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よりよい世の中へ

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

いい世の中にするために、自分にできることって何だろう。

声高に訴えるのは性に合わないし、暮らしのなかで選択していくだけでは少し物足りないかもしれない。

ならいっそのこと、仕事を通じてダイレクトによりよい世の中を目指せる会社で働いてみるのもいいと思う。

lifeartclub01 売れるものではなく、未来の世の中に必要なものを。

有限会社生活アートクラブは、人にも環境にもやさしい商品づくりに取り組んできました。

たとえば、防虫・消臭・抗菌用品や衣料品、アロマやコスメなど。独自で開発した商品はどれも化学薬剤を一切使用せず、植物成分の力を最大限に活用しています。

人だけでなく、森・川・海といった自然環境への影響にも配慮し、そういった価値観の大切さや知識を広めるための情報発信もしています。

今回募集するのは、商品の開発や仕入れから、卸や営業までを担当する営業スタッフと、営業をサポートする営業事務のスタッフです。これに加え、今後の事業展開を見据えてwebデザイナー・エンジニアや服飾デザイナー・パタンナー、そして食品開発を担当する人も合わせて募集します。

もっと直接的に世の中のためになる仕事をしたいと思っていた人は、続けて読んでみてください。

 
東京・新宿。

生活アートクラブのオフィスは、曙橋駅から歩いて3分ほどのビルの中にある。

会議室へ通されると、部屋のなかは商品を詰め込んだダンボール箱でいっぱい。取材前にいろいろ調べているうちに欲しくなって買ってみた「ムシさんバイバイ」という自然派防虫剤も置かれている。

lifeartclub02 「ムシさんバイバイ」は虫をまったく寄せ付けず、植物精油のすっきりした香りが部屋の消臭もしてくれる、というスグレモノ。

買ってみて分かったけど、化学薬剤を一切使用しないのに従来の防虫剤に負けず劣らずの効果があって、身体への害の心配がない。

エコ商品は想いや背景に共感して買うイメージが強かったから、実用面でも非常にいいのが衝撃だった。

代表の富士村夏樹さんが言うには、自然派防虫剤は生活アートクラブの売上の半分を占めるほど人気商品なのだそう。

「もともとムシさんバイバイは害虫の専門家とともにゴキブリ用に開発したオリジナル商品です。いまは黒アリ用とダニ用もあって、どの成分にも青森ヒバが含まれているんですよ」

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 青森ヒバって、木のことですか?

「そう、木曽ヒノキや秋田スギに並ぶ日本三大美林のひとつです。ヒノキのほうが有名で値段も高いけど、実はヒバはヒノキよりも優れた木なんです」

「というのも、東北で地元のお爺さんお婆さんがヒバのことを『蚊殺しの木』と呼んでいて、ヒバで家を建てると3年くらいは窓を開けていても蚊が入ってこないと言われているんですよ」

木は害虫から身を守るために虫を忌避(きひ)するための揮発成分「フィトンチッド」を自ら発していて、人が森林浴で効用を得られるのはこのフィトンチッドのおかげなんだそう。

青森ヒバは様々な樹種のなかでも一番強くフィトンチッドを発している。さらに優れた抗菌力や殺菌力のある「ヒノキチオール」という成分も含んでいるという。

「過去にペニシリンが世界初の抗生物質として認められてノーベル賞を取ったとき、最後まで一騎打ちをしていたのが、日本人の野副博士という方が研究していたヒノキチオールでした。また、ヒバは腐らず水に強いから、中尊寺金色堂はオールヒバで建てられていたり、伊勢神宮にも使われていると」

どれもはじめて聞くことばかりで、「へぇ〜!」を連発してしまう。

自然のものにもそんな力があるんですね。

「私も最初は何も知らなかったですよ。青森ヒバのすごさも東北の方々に教わったし、本当に『へぇ〜そうなんだ!』からのスタートでした」

lifeartclub04 富士村さんはもともと腸内環境や健康に関しての専門家だった。

お祖父さんは乳酸菌の研究していた方で、お父さんの代から家業として北海道で乳酸菌飲料メーカーをはじめた。

富士村さんは家業を手伝うために全国各地で講演活動を行い、腸内環境を改善するための食生活指導や独自のノウハウ提供をしていたそう。

「お医者さんは病気の専門家だけど、我々は健康の専門家なんだと。そういった立ち位置で、27歳のときから13年間ずっと仕事をやってきました」

「ただ、腸内細菌が乱れる原因というのは、日々の食生活のなかで添加物を摂取するということだけでなく、もっと根幹に問題があって。身の回りの生活環境や地球環境までもが腸内環境を脅かしていたんです」

たとえば、市販されている殺虫剤。

実は大半が農薬を原料に使用し、コバエ駆除剤や衣類防虫剤、トイレ消臭剤までもが人の健康へ悪影響を与えているという。

「当時の僕は、農薬とは田畑に使うものという考えでした。けど、殺虫剤成分も農薬なんだと。むしろ田畑には農薬を薄めて散布するけど、殺虫剤には原液のままの農薬を使うんです」

「腸内環境という小さな世界をずっと見ていたけど、そうじゃなくて身の回りの生活環境から体内環境を汚染するような物質をなるべくとりこまないようにしなくてはならない。家業が経営破たんしたのもきっかけになって、自然のものをつかった商品をつくっていこうと独立しました」

