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もし会社のルールや都合で、お客さんのために100%の力を発揮できなかったとしたら。たとえば、建替えか売却くらいしか提案できない不動産会社が多い中、株式会社市萬は目の前の人にとことん向き合う会社だと思いました。
それがあまり自分たちの利益につながらなくても、本当に求められていることを提案する。すると不思議とご縁がつながっていくようです。
不動産の問題解決に特化したコンサルティング会社で、不動産コンサルタントを募集します。
また賃貸管理部門のマネージャー候補となる方も募集するので、管理業務の経験がある人もぜひ読んでみてください。
田園都市線・用賀駅から歩いて約3分。駅に直結した世田谷ビジネススクエアの6階に市萬のオフィスがある。
ここで最初に話を伺ったのは代表の西島さん。
とても物腰が柔らかくて、社長という肩書きを気にさせない素朴な方。話を聞いていると、根っからいい人なんだなというのが伝わってくる。
そんな西島さんの人柄は、この会社のあり方にも表れているような気がする。
不動産屋といえば賃貸や売買の仲介を手がける会社もあれば、マンションを企画して販売する会社もある。様々な不動産屋がいるなかで、市萬は創業以来ずっと不動産の問題解決に特化してきた。
ただ扱うものはどれも難解な案件ばかり。手間がかかるので、一般的な会社はやりたがらないそうだが、西島さんはあえてそこに飛び込んだという。
「振り返ると、昔から楽して儲けるっていう発想が自分の中になかったのかもしれません。手間を惜しまずにお客様にいいものを提供して、『本当によかった』『ありがとう』という言葉を受けるような仕事をしたいとずっと思っていたんです」
その想いの原点は学生時代にあるという。
当時、西島さんは車がほしくてたまらない大学3年生。お父さんが焼き芋屋さんを営んでいる友人から「意外と儲かるぞ」という話を聞き、自分でもやってみることにした。
「日曜日だとなかなか売れないこともありまして、そんなときは病院の近くに行くんです。患者さんやお見舞いに来ている人が買ってくれて、その中に入院しているお母さんのお見舞いに毎週来ている小学生くらいの女の子がいました」
「まだ子どもだから病院はつまらなそうだったのですが、私の焼き芋はいつも楽しみにしてくれて。その子のお母さんからも『おかげで子どもが病院に来るのを楽しみにしているんです、いつもありがとうございます』って」
努力していいものを提供し、心からの「ありがとう」という言葉をもらう。
西島さんが焼き芋屋で得たことは、市萬を創業した今でもずっと大切にしている。
市萬が掲げる言葉の一つに「お客様本位」というものがある。
自分たちの都合や利益を優先するのではなく、とにかくお客さんの立場になって考えるコンサルティングだ。
たとえば以前、西島さんが川崎のお客さんから相談を受けたときのこと。
「まだ若いお客様だったのですが、ご両親ではなくご親戚から相続を受けて、とても広い土地に立つ築40年くらいの平屋があると。どうしたらいいのかと不動産会社をいろいろ回ってみたけど、どこも建替えか売却するしかないという結論だったそうなんです」
建物は古いし土地は大きいので、不動産会社としては当たり前の提案をしていたのだろう。
だけど、お客さんは納得しなかった。先代から続く大切な建物を残したいという思いがあったからだ。
「うちには3軒目にご相談にお越しいただきまして。もうお客様はあちこちで無理と言われていたから意気消沈していたのですが、私はできますよと。賃貸に出せば借り手はつくと思いますよとご提案しました」
どうして賃貸でいけるのですか?
「多くの人はマンションの部屋を借りようとするけど、そういう人ばかりじゃないと思うんですよ。実は、そこのお家の広い庭には柿の木があって実もなる。雑草取りとか大変だけど、そういうことも楽しみながら暮らしたい人はきっといるだろうと思ったんです」
古い家のため家賃はあまり高く取れないことを想定し、最小限の修繕工事だけにしてオーナーの負担が少ないようにした。
結果的に30代前半の若い夫婦が借りることになり、今も気に入って住み続けてくれているという。
土地を売ったり新築のアパートを建てたほうが、不動産会社としては間違いなく利益になるだろう。でも市萬は、迷わずにお客さんのためになることを提案する。
実は、このお客さんはのちに銀行の支店長になり、「市萬さんなら信頼できる」と今ではたくさんの案件を紹介してくれているそうだ。
「我々が目指しているのはそういう世界なんです。当然利益を上げることも会社である以上やるんですけど、どちらかといえば目先のことよりもその先にある信用を積み上げていく。そういうことがすごく大事なのかなって思います」
そんな市萬には日々たくさんの相談がやってくる。
一番多いのは金融機関からの紹介だ。市萬は現在4社の金融機関と業務提携を組み、そこから毎月30件前後の相談がやってくる。
不動産の売買に関する案件に対応しているのは、流通コンサルティング部課長の竹内さん。
日々、どんな相談があるのだろう。
「そうですね… たとえば敷地に高低差があり、大手の不動産会社で販売してもらったが売れなかったのでやってもらえないかとか、中には金融機関からのご紹介で不良債権に関するご相談もあります」
不良債権の相談?
