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高知家へようこそ

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「地域性」や「県民性」という言葉では簡単に表現できないけれど、土地の環境や積み重ねられてきた文化は、そこで暮らす人のまとう雰囲気に影響を与えるような気がします。

今回訪ねたのは、高知県の高知市と須崎市。高知県の中部に位置する2つのまちで、4人の女性に出会いました。

高知県には、力強い女性の気質を表した“はちきん”という言葉が昔からあるそう。たしかにみなさんそれぞれパワフルな方ばかりで、驚いたり笑ったり、とても愉快な取材になりました。

そんな高知で暮らす女性たちと出会い、自分にとっての田舎をつくる移住体験ツアーが開催されます。今回はその参加者の募集です。

観光地巡りもいいけれど、リアルな仕事のこと、暮らしのことを一歩踏み込んで知りたいという方にとって、生の声を聞けるいい機会になりそうです。


東京から高知までは、飛行機で1時間20分ほど。羽田空港では曇り空に雨がぱらついていたけれど、高知龍馬空港を降りると、そこには晴天の気持ちいい青空が広がっていた。

P1760252 (1) レンタカーを借り、20分ほどかけてまずは高知市内へと向かう。

ツアーでも最初に訪れることになるのが、株式会社ファースト・コラボレーション

不動産会社「エイブル」のネットワークに加盟し、不動産賃貸管理のトータルサポートとコンサルティングをしている会社だ。

迎えてくれたのは、課長の別役(べっちゃく)さん。

P1760169 高知県の移住体験ツアーで、なぜいきなり不動産会社に?と思うかもしれない。

ファースト・コラボレーションは、エイブルネットワークのなかでも独自に女性が働きやすい環境づくりに取り組んできたのだそう。

たとえば、産休のとり方について。法律では、産前6週間を産前休暇と定めている。

「でも、安定期に入ってからは比較的楽で、つわりの時期のほうが体調管理は難しいんです。人によってもタイミングは違うから、つわりに合わせて産休を取得できたほうがいいんじゃない?と話し合って」

会社の制度に合わせるのではなく、会社と社員が互いに歩み寄るような形で、働きやすい環境をつくりあげてきた。

その結果、育児休暇後の復帰率は100%を実現。「日本でいちばん大切にしたい会社」大賞や「ダイバーシティ経営企業100選」にも選定されるなど、高い評価を得てきたという。

P1760220 「今、高知県は『高知家』って看板を掲げていて。『高知におる人はみんな家族やき』っていう、あれがわたしはすごく好きなんです。高知の特色を表してるなと思います」

ファースト・コラボレーションの社内に限らず、高知には世話好きな人が多いそう。

「地元の人にとって、外から来た人って興味津々なんですよ。すっごい話しかけたいけど、どうしたらいいかわからん。だから、酔うと誰でも話しかけちゃうんです(笑)」

高知城の近くに「ひろめ市場」という場所がある。巨大な屋台村のようなつくりになっていて、屋内にずらりと並んだお店で食べたいものを買い、好きな席に座って食べる。

P1760328 観光客にも人気のスポットで、連日高知県内外からの人で賑わっている。

「隣同士で飲んでると、ここいいですか?って相席になったりとか。そうこうしてると乾杯!とか。基本的にみんな世話好きなので、たとえばひとりで移住してきても入り込みやすいんじゃないかな」


そんな高知県に生まれ育ち、県外生活を経てUターンしてきた片岡さんにも話を聞く。

P1760231 以前はスナックや飲み屋、営業の仕事などもしてきたという片岡さん。

会社の和気あいあいとした雰囲気に、最初はまったく馴染めなかったという。

「仕事=倒れるまでみたいな精神だったのね。だから、プライベートも仕事もごっちゃな感じとか、みんなが普段から気軽にあれこれ話している空気感も、耐えられなかったんですよ」

片岡さんが変わるきっかけをつくったのは、同い年ながら先に入社していた別役さんだった。

「何か気にかかっても、普通は大丈夫?って聞いて、大丈夫ですって返せばそこで終わったりしますよね。この人、違うんです。×100ぐらい来るんですよ。大丈夫?大丈夫なわけないやろ。どういうことあった?って。ドリルの掘り方がすごくて」

「やめてくれって話なんです(笑)。それでも出して出して。頭のてっぺんから足の先まで出し切ったら、自分の価値観も大きく変わっていて。だから仕事をしていても飽きないんです」

自分の変化とともに、会社の変化も感じてきた。

「10年ぐらい前までは、まともな会社じゃなかったですよ」と笑う片岡さん。

お客さんからアンケートをとったり、新卒採用をはじめたり、就業規則も話し合って決めた。気づけば、10年で表彰されるような会社になっていた。

全国に800店舗あるエイブルネットワークのなかで、顧客満足度全国1位に輝いたこともあるそう。

“地方には仕事がない”と言われることも多い。たしかに地方で働く課題はあるけれど、仕事がないわけではないし、都市部よりダイナミックに人も会社も変われる余地があるようにも感じる。

生活面は、どうだろうか。

「移動手段は基本的に車ですね。都市部から転勤でやってきた方がお部屋探しに来られると、駅から徒歩10分20分なら全然歩きますって言われて驚いたり。駅近物件はうるさかったりするので、実はマイナス要素になるんですよ(笑)」

