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愛媛から心満たされる毎日を

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「僕らは伊織のファンを増やすことで、もっと愛媛のファンを増やしていきたい。そうして日本の地方に光が当たって、地方っておもしろいなと思ってもらうところまでつなげていきたいと思うんです」

今後の展開をそう話してくれたのは、今治タオルを中心に扱うブランド「伊織」代表の村上さん。

今治タオルを通して日本を元気にしようとしている伊織が、東京・丸の内で愛媛の新たな魅力を発信するアンテナショップをはじめます。

店舗は、2018年3月にオープン予定。取材に伺ったときには、まだ内部のデザインが練られているところでした。

そこで今回はタオルだけでなく四国の産品の販売や、イベント開催なども行っている道後湯之町店を訪ねることに。

東京のお店でも、道後湯之町店と同じような働き方になると思います。



松山空港からバスで揺られること30 分ほど。道後温泉の大きなアーケードが見えてきた。

この中にある伊織の道後湯之町店は、全国にあるほかの伊織の店舗と少し違った形で運営されている。1階は通常の今治タオルの販売店で、2階は“タオルとくらす研究室”。

タオルとくらす研究室は、日々の暮らしに寄り添うタオルについてより深く学び考えながら、可能性を発信していこうと立ち上げられた場所だ。

お客さんが実際に何度か洗濯したタオルの使い心地を試すことができたり、今治タオルの優れた吸水性を体験できたり。

ほかにも私たちの暮らしを豊かにしてくれるような生活雑貨や食品が並んでいるから、見ていて飽きない。

この場所で、あらためて村上さんにお話を聞いた。

伊織は、村上さんが地元愛媛の大学で同級生だった大藪さんに誘われ、一緒につくった「株式会社エイトワン」の核となっているブランド。

道後温泉にホテルをつくるところから始まったエイトワンは、「使う」「食べる」「旅する」のさまざまな視点で、伊織を含め18のブランドを展開しています。

「現在では全国に23店舗、多くのスタッフが一緒に働いてくれています。当初に比べると責任も増しましたね。伊織独自のタオルも増えて、その過程では後継がいなくて存続できないという今治のタオル工場が仲間に加わったりもしました」

自分たちでタオルをつくりはじめてから、もっとタオルの可能性を広げていきたい、愛媛のファンを増やしたいという思いは年々強くなっているという。

その想いと、愛媛県の想いが合致して誕生したのが、今回東京にオープンするアンテナショップだ。

「2020年の東京オリンピックに向けて、世界中から日本に人が集まっている今、しっかりと愛媛をアピールし次世代の愛媛ファンをつくるのが今回のお店の大きな役割です」

店内では、伊織の東京本店となる店舗とアンテナショップを併設する。これは2つのお店を併設することで、相乗効果を出して長く事業を続けられるようにしたいとの想いから決めたこと。

まずは愛媛から、やがて日本の地域を元気にしていけるように。村上さんはこの先の未来のことも見据えて、今回の出店に臨んでいる。

場所は東京駅隣接のKITTE丸の内。店内では、愛媛の生活雑貨や食品類の販売、みかんジュースのイートインなども企画している。新しく入る人には商品の仕入れやイベント、ワークショップの企画・運営も含めて積極的に関わってほしい。

道後湯之町店でも、愛媛には素敵なものづくりをする作家さんがいて、みかん以外にもこんなにおいしいものがあるんだな、と気づかされることばかり。新しいお店も、愛媛の新たな一面に気づくような場所になると思う。

「これまでのアンテナショップと大きく異なるのは、本当に自分たちが紹介したい、食べてほしいと思う“いいもの”だけを置くことです。ものをただ販売する、というのではなくて商品の向こう側にある背景や人を発信していきたいと考えています」

村上さんの思う“いいもの”ってどういうものですか?

「そうですね…伊織のタオルに近いかなと思います」

伊織のタオル。

「上質で、暮らしに彩りや豊かさを感じられる商品。伊織のタオルも自信を持って売れるものですし、セールで安く売るようなこともしていません。同じように、本当に想いに共感できた方やものづくりを丁寧にご紹介できればと思っています」

「その結果、愛媛ってなんかおもしろいことをしているなとか、ちょっと愛媛に行ってみたいなと思ってもらえるようなお店にしたい。あらゆる世代、年齢性別を問わず来ていただきたいですね」



働く人たちは、日々どんなふうに考えているんだろう。村上さんから道後湯之町店の店長である武田さんを紹介してもらいました。

「実は今治タオルとのお付き合いは、まだ7年くらいです(笑)吸水性とやわらかさは、自分で使って初めて実感しましたね」

とても気さくに話しかけてくれる方。伊織にやってくる前は、7年ほどタワーレコードで働いていた。伊織 松山店などでの経験を経て、道後湯之町店では店長として立ち上げから参加している。

四国のものも扱う、このお店ならではのことって何かありますか。

「作家さんと、お客さまとの架け橋になることがうれしいです」

架け橋、ですか。

「ここで商品をつくる作家さんのことを知って、実際に訪ねていかれた方がいるんですよ。次の日に『昨日会いに行ってきたよ』とここにも寄ってくださって。お客さまと伊織との関係だけでは終わらなくて、広がっていくんですよね」

