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地域のいいモノ、丁寧に

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ここ数年の間に、全国各地のモノを扱うセレクトショップが増えてきています。

モノの背景を丁寧に説明したり、体験型のイベントを行ったり、異なる地域・異なる性質のモノ同士を掛け合わせたり。

日本のモノづくりが残っていくよう、それぞれのお店の努力と工夫が光ります。

今回紹介するRinもそんなセレクトショップのひとつ。

地域に続く伝統や職人の技を活かしつつ、現代のライフスタイルにも合うようにつくられた雑貨を取り揃えるのが特徴です。

P1230724 もともとは中小企業基盤整備機構の一事業として、日本の工芸品や特産品をPRする目的で8年前に生まれたんだそう。当初から事業をサポートしていた株式会社ライヴスがその運営を引き継ぎ、現在は東京・お茶の水に店舗を構えています。

この店舗の主軸となる運営スタッフを募集中です。経験は問いません。

9年目を迎えた今、あらためて“Rinの色”を見つめ直しているところだといいます。これまでのノウハウを吸収しながら、あなたの色を重ねてみませんか。


地下鉄の新御茶ノ水駅から歩くこと5分。オフィスビルの一角に「ワテラス コモン」という施設が見えてきた。

P1240002 ここは周辺のオフィスで働くビジネスマンのほか、地域住民も気軽に立ち寄れるようなカフェラウンジやギャラリースペースを備えており、目の前の広場では定期的にマルシェが開かれるという。オフィス街でありながら、不思議とゆったりとした空気が流れていて心地いい。

Rinはその二階、10坪ほどのスペースに店舗を構えている。

P1230921 店内には、切子のグラスや珪藻土を使ったキッチンアイテムをはじめ、ファッション小物や文具など日本全国の多様な商品が並ぶ。

そんなひとつひとつの商品の魅力を日々伝えているのが、スタッフの山崎さん。

P1230769 「日本のモノづくりって、同じようなモノでも地域によってつくり方が違ったり、材料の活かし方が違ったりするので面白いですよね。まだまだ知らないモノがいっぱいあります」

出身は鳥取県。一般的には砂丘のイメージが強いけれど、実は民藝運動が盛んな地域でもあったそう。

幼少期に多くの時間をともに過ごした祖父母の影響もあり、伝統的な文化や手仕事には昔から親しみがあったという。

「古い家なので蔵があったり、味噌や醤油も祖母が手づくりしていたので、それを手伝ったり、着物を着せてもらったり。普段の生活でそういったモノに触れる機会が多かったんです」

Rinで取り扱う商品も、各地に続いてきた伝統や職人の技を感じさせるものばかり。加えて、現代のライフスタイルに合うか?という視点も大切にしている。

P1230729 「わたしの好みは民藝寄りですが、現代の洗練されたモノとの掛け合わせは目新しくて刺激になりますね。どちらかというと愛でる目的ではなくて、使っていただくことに重点をおいたモノが多いと思います」

一緒に店内を歩いて回ると、ひとつひとつ、この場に置かれるまでのストーリーがあることがわかる。

この線香花火は、福岡県のみやま市でつくられたものだそう。

P1230980 「ひとつひとつ丁寧に、ご家族でつくってらっしゃって。火薬も手でこねてつくるんだそうです。火を灯してからも玉が落ちにくいので、一連の起承転結をじっくり味わうことができます」

こうした背景知識やストーリーを伝えることも、スタッフの重要な役割のひとつ。

ただ、まずはお客さんのペースに合わせるのだという。

「じっくりと店内を見ていただいて、タイミングを見てお声がけすることもあります。最初は、声を汲み取る感じです」

「ご存知ない方にはご説明しますし、自分で使ってみた感想だったり、メーカーさんから聞いたお話をすることもありますね。お客さまとお話しするうちに、わたしたち自身がふと立ち返って気づくこともあります」

特に食品は、食べてみての反応が最も早く返ってくる。

P1230714 「たとえば、このパンケーキミックス。値段もお手ごろですし、本当にもちふわになるので、リピーターの方も多いです。『おいしかったから、今度は人に差し上げたい』という声が返ってくるのはうれしいですね」

「『自分が使ってみて、よかったから差し上げたい』という気持ちは、わたしたちも同じです。販売って、買ってもらって終わりではなくて。その先まで考えることだと思っています」

店舗スタッフの醍醐味って、どんなところですか?

