは、壁と家具の色のバランスや、蝶番の一つひとつまで、意図をもって空間に落とし込んでいることを丁寧に話す。

店舗として使われはじめてからうれしい反響をいただくことも多いという。

そんなふうに丁寧に話を聞き、形にするスタンスで評価されてきた東京建築PLUS。

創立から4年を迎え、課題も抱えている。

「これまで広報にはほとんど取り組んでこなかったんです。自社のホームページやFacebookページもあるんですが、特に更新もできていません。今回はそういった分野で経験のある人を求めています」

ホームページには施工事例やコラムのページも存在しているけれど、もっと中身を充実させていくことができそうだ。Facebookや各SNSとも連動し、定期的に発信していくことで、会社について知ってもらうきっかけを増やすこともできる。

「将来的には、地域にひらけた場を持ちたいなと思っていて。そこでDIYのワークショップもやっていきたいので、そこにも広報が必要でしょうし。シェアオフィスがあることも、もっとうまく伝えられるかもしれません」

「自分たちは、正直広報についてはわからないことだらけなので。経験者の方と一緒に、その人の持っている知識と擦り合わせながらできることをやっていきたいと思っています」

P1530840 想定しているのは、週に1、2日のパートタイム勤務。育児の合間に勤められる場所を探している方や、広報・PR業界にいて副業可能な方など、まずは短時間での勤務を考えている。

「あとは事務的なところで、経費の計算やエクセルのまとめですね。外注でも問題はありませんが、得意な方であればお願いしたいかな」

今は2人しかいない会社に、新たに人が入る。しかも、ノウハウがないなかでの広報スタッフ、そして空間デザイナーの募集。これも中里さんの新たな模索の一歩だと思う。

勤務形態としても自由度は高いので、改善できることはどんどん提案していってほしい。

「会社もバランスだなと思います。仕事だってやるべきことができていれば、力を抜く日があってもいい。この間は晴れた日にこのオフィスで仕事するの嫌だなと思って、もうひとりのスタッフと一緒に鎌倉に行きました」

かなり自由ですね(笑)。

「逆に休みの日にちょっとメールを返してもいいですし。そういう時間の使い方、働き方のバランスは、独立してから考えていることのひとつですね。もうちょっとでうまくバランスをとれそうな気がしてます」

写真 2017-01-17 12 01 41 最初に入社したゼネコンでは、アットホームな会社の雰囲気に甘えてだらけてしまうこともあったし、次に入った内装施工会社では、いそがしいときには現場で寝泊まりする日もあった。

さまざまな環境を経験してきた中里さんだから、そのバランスと真剣に向き合っていることにも説得力がある。

会社としても「なじむ」やり方をまだ模索しているところだし、一度決まっても変化していくかもしれない。だからこそ、いろんな面で柔軟な人のほうがいい。

「その一方で思うのは、何かをやりきった人がいいですね。ひとつのことをやりきるって、なんであっても大変じゃないですか」

「それは広報以外のことでもいいんです。何かをやりきった、っていうことが大事」

常に問い続ける柔軟な姿勢と、決めたことをやりきる行動力。

それはそのまま、中里さんを表す言葉のようにも思える。

軽やかに模索し続ける中里さんと働く日々は、きっと楽しいはず。

P1530818 最後に、4年前にはじめたというマラソンの話をしてくれた。

「はじめはフルマラソンを4時間ぐらいで走ってたんですけど、このごろあまり練習もしなくなってきました。それでも年に1回は走ることにしていて。最近、ちょうどいいペースがやっとわかったんです。ああ、60点だなって」

60点?

「完走できるし、走っていて気持ちいい。そのギリギリのところが自分にとっては60点だなと思って、腑に落ちたんです。それは、会社を長く続けるという意味でも同じことが言えるかもしれません」

「ただ、今のままでは物足りないな、っていうところもあって。60点で続けていくのも悪くはないかなと思うんですけど、もうちょっと上げていこうかなとか思ったり。今もしっくりくるバランスを探っているところですね」

仕事に限らず、生活のさまざまな場面で探究心が湧くような人だったら、一緒に働いていて楽しいと思います。

軽やかな模索は、まだまだ続きそうです。

(2017/3/14 中川晃輔)