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ノーボーダーへようこそ

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

生きているなかでうれしいことって、誰かと分かり合えた瞬間なんじゃないかと思います。

もしそんなことが旅先で起こったらどうでしょう。日常でさえうれしいのだから、旅先でそんなことが起きたらきっと特別な旅になると思います。

株式会社ベステイトは主にホステルやゲストハウスなど、中小規模の宿泊施設を運営する会社。

実はまだ2017年にできたばかりの会社です。

テーマはノーボーダー。旅人や地域の人たち、そして自分たちなど、いろいろな人たちが混ざり合って喜んでほしい、という思いが伝わりました。

支配人やスタッフとして働く人たちを募集します。



福岡空港で飛行機から降りて、地下鉄に乗って1駅。東比恵駅で降り、歩いて5分ほどで目的地「モンタン博多」に到着した。

まわりにはマンションが立ち並ぶエリア。博多駅にも徒歩8分ほどなので、近くにはオフィスもあるようなところ。

入口から中の様子を見てみると、なんだかカフェのよう。ほかにもキッチンスペースなどもある。

中に入ると、代表の石橋拓馬さんが迎えてくれた。

早速、一階で話を伺うことに。

「オープンして5ヶ月ですが、おかげさまでほぼ毎日満室が続く状態です。2月、3月って福岡は繁忙期なんですよ。2月は旧正月の影響で韓国や中国の方が旅行にいらっしゃるし、3月になると学生さんが春休みなので」

見た目がとても若い。取材当時26歳だった石橋さん。

どうしてその若さで会社をはじめることになったのだろう。

すると話は高校時代にまで遡る。

「高校まではサッカーばかりしていました。旅行とかもほぼ行ったことがなくて。ずっと部活。勉強のほうはというと、なぜだか英語は好きだったんですよね。成績もちょっとだけ良かった」

「大学に入ってもうちょっと英語を勉強したいなと思ったんです。それで2年生のときに留学したくなりました」

スポーツジムと塾講師のアルバイトを2つ掛け持ちして、80万円貯めることができた。大学2年が終わったときに休学して、アルバイト代を握りしめてカナダのトロントに向かい、ワーキングホリデーをすることに。

最初の3ヶ月間は語学学校で英語を勉強。そのあとは仕事をしながら、旅をするようになった。

「カナダの違う都市に旅行に行ったり、自転車を買ってナイアガラの滝を訪れたり。そういう旅先で泊まったのが安宿、いわゆるホステルだったんです」

「1泊2、3千円くらい。いろんなところに泊まったんですけど、すごく楽しかった」

楽しいですよね。

「そうなんです。いろんなところからの旅行者が一つの部屋に集まって、2段ベッドに寝る。これまでサッカーしかしたことがなかった自分にとって、めちゃくちゃ楽しい経験だったんです」

「つたない英語で話しかけて、仲良くなって、次の日に一緒に出かけたりして。ホステルって、いいなと思った。それからもお金を貯めたら、アメリカを一周したり、カナダを横断したんですよ」

自転車で旅をしているときは「自転車で旅してるのか!?」と言われて、ホステルの人に水をもらったり、父の日で親戚が集まっているからと、ホステルのスタッフの家に招かれたこともあった。

そのときに出会った人たちとは、今でもつながっているんですか?

「そうですね。忘れたころに連絡があったり、日本に来てくれることもあるんですよ」

そのあと日本に帰国して、大学に復学。何かアルバイトをしようと考えたときに日本仕事百貨でゲストハウスの仕事を見つける。

「これは応募するしかないって思って。今でこそゲストハウス、ホステルっていっぱいあるんですけど、まだ4、5年前はあんまりなかったんですよね。日本にもあるんだ!と思って応募したら受かっちゃった」

旅する側から、迎え入れる側へ。すると今度はホステルの仕事にのめり込んでいく。

「自分も海外を訪れたときにいろんなことをしてもらったから、今度はしてあげたいなっていう気持ちでした」

お客さんとはどんな関わり方なんでしょう?

「ホステルって、特に外国だとお客さんとスタッフの間に壁がないんですよ」

壁がない。

「本当に半分友達みたいな感じで、今から飲み行こうみたいな。だから半分失礼だし、たしかに失礼だと感じる人もいると思うんです。ズカズカ入っていく感じだから。でもそれを楽しめる人もいるんです」

「昼は大学、夕方からアルバイトして、毎晩のようにお客さんと飲んでいましたね。ラウンジにいるお客さんに声をかけて、馬刺し食べたことある?って聞くんです」

馬刺しなんて、海外ではなかなか食べないですかね。

「そうなんです。馬の肉を食べるっていう経験をすると、それがその人にとって日本での自慢話になったり、旅の思い出になるんですよね」

そんなコミュニケーションのおかげだったのか、ホステルの評判も高かったそう。口コミサイトにも「スタッフが良かった」という感想があり、いつもお客さんで賑わっていた。さらに会社が運営するホステルも増えていく。

大学を卒業すると、迷わずにそのままアルバイト先に就職。現場で働いたあとに、新しいホステルの立ち上げなどにも関わった。

立ち上げではどんなことに気をつけていましたか。

「ラウンジをつくって、机とか椅子を並べても交流が生まれるわけじゃないんです。あと宿なんだから、もちろんぐっすり寝れないとだめですよね。たとえば、ここにドライヤーを置いたら、夜中に使うと客室まで響くんじゃないか考えるとか。建築士さんと入念に打ち合わせすることが大切なんです」

いろんな経験ができたんですね。それでも独立しようと思ったのはなぜだったんでしょう?

