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新たな地平の開拓者

社会を今すぐ変えることは、できないかもしれない。

けれども、自分とその周りを少しずつ変えていくことはできると思う。

これからの生き方働き方のモデルを、地域を舞台につくっていきませんか。

挑戦をサポートしてくれるのはNext Commons Lab(以下、NCL)のみなさん。


NCLの多岐にわたる取り組みのひとつが、「ラボメンバー」と呼ばれる起業家の誘致と伴走支援です。

まずは地域のリソースや課題を調査し、その地域ならではのプロジェクトをNCLが立案。たとえば岩手県遠野市には、「ビール」「発酵」「超低コスト住宅」など、9つのプロジェクトが存在します。

これらのプロジェクトに対して専属のラボメンバーを募集。採用後は地域おこし協力隊の制度を活用して月16万円程度の活動支援金を支給。事業化に向けた継続的なサポートをしていきます。

さらにノウハウを持った民間企業や地域の事業者を各プロジェクトのパートナーに迎え、技術的、経験的な側面からもラボメンバーを支えます。

今回は、NCLが新たにプラットフォームを構築していく青森県弘前市、宮城県南三陸町、福島県南相馬市、滋賀県湖南市、奈良県宇陀市、愛媛県西条市という6つのフィールドでラボメンバーを募集します。

これからはじまるのは、「サスティナブルワイナリー」や「地域をつなぐマイクロワークと小さな経済圏」「スポーツアクティビティ」など、各地域の特性を活かしたさまざまなプロジェクト。また、ラボメンバーが自らプロジェクトを提案できる「自由提案」という枠もあります。

同時に、一部地域のコーディネーターも募集中。

自分に合った研究・実践のフィールドを見つけてください。


取材に向かったのは、NCLが最初に拠点を構えた岩手県遠野市。柳田國男の説話集「遠野物語」でも知られる、人口28000人ほどの町だ。

ここでは現在11名のラボメンバーが活動している。

まずはそのうちの一人、袴田さんを訪ねた。


袴田さんが取り組んでいるのは、ビールプロジェクト。

ホップの栽培面積日本一を誇る遠野市。ただ、深刻な後継者不足という課題を抱えていた。

NCLでは、キリングループや地元のホップ農家をパートナーに迎え、ビアツーリズムの振興やマイクロブルワリーの建設を目指すプロジェクトを開始。そのラボメンバーに応募したのが袴田さんだった。

袴田さんは、学生時代に世界中をバックパックひとつで旅する中で、ビールの多様性や面白さに気づいたんだそう。


「ビールについては、趣味程度に調べたり学んだりはしていました。でもまさか、自分がブルワリーを立ち上げるとは思ってもいませんでしたね」

NCLのラボメンバーとなり、最初の3ヶ月間は東京の醸造所で研修。その後全国各地の醸造所を回って情報を集め、昨年の4月に遠野へと移住し、本格的に醸造所の立ち上げに取り掛かりはじめる。

その道のりは平坦ではなかったという。

「一番難航したのは、物件探しですね。ブルワリーの条件に合う物件がなかなか見つからなくて」

探しはじめて半年、転機はいつもの散歩道を歩いていたときに訪れた。

「1日前まで出ていなかった『賃貸』の看板を見つけて、すぐに問い合わせて。実はそこはもともと酒屋さんで、オーナーのおじいちゃんもかつて酒蔵の杜氏の頭だった方。何か縁があるなと思いました」

その後、半年の間に株式会社遠野醸造を設立し、醸造免許を取得。ブルワリーオープンに向けて急ピッチで準備を進めてきた。

また、それと並行してホップ畑の農作業や収穫体験を楽しむビアツーリズムを企画して市内外から参加者を募ったり、地元の食材とクラフトビールの組み合わせを楽しむイベントを行ったり。


「NCLの事務局メンバーが地元のビール好きの人や農家さんを紹介してくれたり、物件探しを手伝ってくれて、起業に向けた下地をつくるフェーズですごく助かりました」

パートナーであるキリングループでは、1日研修を受けた。外部の研修を受け入れるのはキリン史上初のことだそう。

NCLの事務局は、ラボメンバー同士の交流が生まれるよう、月に一度ミーティングの場を設けたり、パートナー企業や地域のステークホルダーとラボメンバーとが関わる機会をつくることで、精神的・技術的なサポートを手厚く行っている。

