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暮らしや仕事、人生の価値観までもが日々変化し、多様化している。ますます変わりゆくこれからの時代に、必要な場やコトとは何だろう。
不動産会社のNTT都市開発が新たなプロジェクトをはじめます。
これからの時代、まちの一人ひとりがより自由に過ごす場所を選び、自分らしく働けるように。仕事だけでなく生活も充実するように、多様な場と人やまちをつなぐシステム&コミュニティを展開する新プロジェクトです。
その第1弾として、今年4月に大手町でシェアプレイスがオープンします。
その運営を手がけるコクヨ&パートナーズが、立ち上げスタッフを募集します。
東京・秋葉原。
この日は秋葉原UDX11階にある、NTT都市開発のオフィスへ。
ここで最初に、NTT都市開発の東田中さんに話を伺った。
NTT都市開発はその名の通り、NTTグループの中で不動産事業を展開している会社。
オフィスビルや商業施設の開発など、不動産に関わる様々な事業を続けて約30年、現在は賃貸業が中心になっているという。
そんなNTT都市開発が、どうして新プロジェクトをはじめることにしたのだろう。
「うちの会社はNTTの子会社としてはじまり、いわゆる大家業を長い間ずーっとやってきました」
「けど、いよいよ日本の人口が減っていき、都市間競争がより激しくなっていくなかで、テナントさんから賃料をもらうだけのビジネスモデルのままでいいのかと。私のいるチームが、これからは何をやるべきなのかっていうことを、2年ほど前から検討しはじめたんです」
賃貸業はそもそもテナントの業績が順調でなければ成り立たない。それならテナントの手助けになることをはじめたらどうだろう。
そう考えた東田中さんたちは、さらに一歩踏み込み、テナントで働く一人ひとりのワーカーが充実するような場と仕組みづくりについて考えはじめた。
「さらにそれをビル単体ではなくて複数のビル、つまりエリアで提供できないかと考えています。エリアもひとつだけではなく、郊外とか地方とか、より幅広いネットワークでテナントさんのビジネスに直結するようなサービスを提供していきたいと」
そこでまずは、自分たちのビルではじめてみることにした。たとえ儲からなくても、エンドユーザーと接点を持つことで自分たちに何ができるかを学び、現状からの脱却を図りたいという。
「ただ、やるにしても私たちだけでは難しいです。そこで、たくさんの実績とノウハウをお持ちのコクヨ&パートナーズさんに、お力を借りることになりました」
そうして始動した新規プロジェクト。まずは大手町ではじまる。
このプロジェクトを通じて、ワーカー一人ひとりの利用履歴や生の声・ニーズを把握し、随時サービスメニューの追加も検討していきたいという。
「ここでは、ワークスペースなどを提供しますが、街中の空きスペースで民泊を提供したり、とあるビルでは屋上バーベキューをしたり。Work以外にも、LifeやPlayでもっといろんなニーズがあると思うんですよね」
潜在的にまちに眠っている「あったらいい」という声を拾い上げ、実現していけば、まちはより魅力的になっていく。
そのエリアに訪れたい、働きたい、住みたいといった人たちが増えれば、不動産や提供サービスの価値向上にもつながるだろう。まちの人だけでなく、テナントやビルオーナー、みんながwin-winになる。
さらに周辺企業とアライアンスパートナーの提携を組み、サービスやコンテンツの強化をしていくそう。様々な立場の人たちがつながり、協力し合うことで、まちは相乗的に魅力を増していくのだと思う。
「共に生かし、共に生きる。まさに“共生”というのを目指したいと思っているんですよね」
東田中さんいわく、プロジェクトの先駆けとなる大手町のシェアプレイスは様々なサービスの実験の場にもなるという。
「半年後にサービスの内容が変わることだってあるかもしれない。そのくらい、まずはやってみようという勢いです。経営層からも、スモールスタートでいいからどんどんチャレンジしろ、と言われています」
「大手町のシェアプレイスでは、働くこと以外でも、夜には映画を流したり、週末にはみんなでサイクルイベントをやったりしてもいいかもしれない。これから来ていただく方も一緒に、どんどん意見やアイディアを出してもらいたいと思っています」
続いて話を伺ったのは、コクヨ&パートナーズの田中さん。新プロジェクトの運営企画を担当している。
コクヨといえば、キャンパスノートといった文具やオフィス家具のメーカーというイメージが強いと思う。
けど実は、オフィス空間の設計や企業の総合受付サービスの提供など、働きやすさに貢献するサービス事業を幅広く展開している。
コワーキングスペースの草分けとして知られる渋谷ヒカリエの『Creative Lounge MOV』を手がけたのも、コクヨだ。
田中さんはMOVの立ち上げに携わり、そこで経験したことを新プロジェクトの企画・運営に活かしているという。
「たとえばMOVではコーヒーがほしいよねっていう話になって、受付の近くにある大きなカウンターにハンドドリップの機材セットを入れたら、すごく効果的だったんです。コーヒーを飲みに集まった人たち同士で新しい会話が生まれたりして」
