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“いいもの” にふれる

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

世界にはいいものがたくさんある。

でもそれをつくる技術も、伝えることも、そしてデザインも、人がいなければ成り立たない。

今回紹介するのは、そんなことを間近に感じられる仕事だと思います。

株式会社インターオフィスは30年以上前から、日本のオフィス環境をよくするために、USMやvitra.など、美しくて優れた輸入家具を扱ってきた会社です。さらにそれらの家具を使って、豊かなオフィスデザインも行ってきました。
そのなかで、営業スタッフやデザイナーが提案した家具や空間デザインを、実際に組み立て具現化する施工・設置スタッフを募集します。

経験は問いません。家具やものづくり、デザインに関心がある人や、身体を動かしながら働くことに興味がある人も、ぜひ読んでみてください。



インターオフィスは、今年の6月に外苑前にあったオフィスを青山一丁目に移転している。なかに入ると、まず目に飛び込んでくるのは取扱い商品である洗練された家具たち。

その隣では、ガラスの仕切りを一枚隔てて、みなさんが働く空間がすぐ近くに感じられる。

「以前は、家具がある部屋と働いている部屋はフロアが違ったんです。これなら、実際に働いている雰囲気を見てもらえるし、空間を含めた提案ができるようになりました」

そう案内してくれたのは、経理部部長の柳原さん。肩書きは経理部だけれど、今回募集する施工・設置スタッフの取りまとめも担当している。

前職でもずっと経理畑を歩いてきた。インターオフィスで部署を跨いだ仕事を担当しながら会社への理解を深めるうちに、家具を扱うことへの面白さを感じるようになったという。

「デザイン自体が何十年前のものであっても、優れたものは世の中にきちんと理解されて、ビジネスが成り立つ。流行りに左右されないし、安くたくさん売るというビジネスモデルでもないんですけど。そういうところが面白いなと感じますね」

インターオフィスが扱うのは、ヨーロッパの有名建築家のつくった家具や、MoMAに永久コレクションされるような椅子。そんな家具をつかったオフィスなどの内装デザインには、昔からファンも多い。

とはいえ、今ではシェアオフィスやカフェで仕事をしたりと、働く環境も多様化した。

インターオフィス自体も、時代の変化に合わせて扱う製品は幅広くなり、ここ数年はオフィスに限らず、公共施設や店舗などあらゆる空間をデザインするようになっている。

「社内でも、さまざまな意見があります。会社のあり方はまだ模索中ですね」と柳原さん。

いろんなものを扱うようになるほど、“インターオフィスらしさ”みたいなものが薄れていかないだろうか?

「その中で、我々はいいものを扱ってきたことが強みになってくると思います」

いいものを扱ってきた。

「はい。何十年もその価値が受け継がれるような、いい家具をたくさん知っていて、選定する目も持っている。だからこそその経験を活かして、お客さんの要望や疑問に柔軟に応えられる会社であるべきなんだと思います」

「やっぱり主軸になるのは美しいものを、美しい空間に置くというところでお客様に満足していただくこと。そこは変わらないですね」

お話を聞いていると、変化を恐れずに新しい価値を生み出そうという姿勢が感じられる。

では、変化を続けるインターオフィスで、一緒に働くならどんな人がいいだろう。そう尋ねると「そうだなぁ…」としばらく考えたのち、一つ思い出したことがあるという。

話してくれたのは、昨年の海外研修でvitra.の家具を使用しているオフィスを見学したときのこと。
「営業やデザイナーは空間としてどういう配置や配色になっているのか、というところに注目していたんです。でもうちの高橋は、そこに置いてある特注の家具が、壁にどうやって取り付けられているのか、構造を必死に調べていた」

「そんなふうに、施工の仕方や家具そのものに興味を持ってくれる人がいいんだろうなと思います」



続いてお話を伺ったのは、vitra.で構造を調べていたという高橋さん。
施工課の係長として、皆の毎日の作業スケジュールを組んだり、家具に関しての相談を受けたり。ときには、一緒に現場にも出る。新しく入る人の上司になる方だ。

柳原さんから研修のことを聞きました、と話すと笑いながらこんな答えが。

「自然に身につくと思います、職業病ですよ。ドラマとか見ていても、自分のところの家具が出てくると見てしまいますもん」

このあとも、日本の家具と輸入家具の違いについてなど、いろいろなことを教えてくれた。

家具について話すとき、高橋さんはなんだかとても楽しそう。だけど、もとからこんなに詳しかったわけでない。

入社当時はインターオフィスで扱う商品のカタログを全て持ち帰って、家で眺めていたそうだ。好きだから、きっと楽しみながら覚えていけるんだろうな。

施工課の仕事場になるのは、主に外資系企業や大企業のオフィス。そのほか個人宅や最近ではカーディーラーのショールーム、ビックサイトなどで行われる大きなイベントで什器を組み立てることもあるのだとか。