「あとは自然が豊か。農家さんが直接卸している産直コーナーに行けば、安くておいしい野菜が手に入るし、カツオのたたきもステーキみたいな分厚さで。食には困らないかもしれません」

P1760330 遠くには常に山が見えていて、海にも近い。

子どもにとっても、いい遊び場がたくさんある土地だと思う。

「娯楽施設もあまりないので、自然のなかで遊ぶことのほうが多いかな。怪我だけ気をつけていれば、だめ!とか、やめなさい!ってあまり言わずに済むのもいいところだと思いますね」


おふたりに見送られて、今度は車で40分ほどの須崎市へ。

続いてお会いしたのは、「花子ファーム」という名前で農園を営む竹村さん。

ちょうどふるさと納税の返礼品を袋詰めしているところにお邪魔した。

P1760516 須崎市出身の竹村さんは、ご主人の仕事の関係で一度東京へ。子育てのことを考えて高知市へ移住し、落ち着いたタイミングで地元の須崎市へと戻ってきた。

「実家が農家なんですけど、空き家を買ったらもれなく畑と倉庫が付いてきて。定年後も農業なら生計がいくらか立てられるかな、という単純な考えで、まったく経験のない状態から4年前にスタートしました」

作付けするのは、一般には出回らないような、ちょっと変わった野菜がメイン。赤いオクラや白いナス、高知県名産の生姜やミョウガもつくっている。しかも、すべて無農薬栽培だそう。

P1760464 自宅もほとんど自分たちの手でリノベーション。ご主人は会社に勤めながら農園の手入れもしているという。

「朝は水やりしてから出勤していますね。パソコンのソフトウェアをつくる会社なんですけど、みんな真っ白なのにひとりだけ日焼けして真っ黒で(笑)」

さらに来年以降、農家レストランのオープンに向けて準備中とのこと。

今回のツアーでも、初日の夜は竹村さんの野菜をふんだんに使ったバイキングを味わえる。

11_19-4 それにしても、未経験から4年でここまでつくれるものなんですね。

「今はネット上につくり方とか、枯れる原因は何かとか、いろいろ載っているので。勉強しながらやっています。ネット農家ですね(笑)」

「もちろん、楽なことばっかりではないですよ。台風が来たら植えたものがなくなったりしますし、ちょっと珍しい野菜の種は高かったりして、採算が合わない場合もあります」

それでもいいものを食べてもらいたいから、無農薬にはこだわり続けている。

0から農業をはじめた竹村さんの話を聞いていると、なんだか自分にもできそうな気がしてきた。

それに、今は耕作放棄地がたくさんあるので、使うほど地域の人にも喜んでもらえるそう。竹村さんのご主人のように、半農半Xではじめるのもありかもしれない。

そのほかに、須崎に暮らす大変さって何かありますか。

「移住してこられた方からよく聞くのは、プライバシーのなさですかね。今日あそこ行っちょったねとか、車変えたねとか。そういう話はみなさん大好きなので、気にする方は大変じゃないかな」

高知市内に比べ、須崎市はよりコミュニティが濃い感じがする。自然との距離感もより近く、野菜が2割ほど安かったり、港にあがる新鮮な魚を食べられたりというよさもある。

竹村さんに紙袋いっぱいにいただいた野菜はどれもおいしそうで、家に持って帰るのが楽しみになった。


最後に訪ねたのは、四万十ひのきを使った木製品の加工・販売を行っている株式会社土佐龍

店舗主任の池さんに話を聞く。

P1760379 工房に併設された店内にはさまざまな木製品が並んでいる。

なかでも主力はまな板だという。

「地産外商っていうことを38年前からはじめて、全国に向けて販売してきました。わたし自身はこちらが実家で、ずっと手伝ってきたのですが、一度大阪に出て。パティシエや飲食、百貨店などに勤めた後、本格的に戻ってきたのは10年前でした」

なぜ戻ってくることにしたんですか。

「ネットも普及して、どこでも同じように働けるなと確信したんです。今はネットショップも構えて、5年前からは海外戦略もはじめています」

フランスで開催される「Japan Expo」に出展し、販路も開拓。
海外への発信・交流には須崎市も積極的に取り組んでいるところで、フランスから3名のアンバサダーを誘致する計画があったり、ナショナルジオグラフィックの取材も予定されているそう。

「最近だとふるさと納税とか、お仕事のなかで“高知を元気にしよう”っていう想いを持った人たちが集まる機会も増えていて。意識さえ高く持っていれば、須崎でも都会と変わらず面白い仕事ができると思いますよ」

高知龍馬空港から車で1時間ほどとアクセスもよく、移住者も増えつつある。

「わたしは、仕事のあとに楽しみがあるのが田舎暮らしのいいところだと思います。自然を楽しみ、おいしいものを楽しみ。自分のやり方次第でどうにでもなるんですよね」

取材後、ご自宅を見せていただくことに。

国産材を使った大きな木の家。窓の外には、穏やかな内湾が広がっている。

P1760410 この自然の穏やかさと、そこに暮らす人たちのアグレッシブさのバランスが面白いまちだなと感じました。

積極的に求めれば面白い機会はいろいろ転がっている気もするし、疲れたなと思ったら自然に癒されることもできる。

興味がわいたら、まずは1泊2日のツアーに参加してみてください。

(2017/9/28 取材 中川晃輔)

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