「なんか、もっと自分でやりたかったんでしょうね」

自分でやりたかった。

「前の会社でも、とても自由にやらせていただいたんですよ。本当にお世話になりました。でも責任も生じるんだけど、もっと自分で決めたかった」

「それで結果が出ることにものすごいやりがいを感じるんです。どういうホステルにするのかみんなで考えて、協力して立ち上げて、いいレビューがついたり、稼働率があがったりするとうれしいです」

自分の力を試してみたい。そんなことを考えているときに、モンタン博多の建物のオーナーから声がかかる。

この場所はもともと築30年の普通のマンションだった。福岡市の条例が変わり、住居と宿泊施設が同居する、いわゆる「宿住混合」が可能になった。

モンタン博多には99の部屋があり、現在そのうち73室はホステルの客室。それ以外は住居だったり、寮だったり、オフィスが入っている部屋も。

「宿泊者の方と住人さん、それに地域の方々、あと私たちスタッフが集って何か面白いことできたらいいよねって思っているんです。一言で言えば、ノーボーダー、というのがコンセプト」

ノーボーダー?

「ホステルという場は、世界各国から旅行者が来るので、ノーボーダーな場所なんです。アメリカ人でも韓国人でも、男も女も、年齢も関係ない。楽しいと思えばみんな集まればいいと思うんですよね」

ホステルには確かに「ノーボーダー」というものを感じる。それこそがホステルの醍醐味だし、石橋さんにとっても、自分の人生を突き動かしたものなんじゃないか。

今後はその思いをより形にしていくため、宿泊者だけでなく、地域の人たちにも関わってもらいたい。

クリスマスツリーの点灯式には50人ほどの方がいらっしゃったり、ご近所さんが1階で試験勉強したり、仕事帰りに寄ってもらったり。そんなふうに、少しづつ地域の人たちに入ってもらっているものの、もっとノーボーダーな場所にしていきたい。

とはいえ、この施設を8人で運営しているため、どうしても新しいことをする余裕がない。

だからこそ、新しい人を募集したい。



どんな毎日になるのだろう?

石橋さんとともに働く押川さんにも話を聞くことに。もともと宮崎出身で、石橋さんとは前職から一緒に働いていた方。

「仕事はチェックイン・チェックアウトやご案内などのフロント業務、あと清掃などは外部に委託しているものの、自分たちでもするし、予約管理などもあります。あとはイベントなども計画して実行します」

もともと石橋さんとはお知り合いだったんですか?

「そうなんですよ。『いつか自分の宿をやりたい!』という話は聞いていたんです。こんなに早く実現するとは思っていなかったんですけどね」

「最初に話を聞いたときには、自分も九州出身だし、新しいホステルをつくることにも興味があったし、自分たちのやりたいことができると思って、一緒に働くことになりました」

押川さんもまた、石橋さんと同じように旅行が好きで、海外への留学経験もあるし、ワーキングホリデーをしたこともある。そして海外で親切にしてもらった経験から、いつか自分もお返しするように旅行客の手助けになればと考えているそう。

お客さんとは、どういう関わり方なんだろう。

「自分だったら、接客されているというよりは、そこに暮らしているように感じたいんです」

暮らしている?

「接客されていると感じるということは、距離があるということだから。海外の人は距離を感じると、あんまりフレンドリーじゃないね、と思われるんです。でも日本人のお客さんとは適度に距離を保ちつつ、丁寧にフレンドリーに接しますね」

「いろんな方が訪れる場所です。中国や韓国はもちろん、台湾とか東南アジアからも。最近、韓国語勉強しなきゃな、と思って習い始めました。チェックインとか、簡単な会話はできるようになりましたね。次は中国語も習いたいな」

結構、自由にやりたいことをやっているんですね。

「そうですね。できるかできないかは別として個性的なアイディアを出し合ってやっていけたらと思っています。たとえば、写真スポットをつくったら、みんながインスタグラムで広めてくれるかな、とか」

スタッフ同士でも、密にコミュニケーションしてそうです。

「少人数で年齢も近いし、あまり上下関係もなく、仲良い感じです。わたしがもうすぐ30歳で最年長なんですよ」

みんな前向きな印象。新しく入るのはどんな人がいいだろう。

あらためて石橋さんにどんな人と働きたいか聞いてみる。

「シャイじゃなければいいですよ。人が好きで、話すのが好きで、今日お話したような価値観に共感してくれて、楽しいと思える人なら」

「毎日いらっしゃるお客さん、住民さん、そして地域の人たちを大切にできること。現場が一番大事なんです」

世界中から、地域から、そしてモンタンにお住まいの人たちまで。いろいろな人たちが訪れる場所だと思います。

旅行が好きな人。会話をするのが好きな人。相手に喜んでもらうのが好きな人。

そういう人なら、生き生きと働くことができるように思いました。

(2018/4/11 取材 2018/12/17 再掲載 ナカムラケンタ)

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