「ええ。返済に困ってしまっているお客様に、自宅を売却して返済に充ててもらう必要があると。その手続きやご説明のために、お客様のもとへ伺うんです。お客様からすれば大切なご自宅を失うことになるので、前向きな売却ではないんですよ」
「ですから、はじめてお会いするときは敵対意識がありありと見えるような状況であることがほとんどです。それこそ『銀行の手先だろう』といった見方がされます」
そんな状況で、どうやって話を進めていくのだろう。
竹内さんが最も大切だと話すのが、お客さんの気持ちに寄り添うことだ。説得するには不動産や法律など専門的な知識も必要だけれど、それだけではなかなか人は動かない。
「まずはとにかくお客様のお話を聞きます。そしてその中でも私からお伝えするのは、お気持ちは分かりますがこのままでは最悪の事態になってしまうと」
債権者である銀行からすれば、市萬に依頼せずとも競売にかけてしまったほうが時間も手間もかからない。
ただ競売だと安く売られてしまうことが大半なので、債務者であるお客さんの手元に残るものは少なくなってしまう。
「私はそれを避けるため何かお力になれないかとお話に伺っています。銀行もすぐに競売にかけずに前向きに進めたいという気持ちなんですよ、といったとことをお伝えするんですね」
まるで仲人みたいですね。
「そうですね。お互いの立場からは言えないことを、それぞれの気持ちを汲み取ってお伝えして。するとお客様のお気持ちが少しずつほぐれていって、話が前進していきます」
ときには債権者側にも交渉することもある。
たとえば債務者の家を売却した金額が借金の額を下回ったとき。本来であれば、売却金のすべてを返済にあてなければならないが、債務者が新しいスタートを切れるようにと、一部を引越し費用として考慮できないか相談するのだという。
「場合によっては債権者が複数の場合があります。そのときは各債権者の利害関係も調整して。もし返済額が足りないとき、当然どの債権者も満額を返済してもらいたいわけですから、それぞれと交渉するのはすごく難しいところですね」
何度もお客さんや金融機関のもとを訪ね、話がまとまるまでに半年や1年かかるケースも少なくない。
なかなか大変な仕事だと思う。
「最初にお会いしたときに歓迎されないのは、なかなかしんどいですね。必要とされる知識も幅広いし、じゃあ知識さえあればいいかというとそうでもないから、けっこう大変です」
「でも、私たちの仕事は必ずお客様のためになるんです。不良債権の案件も、取引がまとまったときには『あなたでよかった』と本当に感謝していただいているんです」
難しい物件を再生したり、税理士と共にキャッシュフローを見直してお客さんの事業改善にも携わったり。
そういった高度なコンサルティングに加え、市萬ではさらに本質的に人の役に立とうとする。
まさにプロフェッショナルな集団だと思う。
「お客様のお役に立つこと、そして自信を持った提案をすること。その2つさえ守っていればいいのです。胸を張れる仕事ですね」
今回募集する不動産コンサルタントは、まさにそんなプロの仕事を担うことになる。
はたして自分にできるだろうかと尻込みしてしまいそうだけれど、実は市満で働く人の多くはもともと業界未経験者や初心者なのだという。
新卒で入社した人や、元自衛官や元カヤック日本代表選手などユニークな経歴を持つ人もいて、男性だけでなく女性も活躍している。
人材育成に優れているのも市萬の特徴かもしれない。
日々の業務のほかにも、スタッフには業界誌へ寄稿したり専門的な情報を詰め込んだ小冊子を発刊してもらうことで、成長する機会を設けているそうだ。
ただ、ありとあらゆる相談に応えるためには個人の努力も欠かせない。
約1年前に入社した須田さんは日々勉強だという。
「不動産ってお客様の人生を左右することでもあるので、中途半端な知識で曖昧な提案をしないように、一生懸命勉強しているところです。ただ僕は勉強するのが結構好きなので、そういう面でも合っていたのかもしれませんね」
前職では大手不動産会社に勤め、オフィスビルの管理運営を担当していた。
もともと代表の西島さんとは知り合いで、高い専門性を身につけて幅広い仕事をしたいと、市萬に転職したのだという。
最初の数ヶ月間は先輩の営業に同行するところからスタートだ。
「優しい先輩ばかりなので、聞けば時間を割いてでも教えてもらえます。それがいいところでもあり、甘えすぎちゃいけないなと思うところでもあって(笑)」
はじめて自分ひとりでお客さんに会ったときはどうでしたか?
「めちゃくちゃ緊張しましたね。でも、先輩に聞いたり自分でもしっかり調べて臨んだので、そのぶん自信を持って話せました」
「分からないことを聞かれたときは、もう正直に『きちんと調べて明日にはご連絡します』ってお伝えするようにしています」
お客さんも、ちゃんと伝えれば分かってくれるんですね。
「ええ。だからうちの会社の仕事って、一定の知識を備えたところから人とのやり取りの部分ですごく個人差が出る仕事だなと思います」
「そこが難しくもあり楽しいところで。自分はもっとできるようになりたいですし、できるようになったら一生の仕事なんだろうなって」
市萬では、ゆくゆくは独立を目指したいという人も大歓迎とのこと。
独立後もしっかり会社を経営していけるように『のれん分け』や『フランチャイズ』のような形で市萬のノウハウやシステムを使ってもらえるようにして、ネットワーク化を図っていく。
そうして市萬独自のコンサルティングが全国展開されることで、不動産業界が信頼される産業として育っていくことを代表の西島さんは思い描いています。
郊外や地方での起業を考えている人、また業界のイメージを変えていきたいという想いがある人にとっても、いい会社だと思います。
(2018/4/6 取材 森田曜光)