「ちょっとマニアックなんですけど」と山崎さん。

「眠っていた商品を久しぶりに出したり、目をかけて整えるようにしておくと、お客さまがその日は自然と見てくださるんですよ。アピールしてるわけでも、メディアに取り上げられたわけでもないのに」

「掃除ひとつとってもそうですし。そういうちょっとしたことがつながるのは面白いですね」


ここからは、RinのWebまわり全般を担当している大沢さんにもお話を伺う。

P1230778 もともと和柄や日本の生活用品が好きだったという大沢さん。日ごろからご飯は鉄鍋で炊いたり、掃除にはほうきを使ったりしているという。

「スタッフもそれぞれ興味が深くて。わたしが全然知らないことをよく知っていたりするので、勉強になりますし、話を聞いていて楽しいんです」

普段はオンラインサイトに載せるモノを選定したり、写真撮影や文章の投稿が主なため、店舗にはあまり立たないそう。

とはいえ、店舗づくりには担当をまたいだすべてのスタッフが参加するとのこと。

「いろんな人の知識を組み合わせたほうが面白いと思うんですよ。小さいお店ですし、理由があれば、新しく取り扱う商品やディスプレイに関する提案もちゃんと採用されるので、やりがいのある環境だと思います」

実際に置いてみて、なかなか反響がない場合もあるし、予想していなかったモノが売れることもある。

「『絶対にこれは売れる!』と思って提案したモノが売れないときもあります(笑)。そういうときは、ディスプレイの仕方を変えてみたり、いろんな使い方をご提案したり。逆に期待していなかったモノが売れると、『なんで売れたんだろう?』って考えるきっかけになりますよね」

大沢さんのお話を聞いていると、売れないことも含めたプロセスを丸ごと楽しんでいるようにも感じられる。もちろん責任は伴うけれど、失敗にめげず試行錯誤できる人のほうが楽しめるお店なのだろう。

それに、単にモノを売る場所というより、これからもっと自由度の高い場所になっていきそうな予感がする。


最後にお話を伺ったのは、ディレクターを務める海沼さん。

以前はライヴスの海外向け事業を担当していたという。

P1230901 「結局何のためにこの事業をしているのか。シンプルに考えれば、モノが売れることで事業者にお金が入り、地域の経済が回っていくためでした。だからこそ直接『売る』ことに関われることをやりたいと思って、手を挙げてここにきたんです」

山崎さん、大沢さんのおふたりが「モノ」への関心から入っているのに対して、海沼さんは「地域」に対する想いが強いように感じる。

なぜそんな想いを抱くようになったのだろう。

「秋田の実家に帰るたびに、知っていたお店も若い人も減っていくのを見ていて。そんななかで、一度海外の田舎に住んだことがあったんですよ。『この田舎が好きで引っ越してきたんだ』という人が多くて、みんな生き生きしていました」

「その違いを生んでいるひとつの要因が仕事じゃないかと思ったんですね。地方で稼ぐ術があれば、もっとみんな自由な生き方ができるんじゃないか。そう思ったのが、地域に関心を持つきっかけでした」

地域の伝統産業や職人としての仕事も、ちゃんと食べていける選択肢として残していきたい。

メーカー訪問_㈪ そのためにも、一般のお客さんだけでなく、地域の事業者にも向けて、より開かれた空間をつくりたいと考えているそう。

「これから商品を売り出したいという事業者さんは、地域にたくさんいます。そういった方をサポートするために、たとえば無料でテーブルを1台貸しますと。売るのは我々がやるので、集客とPRを一緒にがんばりましょうというような形で、事業者さんのテストマーケティングの支援をしたいなと思っています」

「そうでなくても、海外向けに売れるかもしれないし、Web上のほうが売れるかもしれない。いろんな可能性につなげてあげたいんです」

経験は特に問わない。ビジネス的な要素や感覚も必要だけれど、それは実際に働くなかで身につけていければいい。

「経験があると、やる前から無理だと決めちゃうこともあるじゃないですか。そうではなくて、本当に自由に挑戦してもらいたいと思っているんです。どうしたら売れるか、正解はないので。いろんな可能性を考えられる人に来てもらいたいですね」

昨年は「地域」という切り口で、神田カレーグランプリに参加。

「工芸品だけではなくて、地域には地域のカレーがあるんじゃないかと考えて。山崎は鳥取出身なんですけど、偶然にも鳥取ってカレールーの消費量日本一なんですよ。それで、鳥取のルーを見つけてきたりとか、日本で唯一カレーのスパイス生産に取り組んでいる沖縄のメーカーさんに辿り着いたりして」

カレー関連 「鳥取のルーも、沖縄のスパイスも、普段は地方にしかないものなんです。最近は地方にも目が向けられていますが、まだまだ見えていないものってたくさんある。いろんな角度で伝えたいなと思っています」

まっさらな視点で今一度このお店の可能性を見つめ、さらに自分の色を重ねられるような人が求められているのだと思う。

将来自分のお店を持ちたいと考えている人にとっては、ノウハウを学びつつ挑戦できる、ぴったりの環境かもしれない。

「お店をつくるのは、お店に普段から立つスタッフだと思っています」と海沼さん。

「アパレルの店員さんと同じように、工芸品もまず自分で積極的に使ってみて、自分の言葉で語る。ここがいいんですよ。これおいしいんですよって、語れるモノで埋め尽くしたいんです。だから言われたままやらずに、一緒に楽しく働ける人が来てくれたらうれしいですね」

P1230931 興味のあるモノでも、地域でも、人でも。きっかけは人それぞれで構いません。

自分ならこんなことができるんじゃないか?と想像が膨らんだなら、ぜひ応募を考えてみてください。

きっとここなら、いろんなチャレンジができると思います。

(2017/4/26 中川晃輔)

募集締切が5月11日となりました