求人 NEW

マレーシアンドリーム

※日本仕事百貨での募集は終了いたしました。再度募集されたときにお知らせをご希望の方は、ページ下部よりご登録ください。

人と同じ選択をしていたら、みんなも同じだから安心できる。でも相対的にチャンスは減ってしまうかもしれない。逆に言えば、誰もやらないものにこそ、面白いことや機会はたくさん眠っている。

マレーシアのクアラルンプールにある2つのレストランをマネジメントする人を募集します。異国で働くことは不安に思うかもしれないし、実際に困難なこともあるかもしれない。

ogawa01 それでもトライするからこそ面白いことってあると思うんです。どんどんインターネットなどを通して情報が流通するようになっても、そこで暮らしてみないとわからないことはまだまだたくさんあります。

深夜の羽田空港。24時過ぎの飛行機に乗ってクアラルンプールに向かう。最近はLCCが増えてきているから、東南アジアの国々へ行くことはとても身近なものになっている。

深夜に飛び立った飛行機からは眼下に東京の夜景が広がった。けれどもすぐに窓の外は真っ暗闇になってしまった。機内食を食べ終えると、機内は真っ暗になり、静かになった。もしこれがマレーシアに移住して働くために乗っている飛行機だとしたら、ワクワクするとともにいろいろな不安や心配でいっぱいになるかもしれない。

7時間のフライトも終わりに近づくと、だんだん空が白んでくる。もうすぐクアラルンプールだ。

ogawa02 着陸態勢に入ると、アブラヤシのプランテーションが延々と広がっているのが見えた。

空港カウンターで事前に目的地を伝えてお金を支払い、タクシーに乗る。クアラルンプール市内までは高速道路を1時間ほど。バスや電車もある。

車窓には、次第に高層建築などが見えてきた。

ogawa03 最近はリタイアした日本人などがマレーシアに移住することも多いそうだ。たしかに住環境としてはよさそうだ。

今回紹介する日本食レストラン「尾川」と鉄板焼きのお店「Aller」のオーナーは日本人の田辺さん。マレーシアを訪ねる前に日本で話を伺っていたので紹介したい。

「クアラルンプールは住むと良さがわかります。親日的だし、食事などの物価も安いんですね。そして何より住環境がいい。プールとかジムとか図書室とか、日本では超高級リゾートにあるような設備が、普通にマンションの共用設備にあります。そんな生活、日本にいたらできないですよね。」

ogawa04 「国としても順調に成長していくと思います。それは貧富の差が少ないからなんです。色んな人種も融合できている。アジアでも経済力が伸びているし、その中でもクアラルンプールはダントツに所得が高いんです。」

田辺さんがクアラルンプールに移住したのは今から2年半前。それから1年住んで、日本に帰国した。

もともと不動産の仕事をしていた方だ。マレーシアに移住した経緯を教えてもらった。

「リーマンショックがあり、東日本大震災もあって、いろいろな映像が流れてくる中で、自分はデスクに座って、アメリカ人を裕福にするために資産運用していて。それにちょっと疑問が生まれて、海外に出ようと考えたんです。」

それでマレーシアに移住する。しばらく経ったときに、あらためて自分がなぜ海外に来たのか、考えさせる機会があったそうだ。

「飲んでいるときに、なぜマレーシアに来たのか聞かれたことがあって。まず日本人の資産を成長しているアジアのマーケットで増やすことを実現させたいと言ったんです。でも本当にそうなのか。自分はこの仕事を辞めて、料理が好きだから料理屋をやりたいという夢があった。自分の畑で採れた野菜で、仲間が集まってくるようなお店を持てたらいいな、って思っていたんです。」

「そんな話をしていたら、クアラルンプールで和食屋と鉄板焼き屋をやっている人が『自分の店をどうか?』と言ってくれたんです。」

タクシーがホテルに到着した。チェックインしてからクアラルンプールの街を歩いてみることにした。

とにかく印象的だったことは人がたくさんいること。そして街のあちこちで開発していること。

ogawa05 一番の繁華街であるブキッビンタンには日本でもよく見るようなお店があふれて、多くの人が巨大なショッピングモールに飲み込まれていた。

日本食の飲食店もあり人気があるそうだ。たとえば日本でも知られているとんこつラーメン屋さんには行列ができていた。こちらの人は主にマレー系、中華系、インド系の人がいるそうで、宗教的なこともあって、行列に並んでいるのはほとんど中華系の人ばかり。それでも流行っているのだから、たしかに日本食は人気なのかもしれない。

こちらでは日本食を食べることは、ファッションのようなものでもあるらしい。たとえばデートでラーメン屋さんに行ったり、「昨日行ったよ」と会話にもわざわざでてくるとのこと。

街歩きのあとに、今回マネージャーを募集するお店に行ってみることにした。場所は中心部から車で15分ほどのモントキアラという新興住宅地。高層のコンドミニアムが建ち並び、日本人の駐在員がもっとも多い地域とのこと。

お店はプラザモントキアラというショッピングセンターの中にある。田辺さんはお店を持つようになってまさにこれから、というときに日本に帰国することになってしまった。

あらためて田辺さんの話です。

「お店っていうのは、愛着を持って真剣にマネジメントする人がいないとうまくいかない。それは知っているけれども、自分はもう帰国することになってしまった。だからこのお店を誰かと一緒にやることができたらおもしろいな、と思うんです。」

ogawa06 「さらにこのお店をきっかけにして、いろいろな機会があると思うんです。ぼくがやりたかったことは、日本人やローカルの人とのコミュニケーションが生まれて、そこで得た情報をもとに、新しいビジネスにもつなげていくこと。それができれば面白いんじゃないか、と思いました。」

どんなことができるだろう?