作業は、オフィスが休みになる土日や夜から行われることもある。そして意外に出張が多い。月に1回は北海道や仙台、静岡、福岡など全国に行く機会があるそうだ。

「依頼はオフィスの中の家具をすべて組み立ててほしいという大きなものから、椅子を一脚修理するだけといった小さなものまで、大小合わせて月160件くらいあります」

それを現在は5人で分担している。取材前は同じような作業が続く、単調な仕事なのかと思っていたけれど、どうやらそうではないみたい。

「僕は机に向かってじっと仕事をするのは、たぶん向いていないんですよね。この仕事は、同じような作業のようでいて、毎日違う。それが面白いんです」

同じようで、毎日違う。

「たとえばオフィスから見える景色もそうだし。沖縄で、目の前が海みたいなところで組み立てたこともあるんですよ。出来上がる空間も毎回違って、飽きがこないんですよね」

なかでも印象に残っているのは、以前組み立てを担当したカーディーラーでの仕事。

車のショールームで使われる什器は、一般的なオフィスで使われるものよりもスケールが大きい。ショーケースは約8メートルもあり、建物の柱に合わせて什器をくり抜くなど、工夫や苦労も人一倍大きかったという。

「カーペットも貼ったし、受付の台も照明もつけて。大工さんみたいな状態でしたね。でも出来上がるとやっぱり『あぁいいな、かっこいいな』と思う。そういうものに触れられるのが、ちょっと誇らしい」

「そうやって一つひとつ経験を増やしていたら、最近では一緒に働く協力会社の人たちから、作業が早くて正確だと言ってもらえるようになって。チーム全体の技術力が上がっているという実感もうれしいですね」



もう一人、同じく施工課の大谷さんにもお話を伺う。

チームでは最年少の24歳。まもなく入社して丸2年を迎える。趣味はバイクいじりで、手を動かす仕事が好きだという。

神戸のパン屋さんで製造の仕事をしたのち、インターオフィスへとやってきた。面接で感じたスタッフの人柄の良さが入社の決め手だったそう。

「面接では、結構プライベートな話もしたんです。バイクの車種の話とか、どうしてパン屋にいたのかとか。自分の話をちゃんと聞いてくれるから、緊張がなくなって素で話せました」

入社後もその印象は変わっていない。「先輩たちとは年が離れすぎて話が合わないことはあるけれど、冗談を言い合えるような関係で居心地がいい」のだとか。

入社後に、何かギャップを感じることはありませんでしたか?

「思っていたより、体力は必要でしたね。主力の製品であるHallerというキャビネットは、組み立てるのに力がいるんです。あとは重たくて、運べないということもありました。2年働いて、だいぶたくましくなった気がします」

施工課は、現在5人の少数精鋭チーム。入りたてのころは、先輩たちについていこうと必死だったという大谷さん。マニュアルがあるわけではなく、それぞれが自分なりのやり方を確立しているので、誰を基準にしていいのか迷うこともあった。

「自分は何もできないので。やばい、早く覚えなきゃっていう焦りはありました」

すると、「僕もそうだったなぁ。でも焦らなくていいんですよ」と隣で聞いていた高橋さん。

「まずは現場を知る、というか一連の流れを掴むところからスタートですね。搬入から組み立て、設置、片付けまで。この流れがわからないと、たぶん余裕がなくて組み立てまで頭が回らないと思うんです」

流れがわかると、先輩から指示も出るし、その中で自分が何をするべきなのかが少しずつわかってくる。

たとえば、このキャビネットにはこのネジを使う、このタイミングで机の足をつける、というように。

「やっぱり、一人前になるのに1年以上はかかる。ネジを締めるだけじゃんと思いつつ、意外とできなかったりするんです。だけどできなくて当たり前だから、気にせず一緒にやっていこうと伝えたいですね」

経験がない人でも、ゼロから学んでいける環境がある。とはいえ、決められた時間内にきちんと作業を終わらせなければいけないから、ただ指示を待つのではなく自分なりに何ができるのか考えられる人がいいと思う。

大谷さんは、作業中に気をつけていることはありますか。

「大きな現場だと、朝から夜まで終日同じフロアでひたすら組み立てをしていることもあります。傷が入りやすい材質のものもあるので、淡々と無の境地で進めつつ、結構気を遣いますね。気を抜いて失敗しないよう、いつも気をつけています」

常に緊張感を保って作業するのは大変そうです。

「そうですね。でも一人立ちしたらやり方も自分に任せてくれて、自由度が高いんです。きれいに組み立てたテーブルを、お客さんに『すごい!つなぎ目がわからない』って言ってもらえると、かなりの達成感があります」

お客さんと接することで、技術力の向上も直に感じられる。それに、自分たちがつくったものが喜んで使われているところを見るのは、きっとうれしい。



家具を組み立てるこの仕事は、一見地味に映るかもしれません。実際、地道な作業も多いでしょう。

だけど身体を動かしながら、美しいデザインを形にしていく。考えるだけでなく、感じる仕事。

そんな環境では、頭や心がほぐれて、“いいもの”を感じる楽しさがわかってくるような気がします。興味の幅が広がったり、感性も磨かれていくかもしれません。

この機会にデスクワーク以外の選択肢を選んでみるのも、面白いと思いますよ。

(2017/11/6 取材 並木仁美)

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