まちの女将さん
※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。
高松の郊外にある仏生山。ここは町全体が旅館になっている。温泉があり、古い町家が離れのような客室として点在する。他にもフランス料理店やカフェ、それに雑貨屋などが50軒ほど。どこも人が絶えることなく市外からも町の人も訪れている。
…というのはまだこれからの話。でもこの「まちぐるみ旅館」というプロジェクト、間もなく実現するだろうな。そんな「まちの女将さん」を募集します。
仏生山は、高松藩の菩提寺がある門前町として栄えた場所で、高松の中心地からも電車ですぐ。
讃岐平野特有のため池にポコポコした小山が2つ。一方の小山には菩提寺である法然寺、もう一方にはちきり神社がある。その2つの神社仏閣の門前に、歴代のお殿様がお墓参りに訪れた「お成り街道」が伸びていて、両側に古い町家が並んでいる。
けれども栄枯盛衰とはこういうことか。
賑やかであったろう門前町の風景はすっかり失われているかもしれない。良くも悪くも高松のベッドタウンになってしまったので、お成り街道より近くの国道沿いにある大きなショッピングセンターに人が集まっている(なんと、ドンキホーテも!)。古い町家も減ってきていて、仏生山の町並みも都市化が進んできている。
ところがこの仏生山が今、面白い。たいてい面白い場所というのは意外な場所から生まれるものだ。
それじゃ、まずは岡昇平さんの話からはじめよう。
仏生山で生まれ育った岡さんは大学へ進学し、東京の「みかんぐみ」という設計事務所で働いていた。でも都会より田舎が好きだったし、次の世代に残したい家業もある。何より自分は長男である。いつか故郷に戻ることを考えていた。
そんなとき奇跡が起きる。長年、父親が夢見ていた温泉を掘り当てたのだ。なかなか掘れるもんじゃない。しかも温泉に入った僕に言わせれば、驚くほどいい泉質。重曹泉で炭酸が心地よく体を包み、トロっとした感触。ぬるめの湯船に浸かっていると、いつまでも入っていたくなる。
岡さんは仏生山に戻り、素晴らしい温泉建築をつくった。まわりに住宅街と田んぼが広がるエリアとは思えないほど、気持ちのいい空間。中庭を囲むように湯船や洗い場が配置され、真ん中には空が見える。ある人は文庫本を読みながら湯船に寝転んでいるし、空を流れる雲をぼんやり見上げている人もいる。
仏生山温泉ができて2年経ち、設計の仕事も充実しているある日。岡さんはふと次は何をしようか考えた。建築も番台の仕事も楽しい。前向きに取り組んでいる。でも何か違和感があるとすれば、”まち”が楽しくないことに気づいた。なんというか町の状況を見ていて笑えないのだ。ニヤニヤできない。それなら新しいプロジェクトをやりたい。町には少なからず歴史的建築物を理解する風土もある。とはいえ、どうすればいいのか…
そこで考えたのが、「まちぐるみ旅館」というプロジェクト。これは”まち”をひとつの旅館に見立てる、というもの。町家を家主から借り、客室や飲食店、物販店として利用してもらう。浴場は仏生山温泉に入ってもらう。さらに既存のお店も含めて、まち全体がひとつの旅館になるのだ。
岡さんがこの話を友人・知人に話したところ、即決で「一緒にやる!」という人が集まってきた。郊外にある立派な蔵でフランス料理レストラン「五風十雨」をしている村尾さんもその一人。なぜ即決したのかと言えば、「岡さんの人柄、そして企画の面白さ」だったという。「やろうとしていることは難しいかもしれないけれど、僕らが考えている夢が実現したらすごい」という思いがあったようだ。
たしかに行政などを頼りにしないでプロジェクトを進めていくのは大変だろうけど、高松のベッドタウンである仏生山という場所は、大きなポテンシャルを秘めていると思う。
目的のある買い物をする人は市街地や郊外のショッピングセンターに行ってもらえばいいわけで、ふらっと休日散歩、みたいな人が訪れるにはほどよい場所になると思う。カフェで食事をして、ここだけにしかないような雑貨を見て、神社にお参りする。その隣には県外から温泉に泊まりに来た方もいるし、仏生山で暮らしている人もいる。そんなイメージがたくさん湧いてくるから不思議だ。来年の瀬戸内国際芸術祭もいいタイミング。
さて、それじゃ女将さんってどんな仕事をするのだろうか?
まずプロジェクトの立ち上げを一緒にやってもらいたいし、仏生山温泉の番台もやってもらいたい。もっと具体的に言うと、一日の半分は番台、それ以外はどんな歯ブラシにしようかとか、お茶菓子も色々なものを食べ比べるとか。オペレーションの体制もしっかり整えるし、ホームページもないからつくったほうがいいかもしれない。
つまり、どうしたらいい旅館になるのか、それを考えて形づくっていくことすべて。
そして実際に旅館がオープンしたら、いわゆる「女将さん」の仕事もスタート。でもそれだけじゃないのが、仏生山温泉の女将さん。もう一つ大切な仕事が「まちのコーディネーター」。新しくここにお店を出したい人の相談に乗ることや、まちのイベントを企画・運営することもあるかもしれない。コミュニケーション能力が求められるだろうな。他にもアメニティをつくって販売することになるかもしれないし、様々なプロジェクトを企画・運営していくことになると思う。
あとこれを見ている人は香川の方とは限らないだろう。もしかしたら多くの人が引越しを前提に考えなければいけないかもしれない。でも高松は暮らしやすい場所。市街地も充実しているし、家賃も安い。うどんも美味しい、瀬戸内の穏やかな海は美しい。そして、四国自体にお遍路さんを迎える文化があるので、外から来た人にやさしい土地柄でもある。
岡さんはこんな仏生山を”○い”場所と表現する。それは一体何なのか聞いても、それ以上のものではないらしいし、それぞれに”○い”というものを解釈してくれればいいらしい。もうこれは「空気」だ。仏生山や岡さんのまわりに漂う「空気」。なんとなく分かる気もするけど、迂闊に言葉にできないな。
何か思うところがあれば、まずは応募してみてはどうだろう?一番いいのは、この町を訪れて岡さんに会うこと。まちの女将さんに興味のある方、ご連絡お待ちしています。(2009/11/14up ケンタ)
| 仏生山温泉 | |
| 業務内容 | 「まちぐるみ旅館」の企画・運営 |
| 募集職種 | 正社員(試用期間あり) |
| 給与 | 経験・スキルに応じて決定 |
| 勤務地 | 香川県高松市仏生山町 |
| 勤務時間 | 応相談。宿直有。 |
| 応募資格 | とくになし。女将さんとありますが、もちろん男性も可能です。 |
| 選考基準 | 一緒に働きたいと思える方。 |
| その他 | 温泉入り放題。温泉内食事半額補助。社保完備。 |
※この仕事は募集終了いたしました。ご応募どうもありがとうございました。