たとえば日本食のレストランで確固たる地位を築いているお店はまだない。味も日本人が食べると美味しいとは言えないけれども、流行っているお店もあったりする。ちゃんとした日本食を提供するだけで、もっと人は来てくれるかもしれない。

あとは中食産業がアジア新興国では比率が高くなっているそうだから、お弁当もいいかもしれない。パリではbentoが大人気だったりする。

まだ日本の食材が充実しているとはいえないクアラルンプールなので、ほかでは買えない日本の食材を仕入れて、小売りしてもいいかもしれない。ちなみに今はまだ現地スーパーで食材を調達しているそうだ。

飲食に限らず、ここにいるからこそ見えてくることがたくさんあると思う。

お店のあるショッピングセンターに到着した。ちょうど広場には夜のマーケットがでている日で、もっと早い時間にはたくさんの人が集まるそうだ。

ogawa07 ただ、日本食レストランである尾川には、あまり人が入っていなかった。ファサードがショッピングセンターの規約に違反していたらしく、撤去されたままになっていた。看板もなくなってしまっている状態だから、ここは早急に改善が必要かもしれない。内装はよくつくり込まれていて、外とギャップがある。

スタッフは全員ローカルの人たち。もともと英国領だった歴史もあり、コミュニケーションは英語でできる。とてもにこにこしておだやかで、真面目な人が多いそうだ。

ogawa08 ただ、日本のように仕事がスムーズに進むわけではなく、時間の流れはゆっくり。だからゆとりをもって仕事ができるほうがいい。

あとはマレーシアの人たちは人前で怒られることをものすごくいやがるそうだ。だから何かあっても個別に話をする必要がある。

こういった文化の違いは、ひとつひとつ経験していくしかない。

いろんな料理を注文して食べてみる。出汁の味もしっかりしておいしかった。料理長は日本料理の経験が長いそうだ。

ogawa09 あと気になったことは日本語のメニューはあるのに、しっかりとした英語のものがないこと。日本人はマレーシアに1万人いるそうで、その四分の一ほどがこのモントキアラ地区に住んでいる。けれどもローカルの人たちにも来店してもらわなければ事業としては難しい。英語のメニューをつくることも必要だ。

やらないといけないことは山積しているけれども、まずはこのあたりを改善するだけでも変化があるかもしれない。

田辺さんは働く上で気をつけるべきこととして、次のようなことを教えてくれた。

「日本人だから、という態度じゃなくて、まずはローカルのスタッフたちと協力していこうという姿勢が大切だと思います。ただ、彼らにはできないことがあって、それが日本人とのコミュニケーション。それは言葉だけじゃなくて、季節ごとにディスプレイするのもいいし、正月だったらおせちを販売するのもいい。それは日本人にしかできないことです。」

「別に年齢は気にしていないんですよ。40歳でも50歳でもいいし、20代でもいい。視野が広く、チャレンジングな人なら。飲食だって未経験でいいです。気配りができれば大丈夫。大きなお金を動かすときは教えてほしいけど、基本的にお任せしたいですね。」

お店を出て、夜の街も歩いてみた。歩道には人がたくさんあふれて、夜遅い時間でもにぎわっている。

ogawa10 海外にしてはそんなに危険を感じることはなかったし、街には経験したことがないような熱気を感じる。日本にもこういう時代があったのかもしれない。

こんな経験ができることも、この仕事の良さ。

最後にマレーシアで働くことの大変さについて、田辺さんの言葉を紹介したいと思います。

「もしあきらめて、すぐ帰ってきてしまうとしたら、コミュニケーションだと思うんです。英語は通じますよ。でも心を通わせるような、親友と話すようなことは、ある程度語学力が高くないといけない。そのときに日本人のお客さんとのつながりがあれば、さびしくないかもしれない。」

「あとは食事ですね。食事が合わないと生活していくことは難しい。でもマレーシアはごはんがおいしいですよ。給料も日本より安くても、生活水準は高いです。」

ogawa11 チャンスではある。でも異国で暮らすことには、想像もできないような大変さがあると思う。あとは行動してみないとわからない。

気になる人は、田辺さんに会ったり、クアラルンプールを訪れてみてください。それだけでもいい機会になると思いますよ。

(2014/8/28 ナカムラケンタ)