スキルや起業の経験がなくても、熱意さえあれば誰でも挑戦できる環境をつくっているのだと思う。


とはいえ、大変なこともある。

「遠野でビールつくっても売れないよとか、いろんなことを言われますよ」

「それは凹みますけど、いつかその人たちにも『飲みに行きたい!』と思ってもらえるようなブルワリーにしていきたいと思っていますね」

その第一歩として、今年の5月3日、ブルワリーはオープンの日を迎えた。

建物の奥に醸造所を構え、手前のスペースでは出来立てのクラフトビールを楽しむことができる。


「遠野の人たちにどう受け入れられるか。不安もありますけど、楽しみですよね」

そう話すのは、袴田さんとともに遠野醸造を立ち上げた太田さん。


電子機器メーカーの研究職として、プラズマテレビなどの開発に従事。56歳で早期退職後、ビールプロジェクトのことを知った。

「そうか、自分でビールをつくっていいんだって。今まで考えたこともなかったですけど、ワクワクしちゃって」

醸造所を案内してもらう間、太田さんはビールのつくり方や自作した器具の話をうれしそうに語ってくれた。

太田さんは、どんな人がラボメンバーに向いていると思いますか。

「どんな方でもいいんじゃないですかね。わたしが一番不思議だったのは、同じ年齢層の人がほとんどいないこと。早期退職組からしたら、めちゃくちゃ面白い話なのに」

たしかに、太田さんのようにある分野で長く経験を積んだ人が、まったく違う分野・フィールドで挑戦するのもいいと思う。経験やスキルがあとから活きる場面が生まれたり、ほかのプロジェクトとつながるきっかけになったりもする。


発酵プロジェクトに携わる九鬼さんは、もともと東京の化学メーカーで4年間医薬品の研究開発をしていた方。


10個あったプロジェクトの中から、身近に感じられた発酵を選択。パートナー企業であるロート製薬の“薬に頼らない世界を目指す”スタンスにも共感して決めたのだそう。

実際にこの1年活動してみて、どうでした?

「はじめはほかのラボメンバーがみんな、異次元の世界の人たちに見えて(笑)。こんなにすごい人たちの中で自分に何ができるだろう…ってプレッシャーが大きかったです」

遠野にはどぶろくなど発酵食の豊かな文化があるものの、当初はどう自分が関われるのか想像がつかなかったという九鬼さん。

研修期間に全国各地の発酵文化に触れたり、さまざまな形で発酵を生業にする人たちと出会う中で、少しずつ自分のやるべきことが見えてきたところだという。

「もともと化学をやっていたので、味噌などの発酵物づくりを通して、その中で働く微生物について学べるようなイベントを何回か開催してきました」


参加者は市内の方が多いものの、釜石や花巻など市外から来てくれる方も。

「ここでの活動は自分のやったことに対するレスポンスが早いけれど、逆に言えば自分から動かなければ何もはじまらないんです。だから、まずはどんどん動こうと思って」

「ゆくゆくは発酵について学んだり、体験できる『発酵ラボ』を常設でつくりたいですね」


九鬼さんの言うように、自分からどんどん動いて独自のプロジェクトを立ち上げているのが、ローカルプロダクションプロジェクトの富川さん。

遠野のNCL立ち上げ時から関わっていて、ラボメンバーの募集や仕組みの設計もNCL代表の林さんとともに行ってきたそう。


事務局として1年働いたあと、ラボメンバーに。

前職で広告代理店の営業やプロデューサーをしていた経験を活かし、農業協同組合のブランディングや遠野の鹿の革を使った商品開発、遠野のガイドブック「THE TONO BOOK」の制作や遠野にあるレストランの海外向けプロモーションなど、幅広く手がけている。

「自分がいることで文化をつなげていくような仕事は、ずっとやりたかったんです」

そんな富川さんが最近力を入れているのが、「to know」という取り組み。

柳田國男が遠野に伝わる民話や伝承を記した『遠野物語』に触れながら、遠野の魅力を再発見していこうというものだ。

「実は最初、遠野物語は読みはじめて10ページで断念したんです(笑)。でも、長年遠野物語を研究してきた74歳の大橋先生、ぼくの師匠なんですけど、その方と出会ってから面白さに気づいていったんですよね」

文化の保存・継承というだけでなく、どのように地域を味わい、奥深く面白がれるか。

そんな観点から、新しい観光プログラムの立案や市内の中学高校での授業、市民向けの勉強会などを開催。将来的には市民ガイドという形で雇用を生み出すところまで考えているという。


「河童の目撃場所を見に行くツアーにスペイン人の方が参加されたり、熱気を帯びたコミュニティになりはじめていて」

「本当にあの、今度参加してほしいです。楽しいと思ってもらえる自信があります」

富川さんの話を聞いていると、地域のこと、そこに暮らす人のことを、心から“面白がっている”のだなと感じる。

なんでも面白がれることって、とても大事な気がします。

「ああ、それは大事ですよね。面白がるスタンスでいると、いろいろ教えてもらえるんです。そういう関係になってはじめて、ぼくの話もちゃんと聞いてもらえるようになるというか」