「なので新プロジェクトではキッチンを導入して、そこに利用者さんがコーヒーを淹れたりお菓子を買ったりしてコミュニケーションがとれるような場所をつくろうと提案しました」
ほかにも、入口から受付の前を必ず通るような運用にしたり。細かいところではコンセントの数を十分に確保するなど、実用的なところもしっかりカバーしている。
大手町のシェアプレイスは2フロアで延べ床面積830㎡と、とても広い空間。そこにワークラウンジ、スモールオフィス、会議室、イベントスペース、保育所、バイクポートなど、様々な機能が詰め込まれる。
今回募集する人は基本的な受付業務に加え、会議室の予約管理や新たな会員へのオリエンテーション、コピーサービス、SNSでの情報発信、さらにはキッチンでの飲食の提供など、幅広い仕事が任される。
また、オープン後は、お客さんの要望を聞いて業務やサービスを改善していくことがたくさん起こるそうで、細かい仕事にも柔軟に対応できる人がいいのかもしれない。
「MOVでは、受付で書類を書いていただく手元が暗かったので、照明の角度を変えてみたり。本当に細かいことなんですけど、お客さまから声が上がるたびに運営でカバーしていくってことが、ここでも多く発生すると思います」
「そう考えると、お客さまの声をしっかりと拾える方に来てもらいたいですね」
隣で話を聞いていた、コクヨ&パートナーズの河上さん。彼女も、田中さんと同じ意見のようだ。
「お客さまがポロっとこぼした些細な話ですら、改善ポイントが見つかる貴重な情報なんです。それを逃さないことがより良い運営や場につながっていくので、人とコミュニケーションをするのが好きな好奇心の強い人だといいですね」
河上さんも田中さんと同じくMOVの立ち上げに携わり、現在は運営リーダーを務めている。
新プロジェクトでは主に運営面から立ち上げに関わっていて、今回の募集で加わる人は河上さんから多くを学ぶことになると思う。
「こういう場って、提供するサービスはもちろん、良いコミュニティをつくることがすごく重要で。スタッフたちの雰囲気が、そのままコミュニティの雰囲気になりやすいんですね」
「なのでMOVスタッフたちはバックパッカー、イラストレーターとか演劇をずっとやっていた人とか、スーツが似合う人というよりは枠に収まらない人たちが集まっています。個が強い人って人を巻き込む力がすごくあって、そこからコミュニティが形成されていったりするんですよ。ここでも個性があって魅力的な人に来てもらいたいと思っています」
たとえば、原宿でゴミ拾いのエコ活動をしているスタッフの方は、MOVで大量の紙コップが使われているのを知り、環境に優しいプラカップを提案。身体にいいお菓子も提供しようと、試食会を開いたという。
単なる受付スタッフというより、自分の得意なことや個性を発揮できる仕事だと思う。お客さんと一緒に仕事をすることになったり、なかにはスカウトされて転職した人もいるそうだ。
「お客さまとスタッフって、向かい合う関係性というよりは同じ方向に向くような感じなんですよね。その方の事業を育てることだったり、何が一緒にできるだろうってことを自然と考えるようになる」
「すると、みんなが親戚みたいになっていくんですよ」
親戚みたいに?
「ええ。いつもいる方がお休みのときはみんなで心配したり、私が休んだときは『大丈夫だった?』と声をかけてもらったりして。仕事のことでもプライベートのことでも、誰かに相談したいことがあるときはいつもMOVの人たちの顔が思い浮かぶんです」
「それってすごく人生が豊かになった証拠だと私は思っていて。この仕事をするようになって、人生が変わったと本当に思っています」
河上さんは以前、多言語翻訳の制作会社に勤めていたという。個人でやっている絵の活動によって人脈が広がっていく一方で、その会社の仕事は「自分が離れていくような」感覚があったそう。
今の仕事をするようになってから「自分として息ができるようになった」という河上さん。みんなからは「ミカさん」と名前で呼ばれ、慕われているそうだ。
強いコミュニティができあがるまでには長い時間がかかるという。MOVも最初は人もまばらで、オープンから半年経ってようやくコミュニティができはじめたそう。
最初は積極的にイベントを企画するなど、とにかく試行錯誤することが大事だ。
「MOVでは交流パーティーをスタッフが定期的に開催しているんですけど、みなさん最初は全然パーティー慣れしていなくて。そのときはちょっとしたおふざけじゃないですけどサングラスをドレスコードしたら、みんなきっちり付けて整列して待っていたんです (笑)」
「最初はスタッフも手探り状態でしたけど、楽しんでもらうにはどうすればいいんだろうと試行錯誤を続けていくことで、段々とお客さまもこんな感じでいいんだって掴んでいくんですよね。大手町は渋谷よりもかっちりしている方が多いイメージがあるので、ちょっと気を緩めれるような、楽しく働くっていう要素を大事にしたいと思っています」
新プロジェクトを通じて、出会い、つながり、人生が広がる。それはここで働く人にとっても同じことだと思います。
今後このプロジェクトがさらに広がっていくと、どんなことが起こるのでしょう。河上さんのように別の施設の立ち上げに携わるなど、活躍の場はたくさんありそうです。
まだはじまったばかりのこのタイミングに、ぜひ応募してください。
(2017/12/18 取材 森田曜光)