※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。
シェアハウスという住まい方は、以前に比べてだいぶ一般的になってきました。同じ空間を共有することで友だちが増えたり、仕事のきっかけが生まれたり。逆に、生活習慣の違いからトラブルにつながった、というような話も耳にします。
自分の暮らしに合わせて住まい方を選べるようになってきたのは豊かなこと。でも、その選択肢はこれからもっと増やしていけると思う。
たとえば空間づくりという切り口で、住まい方のバリエーションを増やしませんか。
平成4年に創業し、20年以上に渡って業界を牽引してきた株式会社オークハウス。今回は企画設計の担当スタッフを募集します。
企画設計の主な仕事は、シェアハウスの空間づくりです。開発担当の仕入れた物件を調査し、図面を作成。現場の職人さんや工事業者さんとコミュニケーションをとりながら、家具家電のプランニングなど、細部までこだわって空間をリノベーションしていきます。
予算や法律などの制約はもちろんあるけれど、自由度もかなり高く、空間をつくっていける役割のよう。建築や不動産の経験は、できればあったほうがよさそうです。
東京・渋谷の事務所を訪ねて詳しく話を聞きました。
まずはじめに話してくれたのは、企画部部長であり開発担当の渡辺さん。物件を仕入れ、企画設計に引き継ぐ仕事をしている。
前職は大手不動産会社で、不動産の売買仲介や開発、用地取得などを担当していたという。
「不動産を手放すときって、本当は売りたくないという方が多いんですよ。会社なら業績悪化のために資産を売却するとか、個人なら相続税支払いのために先祖から引き継いだ土地を売るとか」
「資産売却も解決手段のひとつですが、もう少し知恵を絞れば、手放すことなく活かす方法もあるんじゃないかと思っていたんですね」
そこで思い浮かんだのが、以前から知っていたオークハウスのモデル。
自身の経験と重ねることにより、価値を発揮できると考えた。
「今の仕事がいいのは、受け継がれてきた資産を活用できるところです。既存の物件をお借りし、リノベーションして入居者を募ることが多いんですけど、土地の所有者の方にありがとうと言われる機会も増えましたし、入居された方が楽しそうに住んでいる様子も直接見ることができます」
住む人、土地を持つ人、空間をつくる人。シェアハウスには、そこに関わるすべての人を喜ばせる力があるのかもしれない。
「高くていい物件は、潤沢な資金のあるメジャープレイヤーが買っていく。これは経済合理性として正しいと思います」
「ただ一方で、建築基準法の縛りがあったり、儲からないからといって放置されている物件もある。そこに光を当てて活かすのがぼくらの仕事なんです」
開発担当が仕入れた物件をシェアハウスへと変えていくのが、企画設計の仕事。ここからは企画設計担当の山越さんにも加わってもらう。
「いいものをつくっても、住んでもらえなければ意味がないので。なんでも自由につくれるアーティストというよりも、社会やまちのニーズ、持っている手札を見ながら最善を尽くすような仕事だと思います」
オークハウスの手がけるシェアハウスの特徴は、共用施設が充実していること。
ワークスペースやジム、音楽スタジオなどを備えた物件も多い。
「とはいえ、予算や土地の広さ、間取りや法律などの制約はあります。100%の理想を詰め込むのは無理なので、既存のものをどう活かすかという見立ての力が大事になってきますね」
予算を比較的かけられる大規模シェアハウスなら、大勢で利用できるジムやボルダリングなどの施設をつくる。入居者も活発な人が多く集まり、イベントを自主開催したりと、わいわい楽しむ雰囲気がそこに醸成されていく。
一方で25名程度のシェアハウスならば、一部屋ごとのスペースを贅沢にとる。共用施設は減らす代わりに庭を設けて、自由に自分の時間を過ごせるような空気感をつくり出す。
ほかにも最短1ヶ月から入居できる仕組みがあったり、旅人向けのゲストハウスも運営していたりと、さまざまなライフスタイルに合わせた空間を提供しているオークハウス。
「あとは、まちを読むことも大切かもしれません」
まちを読む?
