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滋賀のカタリスト 

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

「ぼくらはふだん、ある場所に、今ない刺激を持ってきて、その場を活性化するということをしています」

「そのとき、ただ2つのものを掛け合わせるのではなく、間にぼくらが入ることで、人と人をつなぐ。『たのしいな』って思う人が増えれば、まちも賑わってくると思う。ぼくらはその場所に化学反応を起こす、コーディネイターなんです」

こんなふうにして、日本のあちこちでまちづくりを手がけてきたのが、UDS

UDS - 1 (10) 東京では「CLASKA」や「キッザニア東京」など。ホテルや住宅、コワーキングスペースのような建物の機能を中心として人の集まる場をつくり、運営まで担ってきました。

また、行政からも依頼を受け、京都府や鹿児島の薩摩川内市でのまちづくりなど、いくつもの実績ももつ。

そんなUDSが、東京・日本橋で滋賀県の「人」を体感してもらう場をつくろうとしています。

いわゆるアンテナショップ。けれども、ただのアンテナショップにはならないようです。UDSの社員として、そんな場所をつくるショップ全体の統括マネージャーと、飲食部門・ショップ部門のそれぞれを統括するマネージャーを募集します。



詳しく話を聞くため、UDSが手がけた有楽町のコワーキングスペースLEAGUE(リーグ)に向かいました。

お会いしたのは、UDSの代表である中川さん。

「代表といっても、7、8割はこうしてプレーヤーとして動いています。ぼく自身、あたらしいことを考えたりつくったりしないと、つまんなくて死んじゃうんじゃないかな(笑)たのしむことが一番大事ですよ」

UDS - 1 (11) 中川さんは、キッザニア東京をはじめ、新潟、福井、鹿児島など、地方のまちづくりもしてきた方。

「UDSでまちづくりを考えるときは、まずは地域の人と話し合います。その地域で何が起きたらいいのか、どんなふうに外から人を呼び込めばいいか。対話の中から、地域に必要なものを考えていくんです」

普段はその場自体を活性化することを考える。ところが今回の場合は、東京にお店を出すことで滋賀の活性化を考えなければいけなかったといいます。

「でもね、見方を変えれば、あえて別の場所で地域らしさを見つけるチャンスともとれるんです」

地域らしさをみつけるチャンス?

「地域の魅力は、どう出せばより効果的に外に伝わるのか。その結果を地域に持ち帰れば、地域らしさを生かしたモノやコトが生まれると思います」

たとえば、東京で若い女性が手に取るような商品がわかれば、滋賀の名産品づくりにもつながるかもしれない。

また、滋賀でさかんな「発酵」をテーマにしたワークショップを東京でひらき、楽しんでもらえたら「今度は琵琶湖のほとりでやりませんか」と臨場感たっぷりのツアーをつくることもできるかもしれない。

UDS - 1 (4) 東京の店舗を通して、滋賀のエッセンスをより洗練させる。

UDSが店づくりに入る意味は、ここにあるんだと思う。

また、運営もUDSが手がけるから、より柔軟な提案ができる。

「商売人じゃない行政にとって、ぼくら民間の目線はきっと役に立つ。その自負があるから、ぼくも素直に県と議論を交わしてつくっています」

オープンする滋賀のアンテナショップは、2階建て、各フロア約40坪というこじんまりとしたサイズ。1階がショップと地酒バー、イベントスペース、ツアーカウンター、2階がワークショップもできるレストランになる。

UDS - 1 (8) 滋賀らしさを表現する場所になるのだろうけど、そもそも、滋賀らしさってなんだろう?

「たいていの人は、滋賀って聞いて、ぱっとイメージ湧かないですよね。ぼくも、まったくおんなじでした」

そこで、まずはプライベートで奥さまと二人で滋賀に旅行に行ってみた。

たしかにいい場所だった。けれども、正直に言って、ほとんど記憶にのこらなかった。

ところが、2回目に滋賀の活性化に取り組む市田さんという方に案内してもらうと、同じ日程とコースでも見える風景がまったく違ったそう。

初日に向かったのは、前回と同じく琵琶湖。そこで、日本で唯一湖に浮かぶ島「沖島」で佃煮をつくる、奥村さんを紹介してもらった。

「沖島ってかっこよくないですか。湖の上に300人くらい人が住む島があるんですよ。しかも船で行くんです」

「島に着いて奥村さんにお会いすると、彼、ボブマーリーのTシャツ着てるんですよ。ぼく、ボブマーリー好きなんです(笑)。そこから意気投合して。聞けば聞くほど、島の暮らしは面白いんですよ」

沖島の人は、湖で魚をとって暮らしているそう。

「滋賀の漁っていうのは夫婦でいくんですって。奥さんも乗るから、少しでも波があったらいかない。行かなくていいんですか?って聞くと『だって妻になんかあったら大変だから』って。そういう、アットホームな感じなんです」

UDS - 1 (6) もともと、島では農業が中心。魚はご飯のおかずとして獲るくらいだから「おかずとり漁法」とも呼ばれているそう。また、乱獲してしまわないよう、水揚高は国に報告する昔からの決まり。おかげで今も琵琶湖の固有種が生きながらえている。