「最初は遠野物語も知らなかったし、遠野の面白さもまったくわからなかったので。ピンときたら、まず飛び込んでみればいいんじゃないかなと思いますね」


最後に話を聞いたのは、NCL代表の林さん。


「NCLのラボメンバーとして一緒に活動するということは、既存の枠組みや社会と向き合い、葛藤しながら、新しい生き方働き方をつくっていくような感じなんですよね」

新しい生き方働き方をつくる。

「50人が、50の未来をそれぞれのフィールドで体現する。1人だと点にしか見えないですけど、50人なら少しは面に見えるかなって」

これまでは各地域内でのコミュニティづくりを強化してきたNCL。

今後は地域をまたいで交流が生まれるよう、ラボメンバーの出張時に滞在可能なレジデンスの整備や、ブロックチェーンの技術を用いた独自の経済圏の構築など、インフラの整備も進めているそうだ。

「長い人生の中で3年間、NCLという実践・研究のフィールドで思いっきりやってみないか、っていう。それが今伝えたいことですね」

「NCLや、未来の社会に勝手に期待したり、失望したり。そういう人は向いていないかなと思います。来てほしいのは、自分を信じている人。ラボメンバーなんだから、失敗してもいい。自由に挑戦してほしいです」

これから6つの地域に新たに広がっていくNCLのネットワーク。

ラボメンバーの一員として、未来の風景をつくっていってください。

(2018/4/24 取材 中川晃輔)

一般社団法人Next Commons Lab
募集職種 (1) ラボメンバー(起業家)
(2) チーフ・コーディネーター
(3) アソシエイト・コーディネーター
雇用形態 業務委託
給与 (1) ラボメンバー(起業家)
報酬160,000円〜
(2) チーフ・コーディネーター
報酬300,000円〜報酬500,000円
(3) アソシエイト・コーディネーター
報酬200,000円〜報酬300,000円
仕事内容 (1) ラボメンバー(起業家)
各プロジェクトに関わる起業活動

(2)(3) コーディネーター
各地のNCLにおいて、起業家と地元プレーヤーや行政をつなぐコミュニケーションをはじめ、インキュベーション・メンタリング・企画・経営・交渉や調整、事務処理まで、現場でのさまざまな実践力が求められます。ビジョンを持ちながら、地域での地道なコミュニティ運営や起業家サポートを実行し、Next Commons Labの目指す社会インフラの構築に向けて、多くのメンバーと協力しながら活動を続けていきます。
・チーフ・コーディネーター
コミュニティ全体に目を配りながら、事務局及びコミュティ運営の中心を担い、最終的な意思決定や経営に関する判断を行います。
・アソシエイト・コーディネーター
チーフと協力しながら、現場での実務やコミュニケーションを積極的に行い、チームとしてあらゆる局面に対応します。
勤務地 (1) ラボメンバー(起業家)
青森県弘前市、岩手県遠野市、岩手県南三陸町、福島県南相馬市、滋賀県湖南市、奈良県宇陀市、愛媛県西条市、のいずれかの地域

(2) チーフ・コーディネーター
(3) アソシエイト・コーディネーター
青森県弘前市、岩手県遠野市、滋賀県湖南市
勤務時間 地域おこし協力隊制度を用いる場合、月16日程度、1日8時間程度の活動実績が必要となります。
それ以外の規定は、個別の業務委託契約に則ります。
休日休暇 自由(*個別の業務委託契約に則ります)
応募資格 (2) チーフ・コーディネーター
経営経験がある方
選考基準 業務に関するスキル・経験を有していること。さらには、人柄や魅力・センスなども重要視しています。
求める人物像 ・マクロとミクロの両視点を持てる人
・気配りが上手な人
・事業だけでなく、時代や社会をつくる意志がある人
・常に学び、変化し続けることができる人
募集期間 2018/05/22〜2018/06/19
採用予定人数 (1) ラボメンバー(起業家)
約50名
(2) チーフ・コーディネーター
3名
(3) アソシエイト・コーディネーター
1名
選考プロセス まずは下記よりご応募・お問合せください
 ↓
書類選考(採用システムより連絡がまいります)
 ↓
面接
 ↓
採用

・次の選考ステップに進まれる方のみご連絡させていただきます。
・(1) (2) (3) いずれも、選考期間中に現地を訪問していただきます。
・選考プロセスは変更になる可能性があります。
・不採用理由についての問い合わせにはお答えできませんのでご了承ください。
その他 (1)に応募する方は、http://project.nextcommonslab.jp/
(2)(3)に応募する方は、http://nextcommonslab.jp/recruit/
その他、Next Commons Labについて掲載されている記事など、ご自身で検索してご確認ください

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