早急に独立することになったため、環境問題について深い知見があったわけでもなく、エコ業界の市場や常識についても何も知らなかったという。

とにかく人や環境によく、世の中にとっていいものつくり出していこうと、一つひとつ学びながら、自分たちにできる範囲内で商品開発を進めていった。

たとえば粉石鹸の「美葉うぉっしゅ」。独立してから一番最初に開発した商品で、今も続くロングセラーだという。

lifeartclub05 美葉うぉっしゅ開発のきっかけは、自宅で使っていた石鹸にあったそう。

「そのころはまだ北海道に住んでまして、苫小牧の障がい者就労施設がつくるリサイクル石鹸を使っていたんですね。けど、昔のリサイクル石鹸って使い古した油を使うので臭うんです。水どけが悪かったりもして、使いにくい」

「また一方で、川の汚染原因の2位と3位は合成洗剤と天ぷら油と言われています。合成洗剤に替わる質の高いリサイクル石鹸を開発できれば、川の汚染問題を解決していける。たまたま知っていた青森ヒバを使ったらどうかと、その施設に掛け合ってオリジナル商品をつくったんですね」

生活アートクラブの商品開発は、身近なところからヒントやきっかけを得てはじまるのが特徴だと思う。

自然派防虫剤「ムシさんバイバイ」を開発したのも初期のころで、農薬が川の汚染原因第1位であることや、殺虫剤が人の健康に影響を与えていることを知り、青森ヒバを原料として開発したのだという。

「私は最初からガチガチなエコ会社を目指すつもりはなかったんです。農薬不使用のオーガニックコットンを使おうとか、児童労働問題まで考えているメーカーさんの商品を扱おうとか、徐々に我々が学習していくことによってだんだんと変化して、結果的にエコな商品が増えていった」

「我々が一番にやろうとしているのは、売れるものを売るのではなくて、売らなきゃいけないものを売っていこうと。いい世の中をつくるために、自分たちにできることは何なのか。少しでも世の中にいいものを増やしていこうというのがテーマなんです」

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 創業から15年。今では約3000もの商品を取り揃え、自社の通販サイトのほかにコープ生協やパルシステム、大地を守る会やらでぃっしゅぼーやなど、150の販売先を持っている。

そして単に販売するだけでなく、商品の伝え方や広告の打ち出し方にもこだわっている。

たとえば、生協などに挟む独自の折り込みチラシ。

OLYMPUS DIGITAL CAMERA このチラシでは4ページ中3ページも殺虫剤や農薬の危険性について情報を伝えていて、商品を宣伝しているのは1ページのみ。

結果的に販促につながるとはいえ、ここまで商品以外のことにページ数を割いているのはめずらしいと思う。

さらにこのチラシには九州産のスギ間伐材を使い、チラシを打てば打つほど森の環境保全につながるという仕組みにしているそう。

一つひとつに違和感なく納得しながら働ける環境が、ここにはあると思う。

「いい世の中をつくっていくことに自分も関わりたい。しかも歯車の一部としてじゃなくて、いろんな仕事に関わりたいという人にはいい会社じゃないかと思うんです。うちはその人の適性に合わせて職能を広げていけるので」

 
たとえば営業と一口に言っても、生活アートクラブでは仕入れから商品開発、チラシの企画まで幅広く担当できる。

営業課長の若林麦さんも、こう話していた。

「展示会へ行っていい商品を見つけたら仕入れてみたり、自然塗料に変えてみませんかと商品開発を持ちかけてみたり。さらにチラシをつくって写真撮影も自分でするし、クリスマスの時期になればテーブルセッティングまでします」

「いろんなことに関われるし、会社の歯車というよりは自分が主体となってできる。それが面白くて、ずっとここで働いていますね」

OLYMPUS DIGITAL CAMERA 言ってしまえば、世の中にあったらいいなと思うものを自ら開発・企画し、販売まで一貫して行うことだってできるのだという。

企画書をかっちりつくることもなく、いいアイディアが浮かんだらすぐに富士村さんや仲間に相談し、どんどん企画・開発を進めていける。たとえ事務やデザイナーでも、職域を超えて商品開発といった様々な仕事にも携われるそう。

lifeartclub09 若林さんはこれまでの経験を活かして、生活アートクラブで働きながら独立の準備を進めているという。

自分の仕事に線引きせず、職域を超えてチャレンジしてくれる人に来てほしいと、代表の富士村さんは話していた。

「会社自体も、制約や枠組みを取っ払っていくことを常に考えています。年商がいくらとか、そういうつまらないことを目指したくない。誰もやらないことに挑戦して、世に一石を投じられるような仕事をしていきたいんです。だから、挑戦したい人は大歓迎です」

昨年からは、独立前の富士村さんの経験を活かして、発酵食品などを扱う和食の企画をスタートさせたそう。

また最近は、これまで取引のあった石川県のオーガニックコットンメーカーを事業継承することになり、今後は服飾メーカーとしても商品を増やしていくのだという。

lifeartclub10 さらには自社の通販サイトをリニューアルする計画もあるそう。webや服飾、食品関連の仕事の経験がある人なら、すぐに活躍できると思う。

もっと世の中のためになる仕事をしたいと思っているのなら。この会社はとてもいいと思いますよ。

(2017/9/4 森田曜光)