この湖魚でつくられた佃煮が、ふつうに土産物屋で売っていたりするそうだ。

「奥村さんは、言ったら東京にいるような、ごく普通の陽気な30代です。そういう方からより深い生活のことや歴史ある話がきけて、すごく楽しかった」

翌日も、ヤンマーミュージアムや近江八幡の惣菜やさんなど、色んな滋賀の人に会い、人のよさに触れる。

「そんなやりとりを通して、なんだか滋賀って人がいいなって思ったんですよね」

それと「売り手よし、買い手よし、世間よし」の三方よしで知られる、近江商人の存在も大きかった。

「この間県庁に行ったとき聞いたんですけど、日本橋高島屋で大近江展っていうのがあるんですって」

「会場には地元のお店の人たちが並ぶんですけど、そのとき、自分の店があんまり売れすぎるとわるいからと言って、『ちょっとこっちで買いなよ』ってお客さんを隣のブースに誘導するらしいんです。社会全体を考えて商売をする。やっぱり近江商人の考え方がベースにあるんですよね」

滋賀の人の人懐っこさや、控えめなんだけど適度におせっかい焼いてくるところ。自身も経営者として尊敬している、近江商人の考え方。

UDS - 1 (7) 中川さんは、そんな滋賀の人のよさが、いちばんの魅力だと感じている。

だから今回のお店のキーワードになるのは、“滋賀の語りべ”。

「もちろん、おいしいお米や発酵食品、近江牛もあります。食材や自然のゆたかさだけじゃなくて、それらをつくる『滋賀の人』も伝えたい。それは、なんだかじんわりくるなあって思うんです」

アンテナショップの一番の目的は、お店に来たことをきっかけに、滋賀を訪れる人を増やすこと。

モノやコト、それから人を通して、滋賀に行きたくなるような動機付けをスタッフみんなでしていく。

「たとえば、バーでお酒を飲んでるとき、信楽焼の皿にお料理をのせる。『信楽焼って分厚いと思ってたけどこんな薄いんですね』って言われたら、『これはこの地域でしかつくれないんですよ。今度よかったら一緒に焼きにいきませんか』って話をしたり。そしたら、ぼくが人事制度で、有給と経費でお客さんとの旅行に行けるようにすればいい。その映像とってきたらお店でも流せるし、イメージが湧くよね」



一方で、お店についてはどんな商品を並べるか、どんなイベント、お料理を出すかなど、これから考えていくことも多い。

中川さんと一緒に今回のプロジェクトを進めてきた、牧尾さんにもお話を聞いてみます。牧尾さんは、今後もプロジェクト全体の企画に関わっていきます。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA どんな人がいいですか?と聞いてみると、「滋賀が好きな人。気持ちがあれば、きっと乗り切れると思います」とのこと。

「UDSって、すごくチャンスのある会社なんです」

チャンス?

「わたしは以前は広告代理店で働いていて、転職して2年弱です。アンテナショップの経験はないですけど、『やってみよう』って気持ちでこのプロジェクトに手をあげて、ここまで来ています。ほんとうに何でも任せてもらえるんです」

裏を返せば、自分でつねに考えなければいけませんね。

「そうですね。どんな案件も、こういうパターンでやればいいということはない。やってみて、これは違ったね、こういうほうがいいね、と話し合いながらつくっています」

今回募集するそれぞれのマネージャーも、牧尾さんのように、つねに考えながらつくっていくことが求められます。

統括マネージャーはお金や人材育成はもちろん、県の方が来たときや広報の対応もしていく。

また、毎週開催する予定のイベントやワークショップなどは、統括マネージャー、物販、飲食部門のマネージャーとみんなで企画を出していきます。

UDS - 1 (5) 主なターゲットは、日本橋という場所柄、ご年配の方になるそう。

「もうひとつ、私たちは、上質を知りたい大人の女性にも来ていただけるといいなと思っているんです」

来ていただいた女性自身に、滋賀の広告塔になってもらおうという狙い。

商品の選定やあたらしい商品企画も、滋賀を知るきっかけになるようなものを考えていきたいといいます。

「私自身以前は滋賀県を知らなかったので、『滋賀のお店』と聞いても、多分行かないなって思っちゃって。でも、たとえば、友人の結婚祝いを探してギフトとして商品を手にとる。お店をよくみたら、滋賀のアンテナショップだったんだ、って入り方もいいと思うんです」

淡水の真珠や高島縮みという織布、発酵文化など、女性によろこばれそうな切り口はたくさんあるそう。



ここで、飲食部門にアドバイザーとして加わる竹岡さんも話に加わってくれました。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA これまでCLASKAやD&Departmentなどの飲食部門を経て、UDSが手がけたカフェや居住スペースなどの複合施設NODE UEHARA(ノードウエハラ)のマネージャーをしていた方。
NODE UEHARAの規模感は、ちょうど滋賀のアンテナショップと同じくらい。マネージャーをしていたときは、「いろんな部門に首をつっこんでいた」んだそう。

「レストランは今何が売れているんだろう、商品ディスプレイが得意なスタッフはいるのかな、とか。その場所が好きだと、気になっちゃうんですよね」

おっとり話す竹岡さんだけれど、きっと大変なこともあっただろうなと思う。

「素直にその場所やコンセプトが好きだったから、できたんですよね。今回のアンテナショップも同じだと思います。滋賀を背負って立つ、くらいの気持ちがあるといいかもしれませんね」

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 地域に入り込んでいくUDSだからこそ、滋賀のこれからも本気で考える。

みなさんと一緒に、滋賀を語ってみませんか。

(2017/3/17 倉島友香)