そんな関係性が生まれるのは、武田さんが商品や作家さんについてきちんと話してくれるから。パッと見ただけではコンセプトがわかりにくい商品もあるので、魅力を伝えられるようにいつも心がけているのだとか。

たとえば、新しい店舗でも扱うことになる砥部焼。愛媛県の代表的な焼き物で、約230年の歴史を持つ。

なかでも伊織で扱う「白青」というブランドは、砥部焼の伝統を守りながらより多くの人に使ってもらえるようにという思いから生まれたもの。

「海上流通が盛んだったころは、安定させて運ぶために器に高さを出していたんですね。デザインはモダンなんですけど、その昔ながらのつくり方を踏襲しつつ、真鯛やひばりなど愛媛に由来のある柄を入れているんです」

なるほどなぁ。背景を教えてもらうとより使ってみたいと思うし、愛着も増す気がします。

さらに道後湯之町店では、作家さんの個展や柑橘を使ったワークショップなど、さまざまなイベントも催されている。

「イベントのときは、作家さんからいただいたコンセプトに沿って、空間づくりを考えることが多いですね。商品のレイアウトや当日の導線、情報発信のタイミングなども一緒に考えていきます」

アイデアを積極的に出しながら、これまで思いつかなかったディスプレイ方法を知ることも。作家さんもお店のスタッフも、双方が刺激を受けて良い循環が生まれているといいます。

いろいろなことに目を配る必要があるようだけど、武田さんにはずっと変わらずに心がけていることがある。それは、目の前の人を大切にすること。

「僕は普段自分が買い物に行くときも、あのスタッフさんがいるから行きたいという想いが強いんです。現場にいる限りはそういうスタッフでいたいですね」

だから武田さんはお客さんの顔や名前を覚えたり、手荷物が多ければ「お預かりしておきましょうか?」と声をかける。どれも、些細だけどうれしいこと。

「そこまでする必要はないのかもしれませんけど、そのほうがお客さまは喜ぶんじゃないかって思うから。自分がちょっと苦労しても、やりたいと思うんです」

今では結婚式の引き出物を一緒に考えて以来、お子さんの誕生など、人生の節目ごとに武田さんに会いに来てくれる方もいるそうだ。

そんなふうに信頼関係が生まれることもうれしいと話す姿を見ていると、この人に一緒にタオルを選んでほしいという気持ちが自然と湧いてくる。お客さんを想って、自分に何ができるのかを瞬時に判断して動ける人なのだと思う。

「もともと自分は不器用な人間なんです。でもこの会社はそこよりも、一生懸命さとか、誠実さを見てくれる。入社したときに大藪社長が『会社のためではなく自分のために頑張ってください』って言ってくれたんですよ。僕はその一言で今まで頑張ってこられました」

「お客さまや商品、今自分が関わっているものの積み重ねがやりがいになっているんだと思います」



もう一人、道後湯之町店で働く松本さんにもお話を伺います。

父親が今治出身ということもあり、今治タオルはずっと身近な存在だった。なんと入社前から、タオルソムリエの資格を持っていたそう。

とはいえ、タオルについては伊織に入ってから知ることばかりだったと話します。

「実際に手にとってみての感触とか、織り方とか。特徴を丁寧に教えてもらえるし、タオルをつくる工場を見学にいく機会もあります」

「一口にタオルといっても、薄いものもあればふわふわのものもある。私はふわふわが一番いいと思っていたんですけど、それぞれにメリットやデメリットがあるんですよね。それがおもしろいなって」

興味があればどんどん吸収できる環境がある。周りのスタッフもタオルが本当に好きで、意欲的な人が多いのだとか。

「お客さまから『ちょっと長めのタオルない?』と聞かれることが多いので、スタッフの子が商品の長さごとの一覧表をつくってくれたんです。みんな自発的にやっているので、本当にここで働く人たちはすごいなと思います」

伊織には接客マニュアルのようなものはない。先輩スタッフの動きや会話を見ながら、自分なりのやり方を見つけていく。

松本さんは、最初にお客さんが見ているものを一緒に見て、「こういう柄がお好きなんですか?」と声をかけることが多いのだそう。どういうときに使うのか、誰にあげるのか。話を聞きながら一緒に選んでいく。

私も、取材を終えるころ一緒にタオルを選んでもらった。

ジムで体を動かすときに使いたいと話すと、手ぬぐいのような柄のタオルを紹介してくれる。柄のある面はガーゼ地、裏面はパイル地で気持ち良さそう。

「この子はとにかくやわらかいんですよ。汗を拭いても、ぺちょっと肌にくっつく感じもなくて。走っているときには首にもかけられますね」

接客というよりも自然と会話している感じ。使い始めることを楽しみに、ほくほくとあたたかい気持ちでお店を後にしました。



タオルのように柔らかく、目の前の人を大切にする。その積み重ねが、きっと愛媛だけでなく、いずれは日本を元気にしていくのだと思います。

みなさんの想いに共感できたらぜひ応募してください。

愛媛出身の方も、そうでない方も、ゆくゆくは自分の地元で何かをはじめたいという人も歓迎だそうですよ。

(2017/10/24 取材 並木仁美)

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