「シェアハウスは必ずまちのなかにあるわけなので。歩き回って、その周囲にどんなものがあるのかということも気にしていますね」
Webサイトからエリアを絞って検索すると、物件情報とともに各エリアの概要や見どころなどが掲載されている。
このあたりからも、社会やまちに対するオークハウスの感覚が伝わってくる。
「どんな物件でも、まちに与える影響が0ということはありえませんよね。そこに何かができると人通りが増えるかもしれないし、隣の定食屋が繁盛するかもしれない。社会に開かれるものをつくる責任感というか、自覚は常に持ちながらやっています」
そういった感覚を大事にする姿勢は、山越さんの学生時代から培われてきたもののようだ。
出身は栃木県。大学と大学院では、まちづくりや都市計画を学び、古民家を改修してまちに開くプロジェクトに取り組んでいたという。
「するとそこが寄合所のようになって、おじいちゃんおばあちゃんが集まってきたりして。それまで閉じていた場が開いていくことが楽しくて、あ、いいな、というか。一番最初に心がブルブルっと震えた瞬間はそのときでした」
「まずは自分の手の届く範囲で、実感を伴いながらやりたいなと思って。人が触れる最小単位は何かと考えて、家具の仕事をはじめました」
古家具屋で古家具の手入れなどをしていると、やがてカフェや店舗の内装を考えてほしいという依頼が来るように。
家具や雑貨、内装。いろいろなものと空間に触れるうちに、よりマクロな視点に立ちたい気持ちが湧いてきたそう。
「それで、今までの経験やつながりを活かしてもう少し大きなものをつくりたいなと思っていたときに、日本仕事百貨でオークハウスの募集を見つけたんです」
当時読んだ記事はハウスマネージャーの募集。シェアハウスに住み、入居者と顔を合わせながら場をつくっていくような仕事だった。
「新規の入居希望の方がいれば下見をし、壊れてるものがあれば直し、あるときはイベントを企画したり。ハウスマネージャーとして日々の業務を経験したことは、今の企画設計の仕事をする上でも活かされていると思います」
入居者の日常を知っているからこそ、起こりうる些細なトラブルを未然に防げたり、生活者視点から外れない空間設計ができたりもする。
「あくまでも住まいなので、水回りやキッチンの予算は下げられないなとか。毎日ご飯つくるときにイラっとしたくないじゃないですか。基本を抑えつつ、+αのアイデアを出していくときには生活者視点が活きてきますよね」
「今回入る方も、まずはハウスマネージャーを経験した上で企画設計のほうに来てもらいたいです。やってみないとわからないことも出てくると思うので」
入居者やハウスマネージャーの視点を持ちながら、ほかにもさまざまな人と関わって空間をつくる企画設計。
現場で工事業者や職人さんと関わる機会もある。
「『これぐらいの高さに、こんな棚をつけたいんです』って説明しながら、自分で下書きして。職人さんに『ありえないよ!』みたいな話もされながら、それでも熱意を伝え続けてようやく棚ができたり。そんなやりとりもあります」
「ぼくは自分でつくることはできないので、リスペクトの気持ちを持ちながら、職人さんに教えてもらう姿勢を大切にしていますね」
空間づくりのアイデアって、どんなときに浮かびますか?
「ご飯を食べに行ったときに、いいなと思うものがあったら写真を撮っておくとか。自分の趣味とか、日常生活でもどこかアンテナを張っている感じですかね。好きなものを掘り下げていくと、どこかでつながるという感じです」
あるいは、これまでのつながりが思わぬ形で活きることも。
「ボルダリングの壁をつくるときは、経験者の知り合いに施工してもらったり、自分は音楽をやってたので、スタジオにどんな機材を揃えたらいいかがわかったり。前職までのつながりで、海外から仕入れたオブジェや絵画で空間を設えたこともありました」
「今まで縁のあった人の協力もあって物件ができるとうれしいですし、建築とは別軸の経歴が思わぬ形でその人の強みにはなるかもしれませんね」
そんな企画部を陰で支えるのが福士さん。
「決められた予算のなかで、既存のものをどこまで活かせるか。わたしはバックアップする立場ですけど、新しいシェアハウスができていくのは面白いですし、毎回感動しますね」
山越さんはひょうひょうとやっているように見えますけど、近くで見ていて大変だなと思うことってないですか?
「たくさんあります(笑)。特にスケジュールはシビアですよ。今は並行して4件の計画が走っている状態ですし、段取りよく進めないと、決められたオープン日に間に合わなくなってしまいますので」
新築であれば竣工までの時間的猶予があるけれど、オークハウスの手がける物件のほとんどはリノベーション。建物はすでに存在するので、じっくり考えている暇はない。
しかも、築年数の経った建物ほど、図面と解体後の構造が異なることが多い。開けてビックリ!ということもよくあるそうだ。
「自由度が高い分、図面通りに進めたい人は大変かもしれないですね。それから空間デザインに関しては社長もこだわりが強いので、ダメだしを受けることも当然あります」
「いろんなハプニングにも臨機応変に対応できたり、自信を持ってプレゼンできる人であれば、楽しめる仕事じゃないでしょうか」
工期が押していれば、間に合わせるために遅くまで働く日もある。
けれども、当の本人はあまり気にしていないらしい。
「いいものを世に出したいという気持ちがあるので。スケジュールがきついときも、なんとかやれてますね」と山越さん。
気持ちがあれば、経験は必要ない?
「基礎として、建築の知識や経験は必要です。ただ、それは後からでも学べますし、ぼく自身建築士の資格はここに入ってからとりました」
「ベースがあった上で、+αがないと厳しいなと感じていて。自分の好きなことを掘り下げて、貪欲に追い求めるエネルギーと情熱。これがやっぱり大切だと思います」
100人規模のシェアハウスを運営する会社はそうそうないし、これから発展していく伸び代も感じさせるこの業界。
空間の企画設計から住まい方を提案していきたい人は、ぜひ応募してください。
(2017/4/14 中川晃輔)